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・・・遥か彼方の宇宙、太陽系のはずれ。

そこに、封印されたはずの邪悪なエネルギーが蘇ろうとしていた。



『憎い……!!光が……憎い!!!!!』



そのエネルギーは、誰にも気づかれることはなく。

遥か彼方の地球へと、一直線に飛来していった。



・。

一方。

地球。

そんな地球の日本は今、夏まっさかり。

というか、夏休みももう終盤といったところ。

夏本番の、日本のはずれ・小笠原諸島満天町。

海岸沿いに存在する、小笠原諸島唯一の平和で静かな小さな町だ。

今は夏なので、リゾートにやってきた人や、地元の人々で小規模ながら。

海岸沿いはごった返していた。

・・・の、はずが。



ワルイン「そんなさわやかな空気なんか嫌いだぁ!いっけぇ、最悪獣サマーボード!!」



怪物が、珍しく人でごった返す海岸に出現!

そう。

この満天町には今、最悪獣という怪物が暴れまわっていたのだ。

今の地球は、支配帝国アクヤクザーという組織に狙われている。



ワルイン「夏の風物詩なんかくそくらえだぁぁぁ!やっちまえサマーボード!!」



アクヤクザー三幹部の一人・ワルインの指示で、最悪獣サマーボードが、人々でにぎわう海の家を破壊し始める。



ワルイン「はっはっは!どうだどうだ、夏の終わりも近いこんな日に、こんな海に来るのが悪いんだぁ!」



……しかし。

悪あるところに、正義あり。

この満天町にも今、ヒーローがいた!



『サイバーアアアアアアアアアアアアアップ!!!』



一瞬の閃光。

その直後!



光一「うおりゃあああああ!!」



その最悪獣目がけ、紅き巨人が姿を現した!

その巨人が、最悪獣を人々のいなくなった海のどてっぱらに投げ飛ばす。



サルトビ「そこまでだ!」

光一「やい最悪獣!みんなの海をぶっ壊そうなんざ、このサルトビたち地球警備隊が許さねぇ!!」



その巨人こそ、今地球を守るヒーロー。

地球警備隊・サルトビ。

それに乗っているのが、我らが主人公・猿山光一だった。



・・・。



―――光、あれ―――

平和な地球に、悪が舞い込んだ。

全宇宙制圧をもくろむ支配帝国アクヤクザーが、地球に悪の種をぶち込もうとしたのだ。


しかし、その野望を阻止せんとするものがいた。

その名は、地球警備隊・大胆正義ダイセイオー。

彼らは今日も、悪を倒すために戦い続ける。

これは、小笠原諸島を中心に起こった、大胆正義の、途中のお話である。




劇場版大胆正義ダイセイオー「大胆劇場!!未来へつなげ!命の虹」



ワルインは、そんなサルトビを見て苦虫を噛み潰したような顔をしていた。



ワルイン「毎度毎度かっこよく出てきやがって!今日こそお前らを倒してやる!やれ、最悪獣サマーボード!」



サマーボードが、命令に従い車輪を爆弾にしてサルトビに向けて発射!



光一「おっと!」



サルトビはやすやすとその車輪を避けるが。

その車輪の行く先には、海の家があった!



サルトビ「あ、バカ!!」

光一「しまった?!」



だが。

その車輪も、あとからやって来た弾丸によってさえぎられた。

その主は。



光一「おせぇぞお前ら!」

優奈「馬鹿、あんたが早すぎるのよ!」

涼牙「そうだそうだ!」



猿型ロボのサルトビの元に現れたのが、鳥ロボのタカスギと犬ロボのケンシン。

そしてその相棒の鳥島優奈と、犬吠埼涼牙。

共に光一の仲間だ。

だが、海の家には激突しなかったが。

弾丸には砂浜にぶつかった。



光一「でもサンキュー、助かったぜ!」

涼牙「さぁ。こんな傍迷惑な最悪獣、さっさとやっつけちゃおう!」

優奈「賛成!」



涼牙と優奈はジャスティスブレスを操作。

その中心部にあった宝珠・ダイクリスタルが、サルトビのコクピットにあったダイチェンジャーへと転送される。



光一「よし、行くぜ!」



そして光一もダイチェンジャーを転送。

するとダイチェンジャーは銃型のガンモードへ変形!

それを光一が、天に向かって撃つ!



光一・優奈・涼牙「「「大胆合体!!」」」



そして。

サルトビがボディ、タカスギが上半身、ケンシンが脚部にそれぞれ変形、そして合体!



ダイセイオー「大胆正義の王!ダイセイオオオオオオオオオオオ!!」



大胆に正義を貫く絶対の王・大正王が誕生だ!!



ワルイン「けっ、そんなこけおどしが毎度毎度通用するかぁ!」



ワルインの指示の下、サマーボードは自慢の突進力を生かして突撃!

だが。



ダイセイオー「おりゃぁっっ!!」



サマーボードは、ダイセイオーの鉄拳でカウンターを食らいあっけなく吹っ飛ばされる。

案外弱い。



ワルイン「お、おい、何してんだよ!?」



その弱さに、作り主のワルインもびっくり。



光一「とどめだ!ダイガード!!」



その隙にダイセイオーは、光一の指令によりケンシンの頭部が変形した盾・ダイガードを取り出す!



涼牙「ダイホールド!」



さらにシールドから重力波・スターフィールドが放たれ、サマーボードを拘束!



優奈「大正剣、スタンバイOK!」

光一「よし、大正剣!」



そしてダイセイオーは、背中から必殺剣・大正剣を取り出し。

最悪獣目がけて接近、上空へ飛び上がる!



光一「ジャスティスフィニイイイイイイイイイイイイイイッシュ!!」



直後。

最悪獣は上から真っ二つに切り裂かれ、大爆発後に消え去った!



ワルイン「あー!またダメだったか……!」



しかし。

ワルインは、何かとてつもない邪悪な波動に、身震いした。



ワルイン「な、なんだ、今の……?!」



その邪悪な波動は、地球めがけてまっすぐ来ていた。



光一「さぁて、いつものように!」



そんなことは知らないダイセイオー。

高らかに名乗りを上げ、いつもの様に光となろうとしたのだが。



ダイセイオー「……いや、まだだ!」

光一「え!?」



直後。

黒い光線が、ダイセイオーを直撃!



涼牙「うわあ!?」

優奈「な、何!?」



その主は。

巨大で、かつどす黒いオーラをまとって空から島へと降り立った。

主の名は。



ギマンティス「我は白骨祈祷師ギマンティス……。魔物国家ジャミーグの生き残りなり!!」



身長約2mの体に、巨大な斧。

体を包むようにくるまれた、赤黒いマント。

彼の名は、白骨祈祷師ギマンティス。

魔物国家ジャミーグの、生き残りだという。



涼牙「な、なんだって……!?」

優奈「魔物ですって?!」

ギマンティス「ほう。貴様が『今の地球』の守り主か。」

優奈「今の地球……?どういうこと!」

光一「相手が誰であろうと関係ねぇ!悪い奴はブッ飛ばすだけだ!!」



ダイセイオーは、再び大正剣を構える。

だが。



ギマンティス「ふん!!!」



ダイセイオーは。

わずか2mのギマンティスの手にある50m級の鎌の一振りの衝撃波だけで、海岸から海の中へと吹っ飛んでしまった。

まるで突風に神が巻き上げられるかのごとく、あっけなく。



涼牙「そ、そんな!あんな小さな奴に!」

優奈「たった一振りで……!?」

ギマンティス「貴様らは私の願いの障害となりそうだ……。今のうちに消すとするか。」



その鎌が、ダイセイオーの首へとあてられる。

直後!



健太郎「コンゴーショット!!」

真弓「ハクリューショット!!」



弾丸とミサイルが、突如ギマンティスに降り注ぐ!



真弓「光ちゃん!」

茜「光一さん!」

健太郎「大丈夫か!」



ダイセイオーの仲間・熊田健太郎、金崎茜、竜崎真弓。

そしてサポートロボ・緑色のパワーファイターダイコンゴーと、白銀のスピード戦士ダイハクリューが駆け付けたのだ!

しかし。



ギマンティス「仲間か……。」



ギマンティスは、その攻撃にもびくともしていなかった。



健太郎「あ、あいつ!?」

真弓「あたしたちの攻撃が……!」



ギマンティス「束で来られるとやっかいだ。貴様から先に始末させてもらおう。我が野望成就の後にな!」

ダイセイオー「野望だと……?!貴様の野望とはなんだ!」

ギマンティス「・・・いずれわかる。」



ギマンティスは、纏っていたマントを脱ぎ捨て、白骨標本のような自身の肉体をさらした。

そこには肉などない、文字通りの白骨体だった。



光一「!?」

ギマンティス「秘儀!時空裂斬!」



ギマンティスは、その巨大な鎌を使い、空間に裂け目を作る!!



涼牙「そんな!空間に亀裂を入れるなんて!」

ギマンティス「今度会うときは、貴様らの死ぬ時だ。」



ギマンティスはそれだけ言い、再び黒いマントをまとってから、裂け目の中に消えた。



光一「ダイセイオー、まだ動けるか!」

ダイセイオー「あ、ああ。だが、どうするつもりだ!」

光一「俺たちも、あの中に突っ込む!」

優奈「無茶よ!あれは空間の裂け目……どこに飛ばされるかわからないのよ!?」

光一「でも、アイツを止めねぇと地球がヤバそうだ。」

涼牙「……そうだね。光一の意見ももっともだ。」

優奈「・・・!」



優奈もわかっていた。

あの敵は、何かをたくらんでいる。

それを野放しにするわけには……。



優奈「わかったわ、ついてくわよ!」

光一「よし!!」



ダイセイオーは、その裂け目の中に入って行った。



茜「こ、光一さん!!?」

真弓「みんな!?」



慌ててダイコンゴーたちも入ろうとするが、裂け目は消えてしまった。



ダイコンゴー「い、今のは……?!」

ダイハクリュー「なんだったんでしょう……。」

健太郎「とにかく、オッサンに相談しよう!」


ダイコンゴーとダイハクリューは、やむなくサイバーアップを解除。

健太郎、茜、真弓の3人だけが、島の海岸に残されていた。


・。



光一「どおおおおおわあああああああああああああああああ!!?」



一方。

次元の裂け目に突っ込んだ光一は。

どこかの町へと、たどり着いた。



光一「あ、あいでで……。」

サルトビ『大丈夫か光一?!』

光一「あ、ああ、大丈夫。しかし空の上から落っこちるとは思わなかった。」



ブレスを使う光一だったが、作動しない。

落下のショックなのだろうか。

しかも、サルトビのダイキャストもどっかへ吹っ飛んでしまっている。

最悪の状況だ。



サルトビ『とにかく、涼牙と優奈を探そう。裂け目に入った途端、合体も解除されてしまったからな。』

光一「とりあえず、この近くに落っこちたのは間違いないんだがなぁ。」



とりあえず光一は、あたりを見渡す。

そこは、とある町のど真ん中だが。



光一「満天町、じゃあ、なさそうだな……。」

サルトビ『ああ。』



完全に、光一の住んでいる満天町とは違う場所のようだ。



光一「・・・あ。」



その町の電柱に、住所が書かれていた。

それを除き着こむと。



光一「東、雲……町!?」



東雲町。

「あの」、東雲町だ。



光一「東雲町って、確か……!」



何かを思い出そうとした光一だったが。

直後。

光一の周りに、いつの間にか謎の等身大の怪物が出現した。



光一「な、なんだ?!最悪獣か??!」

サルトビ『いや、違う。だが、邪悪なエネルギーには変わりはない!!』

光一「じゃ、じゃあ、戦うしかないってことか?!」



そんなことを言っていると。

その怪物たちはそんな光一の挙動を無視し、武器を持って光一に襲い掛かる!

まさか、冗談だろ、なんて思いつつも光一はその怪物の攻撃を避ける。

だが。その武器が本物であるかのごとく、光一が避けたのちのコンクリートの塀に風穴があいていた。



光一「う、うそ……。」



しかも。

その怪物の先に。

サルトビのダイキャストを発見した。

何とか撮りに行こうとしたいが、魔物に囲まれていて移動は困難そうだった。

冷や汗を垂らしながら、光一は己の不幸を呪った。



光一「うわ、待って、ちょっと待って!?」



何とかタイムの要請を行う光一。

なお、この至近距離で数は6。

サイバーアップする前にやられそう。

その時!



『うおりゃあああ!!』



光一の背後から一人の少年が駆け付け、その怪物の顔面にパンチを見舞った!

光一は、突然の乱入者と怪物のケンカにビックラ仰天。

その場にポカーンと立ち尽くしていた。



「今のうちだ、逃げろ!」



そして逃げろと言われる。

その言葉に、ようやく光一は我に返った。



光一「へ!?」



我には返ったが、目の前で繰り広げられるのは6体の怪物と、紅いジャケットを着た少年のケンカ。

その唐突すぎる状況に光一はあっけにとられるばかり。



「こら勇気!」



しかもその後、一人の少女もやってきてケンカに加わったではないか。

その光景に、光一はますます訳が分からない、といった顔で突っ立っていた。



勇気「お、陽葵、ちょうどいいところへ!」

陽葵「ちょうどいいじゃなくて、あんたが先に突っ走りすぎなの!あ、大丈夫?」

光一「あ、はい。」



心配してくれたのか憐みか、光一に声をかけたその少女は、胸がでかかった。

もとい。

勇気と呼ばれた少年は、なおもあの怪物と戦っていた。



光一「あの、あれって……。」

陽葵「あれは使い魔よ。ジャミーグの雑魚兵士。」

光一「な、ジャミーグだと!?」



直後。

1m級の使い魔とは別に。

15m級の大型使い魔が出現した。



光一「で、でけぇ奴もいるのか!!?」

陽葵「それでも使い魔は使い魔。とにかくあなたは逃げて。ここは危険よ。」

光一「あ、はい。」



とりあえず、その場から逃げて。

近くの物陰に隠れる光一。



勇気「さっきの奴は?」

陽葵「避難完了。オッケーよ。」

勇気「うし、ちゃっちゃと終らせるか!」

陽葵「ええ!」



二人は、右手についていた不思議なブレスを操作した。



勇気「こぉい、ゴッドガイザー!!!」

陽葵「来て、ゴッドグレン!!」



直後。

勇気の右手からは鳳凰、陽葵の右手からは獅子のあざが出現、それを天にかざすと!

二人の元へ、真紅の巨人が姿を現した!

そう。

知ってる人は知っている、超魔弾戦士ゴッドグレンと、同じく超魔弾戦士ゴッドガイザーだ!!



光一「な、なんだあれ!?」



そして。

勇気と陽葵をそれぞれ体に取り込んで一体化したゴッドガイザーとゴッドグレンが、自慢の武器で使い魔を一気に薙ぎ払う!!



光一「す、すっげぇ……。よし、俺も!」

サルトビ『待て、相棒。』

光一「え?」

サルトビ『ここは俺たちの住む町じゃない。もう少し様子を見よう。』



光一はその姿を、茫然と見ているしかなかった。

まさに、あっけにとられていたのだ。



ゴッドガイザー『行くぞ勇気!』

勇気「おっしゃ!ゴッドガイザーブレイド!!」



そんな光一をしり目に。

ゴッドガイザーは自慢の愛剣を腰から取り出し、流れるような剣技で。



ゴッドグレン『陽葵、こちらも。』

陽葵「ええ!」



ゴッドグレンも、両肩に装備された2門一対のキャノン砲で。

次々と使い魔を撃ち落としていった。

……しかし。



ゴッドガイザー『な、なんだ!?』

ゴッドグレン『危険!強力なエネルギーが接近中!』



そんな二体の前に。

謎の光弾が迫る!



勇気「なんだ!?」



ギリギリのところでそれをかわすゴッドガイザーとゴッドグレン。

すると。


ギマンティス「これが現代の魔弾戦士か……。」

光一「あいつは!!」



空間の裂け目から、あのギマンティスがあらわれた。



勇気「だ、誰だお前!ジャミーグの新幹部か?!」

ギマンティス「わが名は白骨祈祷師ギマンティス。新幹部というよりは、古参幹部と言ってもらおう。」

陽葵「……古参幹部ですって?」

ギマンティス「せっかくだ、現代の魔弾戦士よ。相手をしてもらおう!」



ギマンティスが、先ほどと同じように体に羽織っていた黒いローブを脱ぎ捨てた!



ゴッドガイザー『気を付けろ勇気。奴は手強いぞ!』

勇気「ああ、わかってるよゴッドガイザー!」



急接近したギマンティスの鎌が迫るが、勇気はそれをゴッドガイザーブレイドで防ぐ!

その力は互角か、つばぜり合いが続く。



勇気「ぐ、ぐぬぬ……?!」

ギマンティス「貴様、剣の心得があるようだな……。」

勇気「ま、まぁな……。」

陽葵「勇気!」



そのギマンティス目がけ、ゴッドグレンキャノンを発射するゴッドグレンだが。

その弾丸よりも早く、ギマンティスは避けた!



陽葵「あっ!?」



そして、ゴッドグレンに迫る鎌!



光一「危ない!おいサルトビ!」

サルトビ『ああ。ギマンティスがいるなら話は別だ!行くぞ相棒!』

光一「言わずもがなだ!」



光一は、物陰から飛び出し、戦場のど真ん中に放置されていたサルトビのダイキャストを回収。

さらにダイキャストとダイクリスタルを合体させ、サルトビを本当の姿に変身させる!

サイバーアップしたサルトビが、その鎌を受け止めた!



ギマンティス「き、貴様!」

陽葵「な、なに、このロボット!?」

光一「大丈夫っすか?!」



サルトビは何とかして、ギマンティスの鎌を受け取める。



陽葵「あなた、一体……?!」

光一「さっき助けてくれた礼です。」

陽葵「え……?!」


その鎌を受け止めつつ、光一は礼を伝えた。

そんなサルトビを見て、ギマンティスは続ける。


ギマンティス「貴様もこの世界に来ていたのか!55年前の地球に!!」

光一「……55年前?!」



いい加減にしろと言わんばかりに、ギマンティスはサルトビをはねのける。

吹っ飛ばされたサルトビは、町の家屋に突撃!



涼牙「―――うおおおお!」



……する前に。

間一髪駆けつけたケンシンが、サルトビを受け止めた!



光一「さ、サンキュー涼牙、助かったぜ。」

優奈「よかった、無事みたいね。」



そんな受け止められたサルトビの前に、タカスギも駆けつけた。



ギマンティス「くっ、さすがにこの物量では私に分が悪いか……。いや、待てよ……。」



ギマンティスは、何かを閃いたようで。

いったん引き上げていった。



・・・。

それから。


勇気「えっと、お前ら……。」


ガイザー達をしまった勇気たちと、



光一「え、えーっと……。」



サルトビたちをしまった光一たち。

ちょっと流れる不穏な空気。

だが。



陽葵「あなた、怪我してるわよ?」

光一「え?」



光一は、おでこをすりむいていた。

落下したときの怪我だろう。



陽葵「とにかくその怪我は手当てした方がいいわ。詳しい話はそこで聞きましょう。」

勇気「ま、しゃーないか。ついてきな。」



勇気は、口ではそう言いつつも。

笑顔で光一たちを案内し始めた。

光一たちも、さすがに困惑しながら足を進めることにした。



・・・。

それからそれから。

勇気と陽葵に連れられて。

光一たちは、あけぼの学園保健室兼HUJIYAMA基地医務室へと連れてこられた。



光一「な、なんか、スッゴイ所だな……。」

涼牙「うん……。」

優奈「それに……。」



設備や外観だけではない。

光一を手当てしてくれている人が、とてつもなく美人でとてつもない爆乳の持ち主だからである。

彼女の名はもちろん、天地涼子。

勇気の母親だ。



涼子「はい、おしまい。」

光一「あ、どうもっす。」

涼子「ふふ、なんだか勇気が二人になったみたいね。」

勇気「そういうのはいいから。」

涼子「しかし……、驚いたわね。こんなものがこの世界に存在してるなんて。」



涼子は、ダイキャストをもの珍しそうに見ていた。



光一「俺たちはこっちの方がビックリっスよ。」

涼牙「ホントホント。」



そんなことを言いつつ。

光一たちは、格納庫に鎮座する6体の魔弾戦士にびっくりしていた。

ちなみに冬賀たちは、今勅使河原と共に都市安全保安局へと帰省中だった。



勇気「けど、お互い意志を持ったロボット、って所に変わりはないんだな。」

光一「そうみたいっすね。」

サルトビ『ガイザーたちの場合は、魔法で生まれた存在か。』

ガイザー『サルトビたちは、ある種の機械生命体なのだな。』

陽葵「でも、55年後の君たちが、どうしてこの世界へ?」

優奈「で、でかい・・・!ほとんど同い年なのに・・・!!」



陽葵と優奈の胸のサイズ。

月と鼈。

まるで平野と山脈である。



光一「それなんだけど……。」



光一は、ギマンティスのことを話した。

そして、自分たちが55年後の世界からやってきたことも。



涼子「聞いた事があるわ。遥かな昔、ガイザーたちが一度大邪神を封印したとき。その戦いから離れ、宇宙の彼方へ放逐されたジャミーグの破片がいたことを。」

勇気「それが、数千年の時を経て、55年後にやってきたっつーのか?なんともはや非科学的な話だな。」

涼牙「う、うそじゃあないですよ?」

勇気「わかってるって。」



いぶかしげだった勇気の顔が、一瞬にして笑顔に戻る。



勇気「俺だって一年前にタイムスリップしたことあるし。タイムスリップそのものを否定する気はないぜ。」

グレン『そうだな。』



勇気とグレンは、そんなことを言い合っていた。



勇気「お前たちがここに落っこちてきたのも、この町のご利益かもな。」

光一「ご利益?」

涼子「ここは不思議なことが起こる町。何が起こっても、不思議じゃないのよ。」

光一「は、はぁ……。」



涼子の言葉に、光一たちは出されたお茶をすするしかなかった。



・・・。

そのころ。

地球の裏側、昔懐かしきジャミーグ城に。

ギマンティスが、やってきた。



ドクター「おお、ギマンティス!ギマンティスではないか!!」

ギマンティス「お久しぶりですドクターウォール。」



ジャミーグの神官・ドクターウォールとギマンティスが、感動の再会をしていた。



ドクター「わがジャミーグの白骨祈祷師……。お前が来てくれれば百人力だ!!」

ギマンティス「恐縮です……。」



ギマンティスは、ドクターに向けて深くお辞儀をした。



ドクター「しかし、お前とともに降ってきたあ奴らは……。」

ギマンティス「55年前から連れてきてしまったものです。すぐに始末するゆえ、しばしお待ちを。そして、大邪神様への手向けとしましょう……。」

ドクター「そうか、お前はそんな未来から……!」



ギマンティス「……ですが。」



ギマンティスは、自慢の鎌を取り出し。

ジャミーグ城を、謎の空間で覆った。



ドクター「な、なんだ?!」

ギマンティス「あなた方の介入は面倒なので、そこでおとなしくしていてkづ浅い。ああ、使い魔は借りていきますよ。」

ドクター「な、貴様、何を!!?」

ギマンティス「私の野望は、世界の掌握なので……。私が次元のはざまへと幽閉された理由、お忘れですか?」

ドクター「き、貴様……!!!」

ギマンティス「それでは。私が世界を支配する日を、お楽しみに。」



それだけ言って。

ギマンティスは、地上へと戻って行った。

ドクターやジャミーグの幹部たちは、そのフィールドから抜け出すことはできなかった。



ドクター「あ奴……命知らずが!!!」



・。

一方、東雲町。

勇気たちと光一たちが、町を散歩していた。



勇気「よーし、とにかくそのギマンティスってやつをとっ捕まえて、お前らを元の時代に戻してやる!」

光一「でもあいつ、この時代でやることがあるって言ってたな……。」

陽葵「それはおそらく、大邪神の復活ね。」

優奈「大邪神?」

勇気「大邪神ゴーストベイガー。俺たちが倒すべき相手だ。」

涼牙「そんなに強いんですか?」

勇気「一度見たことはあるが、まだ直に戦ったことはない。でも、たぶん強いんだろうな。」



そんなことを、あっさりと言ってのける勇気。



涼牙「なのに、なんでそんなに悠然としてられるんですか?」

勇気「だって俺、みんなを守るヒーローだもん。」

光一「ヒーロー……。」

勇気「俺たちが戦える間は、必死で戦う。それだけさ。」



漂う戦士としての先輩の風格。

頼もしすぎる。



光一「・・・。」



・。

一方。

55年後の現代。

つまり、光一たちの時代。

そこで地球警備隊後見人でもあるさざなみ学園校長・磯部山繁夫が、その時空の裂け目を分析していた。



磯部山「……ふむ。不思議なこともあるもnだ。光一君たちは完全に過去の世界へ飛んだようだ。この時間軸上にはいない。」

健太郎「じゃあ、帰ってこれないのか?」

磯部山「わしを誰だと思っておる!現代の天才科学者、磯部山繁男をなめるなぁ!!」



磯部山はそんなことを言いつつ、すぐに作業に取り掛かった。



茜「光一さんたち、大丈夫でしょうか……。」

真弓「大丈夫。サルトビたちもいるし、きっと、大丈夫よ……。」



残された3人は、拳を握りしめていた。


・・・。

55年前、東雲町。

あけぼの学園の2人とさざなみ学園の3人は、情報収集と気分転換を兼ね、町へと繰り出していた。



光一「じゃあ勇気さんたちは、生徒会をやりつつ毎日魔物と闘ってるんですか。」

勇気「ま、そうなるな。」

優奈「……大変じゃありません?」

陽葵「そうでもないわよ。慣れちゃえばそんなに苦ではないもの。それに、コイツが最大の問題児だから、それ以外なんてかわいいものよ。」

優奈「すごい・・・。尊敬に値します!」


優奈は、陽葵の手腕と考え方に賛同していた。

何せ彼女は一桁しかいないあの学園をまとめるのでも辟易しているのに。

陽葵は、それの数百倍もある生徒数の学校を束ねる生徒会長だからだ。

そして、陽葵の発言。


「慣れちゃえば」。


そんなことを言えるくらい相当の激務だということは、勇気の目を見ればわかる。

彼の目は、

「俺はまだ慣れてないぞ、勘違いしないでくれ」

と言っていた。

それを見た光一と涼牙は、深いため息でその言葉を返した。



光一「それにしても。」



光一は勇気の気持ちを察してか知らずか、こっちはこっちでと勇気に話を振った。



勇気「ん?」

涼牙「さっきの、ガイザーでの戦いっぷり、すごかったですね。」

勇気「あ?ああ、いや、そんなこと言われると照れちゃうぜ。」



後輩から素直に褒められたので、珍しく勇気が照れていた。



光一「あの剣の動き、あれはいったいどこの剣っすか?」

勇気「あれは東雲鳳凰流剣術。今は、俺だけの剣だ。」

光一「自分だけの、剣?」

勇気「ああ。俺の家は昔から剣の一族でな。親父はそうでもなかったけど、その反動からかじいちゃんは俺と姉さんに剣を叩き込んだんだ。」

涼牙「代々受け継がれている剣、ってことですか?」

陽葵「そういうことになるわね。」



勇気への質問を、陽葵が答える。

まるで自分の事のように。



勇気「一応200年くらいは続いてるのかな?魔を叩く剣として。」

優奈「200年・・・?!」

陽葵「でも、勇気がその腕を持っているからこそ、ガイザーに選ばれたんだものね。」

勇気「ああ。」

光一「ガイザーが、勇気先輩を選んだ?」

ガイザー『そうだ。俺は、勇気の剣の腕、そして正義の心を感じ取って、相棒になることを選んだのだ。』

光一「仲間との、絆か……。」



なし崩し的に選ばれた光一とは、なんだか違う関係性という光一は、ちょっと勇気たちが羨ましかった。


勇気「あ、そうだ。55年後の地球、というか。お前らの町って、どんなところなんだ?」

光一「え?えーっと……。」

ギマンティス「おこんにちはぁ!」



そんな時。

5人の前に、ギマンティスが!



勇気「ぎ、ギマンティス!」

ギマンティス「おやおや皆さんお揃いで。」

光一「何の用だお前!?」

ギマンティス「ちょっと野暮用でございます。そこの二人!頂かせてもらおう!!」



と言いつつ指をさしたそこの二人、とは。

陽葵と優奈の事であった。

ギマンティスは二人に目を定め、突撃!

しかも、さっきよりも大きくなり、15m位に大きくなっていた。



勇気「させるか!!」

光一「させねえ!!」



その発言に、二人の言葉が重なった。

だが。


ギマンティス「邪魔をするな!!」


鎌からの強烈な衝撃波によって、男子陣は吹っ飛ばされた。



ギマンティス「さぁ、来ていただこう。」

陽葵「は、離して?!」

優奈「あたし達を捕まえてどうする気よ!?」

ギマンティス「大邪神様への、いけにえだ。」

優奈「……いけにえ!?」

ギマンティス「正義の心を邪に変えて、貴様らのエネルギーを大邪神様に捧げるのさ!」



ギマンティスは二人を抱え、空へ飛び上がった。



光一「ま、まてぇ!!」



その発言と共に、ギマンティスは大量の15m級の使い魔を町に放つ!



光一「くそっ!」



追いかけようとする光一を、勇気が止めた。



涼牙「先輩!」

勇気「待て!今は目の前の奴らを倒すっきゃない!!」

光一「けど!」

サルトビ『光一、これは勇気の言う通りだ。お前はこの使い魔を野放しにできるのか?!』

光一「くっ……!」



光一はしぶしぶ。

ダイキャストを取り出そうとした。

すると。



ゴッドガイザー『勇気。』

勇気「ん、どした?」

ゴッドガイザー『何か、来るぞ!』

勇気「何か?!」



直後。

勇気たちの目の前の空間が裂けた!



涼牙「こ、これは!?」

健太郎「・・・うおりゃあああああ!!」



その裂け目の中から、なんとダイコンゴーとダイハクリューが出現!



真弓「光ちゃん、大丈夫!?」

光一「み、みんな!!?」

茜「磯部山先生の努力の結晶によって、やってきたです!」



その着地だけで、何体かの使い魔が吹っ飛んだ。



勇気「うお、なんだ、お前らの仲間か!?」

涼牙「はい!」

健太郎「なんだかわかんねぇけど、あいつらを倒せばいいんだな!」

涼牙「みんな、ここはお願い!僕たちはちょっと……!」

茜「わかったです!よくわからないけど、困ったときはお互い様です!」



驚く使い魔だったが、ひるまず2体に襲い掛かる!



健太郎「どっせぇい!」

真弓「そぉれぇ!」



その襲い掛かった使い魔が、それぞれの拳によって陥没した。



勇気「願ったりかなったりだ!今のうちに追いかけるぞ!」

光一「は、はい!」



光一と涼牙は走ろうとするが。

それをしり目に、勇気は右手を天に上げた。



勇気「いくぞ、ゴッドガイザー!」



勇気が右手から瞬時にゴッドガイザーを召還。

どこでも瞬時に召喚できる利点は、デカい。



勇気「ゴッドバード、チェンジ!!」



そして召喚されたゴッドガイザーが、ゴッドバードへ変形!!

勇気、なんだかものすごく手馴れている。



勇気「乗れ!!」



言われるがまま、ゴッドバードの嘴に乗った光一と涼牙だが。


光一(変形できるんだ……。)

涼牙(変形できたんだ……。)


そう思ったのは秘密である。

そんなゴッドバードが、空へと飛んだ。



・・・そして、上空。

ギマンティスに連れ去られた優奈は、その手の中で暴れていた。



優奈「離せ!話しなさいってば!」

陽葵「・・・静かに。」

優奈「・・・え?」

陽葵「大丈夫、何とかなるわ。」

優奈「陽葵先輩……?」



暴れる優奈を、陽葵が止めた。



ギマンティス「……む?」

勇気「待て待てぇっ!!」



そんな会話をヒロイン二人がしていた時。

空を飛ぶギマンティスの前に、ゴッドバードが追いついた!



優奈「あれは……タカスギ、じゃない?!」

陽葵「ゴッドバード!勇気だわ!」

優奈「え、ガイザーって、変形できたの?!」



3人とも同じ感想持ち。

なんだか物悲しい。


勇気「二人を返せぇ!」


ゴッドバードは翼の基部からゴッドレーザーを発射し、ギマンティスをけん制する。


ギマンティス「ええい邪魔なやつ!」



ギマンティスは片腕から何度も衝撃波を発生させ、ゴッドバードを撃ち落とそうとする!



勇気「ぐおっ……!?」

光一「うわ、揺れる揺れる!?」

勇気「少しの間我慢しろ!もともと一人乗りなんだから!」

涼牙「そ、そんなぁ!?」

ギマンティス「しぶとい奴だ……!こうなったら!」



ギマンティスはなんと、手から邪因子を取り出した!!

そして!



ギマンティス「出でよ、最悪獣!!」



自身の骨から作り出した最悪獣が、ギマンティスの魔力エネルギーを受けて不気味な姿へと変貌してゆく!



光一「なっ、最悪獣だと!?」

涼牙「あいつ、最悪獣まで使役できるのか!」

ギマンティス「魔物最悪獣ゲルワーム!奴らを足止めしろ!!」



骨と呼ぶにはドロドロしたボディとなった最悪獣ゲルワームが、ゴッドバードの周りをゲルで包む!



勇気「うおっと!お前ら、ちょっと揺れるぞ!?」

光一「え!?」



ゴッドバードはバランスを崩し、ゴッドガイザーへと変形して地面に着地した。

そして。

そのゲルが解けた後には、ゲルワームも、ギマンティスも。

その姿は、どこにもなかった。



勇気「……しまった!」



・。

ところ戻って、戦場。



健太郎「これじゃあキリがねぇ!」

真弓「まったくね!」



そこではダイコンゴーとダイハクリューが、うじゃうじゃ出てくる使い魔に辟易していた。



茜「それに、なんだか変な感じです。」

健太郎「今までのアクヤクザー関連とは、なんか感じが違うからなぁ。」



そして気が付けば、2体は慣れない空間と慣れない相手との戦いで。

使い魔たちに包囲されていた。

その中心には、使い魔が強化されたツカイマスターが立ちはだかった。



真弓「万事休すね……!」

健太郎「ちっ、ちょっと相手が悪いか……!」



・・・しかし。



「シノビチェーン!」

「ツインドリラー!!」


その一軍に、風穴と。


「シザースナックル!」

「ソウドチェーン!!」


切り傷が刻まれ、あっという間に使い魔は倒れていった。

その主は!



冬賀「シノビラー!!」

小鳥「リルド!!」

春斗「キャンサー!!」

麗夏「ソウド!!」

「「「「ライジン!!」」」」



シノビラー・鳴神冬賀。

リルド・秋姫小鳥。

キャンサー・波佐見春斗。

ソウド・白波麗夏。

出張中だったHUJIYAMAの仲間たちが、駆け付けたのだ!



冬賀「なんだ?見たことのないロボだな……。」

小鳥「でも今は、魔物をやっつけることが最優先っすよ!」

冬賀「・・・賛成だ!」



リルドが両手のドリル、シノビラーがチェーンの乱舞で華麗に使い魔たちをぶっ潰してゆく。

どちらも、見るからに痛そう。



麗夏「まったく。夏休み位有給取ってこいってんだ。」

春斗「ホントだよ。」



そうごちりはするが。

やることはやるのか、ソウドとキャンサーもチェーンソーとシザースで使い魔をばっさばっさと切り倒してゆく。



健太郎「・・・。」

茜「敵ながら、スリリングですスプリングですシュリンクです。」

健太郎「確かに、切り刻まれてまとめられてるな……。」

真弓「なんつーか。えげつない、って単語がよく似合うわね……。」



そのばっさばっさと気持ちいいくらいに切り刻まれる敵を見て、さすがに初めてその光景を見た警備隊メンバーも唖然としていた。

だが。



真弓「・・・私達も行くわよ!数がいなきゃこんな奴ら!」

健太郎「お、おう!!」



ダイコンゴーがクマコンゴーへ、

ダイハクリューがリュウタロウへ再変形!



冬賀「変形……?」



そして口からお互い光線を吐き、ツカイマスターに攻撃を加える。

ツカイマスターはその光線をシールドで防ぐも。



健太郎「おりゃあああ!!」

真弓「どりゃああああ!!」



ダイコンゴーとダイハクリューへまたまた変形した2体が、ツカイマスターの顔面にそれぞれパンチ!

2体のダブルパンチによって顔面が陥没したツカイマスターは、沈黙してそのまま後ろに崩れ去った。



春斗「お前らの方がえげつねぇ倒し方してるよ……。」



春斗のつぶやきは、誰の声にも聞こえてはいなかった。



・。

それから。

再びHUJIYMA指令室。

冬賀たち帰省組と、健太郎たち来日組、そして勇気と光一、涼牙が一堂に会した。



冬賀「なぁるほど。」

春斗「55年後の未来からやってきたお前たちとギマンティスが、陽葵とお前らの仲間をさらったってことか。」

健太郎「ものスっごく簡単に言えば、そんなとこっす。」



あっさりと自己紹介を済ませたのちに、それぞれの状況説明。



小鳥「でもすごいっすね!55年後って言ったら、あたしらもうおばあさんっスよ!」

茜「55年前の先輩たちに会えるなんて、こっちこそすごいっす!」



今の一言ずつの会話を見て。残りのメンバーは思った。

天然にピュアはかみ合わない。



冬賀「でも、そのギマンティスの目的ってなんなんだ?」

涼牙「本人が言うには、大邪神復活のためのエネルギーがほしい、と言っていたんですけど……。」

麗夏「この世界の魔物たちは、あくまでも大邪神復活が最大目標だ。あながち間違ってはいなのだろう。」

真弓「でも、相手は魔物でしょ?何か裏があるかも……。」

涼子「こんな時に、奈々ちゃんと司令官がいないとはね……。」



勅使河原司令官は、会議により未だ都市安全保安局にいなければならないらしい。

オペレーター兼分析係でもある奈々も今は、実家に帰省中である。

なので一応涼子さんが、司令官代理。



光一「そんなことは関係ねぇ!みんななんでそんな落ち着いてるのさ!とにかく、優奈たちを助け出さねぇと!!」



光一は、いてもたってもいられず。

指令室を飛び出そうとしていた。



真弓「あ、待ちなさ……。」

勇気「ちょい待ち。」



だが。

その光一の肩を真弓よりも早く、勇気が止めた。



光一「せ、センパイ。」

勇気「ここは耐えろ。もう少し待て。」

光一「ま、待てって言われても……!」



そんな時間ねぇだろ、と言いたげな光一の表情。

しかし。



勇気「一昔前の俺だったら、きっとお前と同じことを考えてた。」

光一「え?」

勇気「・・・だがな。陽葵があんな簡単に連れ去られただけだと思ったら、大間違いだぜ?」

光一「……え?」



直後。

勇気のブレスに、陽葵からの通信が入った。

その通信は、すぐにモニターの地図へと表示される。



勇気「東雲自動車工場予定地……。町のはずれのはずれじゃねぇか。」

涼子「あの広い工場の中なら、人二人を捕まえておくのも無理ないわね。」

春斗「そうか。アイツ……、こうなるとわかっててあえて捕まったな。」

冬賀「相変わらず朝比奈と勇気のコンビは、誰にも勝てないな。」



そそくさと出撃の準備を整えるHUJIYAMAの面々。

しかし。



光一「え、えっと……?」



何が起きているのか、いまいちわからない地球警備隊の面々。



小鳥「ああごめんね。みんなはわからないよね?!」

麗夏「陽葵先輩は、あえてあの時捕まったんだ。」

涼牙「……あえて?」

麗夏「事の顛末と、奴の隠れ家を探し当てるためにな。」

茜「そ、そんなこと……。危険だし、怖くないです?」

小鳥「陽葵先輩はあたし達の中で一番長く戦ってる人だし、なにしろ勇気兄貴をとてつもなく信頼してるっすからねぇ。」

真弓「そんなに信頼し合ってるの?」

麗夏「恋人同士だからな。15年来の。」

健太郎「へ!?15年!?」



じゃあほとんど生まれた時からじゃないか、というツッコミに。

母である涼子はうなずいた。



茜「じゃあ勇気さんとその陽葵さんって、幼なじみで恋人同士なんですか?!」

勇気「ま、まぁ、そんなところ。」

冬賀「いろいろあって10年間は遠距離恋愛だったがな。」

春斗「おかげでこいつらはありえないくらいのバカップルってわけだ。」

勇気「う、うるせえ!」


勇気、顔真っ赤。


真弓「うわー、なんかいいわねそういうの。」

茜「あこがれちゃうです!」

光一「な、なんか、すっげぇ……。」

勇気「さぁ、ついて来い。俺たちが先に行って、中を確かめようぜ!」

光一「あ、はい!」



そう言われ、首根っこをひっつかまれたままの光一は、勇気に引っ張られていった。



・・・。

東雲自動車工場建設予定地。

そこは、昔の大きな廃工場を建て替えるために、今は建物が概観としてあるだけで、仲はがらんどうといった空間だった。

そこへ、優奈と陽葵は連れ込まれていた。



優奈「女の人が、他にも……!」

陽葵「なるほど。昨日から発生していた行方不明事件は、あんたの仕業ってわけね。」

ギマンティス「そこまですぐに納得するとは、さすがは忌々しい魔弾戦士だ。」



ギマンティスがやってきた。

さっきよりも大きく、20m級に巨大化して。



優奈「時間軸すら利用して、使い魔にやらせたってこと……?」

陽葵「それで。私たちをどうするつもり?」

ギマンティス「君たち女性と呼ばれる性別の人間には、特有のエネルギーを持っている。」

優奈「な、なによそれ。」

ギマンティス「種を保存し、育てる力、というべきか。」

陽葵「それを使って、あんたは大邪神という種を残すつもりなのね?」

ギマンティス「そういうこと。さぁ、残りの女と共に、あの装置へ入ってもらおう。」



その装置とは。

不気味で巨大な、カプセルだった。



優奈「ちょ、あそこに入れる気!?」

陽葵「そうはさせないわ!」



二人はそれぞれ、相棒を召還しようとするが。



ギマンティス「そうはいかないんでさぁ!」



ゴッドガイザーがやられたように。

ゲルワームの、ゲル空間に二人のブレスは吸い込まれ、外へと放り投げられてしまった。

そして。



陽葵「しまった?!」

優奈「きゃ、いやああああ!!?」



二人は。

残りの女性ともども、謎の機械の中へと放り入れられた。



・・・。


勇気「反応が動いた?!」



その工場近くへやってきた勇気たちと光一たち。

だが、直前になってその反応が変わったことを受けて。

勇気と光一は、まずその反応の方へ行くことにした。

すると、その道ばたには。



勇気「陽葵のブレス!」

光一「優奈のブレスと、タカスギのキャストだ……!」



光一は、タカスギのクリスタルを自分のブレスに装填。



タカスギ『あ、光一!』

光一「タカスギ、何があったんだ!」

タカスギ『大変なの!優奈と陽葵さんが、ギマンティスのせいで!』


勇気も、陽葵のブレスを拾う。

それと同時に、ゴッドグレンが話しかける。


勇気「どういうことだ?」

ゴッドグレン『奴は東雲町から女性を大量に誘拐していた。その女性のエネルギーを利用して、大邪神復活を……。いや、おそらくは。』

勇気「……?」

ゴッドガイザー『なるほど。奴の真意が読めたぞ。』

勇気「え?」

光一「なんだって?」

ゴッドガイザー『最初に光一が奴と闘ったとき。最初の奴は相棒たちと同じサイズだった。だが、俺たちと闘ったときには10m級、先ほどは15m級、そして今では20m級。』

勇気「……まさか。」

サルトビ『なるほど。大邪神復活は大義名分。本来の目的は……!』

勇気「女性たちのエネルギーと、最悪獣の力を得て……自分が大邪神になり替わる……!!」

光一「なんだって!!?」




・・・ギマンティスが作った謎の機械。

それが、怪しくうごめき始める。



優奈「だ、ダメだわ!壊れない!」

陽葵「あんた、まさか!」

ギマンティス「そうさ。大邪神を賦活させるまでもない。このギマンティス様が、大邪神よりも強くなり、この世界を魔物国家にしてやるのさ!!なんてったって、あの大邪神を作ったのは、俺の先祖なんだからなぁ!!それを知っているからこそ、アイツは俺を宇宙の彼方に放逐したんだ!!ついに……ついにその復讐が果たせるぜぇ!!ひゃーっひゃっひゃっひゃ!!!!」



先ほどまでの紳士然とした態度から一変。

ギマンティスの、狂気に満ちた声が工場に響いた。



優奈「こ、これが奴の、本性……!」

陽葵「やっぱりあんたも、魔物の端くれね!」

ギマンティス「・・・というわけで。お前ら、俺の糧となれ!!」

勇気「そうは!」

光一「させるか!!」



だが。

その時。

そんな女子二人の「彼氏」が駆け付けた!!



優奈「光一!」

陽葵「勇気!」

ギマンティス「てめぇら、どうしてここに!」

勇気「親切な誰かさんの知らせでな。」

光一「お前らの悪行、全部聞いたぞ!」

ギマンティス「まぁいい。お前らも、この娘ごとまとめて倒してやる!!」



直後。

ギマンティスが、20m級使い魔をうじゃうじゃと湧きあがらせる。

さらに、女性たちを捕らえた装置ごとギマンティスは倉庫の中から離脱、その装置がうごうごとでかい城へと姿を変えた。



勇気「ちぇ、けったいにまぁ!」

光一「あの城の中に、みんながいるんだな!」

ギマンティス「仲間や女どもを助けたければ、来るがいい。我が白の、最上階までな……!」



追いかけようとする勇気と光一だが。

そんな二人の前に、使い魔が遮り始めた。



勇気「ちぇ、お客様はもてなしてくれるってか!」

冬賀「だったら!」

健太郎「俺たちも丁重にもてなしてもらおうか!」



そんな勇気と光一の背後に。

青い激流と、緑の電撃が走った。

その主は。



冬賀「何お前らだけで盛り上がってんだ!」

小鳥「ずるいっすよー。あたしらにも出番くださいっス!」

健太郎「俺たちも混ぜろって!」

茜「パーティーなら、この茜さんたちも喜んで参加するです!」


クマコンゴーと、リルドとシノビラーだ!



勇気「へっ、遅いぞお前ら!」

冬賀「突っ走った挙句に連絡もよこさないお前が悪い!」

小鳥「そうっすよ。おかげで、あちこち探しまわったんすからねー!」

勇気「あ、そうだっけ?」



そんな軽口をたたいていると。

工場の中から、無数の使い魔がその3体を取り囲むように出てくる。



健太郎「おい、無駄話はあとみたいだぜ!」

茜「まずはこの人たちとバトルですボトルですビートルです!」

冬賀「え、カブトムシ?!」

茜「言葉のあやです。」

冬賀「なんだその三段活用?!」

小鳥「わー、ツッコミ相手が増えましたねー。」

クマコンゴー「皆の衆、そんなことを話している場合では……。」

冬賀「……とにかく、今はコイツ等を!」

小鳥「うっす!」



そんな時、クマコンゴーの中から。



涼牙「光一!」

光一「涼牙。」

涼牙「僕たちは、早く委員長と陽葵先輩を助けに行かないと!」

光一「あ、ああ、そうだな。」

勇気「よし。ここはアイツらに任せて、俺たちは目の前のでっかい奴に突っ込むぞ!」

光一「はい!」



勇気と光一、そして涼牙は。

ギマンティスの城へと、走り出した。



冬賀「さぁて、俺たちも!」

健太郎「さっさとこいつら倒して!」

冬賀「?」

茜「先に行くです!」

冬賀「うおー!俺のセリフー!」

小鳥「……相変わらずっすねぇ。」



そんな軽口をたたきつつ。

3体は、使い魔を相手に戦いを開始した。



冬賀「いっくぞぉ!」

小鳥「行くっスよぉ!」

健太郎「行くぞ!」

茜「です!」



まず、魔弾戦士2体が迫る使い魔目がけそれぞれ蹴りを見舞い、さらにドリルやチェーンが空を舞う。

それと同時にクマコンゴーが爪で大地をかち割り、その地割れの中に足を掬われた使い魔たちをそれぞれつぶしてゆく。

まるで、熊が鮭を取るように。



あらかた使い魔を片付けたかと思いきや、その地割れからゲルワームが出現!

いきなり魔弾戦士2体とクマコンゴーを襲い始めた!



小鳥「うわ、またでっかいのがキタっすねぇ!」

茜「でっかいですぅ……。」

健太郎「ちぇ、まだまだ来るぞ、先輩!」

冬賀「わかってるって、後輩!」



クマコンゴーとリルド、シノビラー。

彼らの激闘は、まだ続く!



・・・。

一方。



勇気「さーて、覚悟はいいな!お互い合体できないから巨大戦は期待できないぜ!命を捨てる覚悟で臨めよ!」

光一「端から命がけ!」

涼牙「それに、この時代で死んでも死亡届は出ません!」

勇気「上等だ。いくぜ!!」



城の中を突き進もうとする、光一涼牙勇気の3人だったが。

ギマンティスは、それをいぶかしげに見ていた。



ギマンティス「まさか本当に来るとはな……。面白い。歓迎してやろう。」



ギマンティスの指示が下るのと同時に。



涼牙「う、うわわ!?」



城の玄関前、大広間が。

大きく揺れだした。



光一「な、なんだ?!」

サルトビ『……邪悪な力が増大している!』

ゴッドガイザー『来るぞ、相棒!』

勇気「なに?!」



進む3人の目の前に。

どこからともなく、巨大なイカの化け物が出現!!



ギマンティス「行け、最悪獣ゲソゲソン。奴らを絡め取って、外へ放り投げろ!」



そのでかくて無数の触手が、3人に迫る!

何とか逃げようとする3人だったが、3対10の足では分が悪く。

あっという間にからめとられ、ゲソゲソンごと城の外へと飛び出してしまった。



涼牙「せ、せっかく中に入ったっていうのにぃぃ!?」

光一「うおおおお!?なんだかものスっごく気持ちわりぃぃぃ!!!?」



そして、残念ながら3人は外へと吹っ飛ばされてしまう。

すぐさま立ち上がり、迫る触手を見てブレスを構える勇気。



勇気「しゃーない、いっちょぶった切るか!」

春斗「悪いが、その必要はないぜ!」



その時。

声と共に、ワイヤー付きの鋏がその触手の一本を捕らえ、



真弓「ここは私たちに!」

麗夏「任せろ。」



その声とともにゲソゲソンの体に、ミサイルと電撃が降り注いだ!



勇気「春斗!麗夏!」

涼牙「真弓先輩!」



その主はもちろん、キャンサーとソウド。

そして、リュウタロウだった!



涼牙「先輩!」

勇気「春斗、麗夏!」

春斗「ここは俺の見せ場とさせてもらうぜ。」

麗夏「あいにく某、触手とぬめぬめは大嫌いでな。」

真弓「さあ、行った行った!」



光一と涼牙はそれにうなずき、勇気もそんな二人を見て。

城への再突入を果たした。

それを見て真弓は、再びゲソゲソンを見た。

見ると、先ほど斬られた触手が、いつの間にか斬られた同士がくっついて再生しているではないか。



春斗「ちぇ、嫌な能力だな、再生ってのは!」



そんな靴をはきつつゲソゲソンの前に立つキャンサーであったが。



真弓「さぁて。私達も暴れるわよ、クール君に不思議ちゃん!」

春斗「……クール君?」

麗夏「……不思議ちゃん?」



さしものマイペース二人組も、真弓のぶっ飛びペースに首かしげだ。



真弓「いくわよ、リュウタロウ!」



そんな二人をしり目に、真弓は一人ゲソゲソンに突っ込んでゆく!



春斗「……っと、つっ立ってる場合じゃねぇ!」

麗夏「我々も行くのだ!」



キャンサーとソウドも、ゲソゲソン目がけて走り出した。

ゲソゲソンも、10本ある無数の触手を操り、3体を締め上げようとする。



麗夏「させるか!ソウドチェーン!」

真弓「それぇぇ!」



その触手を、ソウドのチェーンとリュウタロウの爪や牙が切り刻む!

切り刻まれた触手をかいくぐり、ゲソゲソンの懐に、



春斗「でりゃあああ!」



キャンサーが自慢の鋏をぶち当てる!

げそげそんはおおきいからだをゆすりくるしむが、触手はまた再生する。



春斗「ちぇ、こりゃキリがねぇや!」

麗夏「だが、やるっきゃないぞ。」

春斗「ああ、わかってるって!」



キャンサーとソウドが触手を見てつぶやく。

だが、そんな彼らの前にリュウタロウがでしゃばり、



真弓「前進あるのみよ!」

春斗「……俺のセリフ……。」

麗夏「とられたな。」



どちらの方も、先輩よりも後輩の方が目立っていた。



・・・。

一方そのころ。

再突入した光一と勇気と涼牙。

それを見て、ギマンティスは指を床にガンガンと突き立て、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。



ギマンティス「面白くねぇなぁ……。」



そして。

その言葉と共に、怒りをこみあげていた。



ギマンティス「……仕方ない。俺がやるか。」



ギマンティスはその腰を上げ。

手元に、鎌を抱えた。

……直後。



光一「な、なんだ!?」

勇気「……これは!?」


勇気、光一、涼牙。

3人の周囲が、謎のフィールドに包まれる。



ゴッドガイザー『これは、邪悪な魔法空間だ!』

勇気「イルドムーンと闘ったときみたいな空間か……。」

光一「そんな空間に入ったってことは…・・まさか!」



その時。

光一と勇気の頭上から、巨大になったギマンティスが降ってきた!



勇気「……ギマンティス!!」

光一「ボスのお出ましか……!!」

ギマンティス「貴様らの存在が……邪魔だ!!俺が殺してもいいよな。……いいよなぁ!!!」

勇気「な、なんだ?!」

光一「さっきとは、雰囲気が……!?」



そして50m級の鎌を、1m級の男子陣に突き立てた。



勇気「くっ、仕方ない、ここでやり合うぞ!」

光一「ああ!涼牙!!」

涼牙「オッケー!」



それを見て、勇気は右手を構え。

光一と涼牙は右手にキャストと左手にダイクリスタルを取り出す!



勇気「行くぞ後輩!」

光一「はい!」

勇気「来い!ゴッドガイザー!!」

光一・涼牙「「サイバー、アップ!!」」



・・・一方。

シノビラーとリルド、そしてクマコンゴーは。

ぶよぶよねちょねちょしたゲルワーム相手に。

チェーンもドリルも、クマコンゴーの爪や体当たりなども、全く有効打にはなっていなかった。

さらにそのぶよぶよした体から放たれた溶解液が、3血を襲う。



冬賀「チクショウ、このブヨブヨがぁ!」

小鳥「撃っても撃っても、跳ね返ってくるじゃないっすか!」

健太郎「野郎、どうすりゃいいってんだ!」

茜「やわらかですぶよぶよですぷよぷよです!」

冬賀「ばよえーんでもするつもりか?!」



……だが。

その攻撃を避けつつ。

茜のつぶやいたぷよぷよで。

冬賀はひらめいた。



冬賀「……そうか。」

小鳥「え?」

冬賀「ぷよぷよだ!」

茜「ふぇ?」

健太郎「どういうことだ?」

冬賀「奴に物理攻撃が通用しないなら、光線技で攻めるぞ!」

健太郎「え、でも……。」

茜「……クマコンゴー、物理技しか持ってないです!」

小鳥「……あたしもっす。」

冬賀「な、なにぃぃぃぃぃぃ!!?」



がびーんとする冬賀。

だが。



春斗「うおおおおお!!?」



城の一階部分から。

キャンサーとソウド、そしてリュウタロウが降ってきた。



冬賀「春斗!」

健太郎「真弓先輩!」

真弓「ちぇ、切っても切ってもわいてくるなんて!」

麗夏「うざい奴だ。それにぬめぬめ。」

春斗「そっちもか、冬賀!」

冬賀「こっちもだ、春斗!」



お互い苦戦してます。

そんな状況を、冬賀と春斗は一言かわして納得した。

これもやはり、仲間の絆ゆえか。

だが、ゲルワームとゲソゲソン。

それぞれ苦手な分野を持つ相手を前に、魔弾戦士2体と大胆戦士2体が並び立つ。



真弓「そっちも苦戦中ってわけね。」

健太郎「俺の苦手なタイプでな……。」

真弓「あいにくこっちもで……。」

麗夏「どうする、このままじゃジリ貧だ。」

茜「じり貧でジリジリです散り散りです!」

真弓「ジリジリ・・・そうだ。」



そこで、真弓も閃いた。



真弓「苦手な相手同士なら、交代しない?」

健太郎「え?」



そんなことを言いながら、ゲルワームとゲソゲソンがそれぞれに迫る!



真弓「このうねうねはこっちが引きうけるわ、ねぇメガネ君!」

冬賀「え、俺!?」

真弓「いいでしょ?!」

冬賀「ま、まぁいいっすけど……。」



ゲルワームの前に、シノビラーとリュウタロウ、ソウドが!



健太郎「あのにゅるにゅる野郎にでかい一撃を入れりゃ愛飲だろ!?」

春斗「そ、そうだが……どうやって!」

健太郎「任せろ!肉弾戦なら大得意だ!!」

茜「私達のロボは、根っからのパワーファイターですぅ!」

春斗「……いいことを聞いた!」



そしてゲソゲソンの前には、キャンサーとクマコンゴー、そしてリルドが!

文字通り、タッチ交代だ!



麗夏「冬賀先輩だけにかっこいいとこは見せられないな。」

小鳥「パワー勝負なら、あたしの出番っすよ春斗先輩!」

冬賀「よし!」

春斗「合体行くぞ!!」

冬賀・麗夏「「電流合体!!!」」

春斗・小鳥「「激雷合体!!!」」



上半身担当と下半身担当。

2体の魔弾戦士の組み合わせを変えると、それぞれ違う性能を持つ合体超神へと姿を変えるのが、魔弾超神の特徴だ!!



冬賀「ソウドシノビラー!ライジン!!」

春斗「リルドキャンサー!ライジン!!」



氷と鋸。

鋏とドリルの、合体超神が登場!



健太郎「いくぜ!」

真弓「いっくわよぉ!」

健太郎・真弓「「大胆変形!!」」



クマコンゴーが逆立ちして起立!

リュウタロウの全身が伸びる!

2匹の動物メカが、人型に変わる!



健太郎「ダイコンゴー!」

真弓「ダイハクリュー!」



そして、ソウドシノビラーとダイハクリューが上空へと飛び上がる!



真弓「行くわよメガネ君、不思議ちゃん!」

冬賀「でも、どうやって!?」

真弓「話は全部聞いたわ。真弓お姉さんにまっかせなさぁい!!」



直後。

ゲルワームの溶解液をよけつつ、ダイハクリューは胸にエネルギーを結集!



真弓「凍らせるのは得意分野よ!ブリザードビーム!!!」



ダイハクリューが、ハクリューフラッシュのエネルギーを冷凍光線としてゲルワームに放出!

それを見て、冬賀も合点が行った!



冬賀「なるほど!」

麗夏「そう言う技なら我々にも!」

冬賀「もちろんだ!シノビブリザァァァァァァァァド!!!」



ダイハクリューに続き、ソウドシノビラーも胸から冷凍光線を発射!

ゲルワームの体が、あっという間に凍り付く!

それと同時に、2体も大地に着地する。



真弓「どうだぁ!」

冬賀「やりますね、お姉さん。」

麗夏「……いや、まだだ。」



凍り付いたゲルワーム。

だが、その体が徐々に動き出し、わずかな氷の隙間から溶解液を発射する。

氷に包まれた体だが、ぐにゃぐにゃすぎるその体には、効果が半減しているようだった。



真弓「ちっ、氷が溶けないうちにでかい技決めないと!」

麗夏「オマカセを、お姉さま。」

真弓「え?」



ソウドシノビラーがゲルワームに接近。

そして!



麗夏「くらえ!ソウド!」

冬賀「シノビ!」

麗夏「クワトロブルチェエエエエエエエエエエン!!!」



上半身から一対、下半身からもう一対。

計4本の無数の腐りの乱舞がゲルワームに炸裂!

その体を、文字通りがんじがらめに絡め取り、そのチェーンの先を大地に突き刺す!

氷に固められ、さらにその体を鎖で拘束され、とうとうゲルワームは完全に身動きが取れなくなった!



麗夏「ふふ、上出来。」

冬賀「さぁ、龍のお姉さん!」

麗夏「とどめだ!」

真弓「言われなくても!」



今度はあたしの出番、と言わんばかりに。



真弓「ハクリューアーチェリー!!」



必殺の竜の子の弓を取り出し、瞬時に構える!

そしてその弓を、固まったゲルワームにセット!



真弓「打ち抜け!ジャスティススマァァァァァァッシュ!!!」



必殺の氷の弓が。

ゲルワームの体を貫いた!

身体のど真ん中に風穴があいたゲルワームは、たまらず大爆発!



冬賀「っしゃあ!!」

真弓「大胆正義!ダイハクリュウウウウウウウウウウウウ!!!」



これにて。

ゲルワームとの激闘は、ゲームセットだ!



真弓「サポートサンキュー!」

冬賀「そっちこそ、やるじゃないっすか!」

麗夏「先輩、敬語になってる。」

冬賀「・・・あれ?」



年齢的には冬賀が上だが。

精神年齢的には、真弓の方が上みたいだ。



・・・。

そして。

ゲソゲソンの無数の触手が、リルドキャンサーとダイコンゴーを大地の底に押しつぶす!

だが!


春斗「ま、け、」

健太郎「る、かああああああああああ!!!」



その巨大な触手を、大地から抜け出しながら。

リルドキャンサーとダイコンゴーは、持ち上げる!!



小鳥「いち、にの!」

茜「さん、です!」



そして二体の猛烈なパワーが、ゲソゲソンの巨体を転げさせる!



春斗「さっきの言葉、うそじゃないみたいだな!」

健太郎「男にウソと二言はないですぜ!」

春斗「……来るぞ!」



春斗はガラになく、健太郎の言葉に笑い。

ゲソゲソン目がけて突っ走る。

ダイコンゴーもそれに負けじと突っ走る!

ゲソゲソンは10本の触手を繰り出し、2体の侵攻を止めようとするが!



茜「キタですぅ!」

健太郎「行くぜ!コンゴーアックス!!」



金太郎の自慢の斧。

それを使い、巨大な触手だろうが何だろうが一撃で両断していくダイコンゴー!



小鳥「うわ、すごいパワー!こっちも行くっスよぉ!」

春斗「ドリルシザース!!」



負けてらんねぇ、という言霊と共に、リルドキャンサーも触手に両手に装備したドリルを突き刺し、さらにその横に展開された鋏でチョキチョキと触手をちょん切る!

だがその間にも、触手はどんどん再生していく。

しかし。



健太郎「させるかぁ!」

茜「コンゴーショット!ですぅ!」



その斬られた触手同士が結合する刹那。

ダイコンゴーが、両腕から展開した速射砲の砲撃により、再び分離させられる。



健太郎「今だだだだ!!」

春斗「うおりゃあああ!!」



10本すべて切られ、さらには再生すら妨害されたゲソゲソンは、もはや無防備。

そんなゲソゲソンに、



春斗「ドリルナックル!!」



リルドキャンサー渾身のドリル付パンチが炸裂!!

ゲソゲソンの体に、ついにどでかい傷がつく!



春斗「今だ!」

小鳥「もう一撃っすよ!」

健太郎「コンゴーナックル!貫けええええ!!」



体前面より炸裂したドリル。

それと垂直に、ゲソゲソンの脳天にダイコンゴーの拳が炸裂!

ゲソゲソンの体が、衝撃とダメージにより大地に埋没する。



健太郎「どうでぇ!!」

茜「イカさん、身動きが取れなくて再生能力も止まったです!」

小鳥「うっしゃぁ!決めるっすよぉぉ!!」

春斗「鋏十手!大成敗!!!」



鋭利なドリルにこれまた鋭利な鋏がプラスされた、かなり凶悪な切断器具と化したキャンサーシザースが、十文字にゲソゲソンの体を切りさく!!

巨大な体に巨大な十文字を刻まれたゲソゲソンは、たまらず爆散!

大爆発後に、消え去った。



春斗「……消え失せろ!」

健太郎「……押忍!!」



その爆発を背に、リルドキャンサーとダイコンゴーは、力強い拳を撃ち重ねた。



・。

そのころ。



勇気「ぐへつ!?」

光一「ぐはっ!?」



異次元空間の壁に、サルトビとゴッドガイザーがそれぞれたたきつけられる。



ギマンティス「どうした。貴様らの力はその程度か!!」

勇気「ぐっ……!」

光一「つ、強い……!」

ゴッドガイザー『立て、立て勇気!』

サルトビ「来るぞ!」

光一「ちっ!」



ギマンティスの鎌を避けた二体とケンシンが、ギマンティスから見て三角形に距離を取り。



光一「ブレストレーザー!」

涼牙「ハウンドキャノン!」

勇気「ゴッドガイザーバースト!」



3方向から放たれるそれぞれの光線。

だが、ギマンティスはその光線すら、体格差もあってか軽々と跳ね返す!



ギマンティス「貴様らの力、そんなものかぁ!!」



自慢の鎌からの波状光線が魔法空間に降り注ぐ。

それを避ける3対だが!



涼牙「うわあああ!?」



ケンシンがその攻撃を受け、壁面に吹っ飛ばされる!

しかも、ケンシンと分離して。



光一「涼牙!」

サルトビ「サイバーダウンしている……。気絶してしまったようだ。」

勇気「野郎……!ゴッドガイザーブレイド!」

光一「コンボウブレード!」



残ったコアロボ2体が剣を振りかざし、ギマンティスに迫る!

・・・だが!



ギマンティス「そんなへなちょこ爪楊枝剣が、俺様に効くかぁぁぁぁ!!!」



その二人の一撃を片手だけで簡単に受け止め、逆の手で魔法空間の端っこまで弾き飛ばす!

壁面に激突した二体の衝撃を受け、ギマンティス背後にあった格納カプセルの中で気絶していた優奈と陽葵も目を覚ます。



優奈「ここは……。」

陽葵「……あれは!」

優奈「光一!」

陽葵「勇気……!」

ギマンティス「よわっちいなぁ……。こんな奴に大邪神は苦戦していたのか。情けない……。」



魔法空間の果てからは手に吹っ飛ばされた2体に、ギマンティスは鎌を振り上げながら徐々に近づいてゆく。

吹っ飛ばされた二人も、圧倒的ショックからか。

サルトビもガイザーも、消えていた。



光一「な、なんて強さだ!体は俺たちよりも一回りしか変わらないってのに!」

サルトビ「奴の力の源は、優奈や捕らえた女性たちだ!」

ゴッドガイザー『まずは奴と女性たちの供給を断たない限り、勝ち目はない!』

光一「な、なら俺がアイツの動きを止める!勇気先輩は……!」



サルトビが立ち上がり、ギマンティスへ向かおうとする。

だが。

光一の手には。

相手の恐ろしさからか、震えが来ていた。

そんなその光一の肩を、勇気が止めた。



勇気「ちょいまり。聞き忘れたことがある。」

光一「……え?」

勇気「お前の町……満天町だっけ。そこは、いいところか?」

光一「な、なんすか、いきなり。」

勇気「……いいところか?」

光一「……。」



冗談はやめてくれ、そう言いたかった光一だが。

勇気の声には。

冗談は、微塵も含まれてはいなかった。



光一「……いいところっすよ。人と自然が、一緒に生きている。俺の大好きな、故郷です。」

勇気「そうか。」



それを聞き、勇気はふっと笑い。

光一の前に出た。



勇気「今の地球にもあるんだろうな、満天町。」

光一「?」

勇気「行ってみたいと思った。お前を見て居たらな。」

光一「勇気さん……。」

勇気「遊びに行くぜ、お前らの町にな。だから、こんなところで負けるわけにはいかねぇ。みんなも守る。今も守る。未来も守る。」



そう言いつつ、勇気は右手を軽く払い、ブレスについた石を一瞬で拭き飛ばし。



勇気「絶対にな!!!」


そして。

ギマンティスに、立ち向かう覚悟を決めていた。


サルトビ『彼の闘志……まさしく本物だ!』

光一「……!」



それを見て光一も。

手の震えが、いつの間にかなくなっていた。



光一「俺も。未来を守ります。未来を守るために、今の地球を守ります!!」

勇気「言うじゃねぇか。」

ゴッドガイザー『二人とも。バラバラに戦っていたのではだめだ!』

サルトビ『二人の力を、一つに合わせるんだ!俺に考えがある!』

勇気「そうか……。よぉし、遅れんなよ!!」

光一「はい!」



っそう言って。

光一と勇気は、拳を重ねた。

それと同時に、ギマンティスが二人の前にたどり着いた。



ギマンティス「ごちゃごちゃと……。念仏は終わったか?」

勇気「・・・ああ。」

光一「お前を倒す、念仏が終わったところだ!!」

ギマンティス「ほざくなあああああああああああ!!!」



ギマンティスが、二人目がけ鎌を振り上げる!



陽葵「っ!!?」

優奈「光一!!」



・・・だが。



光一「サイバーアップ!!!」

勇気「ゴッドユニット!!」

ギマンティス「・・・ぐはぁ!?!」



サルトビとゴッドガイザーの右拳が、それぞれギマンティスの腹に食い込む!!



ギマンティス「ぐっ、なにぃ?!」

光一「そらっ!」



一瞬ひるんだその隙に、サルトビがギマンティスの背後に回り込み、大きなマントを使ってギマンティスの体を抑える。



ギマンティス「き、貴様……!!」

勇気「上出来だ!チェンジ、ゴッドバード!!」



その隙に勇気がゴッドガイザーをゴッドバードに変形させ、魔法空間の空に舞う。



勇気「さぁ、お前のボディに秘められた超高性能レーダーの出番だ!」

ゴッドガイザー『任せろ!』



ゴッドガイザーは、忘れがちだが魔弾戦士のコアを使い、現代の最新技術の粋を集めて作られた科学と魔法のハイブリッド戦士。

その眼には、超高感度のセンサーアイが内蔵されているのだ!



ゴッドガイザー『見えた!奴とカプセルが、地中でケーブルで繋がっているぞ!』

勇気「おっしゃ!」



ゴッドバードが自慢の翼を羽ばたかせ、魔法空間の大地を削ってゆく。



ギマンティス「貴様、まさかぁ!」



勇気の思惑に気づいたか、ギマンティスがそれを止めようとする。



光一「おっと!」

涼牙「そうはさせないよ!」



マントを引っ張るサルトビと、さらにケンシンも復帰!



光一「涼牙!」

涼牙「ごめん、でも状況はだいたいわかってる!」

光一「よし、あと少し踏ん張れ!」



犬と猿がギマンティスを足止めしている間に。

ゴッドガイザーは、地下に埋まるケーブルを捕らえた!



勇気「あれだ!ゴッドガイアーフラァァァッシュ!!」



そして。

必殺の一撃を受け、そのケーブルが焼き切られた!



ギマンティス「しまったぁ!!?」



ケーブルが焼き切られ、力が弱まったギマンティス目がけ。



光一「ブレストレーザー!」

涼牙「ハウンドキャノン!」



2対3本の砲撃が炸裂。

魔法空間、吸収装置ごと、ギマンティスをブッ飛ばした!



ゴッドガイザー『成功だ。あとはあの装置の中の人を!』

勇気「そらっ!」



さらに。

そのでっかい吸収装置も、人々の生体エネルギーが切れる前に。

ゴッドガイザーの一撃により、破壊された。



ギマンティス「貴様ら……貴様らぁぁぁぁ!!!」



そして。

魔法空間爆発と共に。

地震の魔力で作られていた巨大な城も、木端微塵に粉砕された。



健太郎「なんだ?」

真弓「あれ!」



その空間から脱出したガイザーとサルトビたちが、カプセルを持ちながら帰還した。



冬賀「勇気!」

春斗「やったな。」

勇気「ああ。ばっちし!」



そして。

カプセルから解放された人々も、逃げ出した。



光一「二人とも!」

勇気「受け取れ!」



二人から投げられたのは。

ゴッドグレンブレスと、ジャスティスブレスと、タカスギのダイキャスト・ダイクリスタルだった。



優奈「……さぁて!」

陽葵「行きますか!」



それを受け取った二人は、しっかりそブレスを閉め。



優奈「サイバー、アップ!!」

陽葵「来て、ゴッドグレン!!」



タカスギとゴッドグレンを召還!



ゴッドグレン『まったく……。陽葵は連れ去られ過ぎだ。』

陽葵「ごめんね、ゴッドグレン。」

タカスギ「心配したんですからね、優奈!」

優奈「うん。もう大丈夫。」



しかし、ギマンティスも。

力の供給は絶たれたとはいえ、元々上級幹部。

コアロボの攻撃くらいでその力が衰えることは、なかった。



ギマンティス「お、おのれ……!大邪神になり替わり、この世界を総べるという夢……あきらめはしねぇぞおおおおおおおおおお!!!」

麗夏「……往生際の悪い奴だ。」

勇気「みんなを苦しめた罪、許しちゃおけねぇ!」

光一「ここで俺たちが!」

光一・勇気「「ぶっ倒す!!!」」



主人公二人の声が重なり、全大胆戦士全魔弾戦士が勢揃いだ!



ギマンティス「使い魔アアアアアアアアアアア!!!」



だが。

性懲りもなく、使い魔がワラワラとわいて出る!



健太郎「こっちは任せろ!」

茜「茜さん、お掃除は大得意です!」

真弓「逆襲のチャンスよ!」

冬賀「しょーがねぇ、オイシイ所は預けた!」

小鳥「こっちはこっちで、暴れるっすよぉ!」

春斗「さぁ、さっさと終わらせようぜぇ!」

麗夏「うむ。異論はない!」



使い魔の軍団の中に。

ソウドシノビラーとリルドキャンサー。

そしてダイコンゴーとダイハクリューが突貫!

残ったメンバーが、ギマンティスの目の前に!



光一「イクゼ優奈、涼牙!今までの鬱憤、晴らそうぜ!」

優奈「ええ!」

涼牙「待ってました!」

勇気「こっちも行くぞ陽葵!」

陽葵「もちろん!」


光一「大胆合体!!」

勇気「超炎熱合体!!」



サルトビ。タカスギ。ケンシン。

3つの獣が、一つの人となる!

そしてゴッドガイザーとゴッドグレン。

二人の神が、一人の神へと姿を変える!



光一「ダイセイオオオオオオオオオオ!!!」

勇気「ゴッドグレンガイザー、ライジン!!」



それと同時に、ゴッドバーニングキャノンとダイカッター、二つの攻撃が炸裂する。

しかし。



ギマンティス「うはははぁ!!」



その攻撃は、強固なマントによってさえぎられた。



優奈「あのマントを焼き切って、懐に入らないと!」

涼牙「どうする、光一!」

光一「決まってる!」

陽葵「え?」

勇気「俺と!」

光一「俺たちと!」

勇気・光一「「力を合わせるんだ!!」」

ギマンティス「くらえぇぇぇ!!!」



ギマンティスは自慢の鎌を振り、そんな会話をしていたゴッドグレンガイザーに繰り出す。

だが!



光一「うぉりゃああ!」



その鎌を、ダイセイオーのダイガードが防ぐ!



ギマンティス「何っ!?」

勇気「くらえ!ゴッドガイザーナックル!!!」



その隙に、ギマンティスの頭部目がけゴッドグレンガイザーのロケットパンチ!

それにひるんだギマンティスに、


光一「ダイスマッシャー!!」


ダイセイオーが両足からの速射砲で追撃!

鎌ごと後方へ後ずさる!



勇気「小鳥、交代だ!」

小鳥「うっす!」

勇気「超激熱合体!」



後方へ後ずさったギマンティスの正面で、ゴッドガイザーとリルドが合体!



勇気「ゴッドドリルナックル!!!」



真紅の炎に彩られたドリルが、何発も何発も弾丸のようにギマンティス目がけて炸裂!

さらにキャンサーとゴッドグレンも、超炎雷合体!

ゴッドグレンキャンサーとなり。

自慢のゴッドキャノンランサーと、ダイコンゴーのコンゴーショットが、使い魔を蹂躙!



ギマンティス「むおおおお!」

勇気「ぐっ!」



そして、ドリルのラッシュを受け止めたギマンティスが逆にラッシュを開始。

ゴッドリルドガイザーが徐々に後方へと下がる!



ギマンティス「どうしたどうした!貴様らの力、そんなものか!」

勇気「まだまだだ!!」

ギマンティス「何?!」



ゴッドリルドガイザーは、ギマンティスのラッシュを防ぎつつ上空へ飛び上がる。

そこにはなんと!!



健太郎「大胆武装!コンゴーバスター!!」

ギマンティス「!!?」



後ろで待機していたダイセイオーが、ダイコンゴーと武装合体!

必殺の巨砲を装備していた!



茜「スペシャルに、どどーんといくです!」

健太郎「ジャスティススターバスタァァァァァァァァァァァ!!!!!」



上空、真上から4つの光が放たれたギマンティスは、たまらずたじろぐ。



ギマンティス「ぐ、ぐ、ぬうううううう!!」



ギマンティスは何とかその一撃に耐え、ダイセイオーを目からの光線で攻撃する。

それを待っていたかのごとくダイセイオーとダイコンゴーは分離、宙を舞う。

しかも今の一撃で!




ギマンティス「・・・俺様の、マントが!」



マントが、燃え尽きていたのだ!



ギマンティス「今の一撃は、マントを破壊するための!?」

勇気「よそ見してんじゃねぇぇぇ!!!」



そして。

上から前へ視線を下げると。



勇気「行くぞ、麗夏!」

麗夏「合点どってん!」

勇気「超電熱合体!!」



今度はソウドと合体したゴッドソウドガイザーが、自慢のチェーンソーでギマンティスに突撃!

さらにリルドキャンサーに戻って分離したゴッドグレンがシノビラーと合体、ゴッドグレンシノビラーとダイハクリューの砲撃が、使い魔に降り注ぐ!



勇気「おらおらおらおらおらおらぁ!」

ギマンティス「む、む、むおおお!!?」



自慢の武器を失い、マントも失ったギマンティスに。

チェーンと愛剣、4本一体の乱舞が炸裂し、ギマンティスは防戦一方!



勇気「今だ!」

麗夏「ソウドチェーン!!」



一瞬バランスの崩れたギマンティスに、ゴッドソウドガイザーが全身のチェーンソーに鎖をつけて発射!

鮮やかな鎖裁きで、ギマンティスの体を拘束!



ギマンティス「お、おのれ……おのれぇ!!!」



麗夏「今だ!」

勇気「ダイセイオー!!」

光一「おっしゃぁ!!」



そして、その頭上には!



ギマンティス「おのれ……ダイセイオー!!!」

光一「ジャスティフィニイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッシュ!!!!!」



ダイセイオー、必殺の一撃が。

ギマンティスの脳天から足の先に至るまで。

すべてを、一刀両断した!



ギマンティス「む、む、むおおおおおおお!!!!」



ギマンティスは、その猛攻を受け。

ついに、大爆発!!



冬賀「よし!」

真弓「やったわ!」



・・・・・・。

しかし。



ダイセイオー「な、なんだ!?」

ゴッドソウドガイザー『奴の体から、とてつもない邪念が!』



その両断されたギマンティスの体から。

不気味な黒い塊が、出現した。

まるで、蛹から成虫が出る様に。

その姿は、どす黒く巨大な。

カマキリ、そのものだった。



デビルマンティス『ぐあああああああああああああああああ!!俺の体に取り込んだ邪因子が……暴走してらぁぁぁ!!いいぜいいぜぇ。俺は最悪獣、デビルマンティスだあああああああ!!!!!』



巨大なカマキリの顔から、ギマンティス……いや、デビルマンティスが、その全身100m超の体から、巨大な咆哮を上げる!



ダイセイオー「奴め……、自分の体を最悪獣にしたのか!!」

勇気「なんてこったい!」



ゴッドガイザーはソウドと分離、改めて超炎熱合体。

残りの魔弾戦士も、リルドシノビラー、ソウドキャンサーへと正規合体。



光一「と、とにかく、攻撃だ!」

健太郎「よし!」

真弓「二人とも、あれでいくわよ!」



ダイセイオーたちは、デビルマンティスの許田仲間が振り下ろされるのを見計らって、とんだ!



光一「ダイフラッシュ!」

健太郎「コンゴーフラッシュ!」

真弓「ハクリューフラッシュ!」

光一・健太郎・真弓「「「トリプルフラアアアアアアッシュ!!」」」



並の最悪獣相手なら致命傷を与えられるはずの、合体攻撃トリプルフラッシュ。

だが。

その攻撃ですら、デビルマンティスの体には最たるダメ―zを与えられるものではなかった!



光一「げっ!?」



デビルマンティス『効かねぇなぁ……!まるでさっきに逆戻りだなぁぁぁぁ!!』



その巨大な鎌が、ダイセイオーダイコンゴーダイハクリューの3体をまとめてブッ飛ばす!

ぶっ飛ばされた3体が、東雲自動車工場予定地の大地に叩きのめされる。



勇気「光一、みんな!」

冬賀「こっちも一気に行くぞ!」

春斗「よし!」



それを見て魔弾超神3体も飛び上がり、



勇気「超爆熱波!!」

冬賀「忍乱吹雪!!」

春斗「鋏一刀切断!!」



必殺技3発を、同時に繰り出す!

……しかしそれですら!



デビルマンティス『うひゃひゃひゃひゃ!!』



カマキリの巨大な複眼からの光線で、押し戻される!!



勇気「げ!!?」



そしてその苦戦と必殺技がぶつかった爆発で、魔弾超神は魔弾戦士へと分離。

ダイセイオーたちと同じように大地に激突してしまう。

一瞬にして、正義の戦士は皆。

大地に伏してしまった。



デビルマンティス『うははははははぁ!!さぁ、今度こそ念仏を唱えな!お前らみんな、団体コースで地獄行きだぁ!!!』



デビルマンティスは、そんな声を上げて不気味に笑った。

しかし。



光一「ふ、あんなこと言ってら……。」

デビルマンティス『・・・何?』



ダイセイオー・光一は、何事もなかったように立ち上がった。



勇気「ああ。そうだなぁ。こっちが笑えてくるぜ……。」



ゴッドガイザー・勇気も、立ち上がった。



デビルマンティス『な、なにぃ!!?』



そう言いつつ。

仲間たちも、徐々に立ち上がって行く。



勇気「お前……とうとう俺たちを、本気にさせたな!!」

光一「後悔しても、おせぇからなぁ!!」

デビルマンティス『その減らず口、いつまで持つかなぁ!!』



デビルマンティス袴を振り上げる。

だが。



光一「燃えろ!俺の中のフェニックス!!!!!」



光一の体に眠る神秘の鳥・フェニックス。

その力を開放!!!

赤き炎の力が、魔弾戦士6体とと大胆戦士3体に降り注ぎ、力が増大してゆく!!



勇気「力が……みなぎってくるぜええええええ!!」



直後、勇気がブレスの合体モードをマキシマムパワーまで開放!!

右手を掲げる!!



勇気「行くぜみんな、合体だ!!!」



―天空轟け、wow!wow!wow!!―


「「「「「おう!!!」」」」」


6つの紋章が、星を形作る!


―大地を唸らせ、wow!wow!wow!!―



勇気「6人の魂と、6体の心を一つに!神羅万象、超人合体!!!」



すると、6つの体が一つになる!!!



―GO!ガイザー・ザ・グレート!!!―




そして。

ゴッドガイザーが上半身ボディを、

ゴッドグレンが大腿部を、

シノビラーが右腕を、

キャンサーが左腕を、

リルドが右足を、

ソウドが左足をそれぞれ形成、そして合体!!



勇気「敵が悪魔の申し子ならば、ガイザーは神をも超える!誕生!!ガイザー・ザ・グレート!!!」



最強の合体超神。

その名は、ガイザー・ザ・グレート!!

ガイザー・ザ・グレートに振り下ろされた体格差数倍の巨大鎌。

だが、グレートはその鎌を片手で受け止める!



ギマンティス『な、なにぃ!!?』

勇気「俺たちの本気、甘く見るなぁぁぁぁ!!!」



その鎌を受け止めたまま飛び上がったグレートが、デビルマンティスの顔にドリルの右足で一撃!!

デビルマンティスはたまらず倒れこむ。



光一「先輩に負けてられないぜ!」

健太郎「俺たちも!」

涼牙「いくよ!」

真弓「モチのロン!」

優奈「いっくわよぉぉ!!」

光一「行くぜみんな!!!」

「「「「「OK!!!!!」」」」」



光一、健太郎、真弓は、ダイチェンジャーを構えた!!



光一「フェニックスダイセイオー!!!」

光一・健太郎・真弓「「「大胆正義合体!!!!!」」」



その掛け声とともに、不死鳥のエネルギーほとばしり、ハイパーフェニックスエボリューション!

ダイセイオーを中心に、パーツに分離したダイコンゴー、ダイハクリューが装着合体!!



フェニックスダイセイオー「大胆正義合体!!フェニックスダイセイオオオオオオオオオオオオオ!!!」



不死鳥の翼をもつ最強の巨人・フェニックスダイセイオーが降臨した!!



光一「さっきのお返しだあああああああ!!!」



フェニックスダイセイオーも、デビルマンティスの先ほど蹴られた方とは逆の顔をぶん殴り、再び大地に激突させる!



デビルマンティス『お、おのれ……!』



勇気「やるじゃねぇか光一!」

光一「先輩も!」

デビルマンティス『ええい、消えろぉ!』



相手の圧倒的パワーを目の当たりにして、苦し紛れにデビルマンティスは全身からミサイルを発射。

それを空中で軽やかに避けるグレートとフェニックス!



小鳥「うわ、うわ、うわぁ!?」

茜「みさかいがなくなってるですぅ!!?」

ガイザー・ザ・グレート『奴を倒すには、まずはあの巨大な6本の足を撃ち落として包囲網を突破するしかない!』

フェニックスダイセイオー「我々が負けたら、あとはもうない!俺たちの全力を!」

ガイザー・ザ・グレート・フェニックスダイセイオー『「奴にぶつけるぞ!!」』



意志を持った。

心を持ったロボットたちの、強い言葉が。

魔弾戦士6人と大胆戦士6人の、それぞれの心に響いた。




勇気「聞こえたな、地球警備隊!!」

光一「行きましょう、HUJIYAMAの皆さん!」



そのミサイル雨をかいくぐり、2体が上空へと飛んだ!



勇気「まずは足の2本だ!いっけぇ、グレートチェーン!」

光一「フェニックスバスター!」



グレートの左足、そしてフェニックスの両足からの速射砲が発射され。

デビルマンティスの両足がぐらつく!

そこをめがけて!



勇気「グレートカッター!!」

光一「フェニックスブーメラン!!」



グレートの右腕、そしてフェニックスの背中から発射された二対4本のカッターがそれぞれ乱舞!

デビルマンティスの両足をぶち抜く!



デビルマンティス『な、なめんじゃねぇぇぇぇ!!』



だが。

デビルマンティスも負けじと真ん中の2本足で立ち、2体目がけて目からの光線を撃つ!



勇気「打ち抜け!グレートキャノン!」

光一「フェニックスフラッシャー!!」



下からグレート、上からフェニックスが上下さかさまに合流、お互いの砲撃がデビルマンティスの体に直撃。

デビルマンティスは、たまらずうごめく。



勇気「グレートシザース!!」

光一「フェニックスストリーム!!」



続けて放たれたその砲撃を受け、デビルマンティスの足が木端微塵に破壊される!

バランスを崩したデビルマンティスは、たまらず倒れこむ。



デビルマンティス『う、うおおおおお!?』

勇気「この形態ではあまり時間をかけられない!このまま押し切るぞ!」

光一「はい!」



大地に着地したグレートと空中を舞うフェニックス。

それぞれがそれぞれの砲門を開放!



陽葵「今、明日に羽ばたく翼!」

ガイザー・ザ・グレート『そして、炎が燃えたつこの命!!!』

勇気「鳳凰爆裂光波!ガイザー・ファイナルバスタァァァァァァァァァァァァ!!!!!」


真弓「全砲門、開放!」

健太郎「先輩に負けるな!」

光一「おっしゃあ!全部もってけ!フェニックススパルタン!!!」



グレートの体から鳥、獅子、狼、犀、蟹、馬。

フェニックスの体から、文字通りの光の雨が降り注ぎ。

ガードに回した両腕を、ハチの巣にして破壊した!



デビルマンティス『ぐああああ?!お、おのれ……おのれええええええええ!!!』



だが。

デビルマンティスは、背中の翼を広げ、大空を舞う。

そしてその腹からエネルギーを結集させた光線を、グレート目がけて放つ!



春斗「うわ、来るぞ!」

冬賀「ダメだ、間に合わない!」

勇気「っ!?」



危険を察知した勇気だが、上空からフェニックスがグレートの前に突撃!

光一、健太郎、真弓が天に向けダイチェンジャーを構える!



真弓「光ちゃん!!」

健太郎「行くぜ!」

光一「おう!フェニックスダイガード!!!」



天より緊急飛来した不死鳥大正盾・フェニックスダイガードが、その光線を力づくで防ぐ!!



勇気「光一!」

光一「ぐぬぬぬぬ……!」



受け止めるフェニックスだが、その足がどんどん後ずさり。大地にめり込んでいく。



光一「―――負けるかあああああああああ!!!」



しかしその光線を、フェニックスが火事場の馬鹿力で上空へ吹っ飛ばす!



デビルマンティス『な、なんだとぉ!!?』



しかも、その光線を撃った反動でデビルマンティスは動けない!

自分の光線に自分で当たってしまった。



デビルマンティス『ぐぎゃあああああああああああああ!!?』



それを見た2体の最強超神が、叫ぶ!



ガイザー・ザ・グレート「―――今だ!!!」

フェニックスダイセイオー「―――いくぜ!!!」



勇気は、ブレスをファイナルモードに。

光一は、ダイチェンジャーを再びガンモードに変形させ。



勇気「こい、ファイナルソード!!」

光一「フェニックスカリバー!!」



必殺の剣を、お互いに出現させる。



勇気「お前の剣と、俺の剣!二つを合わせるぞ!」

光一「わかってます!」



グレートの手に持ったファイナルソード。

そして、フェニックスダイガードから延びるフェニックスカリバー。

二つの剣先が一つに重なり、猛烈な炎の渦があふれる!



勇気「いっけぇ!!」

光一「神・大胆双剣!炎熱撃ィィィィィィィィィィィ!!!」



その剣先が、デビルマンティスを包み込み。

身動きの取れないデビルマンティスの体を焼き尽くす!!



デビルマンティス『ぐあああああ?!こ、これが、これがあああ!!』

勇気「さぁ、決めろ!光一!!」



炎の渦に捕まっているデビルマンティス目がけ。

フェニックスダイセイオーが、黄金に白熱化したフェニックスカリバーを構えて突撃!



光一「フェニックスジャスティスクラアアアアアアアアアアアアッシュ!!!!!」



そして。

その黄金の剣で、

デビルマンティスの体を十文字に切り裂いた!



デビルマンティス『お、俺は……俺は……世界を、手に入れ……ぐああああああああああああああああああ!!!!!!!!』



その言葉と共に。

ギマンティスは、今度こそ大爆発!

跡形もなく消え去った!



光一「大胆正義!フェニックスダイセイオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

勇気「光にだかれて、永遠に眠れ!」



そして、その決め台詞と共に。

今回の戦いも、ゲームセットだ!


……すると。

フェニックスダイセイオーの体が、淡く光りだす。



光一「あ、あれ?」

フェニックスダイセイオー「過去へ飛んだギマンティスがいなくなったので、私達も未来へ戻るのだろう。」

涼牙「もう、お別れなんだ。」

優奈「なんだか、寂しいなぁ。」

勇気「未来へ戻っても、しっかりやれよな!俺たちが守る地球なんだ。頼むぜ!」



ガイザー・ザ・グレートの右手が差し出される。



光一「はい!俺たちも、頑張ります!」



フェニックスダイセイオーも、その右手にこたえるために右手を差出。

がっちりと、握手をした。

その直後。

フェニックスダイセイオーは、消えていった。


勇気「・・・じゃあな!!」

光一「・・・また、いつか!!」



そこに残されたのは、夕焼け空に照らされたガイザー・ザ・グレートだけだった。



勇気「大胆正義、ダイセイオーか・・・!」

陽葵「なんだか、不思議な一日だったわね。」

勇気「あ、そうだ。」



・。

そして、55年後。

父島、満天町。

そこへ戻ってきたダイセイオーは、到着とともに光となって消えていった。



光一「ありがとう、魔弾超神グレンガイザー!」



・・・。

こうして、文字通り時空を超えた正義の戦士たちの激闘は幕を閉じた。

だが、この時の出来事をどこかの誰かさんが書物にして、日本のどこかに埋めたことは、誰も知らなかった。



涼子「……ふぅ。こうすれば、誰かが気づくでしょう。未来からの出来事なんて大事にはできないし、ね。」



・・・その、どこかの誰かさんが書き記した書物を発見したのが。



若き日の磯部山「こ、これは……これはああああああああああああああ!!!」



これまた、どこかの誰かさんだったのだ。

時間は未来へと進む。

過去から未来へ、いつまでも。

だが。

その道が、たまには寄り道をするときだってあるよね。

未来を守るための、寄り道ならば。



光一「……さぁて!俺たちも、先輩たちに負けないように頑張らねーとな!!」

優奈「ええ!」

涼牙「今頃皆さん、平和に暮らしてるかなぁ……。」

健太郎「55年後だからなぁ。どうだろうな。」

茜「きっと、平和に暮らしてるですよ!」

真弓「……だといいわね。」



そんな時。

島の海岸に、一つのビンが。

それは。

映画冒頭に、光一が裂けた流れ弾でできた砂浜の穴の中から出たものだった。



光一「……これって……?」



光一は、それを拾い上げる。

その瓶の中には。



―――俺たちは、平和を守ったぜ!!!―――



という、一言の古びた手紙と、一枚の写真が飾られていた。



優奈「光一。帰るよー!」

光一「……ああ。今行く!!」



光一は、その手紙を大事にビンにしまい、ポケットに入れた。



光一「先輩。俺たちも今、頑張ってるぜ!!!」



……正義のために過去未来、時間のあちこち飛んでゆく。

我らのヒーローダイセイオー。

これからも戦え、大胆正義ダイセイオー!

おわり。



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Comments

青木林

2作が文字通りの地繋がりだと確定しましたね。まさか涼子先生がしたためた書物を校長が発見するとは・・・まさに全てはここから始まった、でしたね。

エノマー

せっかくだからつなげときました(だから魔弾超神を公開してないとこれも公開できなかったわけです

青木林

それにしても陽葵・・・誘拐に定評のあるメインヒロインに(汗)