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「初対面マザーズ」



・・・。

この日。

親睦学園は、体育祭を迎えていた。



真梨香「うおっしゃー!今年もやったるでぇー!」

唯「って、私たち一年だよ?」

真梨香「あ、そうだった。」

唯「でも、いつになくやる気だね。」

真梨香「アタリシャリキノコンコンチキよ!体育祭こそ我が萌える場所、ってね。」

唯「ごめん、言ってることがわからない……。」



という感じで、開会式前だというのに、真梨香のテンションは最高潮だった。

だが、そんな時。



『うおおおおお、真梨香あああああ!』


真梨香「へ?!」

唯「あの声……。」



二人が、声のした方向へ向く。

そこには。



大樹「真梨香あああああああ!お父さんがついてるぞおおおお!頑張れえええええええええ!!」

真梨香「お、お父さん!!?」

唯「おじさん……。」



ちょっと恰幅のいい、気の優しそうな男性が。

あの人、真梨香の父。朝陽大樹さん。

これでも地元でも有名な和菓子職人だ。


突然でかい声で、しかも父系席から叫ばれて。

真梨香、顔真っ赤でそこへ突撃。




真梨香「何でいるのよお父さん!?お店は!!?」

大樹「ああ、大丈夫。今日は臨時休業・・・ぐはぁ!?」



へらへらと、ニコニコしながらそう言った大樹お父さんの頭に、何かが陥没した。

見ると、それは女性の脚の、かかとだった。




大樹「な、何するのさ朱里さん!?」

朱里「何するのじゃないでしょあなた!お店は今日も営業日!あなたの作る和菓子を楽しみにしてる人たちがいっぱいいるのよ?」

大樹「で、でも……。」

朱里「真梨香の勇姿は私がちゃーんと撮っておくから、貴方は戻る!」

大樹「うわあああん、真梨香ああああああああ!」


そう言いながら、大樹お父さんは連れてこられた店員さん車に乗せられ、実家兼店である和菓子屋へと連行されていった。

その女性は、茶色い髪をおさげで束ねた、まさに「お母さん」といった感じの女性だった。

先ほどからの会話からお察しだと思うが、彼女は。



真梨香「お、お母さん……!」

唯「おばさん……。」

朱里「久しぶりね、真梨香。といっても、ちょっと前に会ったか。」



彼女の名は、朝陽朱里。

真梨香のお母さんだ。



朱里「ねぇ唯ちゃん、悠ちゃんは?」

唯「母は父と一緒に今日も取材です。行きたいって言ってたんですけど。」

朱里「あら残念。こないだの連休でも顔見せてくれなかったし、今日は会えると思ったんだけどなぁ。」

真梨香「って、なんでお母さんまで?!」

朱里「あら、娘の晴れ姿を見に来ちゃいけないの?」

真梨香「晴れ姿って……。」



理沙「あら、真梨香?そろそろ開会式よ。」

真梨香「あ、はい、今行きます。」

理沙「あら、そちらは?」



お母さん、初めて理沙さんを見た。

その感想は。



朱里「ねぇ真梨香、このスっごくかわいい子誰?!」



・・・ものスっごく直球だった。

まぁ、あの娘の母だもんなぁ。




真梨香「あ、うん、生徒会の会長さん。」

唯「で、新聞部の仲間でもあります。」

朱里「まぁ、そうだったの。」

理沙「真梨香……さんの、親御さんですか?」

朱里「ええ。朝陽朱里。真梨香の母親やってます。」

理沙「そうでしたか。零条理沙と申します。本日はようこそ、おいでくださいました。」



深々と礼をする理沙に、朱里も慌てて礼を返す。



朱里「真梨香、何であんたみたいな子にこんな友達ができるの!?」

真梨香「まず聞くところがそこ!?」



唯「あ、あの。もうすぐ開会式……。」



・・・そんなこんなで。

とりあえず、開会式は滞りなく終了し。




朱里「理沙ちゃん、零条って言ったわよね。」

理沙「はい。」

朱里「それって、あそこの病院の?」

理沙「はい。」



担当競技が始まるまで、何故か理沙が朱里からの質問攻めにあっていた。

それに律儀に返す理沙も理沙だけど。



朱里「ほぇ~、つくづく疑問だわ。そんなお嬢様が、何でこんなことと付き合ってるの?」

真梨香「実の娘の前で言う事かぁ!?」

唯「なんだろう、すごく久しぶりの光景だわ。」



母に全力で突っ込む、競技帰りの娘。

この母、曲者である。



朱里「でも、なんだかんだ楽しそうにやってるのね。ひとまずは安心したわ。幼稚園時代は結構引っ込み思案だったのに。」

理沙「え、そうなんですか?」

朱里「そうよぉ。人見知りで臆病で。・・・まぁ、それもこれも、あの偏屈爺さんのせいだと思うけど……。」



そう言う朱里の手にあるアルミ缶が、ぶしゃっとひしゃげた。



理沙「―――唯さん。」

唯「はい?」



理沙がそれを見て、唯にちょいちょい。

耳打ちを開始。



理沙「気になっていたのだけれど。源五郎さんって、もしかして……。」

唯「ええ。朱里さんの血筋です。」

理沙「ああ・・・。」

唯「うちの母さんから伝え聞くところによると、昔から色々と騒ぎを起こしていたみたいで。その都度朱里さんがそれを鎮めていた、と……。」

理沙「この因果が孫に報い、といった感じなのかしら……。」



今でこそ結構有能な爺として機能しているけれども。

怪獣騒ぎがなければ、ただの狂言爺さんだもんなぁ。



理沙と唯はそう思い、真梨香を見て。



真梨香「?!」



大きなため息を吐いて、彼女をねぎらった。



真梨香「え、え、なんで?!」



・・・そして。

競技は滞りなく、進んでいく。

真梨香や唯も、100m走や玉入れなどで席をはずしつつも、寮生活故に久しぶりの母親との交流を楽しんでいる様子。

そんな時。



「あ、いたいた。理沙ー。」

理沙「え?」



何故かずっと一緒に談笑している理沙と朱里の元に、白衣を着て眼鏡をかけた、それはそれはすごいダイナマイッな体をした麗しき女性がやってきた。

理沙の言葉から察するに、この方は。



理沙「―――お母さん?」

沙織「ふぅ、やっと見つけたぁ。」

理沙「え、え、お母さん、一人でこれたの?!」

沙織「失礼ねぇ。私だって、ちゃんと一人で来れるわよ。」

理沙「そう言って去年、反対方向の山の方へ行ったのを忘れたの?」

沙織「・・・。」

理沙「お母さんは恐ろしいほどの方向音痴なんですから。逆に心配になります。」




そう言って親しげに話す、ダイナマイッなお二人。

理沙の美貌とスタイルは、もう高校生の常識をはるかに超えたブツである。

だが、白衣を着た人はそれよりもすごい。

だって、ねぇ。



朱里「理沙ちゃん、この方は?」

理沙「紹介します。私の母の。」

沙織「あら、理沙のお友達のお母様ですか?零条沙織と申します。」

朱里「あ、ああ、どうも、朝陽朱里です!」



先ほどよりも深々とされたお辞儀に、朱里も深々とお辞儀。

ついでに。



真梨香「あ、その娘の真梨香です!」

唯「その幼なじみの唯です!」



娘とその幼なじみも、礼。



沙織「真梨香……唯……では、この子たちが。」

真梨香「え?」

沙織「いつも理沙が言ってるのよ。最近よく話す友達ができた、って。」

理沙「お母さん!?」

沙織「ほら、私も旦那も医者でしょ?だからこの子、時々一緒に夕飯食べてるときにここぞとばかりに話してくるの。」

理沙「ホ、ほら、病院に戻らなくていいの?」



理沙、顔真っ赤。

顔真っ赤で、母の背中をぐいぐい押してる。

それでも母は、笑顔を崩さずマイペースに。



沙織「大丈夫。今日はまだいられるわ。閉会式くらいまでは。」

理沙「そ、そんなに??」

沙織「たまの学校行事ですもの。参加したいじゃないですか。ねぇ。」

朱里「ねぇ。」



みんな忙しいのに、その合間を縫ってきてくれた。

それが、真梨香と理沙はちょっとうれしかった。

でも。



真梨香「ちょっと、恥ずかしい……。」

理沙「ええ……。」



思春期の女の子は、ちょっと複雑だった。

主にお互いの恥かしい過去とか、人に知られてない秘密とかの暴露大会が。

それに、母は強し。

いくら天下のエクセルガールとはいえ、その母を止めることはできずに、理沙も真梨香も珍しく縮こまっていた。



唯「うちは来てなくて、助かった……。」



それを写真にとる、幼馴染も幼なじみだが。



・・・。



それから程なくして、騎馬戦や玉ころがし、そして理沙が参加した障害物競走などのプログラムを行いつつも、気が付けばお昼休みとなっていた。



真梨香「うっは―――――……。」

朱里「いいんですか、沙織さん。」

理沙「ええ。こういうこともあろうかと多めに持ってきたから、遠慮しないで食べて?」

沙織「って言いながら、レシピ聞いたりとかで、わたしにも手伝わさせたんですよー。」

理沙「お母さん?!」




弁当を忘れた朱里と弁当だけじゃ食い足りないであろう真梨香が、沙織と理沙の持ってきた大きなお弁当箱に目を輝かせる。

持ってきた側も、

本当に、色々な意味でそっくりな二組の親子。



唯「ホント、そっくりだ。」



っと、唯も同じ感想を持っていた様子。

・・・そんな時。



「わー、おいしそうなお弁当っすねー!」

唯「・・・ん?」



ものスっごく甲高い、まるで子供のような、そんな小さな体の女の子がやってきた。



朱里「わぁ、小っちゃい。」

理沙「どうしたの?迷子?」

「ううん、ちょっとはぐれちゃっただけっすよー。」

真梨香「それを迷子っていうんじゃ……。」



直後。

ぐぅ~。



「うう……。」

沙織「あらあら、おなかがすいてるの?」

朱里「なら、一緒にお昼でもどう?」

「はい!大変申し訳ないですが、頂かせていただきますっす!」



そう言いつつ。

その小さい子は、額に手を当て敬礼。

ついでにその額には、鉢巻が巻かれていた。



唯「・・・ん?」



小っちゃい。

見知らぬ顔。

「~っす」。


この三つの特徴が当てはまる存在を、唯は一人知っている。



瀬里亜「あ――――!いたっす!」

真梨香「え、瀬里亜?!」

瀬里亜「何してんすか、ほら、真梨香さんたちに迷惑かけちゃダメっす!」

「わ、わー、はーなーしーてー!」

瀬里亜「イーや離さないっす!」



見知った顔。

中学生の瀬里亜さんが、体育祭を見学に来ていた模様。

しかし、このちっこい子は?

と言いたげな理沙と真梨香をしり目に、瀬里亜は言った。



瀬里亜「『朋子母ちゃん』!その年でわがまま言うもんじゃないっす!」



―――母ちゃん。―――

―――母ちゃん。―――



スっごく信じられない言葉が、真梨香たちの頭に反響しているっす。




朋子「えー!?こんなにおいしそうなのにー!」

瀬里亜「自衛官がそんなことでいいんすかー!」

朋子「いいんすー!今日はお仕事お休みだもーん!」



自衛官?

小学生が?

もとい、瀬里亜の母が?


だから瀬里亜、あんな口調なの?




なんというか、色々と目の前の光景が衝撃的過ぎて、朝陽家も零条家も、誰も動くことはできなかった。




・・・それから、押し問答が数分。



瀬里亜「いやー、申し訳ないっす!」

真梨香「あ、ああ、うん、大丈夫……だよ。」

朋子「いやー、最近せりちゃんがこの学校受けるって言ってるから、せっかくだし来てみようって話になったんす―。そしたら、もうお知り合いがいるなんて。せりちゃん、やるっすねー。」

瀬里亜「すいませんっす、こんな親で。」

理沙「いいお母さんじゃない。」

瀬里亜「あまりそうは思えないっすけど。」



不貞腐れつつも、朋子と共に瀬里亜も零条家お手製お弁当をいただいている。

いつものように素直においしいと言えない、嗚呼親の前。



朋子「わー、おいしーっす!沙織さん、お上手ー!」

沙織「あらあら。理沙の後輩なら、大歓迎ですよ。」

朱里「朋子さん、これからも娘をよろしくお願いしますね。」



あっちはあっちで、いつの間にか母親同盟が出来上がってるし。



瀬里亜「・・・さて。あれはほっといて。」

唯「ほっとくんだ。」

瀬里亜「真梨香さんも理沙さんもすごいっすねー。大活躍じゃないっすか。」

真梨香「へへへ、まーねー。」

理沙「え、私も?」



一応補足。

真梨香はその運動神経で、

理沙はその肉体美で大活躍、ということだ。

理沙の場合、あまり戦績は芳しくない。




瀬里亜「大活躍っすよ、ええ。」

理沙「そ、そう?」



苦手な運動で褒められたと思ったか、理沙はちょっと照れ笑い。

唯と瀬里亜は、それをちょっと冷ややかな目で見ていた。



真梨香「さーてと。あとは何の競技があるんでしたっけ。」

理沙「あとはクラス対抗リレーと、部活対抗リレーね。」


真梨香「おーし、両方とも、気合入れていきますか!」

唯「クラスでも部活でも、真梨香ちゃんの脚がかなめだからね。」

理沙「お願いね、真梨香。」

真梨香「おっしゃー!」

瀬里亜「僭越ながらあたしも全力で応援するっす!」



4人の仲間たちが、腕をがしっと組み合わせ、気合を入れた。

その時。



『怪獣だああああああああああああああああ!!???』



という声と、爆発が町の方で炸裂した。



真梨香「は?!」

理沙「ひ?!」

瀬里亜「ふ?!」



見ると。

そこには一匹の怪獣と、宇宙人が立っていて。



バルキー星人レックレス「うはははぁ!俺様とこのサメクジラ×2の最強トリオで、この地球をぶっ潰してやるぜぇぇ!!」



空を見ろ、池を見ろ、大地を見ろ!

そんな感じで空からやってきたバルキー星人・レックレスと、池、そして大地からやってきたサメクジラの三大トリオが、町で大暴れ!

その騒ぎと攻撃が、学校まで響いたからさぁ大変!



理沙「み、皆さん、怪獣が出ました!慌てず急いで避難してください!?」

唯「何その避難指示?!」



突然現れた宇宙人と怪獣に、観客生徒、ついでに生徒会長は大慌て。



真梨香「理沙さん、瀬里亜!」

瀬里亜「っていっても、ここじゃあバレバレっす!」

理沙「二人とも、備品置き場のテントがあるわ!」

真梨香「オッケー。急ごう二人とも。お母さんたちも早く……!」



早く逃げて。

そう言いかけた真梨香だったが、そこには。



朱里「皆さん、落ち着いて。怪獣はまだ遠いです。落ち着いて、安全なところへ!」

沙織「あなた、怪獣が……うん、大丈夫。ここでのけが人は、みんな私が看るから。ええ、お願いね。治療班、出番よ!!」

朋子「オラオラぁー!神奈川も含めて、関東連合を率いて怪獣を攻撃するっすー!泣き言や始末書はいくらでも描く!だから町を守るっす―!!!」



・・・母親さんたち、それぞれができる事を、誰に言われるまでもなく、迅速に対処していた。

そのうち二人の言ってることは相当ヤバいことであるが、そこは割愛。



真梨香「母さん……。」

理沙「お母さん……。」

瀬里亜「母ちゃん……。」

唯「三人とも、こっちは任せて。」

真梨香「唯。」



唯は、3人目がけてサムズアップ。



唯「思いっきり、暴れてきて!!」

真梨香「オッケー!!!」



そう言いつつ3人は、急ぎテントの中へ。



真梨香「さすがだね、母さんたち。」

理沙「ええ。自分にできること、やるべきことがわかってる。」

瀬里亜「だったら、娘のあたし達も!」



「「「今の自分たちに、できることを!!」」」



赤、青、黄。

3つの光が、テントからあふれた。



レックレス「うははは・・・は?!」



星人と、青と黄色のサメクジラ二匹。

其の1人と2匹の前に。



真梨香「そこまでだ!!」

理沙「ここからは!!」

瀬里亜「あたしらが相手になるっす!!」



真梨香、理沙、瀬里亜。

3人のエクセルガールが、そろい踏みで登場!!



朱里「あ、あれが……。」

沙織「噂の……?」

朋子「エクセルガール、っすか?!」



レックレス「な、な、なんだぁ?!」

真梨香「何だはこっちのセリフ!まったく、あたしらの町で暴れるなっつーの!」

レックレス「え、ええい、光の戦士の話なんて聞いてないぞ!ま、まぁいい、サメクジラに引きを連れた俺は最大最強!ゆくぞ、しもべたちよ!」



街中の一か所に集まったレックレスと二匹のサメクジラが、エクセルガールに迫る!



真梨香「行くよ!」

理沙「怪獣は任せて!」

瀬里亜「真梨香さんは、親玉を!」

真梨香「おっしゃあああああ!!」



迫るサメクジラを見て、真梨香の両脇の瀬里亜と理沙が構え、走り出す!

残る真梨香も、バルキー星人を見て、構える!



レックレス「おりゃあああ!」



レックレスは自慢の、何とも形容しづらい武器を振りかざし、真梨香に斬りつける!




レックレス「これでお前もおわぐはぁ!!?」



終わりだ、とも言わせないタイミングで、真梨香はレックレスの顔面にまず一発!

それと同じく、理沙が立ち上がった青いサメクジラの腹にチョップ!

瀬里亜もサメクジラにまたがり、拳を連打!



理沙「それっ!」

瀬里亜「おらおらおらぁ!」



拳の連打と、素早い一撃。

それぞれ、一対一での戦いだ。



理沙「ぐ、ぐううう!?」



その中でも、サメクジラは理沙を押し潰そうと力を込める。

理沙の体がどんどん背中から折れていくが、



理沙「お母さんだって、頑張ってる……!」



途中で、踏みとどまる!



理沙「私だって、いつまでも負けてはいられない!!」



一瞬自分から倒れ、サメクジラのバランスを崩し。



理沙「せぇええいっ!!」



そのまま足を崩し、サメクジラを大きく転ばせる!



瀬里亜「わ、わ、っとと!?」



馬乗りになっていた瀬里亜も、暴れる黄色いサメクジラにてんてこ舞い。

さながらロデオマシンに乗っているような状況になるが。



瀬里亜「―――ふん!!」



瀬里亜はなんと、地面に自分のツインテールを「ぶっ刺した」!



瀬里亜「小っちゃくてもたくましい母ちゃんの血が、あたしにも流れてる!だったら!!」



そして、動きの止まったサメクジラの背中のど真ん中。

そこ目掛けて、腕を大きく振り上げて。



瀬里亜「それよりおっきいあたしも、それを超えてやるっすうううううう!!」



その背中に、ものスッゴイ音と衝撃をプラスした両の拳が炸裂!

サメクジラの体は、Vの字にひん曲がった。




レックレス「うお、うお、お前らぁ!?」

真梨香「よそ見すんなぁぁぁ!!」



真梨香の連撃に、レックレスは現在防戦一方。

そんなアームカバー越しに繰り出される真梨香の拳が、徐々に白熱化!



レックレス「わ、わ、っと、このぉぉ!」



それを武器で防ぎつつ、反撃に転じたレックレス!

しかし、彼の反撃も真梨香には読まれていて。



レックレス「?!」



真梨香は、その一撃をしゃがんで回避。

そのまま、



真梨香「エクセルネイバスター・ナックル!!!」



起ち上がる勢いを生かした即席技・必殺のエネルギーを込めた、右アッパー!!

さながら烈風を呼ぶかのごとき正拳突きが、レックレスに炸裂!



レックレス「うおおおおおお!?」



上空へ舞い上げられたレックレスは、そのまま落下して大地とごっつんこ。



レックレス「お、おのれ……やるじゃないか。だが、その余裕もここまでだ!」



レックレスは二匹のサメクジラを呼び出し、



レックレス「サメクジラアップ!」



というわけのわからないかけ声とともに、何と合体!



真梨香「!?」

理沙「怪獣と宇宙人が!」

瀬里亜「合体!?」

レックレス「おおおおりゃああああ!」



アーマーのようにサメクジラに引きを着込んだレックレスは、まるで左右でサメクジラを挟んだかのような出で立ちとなって3人を攻撃!

サメクジラの目、そして自分の目からの3本レーザーが、3人を包み込む!!

右に青サメクジラ、左に黄サメクジラ!

どちらもサメクジラなので、左右で性能が変わると言う事はないぞ!



真梨香「うわああああ?!」

理沙「きゃあああ?!」

瀬里亜「どおわああああ?!」



街の一区画が、炎に包まれる。

エクセルガールの姿は、見えない。



レックレス「うひゃはははははぁ!どうだ見たか、俺の最強の力!!」




唯「う、ウソ!?」

朱里「・・・!」

沙織「やられてしまった、の……!?」



非難が完了した人達も、それを息をのんで見守る。




朋子「・・・あ、見るっす!!」




だが。



レックレス「ははははは・・・は!?」



レックレスが、上を見上げると。



レックレス「・・・?!」



そこには。



理沙「それがあなたの全力?」

瀬里亜「なら、こっちだって!」

真梨香「全力でいかせてもらうわ!!!」



3つの声が、同じ場所から聞こえた。

それは、つまり。



唯「エクセル……レインボー!!!」



3人は炎の中でレインボークラウンを介して合体。

エクセルレインボーとなって、空に舞い上がっていた!!



レックレス「こ、このやろぉぉ!!」



レックレスは極太ビームを、空のレインボー目がけて無数に放つ。

だが、レインボーも!



瀬里亜「レインボーチャージ、ボルト!!!」



空を縦横無尽に飛びながら、胸から瀬里亜の技を強化した広範囲電撃を放ち、光線を次々相殺!

そのまま続けて、



理沙「レインボーショット!!」



牽制用の光弾を手裏剣のように無数に発射、レックレスをけん制!



レックレス「うお、うおおお?!」

真梨香「はああああああああ!!」



その光弾に気がそれたレックレス目がけ、レインボーは急接近!

それと同時に、回し蹴りを見舞う!



レックレス「ぐっ、まだまだぁ!」

真梨香「おりゃあああ!!」



レックレスが、武装した右腕をレインボーにぶつける。

しかしレインボーもそれをもろに受け、カウンターでレックレスの顔に拳を陥没させる!!



レックレス「ぐ、がは……?!」



同じ命中でも、威力が違えばその結果は歴然。

レックレスはレインボーの一撃を受け、そのまま倒れこんだ。



真梨香「一気に決める!」



それを見たレインボーは再び上空へ飛び、右手にエネルギーを込める!!



真梨香「レインボー、ネイバスタァァァァァァァァァ!!!」



虹色に輝く灼熱弾丸が、レックレスに炸裂!!



レックレス「うおおお、燃える、俺の体が燃えるううううううううう!?」



まるで、重油を浴びた後に引火して燃え尽きるかのごとく、レックレスとサメクジラに引きは燃え尽きていった。




唯「やった……。」

真梨香「・・・。」



レインボーは、ちょっと遠くでで歓声を上げる人達の中に、自分の母がいることを確認。

みんなも怪我はしているが無事を確認して。


変身を解除した。






・・・。

それからそれから。



瀬里亜「さーて、最後はリレーっすね。」

真梨香「クラブ対抗は無くなっても、クラス対抗はやる、ってね!」



あの後被害が少なかった学園の体育祭はちょっと遅れて続行。

最後のリレーのみを執り行うこととなった。

現在真梨香たち3人は、急ぎその学園へ戻っている最中である。




朱里「あ、いた!どこ行ってたの!」

真梨香「ご、ごめんなさい。」


沙織「心配したんだからね!?」

理沙「は、はい……。」


朋子「怪我とかしてない?大丈夫っすか?」

瀬里亜「う、うん、大丈夫だよ。」



帰ってきてから、いきなり怒られた。

でも、今回は。



真梨香「ありがとう、お母さん。」

朱里「え?」

理沙「お母さん達って、やっぱりすごいね。」

沙織「理沙?」

瀬里亜「あたしも。母ちゃんの事見直したっす。」

朋子「え?え?え?」



唯「真梨香ちゃん、理沙さん、もうすぐリレーが始まるよー!」

真梨香「っと。行かなきゃ!」

理沙「頑張ってくるね、お母さん!」



そう言って、真梨香と理沙はばつの悪そうな顔をしてグラウンドに戻って行く。



朱里「どうしたのかしら、あの子たち……。」

沙織「さ、さぁ……。」

朱里「ま、いっか。真梨香、しっかりねー!」

沙織「頑張れー、理沙ー!」



グラウンドに戻りつつも、その声にこたえるかのごとく。

理沙と真梨香はそれぞれ腕を上げて、サムズアップ。



朋子「わ、わ、せりちゃん、肩車とかやめてよー?」

瀬里亜「だって母ちゃん、こうしないと見えないじゃないっすかー。」

朋子「もー、子ども扱いしてー。」

瀬里亜「うふふ、これも母ちゃん孝行っすよーだ。」



瀬里亜も、ちょっとした親孝行?



・・・ってな感じで。

ちょっと慌ただしい一日だったが、自分たちの母のちょっとすごいところも見れた。

あんな母の娘だから、スーパーヒロインも勤まってるのかもしれない。

娘は強し。

されどまた、母も強し、だ。



『位置について。よーい、どん!』



おわり。

Comments

551

体育祭にも、怪獣と宇宙人に襲われた、マリカたちは、凄く大変ですね。