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Content


・・・。

神秘で広大な宇宙。

そこに広がる太陽系・地球。

地球には、一つの衛星がある。

それがこの、月だ。

月は、今では荒れ果てた荒野と化している。



だが。



その昔。

月に、人類が住んでいたという事実が存在していたら。

君は信じることができるだろうか……。



これは、宇宙にはびこる悪と戦う、超輝星ゼクスライザーと、その仲間たちの物語である。



劇場版・超輝星ゼクスライザー「星と月夜の銀水晶」




・。



気が付くと俺は夢の中にいた。

でもそれは夢ではなく、現実のように感じるほど、リアルで鮮明だった。



『あれ?』

『え?』

『君……誰?』



そこには幼い頃、出会ったある一人の女の子。

その女の子は、俺と同い年のはずなのに、どこか大人びている。

まるで次元の違うような、そんな感じがした。



『君、名前は?』

『ごめんなさい……。私の名前……教えちゃ、いけないんだって……。』

『そっか……。でもなんで?』

『わからない。お父さんが、そうしなさいって。』

『ちぇ。せっかく知り合ったっていうのに……。』

『……あなたは?あなたの名前は?』

『俺?俺は神奈正義っていうんだ!』

『正義……くん……?』

『おう!』



……少女は、俺の顔を見ると顔を明るくしてくれた。



正義『それで君、家は?』

『わからないの。私、わからないの……。』


どうやら、迷子らしい。

こりゃお手上げかしら。



正義『…………。』



その回答に、何もできずに立ちすくむ俺。

だけど……なにかができるはず……そう思って、俺は言った。



『じゃ、家に来ない?』

正義「……はっ!??」



・。



寝汗とともに起き上ったのは、言わずと知れた主人公。

神奈正義だ。



正義「夢……?でも、なんで……??」



寝汗をぬぐい、うちわで体をあおぐ。


今は9月下旬。

暑さも和らいでいるはずなのに、暑い夜だった。



正義「あの子は……確か……。」



そして時間はまだ3時。深夜の。



正義「・・・しゃーない、散歩しながら眠気を復活させようかな。」



タンスの中の家族や、それぞれの部屋にいる家族、そして外の小屋で汗かいて寝てるであろうペットを起こさないように注意しながら、正義は外へと出ていった。



・。



輝町には、ひときわ大きな公園がある。

そこそこ広く、ちょっとした穴場スポットである。



正義「ふぅー……。」



ちょっと歩いてそこまでたどり着いた正義だったが、余計に眠気が消えてしまっていた。



正義「ちょっとコーラ飲みすぎたかな……。」



ふと空を見上げると、その日は満月だった。

同時に、その公園にある巨大なクリスタルが正義の目に入る。

それはとても大きく、月の光を反射して透き通っていた。

どっからこんなのを持ってきたんだろう。

気になってしょうがない。


正義「あでっ?!」



ふと、大きな風が吹き、空き缶が頭に当たった。



正義「まったく、ちゃんと捨てろよな……。」




ゴミ箱に空き缶を捨て、ふと見上げた空には、見慣れない光景が目に入る。



正義「あ…………。」



この町には場違いな、とても高そうな服。

高そうで、

高貴で、

華やかで……。

何より懐かしい。


そんな感じがする服を着た、女の子が立っていた。



正義「今の今まで誰もいなかったはずなのに……。」



すると。

その少女と、目があった。

目を合わせた瞬間から、離してはいけないような気がして、離せない。




「久しぶり……。」

正義「え?」



幻聴だろうか。何かが聞こえたような、聞こえなかったような……。

何だか落ち着いた、静かな空間。

突然、風が吹いた。



・。



正義「……朝、か。」



ふと気が付いたら、いつのまにか家の布団のなかにいた。

なんでだろう。記憶が飛んでる。たぶん、アレは夢か幻だったのだろう……。



正義「って、しまった!!」



今は朝の7時。

身支度を含めると、学校に行くにはぎりぎりの時間となっていた。



愛「兄貴遅い!!」

正義「わ、悪い悪い!」



パジャマからジャージに着替え、さっさと下へ降りると、お玉が脳天に一発。

正義の妹・愛からのものだ。



愛「お父さんはもうとっくに出社、お母さんはあと一週間帰ってこないんだからさ。何度もごはんを温める身にもなってよね。」

正義「わ、悪い悪い……!」



とにかく席につけ、という愛の言葉とともにテーブルに着く。

その時。


朱雀「あーあ、正義怒られてるー。」

白虎「うわぁ、いたそー。」

玄武「大方夜更かしでもしたんでしょう?」

青龍「でも、昨夜は暑かったですからね。寝付けないのも無理はありませんよ。」



四方から飛んでくる女性の声。

能天気で明るい朱雀、

頭脳明晰な青龍、

いつも元気な白虎、

お淑やかな玄武。



最近正義の家に住み着いてる4人娘だ。

何故こんな美人娘が4人も、彼の家に住み着いているのか。

それは……。



・。


正義「しっかし、成り行きで引き受けたとはいえ、学生とヒーローの両立は楽じゃあねぇなぁ。」

朱雀「あはは、そりゃそーだ。」

正義「お前はいいよな、気楽で。」

朱雀「あたしだっていろいろ考えてるよー?!」

正義「例えば。」

朱雀「今日の夕飯何かなー、とか。」

正義「・・・。」



聞いた俺がバカだった。

そんなことを思う、通学路の正義だった。



朱雀「あ、優里奈ー!」

優里奈「あ、みんな。おはよう。」

朱雀「おっはよー!」

青龍「おはようございます。」

玄武「おはよう。」


みんなにあいさつしたのは、正義のクラスメイト・相川優里奈。

正義のあこがれの子でもある。


優里奈「正義くん、おはよう。」

正義「あ、ああ、おはよう。」



あいさつしただけで赤面する二人。

もう爆発してしまえといった空気だ。

すると。



正義「……なんだ?」

青龍「正義さん?」



正義が、何かに感づいた。



正義「何か、降ってくる。」

玄武「何かって、何?」



直後。

空から、謎のジェット機が飛んできた!

そしてそれを追いかけるのは……!



『マテマテェェェェ!!!』


マジックハンドを携えた気球の怪物だった。



正義「次元獣!!」



そしてその怪物は、そのジェット機を捕まえようとする。



玄武「アイツ、何をするつもり?!」

正義「なんだかわかんねぇけど、次元獣の仕業なら黙っちゃおけねぇ!行くぞゼクス!!」



正義は、左腕のブレスレットの中央のボタンを押す。

直後。

神奈家のガレージから、神奈家の自家用車が発進!

犬小屋で寝ていた犬・ルイもびっくりするほどのスピードで。




そしてあっという間に現場へ到着したその車に正義が乗り込み、



正義「チェーンジ!ゼクスライザー!!!」




その車が、一瞬でロボットへと変形!!

・・・そう。

何を隠そう正義は、正義のロボット・ゼクスライザーとして、日夜悪のジゲン帝国と戦っているのだ!!



正義「どっせぇぇい!!」



その変形の勢いを利用して、次元獣へと飛び蹴りを見舞う!

そしてそおのまま、次元獣とともに空の上へ!



正義「やい次元獣!性懲りもなく出てきやがって。地球の平和を乱すことは、この俺が許さねぇ!!」



高らかに前口上を名乗るが、気球次元獣はそれをお構いなしに籠の中からミサイルをぶっ放す!



正義「うげ?!」



それを何とか交わすゼクスだったが、地上で戦っていては被害が出てしまう!

・・・地上では。



優里奈「正義くん……。」

玄武「このままじゃまずそうね。私が行くわ。二人は学校で、釈明をお願い。」

朱雀「う、うん!」

青龍「気を付けて。」

玄武「任せなさい!」



・。



正義「くそっ、近づけねぇ!」



さら地へと次元獣をおびき寄せたゼクスだったが、次元獣からのミサイルの雨はやむことを知らず、ゼクスはそれを撃ち落とすので精いっぱいであった。

だが、一瞬ミサイルの雨が止んだ瞬間をゼクスは見逃さなかった!



正義「今だ!インパクトフラッシュ!」



ゼクスは爆風の中から飛び上がり、胸から光線を発射!

だが気球次元獣はそれをたやすくかわし、マジックハンドをロケットアンカー付きで飛ばし、ゼクスを拘束!!



正義「しまった!」

玄武「ゲンブキャノン!!」



しかし!

そのマジックハンドを、一対の強力な大砲が破壊した!



正義「玄武!!」

玄武「お待たせ!時間もないし、さっさと決めましょう!」

正義「おう!」



すると、ゼクスと亀型メカ・ゲンブが上空へ飛び上がる!



正義「フレーミングノヴァ!!」

玄武「ガトリングスマッシャー!!」



そして弾幕の渦を張り、次元獣を一時動けなくする!



正義「疾風合体!!」



その瞬間を見逃さず、ゼクスの手からエネルギーがほとばしり、それをゲンブに発射!

そのエネルギーを受けたゲンブは大きな上半身へと変形し、ゼクスも下半身へと変形!!



正義「トランスアップ!!」



そしてその二つが合体し、深緑に彩られた、砲撃の巨人が誕生した!!



正義・玄武「「疾風合体!ゼクスゲイザー!!」」



その名は、風の巨人・ゼクスゲイザーだ!!



玄武「ゲイザーカノン!!」


そのゼクスゲイザー頭頂部の主砲が気球次元獣に炸裂し、大地に叩き付けられる!



玄武「今よ正義!!」

正義「おう!」


そしてゼクスゲイザーは、脚部からアンカーを展開。

さらに、全身に内蔵された重火器を解放し、次元獣に照準をセット!



正義「いっけぇ、グラウンドファイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」



そのすべての火器を一斉に次元獣に向けてぶっぱなし、次元獣は跡形もなく消え去った!!



正義「超輝星!ゼクスゲイザァァァァァァァァァ!!」




そして、高らかに勝ち名乗りをあげる!

だが。

先ほどのジェット機が、今度こそ地上に落下してくる!


正義「このまま落ちたらあのジェットはやばい、受け止めよう!」

玄武「ええ!」



ゼクスゲイザーは、そのジェットをなんなくキャッチ!



玄武「あれ。」

正義「どうした?」

玄武「中に生命反応が一つだけしかないわ。」

正義「なんだと?」




そのジェットの、オレンジ色で覆われていたキャノピーが開けられた。




正義「げ!!?」




そしてその中には。


正義の夢の中に出てきた、そして昨夜であった、あの少女にそっくりな子が乗っていた。



・。


その少女は、ソファーの上で目が覚めた。



亜美「こ、ここは……?!」

正義「俺の部屋。」

亜美「あ、あなたは……?!」

正義「俺は神奈正義。」

亜美「神奈……正義くん?」



その少女は、不思議な表情をした。

正義は、なんとなくその意味を理解した。



青龍「お目覚めですか、御荘亜美さん。」

亜美「ど、どうしてその名を?」

青龍「すいません、少し、荷物の中の身分証明書を見させてもらいました。」

朱雀「ごめんね。でも、あんなジェットから落っこちてきたんだもの。ちゃんとお父さんお母さんに連絡して上げなきゃって思って。」

玄武「でも、連絡先も何も書いてないから、ちょっとびっくりしたわ。何があったの?」


すると、残りのメンツもリビングへ。


亜美「あなたたちは……。」

白虎「あたしたちは、おにいちゃんの居候。」

亜美「居候……。」



正義「与太話は置いといて。さっきはどうしたんだ?」

亜美「さっき?」

正義「さっきの次元獣だよ。アイツは君を襲っていた。何か理由があるんじゃないのか?」

亜美「ま、まさか、正義くん……。」

正義「ああ。隠す必要もないから言うけど、俺がさっきのゼクスライザーに乗ってた。」

亜美「ホ、ホント?!」

正義「ああ。」



それを聴くと、亜美はいきなり起き上がって、正義に詰め寄った!



亜美「お願い!私の国を救って!」

正義「へ?!」



・。



宇宙に停滞している巨大な要塞。

ジゲン要塞だ。



ケンダー「ワルダム様、ワルダム様!」

ワルダム「なんだケンダー。騒々しい!」



そこに住んでいる、異次元人。

戦闘隊長ワルダムと、その部下ケンダー。

そして、ワルダムから分離した女性・ファルダム。



ケンダー「どうやら地球に、謎の次元獣が出現したみたいですだぁ!」

ワルダム「なんだと?」

ファルダム「それは本当か?」

ケンダー「これ見てくださいだぁ!」



すると。

ケンダーは、地球で拾った新聞を見せた。

正義の父仁一が作った新聞である。



ワルダム「バカな!次元獣が出現したならばこのレーダーが反応するはずではないか!」

ファルダム「それに、我々以外の力で成体へと成長するなど……!」

ワルダム「……まさか!!」



「そのまさかだよぉ、ワルダムちゃん!」




その声とともに突如、ジゲン要塞の中に、一人の異次元人が出現した!!



ケンダー「ひゃあ!?」

ワルダム「貴様……アクドーザ!」



それは。

正統派の騎士然としたワルダムとは対照的な、武士のような人間が立っていた。

その名を、アクドーザ。



アクドーザ「久しぶりだねぇワルダムちゃん。聞いてるよぉ、百戦錬磨のお前が、辺境の星一つ落とせずに足踏みしてるってなぁ!」

ワルダム「・・・。」

アクドーザ「ま、俺の管轄する銀河にはこんなきれいな星はねぇからなぁ、苦労するのもわかるぜハッハッハ。」



ワルダム「……要件はなんだ。貴様は100光年先の銀河の管轄のはずだ。」

ファルダム「この太陽系に手を出すなら、容赦はしないぞ。」

アクドーザ「おおコワイコワイ。いやね、見つけちゃったんですよ。宇宙に伝わる伝s熱のお宝ってやつをね。」


ワルダム「お宝……だと?」


アクドーザ「この宇宙に、200年周期で存在するといわれている神秘の秘宝!その名も『星の涙』!手にしたものの願いを一つだけかなえてくれるっていう便利なものでさぁ。」



ファルダム「それとお前の太陽系侵入が、何の意味がある!」

アクドーザ「見つけたのは、あの月でさぁ。」


ワルダム「なんだと!?」

アクドーザ「でもそこには、エネルギーの残りカスしかなくて。ちょいと地球と月を調べたいなぁ、なんて思ってね。」

ワルダム「そのために、我々の任務の邪魔をするというのか!?」



その時。



ワリーザ『ワルダムよ!!!』



ジゲン要塞に、皇帝ワリーザが出現した。



ワルダム「ワリーザ様!」

アクドーザ「ワリーザ様、久しぶりでさぁ。」



ワリーザ『今回のアクドーザの任務、ワルダムたちは手出し無用!』

ワルダム「なぜですか!?この太陽系制圧の任務は、我々の役目のはず!」

ワリーザ「お前はその任務を引き続きおこなえ!いわばこれは、邪魔者排除の手助けのようなものだ。」

ワルダム「邪魔者……?」

ワルダム「今まで散々邪魔をしてくれたあのにっくきゼクスライザーを、奴に始末してもらおうではないか!」



ワルダム「っ!?」



ワリーザ「そしてその秘宝の願いを受ければ、我の全世界制圧も夢ではない!!」

アクドーザ「ってなわけで、手土産、期待しててくんなぁ、あばよ!!」



アクドーザは、地球へと消えていった。

ワリーザも、次第に消えていった。



ワルダム「愚か者が……!奴らの底力を、甘く見ているな……。ゼクスライザーは、私が倒す……!!」



ワルダムは、一人つぶやいた。



・。




神奈町市民公園。



「「「「「なぁにいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!???」」」」」



ゼクスチーム5人のすっとんきょうな声が、響いた。



正義「じゃあ、君は、月から来たっていうのか?!」

亜美「はい。信じては、くれないでしょうけど。」

朱雀「月って、あの、空に上がってる月?!」

亜美「そうです。」



亜美が、空の月を指さす。



亜美「我々月人は、500年前まではあの月の上で高度な文明を持ち、平和に暮らしていました。しかしある時、宇宙に伝わる伝説の秘宝を巡って、内乱が起きたのです。」


青龍「内乱……。奪い合いが、起きたんですね……。」

白虎「でもでも、その、伝説の秘宝って何?」

亜美「月の涙、と言われる、手にしたものの願いをかなえるといわれている秘宝です。仕組みはいまだ解明されておらず、200年周期に生まれるものです。」


玄武「自分の願いをかなえたい人間の、欲望が争いを生んだってわけね。」

朱雀「でもでも、そんなこと、あたし達に言っちゃっていいの?」

亜美「だってあなた達、ゼクスチームなんでしょ?だったら知っていてほしいもの。それに。」

正義「ん?」



亜美は、正義を見る。



亜美「あの時あった正義くんが、まさかゼクスライザーだったとは思わなかったけどね。」

正義「あの時って……。」



亜美は、正義の手を取る。



亜美「あの時は自己紹介できなくてごめんなさい。でも今ならできるよ。あたしは御荘亜美。改めて、初めまして。正義君!」

正義「あ?あ、ああ……。」



満面の笑顔の亜美。

昔から変わらない、あどけない顔だった。



しかし。



正義「あでででででで!!?」



青龍と朱雀が、正義の両ほほをつねっていた。



正義「お、おまえら、なんで!?」

朱雀「なんとなーくでーす。」

青龍「おーなじーくでーす。」



二人の顔は笑っているが、怒りマークが顔や頭にへばりついていた。



玄武「おやおや正義。いつの間にこんなかわいい子を手なずけたのかな?」

白虎「うっわー、愛おねえちゃんや優里奈おねえちゃんにも教えてあげよーかなー!」

正義「おわ、白虎、それ俺死ぬ!死んじゃうからいろんな意味で!!」



亜美「・・・。」



それを、あっけにとられてみる亜美だったが。



亜美「ふふっ。」

正義「んが?!」

朱雀「ん?」


亜美「ふふふ……。」



笑い出してしまった。



朱雀「ほらー、正義が変な顔するからー。」

正義「その原因を作ったのは誰だ!?」


亜美「あ、ご、ごめんなさい。変な意味ではないんです。こんなに仲がいい人たちを見るのが、久しぶりで。」

青龍「久しぶり……ですか?」

白虎「どういうこと?」


亜美「今、月の表面は荒れ果てた砂漠になってますよね。」

玄武「ええ。」

亜美「でもその内側には、小さいですが、王国があるんです。」

玄武「王国?」

亜美「そして、そこで例の秘宝を保管しているのですが、最近その噂をかぎつけた悪い人が、王国を狙っているんです。」



正義「だから、助けてください、か……。」

亜美「お願いです。どうかあなたたちの力を、貸してくれませんか?」



どうする?

といった顔で4人を見る正義。

すると4人は。


朱雀「あたしは賛成!地球も月も一緒だよ。困ってる人がいるなら、助けてあげなきゃ!」

青龍「それにその秘宝っていうのも気になりますしね。」

白虎「あたしも行きたーい!そんでもって、月の石もって帰りたーい!」

玄武「それに、月旅行なんてめったにできないわ。いい社会勉強にもなるんじゃない?」



いろいろ感想は違うが、意見は一致したようだ。



正義「よし、決まりだ。あ、でも、月までどうやって行くんだ?」

朱雀「あ、そっか。亜美ちゃんが乗ってたジェット機、壊されちゃったもんね。」

青龍「四聖獣の力でも、大気圏突破ができるのはスザクとセイリュウだけですから、みんなが宇宙に行くまでには3時間程度はかかりますよ。」

亜美「それなら大丈夫ですよ。」



白虎「大丈夫って?」

亜美「あれです。」



亜美が指差したのは、公園に存在する巨大なクリスタルのオブジェクト。



正義「あれが、どうしたんだ?」

亜美「実はあれ、昔に月の科学力で作った、巨大トランスポーターなんですよ。」



さらっとすごいことを言ってのける。



正義「と、トランスポーター!!?」

青龍「物質転送器ってことですか……しかもあんな巨大な?!」

亜美「ええ。月にも同じものがあって、その区間を簡単に往復できます。」

白虎「月って、スッゴイんだねぇ……。」



さすがに、唖然とする5人。

クリスタルに入口があるというのも驚きだし、それがトランスポーターというのも、さらに驚きである。



亜美「なので、必要なものは全部、これで運べます。」

正義「よ、よし、じゃあさっそくゼクスを……!」

「そうはいかんざき!!」




その声とともに。

6人の前に、

アクドーザが出現した!!



正義「誰だ!」

アクドーザ「俺はジゲン帝国幹部の一人、アクドーザだ!!」



律儀に自己紹介。



玄武「ジゲン帝国の幹部!?」

正義「ジゲン帝国にも、人間がいるのか!?」


アクドーザ「ああ、だいたいはこんな姿だよ。違うやつは違うけど……って、なんでそんなこと答えてんだ俺?」



なんというか、アクドーザ。

口調が軽い。



亜美「あなた……あなたね!月の王宮を破壊しようとしたのは!」

アクドーザ「お、月の王国の王女様!探したぜ、こんなとこにいたのか!!」



月の王女様。

さらっと言ったが。



正義「な、なに!!?」

朱雀「亜美ちゃんが……!?」

青龍「月の?」

白虎「王国の?」

玄武「王女、さま!?」



アクドーザ「まぁいい、さっきはジェットごと奪おうと思ったが、目の前にいるんだったらそのままさらってやるわ!!」



アクドーザは懐から、水色のクリスタルを取り出し、



アクドーザ「いでよ、カオスドルーガ!!!」



そのクリスタルが光に包まれる!



正義「あ、あれは……!」



そして。

そのクリスタルが、カオスファウストにそっくりなロボットへと変形していた!!



朱雀「あのロボット……カオスファウストそっくり!」

青龍「アレはきっと、次元帝国の幹部クラスに与えられる機体なのでしょう……。」

白虎「うわぁ、来る来る!?」



アクドーザが乗り込んだカオスドルーガが、動き出す!



玄武「こりゃうかうかしてるとこっちまでつぶされちゃうわ!?」

アクドーザ「さぁ少年、その王女様を渡せ!」



ドルーガの手が、亜美に迫る!



正義「それこそそうはいかんざきだ!」


だが!

主人公の正義がそれを許すはずもなく、ブレスのボタンが押される!



アクドーザ「む?」



直後!

カオスドルーガに一台の車が体当たり!!



アクドーザ「うおおお!!?」



もちろんその車とは、ゼクスだ!

そしてドルー画が倒れたすきをついて、正義が乗り込む。



正義「ここは俺が何とかする!お前らは早くトランスポーターを起動させろ!」

亜美「え、でも……!」

正義「いいから!任せろ!!」

亜美「……!」



青龍と玄武がアイコンタクト。

亜美の手を取り、走り出した。



青龍「お願いします、正義さん!」

玄武「頼んだわよ、正義!」

正義「合点承知の助!」

白虎「おにいちゃん!あたしも手伝う!!」

朱雀「あたしもいくわ!」



空と大地から、スザクとビャッコも応援に駆け付けた!!



・・・。



トランスポーター内部の廊下。



亜美「ど、どうして……!」

青龍「正義さんは、あーゆー人です。」

玄武「誰かのために体を張って頑張れる。それがアイツのいい所よ。」

青龍「だから、あの人の努力を無駄にするわけにはいきません。とにかく、月へ行くことが最優先ですから。」


亜美「……。」


亜美も、何となく理解した。

あの人の、底抜けの正義感を。


亜美「変わってないなぁ。」

青龍「え?」

亜美「いえ。行きましょう。制御室は、この奥です。」




・・・。



再び、戦場。



正義「チェーンジ!ゼクスライザー!!」



車が人型ロボットへと姿を変える!!



アクドーザ「いてて……って、なんじゃありゃ!?」


正義「やいジゲン帝国の幹部!月の土地を荒らし、あまつさえ秘宝まで奪おうとはふてぇ野郎だ!このゼクスライザーが相手になるぜ!!」


アクドーザ「あいつが、ゼクスライザー……?面白い!!」



直後!

ドルーガの拳が、ゼクスに迫る!



正義「おっと!?」



それを素早い身のこなしで避けるゼクス。

ドルーガの攻撃はファウストよりも強力だった。

地面には、でっかい亀裂が。



正義「パンチ一発であんな威力かよ……。」

アクドーザ「おらおらどうしたぁ!」



そして何度も繰り出されるパンチの嵐に、ゼクスは防戦一方!


朱雀「ブリッドバルカン!」

白虎「フリージングローター!」


スザクとビャッコも援護をするが、ドルーガの巨体にはまるで歯が立たない!


アクドーザ「かゆいかゆい!お前らの力はそんなもんか!ワルダム目、こんな雑魚相手に何を苦戦していたのだ!?」

正義「くそっ、パワーにはパワーだ!白虎、来い!!」

白虎「合点!」



すると。

ゼクスとビャッコは飛び上がる!



正義「トランスアップ!!」


そしてゼクスが上半身、ビャコが下半身へと変形、そして合体!


正義・白虎「「雷電合体!ゼクスフィクサー!!」」


雷の巨人・ゼクスフィクサーの誕生だ!!


アクドーザ「合体だと!?」

正義「どっせええええええええええええい!!」



ゼクスフィクサーが、驚いて隙ができたカオスドルーガの顔に拳を見舞う!



アクドーザ「うおお!?」



力の巨人でもあるゼクスフィクサーのそのパワーには、カオスドルーガも吹っ飛んだ!



アクドーザ「やるな!ドルーガファイヤー!!」



ドルーガの胸から火炎が飛ぶが!



正義「タイガーバースト!」



フィクサーの胸の虎の顔からも火炎が飛び、相殺!

そしてその爆風の中から、



正義「フィクサーショルダーアンカー!!」



アンカー付きのスパイク攻撃が飛ぶ!



アクドーザ「舐めるなぁぁぁぁ!!」



だがドルーガは、そのアンカーを掴んだ!


アクドーザ「どうだ!」

白虎「引っかかったね!」

正義「それぇぇぇぇ!!」



だが。

ゼクスフィクサーは、その場で宙に舞い、

アンカーを巻き戻した!!



アクドーザ「!?」



本来ならばフィクサーのところへ戻るアンカーだが、今はドルーガが掴んでいる。

つまり、

ゼクスフィクサーの本体がアンカーの元へ戻っていく!

そしてそれは、

ドルーガの元へ膝蹴りをする結果になった!!



アクドーザ「うおおおお!!」



そして再び吹っ飛ぶドルーガだった!

直後、青龍からの通信が。



青龍『正義さん!』



・・・。


トランスポーター内部。

青龍と亜美が、コンソールで作業していた。



青龍「あと5分で移動を開始します!急いでクリスタルの近くへ移動してください!」

玄武「有効範囲はクリスタルの半径5メートル。急いで!」


その近くには、ゲンブとセイリュウもすでに待機していた。


・・・。



正義「よし!」



しかし、ドルーガはしぶとく立ち上がってくる。



白虎「どうする、おにいちゃん!」

正義「一か八か、考えがある。朱雀、お前は先にクリスタルへ!」

朱雀「う、うん!待ってるからね!」

正義「おう!」



スザクも移動を開始した。

残るは、フィクサーのみ。



アクドーザ「ゼクスライザーか……。なかなかやるじゃない!これならワルダムが苦戦するのも無理はないか……!」



するとドルーガは、手から剣を取り出しゼクスフィクサーに接近!

何度も切りつけようと攻撃を繰り出す!



アクドーザ「さっきの勢いはどうしたぁ!」

正義「悪いが決着は後回しだ!!」

アクドーザ「何!?」



直後。

正義はドルーガの剣を白刃取りする!

そして、フィクサーのその胸から!



正義「フィクサースパイダーネット!!」



光の網を作り出し、ドルーガにかぶせる!



アクドーザ「な、なんだと!?動けない……!」



がんじがらめのドルーガは、身動きが取れずに倒れこむ。

そしてそれを、フィクサーは掴んで、ぶん回す!!



正義「お前とは、しばらく会いたくないんでな!太平洋のど真ん中で昼寝でもしてろ!!」



そしてハンマー投げの要領で、大海原目がけて大遠投!!!



アクドーザ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!???」



白虎「おにいちゃん急いで!あと30秒だよ!!」

正義「おう!」



そして走り出すゼクスフィクサー!!

有効範囲まで、あと500m!



朱雀「あと20秒!」



300m!



青龍「あと10秒!」



200m!



玄武「あと5秒!」



100m!




白虎「あと2秒!?」

正義「こうなりゃ、ブースター出力最大だ!!」

白虎「うん!!」



ゼクスフィクサーは体から火花が散るほどのブースターを付加し、クリスタルの表面にギリギリふれることができた!



亜美「ワープします!!」



そしてゼクスチームは、なんとか月への旅路を開始することができた。




・。



『ついたぜ!これが俺の家だ。』

『・・・。』

『どうしたの?』

『見慣れないものばかりだから……。』

『へー。君、どんなとこに住んでるんだ?』

『えっと……。』

『まぁいいや。今はちょっと家族みんないなくてさ。暇だったんだ。』

『一人?』

『さっきまではな。でも今は、一人じゃなくなっちゃった。』

『・・・。』


『よし!俺が、この町をいろいろ案内してやるよ!で、この町のこと、いろいろ教えてやる!』

『う、うん!』



・。



それから5分程度。

そんな短時間で、正義達は月側にあるトランスポーター施設へとやってきていた。



白虎「あ、止まった?」

玄武「え、もう着いたの!?」

正義「驚きの速さだな……。」

青龍「これが、月の内部……?」

朱雀「うわぁ、すっごい!あたしたち、ホントに月に来ちゃったんだね!」

亜美「さあ、こっちです。王宮へ案内します。」



・・・。

王宮へと続く道。


そこでは、数少ない人々がつつましやかに生きていた。

まるで、下町の商店街だ。



白虎「すっごいなぁ。月の内側には、空気も水も、重力もあるなんて……。」



そう。

この空間には、酸素はもちろん水もあり、そして、重力もある。



青龍「これも過去の技術のたまもの、ということでしょう。表面にはない酸素も水も合成できるなんて……すさまじい科学力ですよ。」



さすがに技術を教えられることはできない、と言われてしまったが。



正義「福田さんが知ったら大特ダネだ!って走ってきそうだな。」

亜美「それは無理ですね。」

玄武「あら、どうして?」

亜美「ここへつながるゲートは、普段は厳重にガードされています。外敵からの侵入だけでなく、酸素の漏えいを防ぐため、というのもありますが。」




そして。

その道を歩くたび、


「王女様!」

「王女様だ!」


という声が。



正義「ホントに王女様だったんだな、亜美。」

亜美「え、ええ。黙っていてごめんなさい。なにせ極秘事項なので……。」



『ごめんなさい……。私の名前……教えちゃ、いけないんだって……。』



正義「そっか。だからあの時も……。」

亜美「うん。その時は、本当にごめんなさい。」

正義「いいってことよ。でも、すっげぇなぁ。」


亜美「え?」

正義「お姫様と昔知り合ってたってのも驚きだし、今こうして又めぐり合えたってのも驚きだし。」

亜美「あたしだって。正義くんがまさか地球のヒーローになってるだなんて。思ってもみなかったわ。」

正義「そりゃ誰だってそう思うだろうなぁ。」


亜美「でもよかった。ゼクスチームの存在を知って、この国に来てほしいと思って地球に来てみたんだけど……。」

正義「そっか。だからあんなジェットで地球に。でもまさか、お互いに知り合いだったとはな。」



こりゃお互い様だ、と笑いあう二人だった。



・。



それから1時間後。



アクドーザ「どりゃあああ!!」



太平洋の海底。

アクドーザが、ドルーガの網を引きちぎった!



アクドーザ「お、おのれゼクスライザー……!貴様をまず、葬ってやるわ!!」



・。



それと同じころ。

正義達は、王宮へとやってきていた。

少し大きい建物、くらいの王宮ではあったが。



正義「う、うわぁ……。」



亜美は、先ほどまでの動きやすい服装から、お姫様の格好へと変わっていた。



朱雀「これが、王女様の衣装かぁ……。」

青龍「確かに、風格ありますね。」

白虎「おねえちゃん綺麗……。」

玄武「どうしたの、正義。見とれちゃってる?」

正義「う、うるせぇ!?」



亜美「父上。ただいま戻りました。」

国王「よく戻ったな亜美。お前のジェットが破壊されたと聞いて心配しておったのじゃ……。」



この人が国王。

亜美のお父さんだ。



国王「そちらの方々は?」

亜美「地球人の、ゼクスチームの方々です。」

国王「な、なんと!あの、ゼクスチームの方々とな?!」



正義「俺らって、結構有名なんだな。」

玄武「王様の前よ、しっかりしなさい。」

正義「あ、そうだった。」



正義が一歩前へ出る。



正義「俺がこのチームのリーダー、神奈正義です。」

国王「おお、あなたが……。ん?その名前、どこかで聞いたような……。」

亜美「子供のころ、一度地球へ行った時に知り合った少年です。」

国王「そうかそうか。あの少年か……。まさかこんな形で会うことができるとはな……。あの時は、亜美をいろいろ世話してくれたみたいで、ありがとう。」


国王が、頭を下げた。


正義「あ、いやいや、それほどでも……。」


若干照れる正義。

無理もないか。



正義「それで王様。本題なんですが……。」

国王「おお、そうだな。秘宝のある部屋へ、案内します。」



・。



地下の王宮のさらに地下。

厳重に警備された、金庫室。

監視カメラも捕獲用レーザーなどもある。



朱雀「うっわぁ、スッゴイ厳重な警備だねぇ。」

玄武「そりゃそうよ。一世一代のお宝だもの。」



正義達は、それを解除される識別マーカーをつけていた。



国王「これです。」



国王は、手袋をはめて秘宝の扉を開けた。

損秘宝とは、水晶玉のような丸い、紅い球だった。



国王「子の秘宝は、知ってのとおり。我々の願いを一つ、かなえてくれるというすさまじいものです。」

亜美「手袋などで絶縁してあれば、意識を吸い取って願いをかなえたりはしません。」



朱雀「でもなんで、そんなものが生まれたんですか?」

国王「これは500年前。先代の我らの先祖が、高度になりすぎた文明の力で作り出した、負の遺産なのです。」

亜美「その時はまだ200年周期とかじゃなく、いつでもだれでも、願いがかなえられるっていうものだったらしいわ。」


白虎「負の遺産?願いが叶うならいいことじゃないの?」

玄武「そうでもないわよ。考えて見なさい。もし何かの願いが叶ったらどうする?」

朱雀「そしたら次の願いを……!あ……。」


玄武「そう。願いが叶ったらまた次の願い。そしてまた、次の願い……。どんどん願いというのは生まれてくるものなのよ。」

国王「その通り。人間の欲望には、限りがないのです。そしてついには、それをめぐっての戦争にまで発展した……。ですから我々の先祖は、この秘宝を何とか200年周期で発生させるように封印を施しました。」


青龍「どうして、そのまま破壊したりしなかったんですか?」

国王「このくにそのものも、この秘宝の願いによって生まれたものだからです。」

亜美「だから200年に一度、『この国の平和と安全を』と願い続けてきたのよ。」

青龍「そうだったんですか。だからこの国には酸素も重力も、水も……。」


国王「今から200年ごとのしきたり、その願いを伝えようと思います。」



王様が願を伝えようと手袋をはずした。

しかし!!



「おやおや、こりゃグッドタイミングだねぇ!」



どこかで聞いた声が、金庫室の中で響いた!!



正義「この声は!!」



……そして。

銃声が響いた。



亜美「お、お父様!!?」



直後。

国王の胸に、銃弾が!!



「クックック……これで秘宝は俺のもんだなぁ!!」

正義「貴様……どっから入ってきた!!アクドーザ!!!」



正義達の前には、アクドーザがいた!!

しかも、警備員一人の銃を奪い、それで国王を撃ったのだ!



アクドーザ「おや、知らないのか。俺ら異次元人は特殊体質でねぇ。隙間さえあれば、どんなところにでも出入りが可能なのさ。」


正義「てめぇ……!」


アクドーザ「おめぇだなゼクスのパイロットは。それを知らずに放り投げちゃうなんて、おバカさんだねぇ。」

正義「くっ……!」


アクドーザ「その礼を、今からたっぷりしてやるぜ!!!」



するとアクドーザは。

秘宝を手にして。



正義「バカ、やめろ!今それを使ったら……!!」

朱雀「月の人たちが、大変なことになっちゃう!!」

亜美「お願い、やめて!!」



その声を聴き、アクドーザは。

亜美の元へ急接近し、

笑顔で。



アクドーザ「う、る、せ、ぇ。」



秘宝に、

願いを、

伝えてしまった。



アクドーザ「ヒャッヒャッヒャッヒャヒャ!!力だ……!全宇宙を支配できる力を、俺に!俺によこせえええええええええええええええ!!!」




そのあふれるパワーを手にしたアクドーザ!

そのエネルギー波を受け、地下の世界が、どんどん崩れていく!



アクドーザ「ウヒャヒャヒャ!!さぁカオスドルーガよ、最強の力を手にれロ大オオオオオオ!!!」



そしてアクドーザは、網事カオスドルーガへとテレポートした!!



白虎「ど、どうしよう、どうしよう!?」

玄武「な、なんだかこの空間、やばくない!?」

青龍「200年の節目が終わったら、子空間からは酸素も水も、重力もなくなります!私たちも早く逃げましょう!」

朱雀「で、でも、国王様が……!」



「国王様は私達警備員たちで医務室へ運びます!町にも避難勧告を出しました。あなたたちも、すぐに脱出を!」



警備員たちは、国王をつれて先に避難を始めた。

正義は、拳を握りしめて。



正義「……行くぞ!」


4人に、言葉をかけた。


正義「奴を止める!!絶対にだ!!!!!」



・。



『だ、誰だアンタら?!』

『この方を保護してくれたことは感謝する。だが、これまでにしてもらおう。』

『え……?』

『この方は、我々にとって大事なお方。』

『さぁ、帰りましょう。』


黒服の男が、女の子を連れて行こうとする……。


『ま、待って……。』

『おい、待てよ!?』



・。


ゼクスカーモードで、月の地上と地下唯一の連絡通路を使って地上まで突っ走る正義。

忘れかけていた過去のことを、断片的に思い出してきたようだ。



正義「あの気持ちを、また思い出すとはな……!」

青龍「……見えました!」



月面に、移動したゼクスとセイリュウの前に、巨大化しているカオスドルーガの姿が!!



正義「とにかく、朱雀と白虎と玄武は月の人々の避難を優先させろ!」

朱雀「オッケー!」

白虎「任せてよ!」

玄武「そっちも気を付けてね!」



3匹の獣は、地下の各地で避難作業を開始した。



アクドーザ「おやぁ……来たかいゼクスちゃん!!今度こそお前らを滅ぼしてやんぜぇぇぇぇぇ!!!」



その巨体と威圧に震える二人だったが、それに負けてはいられない!



正義「行くぞ青龍、合体だ!!」

青龍「ハイ!」



月面でゼクスが超速変形!

セイリュウと合体を開始した!



正義「トランスアップ!!」



セイリュウがゼクスを包み込むように合体変形!



正義・青龍「「流水合体!ゼクスドラグナー!!!」」



そして、蒼き水の巨人が誕生!

ちなみに合体すれば、ゼクスは宇宙空間でも活動は可能です。

特に、水中戦を得意とする気密性の高いドラグナーならば問題はない。



亜美「正義くん……!」

アクドーザ「ヒャヒャヒャ、また新しい形態で来たなぁ!!」



開幕一発。

100メートルにまで巨大化したドルーガが、月面に向けて拳を振り下ろす!



正義「な、なんだ!?」



すると!

その拳を中心に、巨大なクレーターが生まれる!!!

そしてその衝撃で、ドラグナーが吹っ飛ばされる!



正義「どわああああっ!?」

青龍「衝撃波だけで……こんな!?」


なんとか体勢を整えるドラグナーだが、目の前に逆の拳が!


正義「くそっ!」


その拳を瞬時につかみ、上空へ舞い上がり回避!


正義「とにかく、あいつら全員がくるまで時間を稼ぐぞ!」

青龍「は、ハイ!」



ドラグナーの腕から光のエネルギーがほとばしる!



正義「ドラグナースライサー!!」



その光がカッターとなってドルーガに炸裂する!

だが、ドルーガの傷はみるみる消えてゆく!



アクドーザ「ウヘヘヘヘヘ、攻撃がすぐに治っちゃう!こりゃ面白いねぇ!!」



そしてドルーガが、宙を舞っているドラグナーを締め上げる!



正義「ぐおっ!?」



そして力任せにブン投げ、月面に叩き付ける!!



青龍「きゃあああっ!?」

正義「ぐはぁっ!!?」



アクドーザ「ふははははは!!」




だが、そのドルーガに3方向から砲撃が!



朱雀「正義!」

白虎「青龍おねえちゃん!」

玄武「大丈夫!?」



救助が完了し、皆は無事脱出用のシャトルに乗ったので、仲間の3人が駆け付けた。

だが。

その砲撃をものともせずにドルーガは暴れる!!



アクドーザ「うるさいハエどもだ……!消え失せろぉおおおおおおおおおお!!!」



・・・。

一瞬のスパーク。



その直後、

月面に大規模な爆発が発生!!!

3体の四聖獣とドラグナーは、吹っ飛ばされた!!!



亜美「みんな!!!」



そして。

その一撃で、皆は意識を失ってしまった……。



アクドーザ「はっはっはっはっはっは!!!これで宇宙は、いや、全次元は俺のもんだああああああ!!!」

亜美「み、みんな…………!」



すると。

広い二階建てコクピットでとらわれている亜美の元へ、アクドーザが。



アクドーザ「さぁ、嬢ちゃん。俺のためにひと仕事してもらうぜ……!」

亜美「な、なんですって……?」

アクドーザ「コイツはなぁ、王家の血を引くものの願いなら、願いがかなえられた後でも、もう一度だけ聞くんだよ。」


亜美「え……!?」


アクドーザ「だからもう一度願ってくんねぇかなぁ?俺のために。力をもっとくれ、ってさ。」

亜美「そ、そんなこと……!誰がするもんですか!!」

アクドーザ「あ?お前誰にそんな口きいてんの?俺様は、今や世界一の力を持つ最強の男だぜ?!」

亜美「だからって……。あたしは絶対、あなたの言葉になんか屈しない!!!」



アクドーザ「あ、そう。」



ため息をついたアクドーザはすぐにあきらめ、

亜美の首元に、ナイフを使づけた。



アクドーザ「じゃ、死んでもらうわ。俺様の願いのキャンセルなんか、されて欲しくねぇからなぁ!!」



アクドーザの手が亜美の首へ振り上げられる!!



亜美「っ!!!」

「スプラッシュ、アロー!!!」



アクドーザ「どわぁ!?」




しかし!

立ち上がったドラグナーのスプラッシュアローが、無防備なドルーガの体を崩れさせた!



そしてその影響でバランスを崩したアクドーザの左腕が右手に持っていたナイフで切れ、その手に持っていた秘宝が亜美の元へ!!



アクドーザ「てめぇ……!!まだ生きてたのか!!!」



……コクピットの中の正義は、流血していた。



正義「約束、したんだよ……!!」

アクドーザ「ああ?」

正義「約束したんだよ……!今度は俺が守るって!!!」

アクドーザ「何言ってんだてめぇ?頭でも打ったか?!」



亜美「約束……!」



・・・。



それは。

子供のころ。

黒服のガードマンに連れて行かれそうになったとき。



『は、離せよ!』

『ちっ、しつこい子供だ……!』



ガードマンが、手を振り上げたその時。


『おやめなさい!!!』



今まで弱気だった子供時代の亜美が。

声を張り上げた。



『彼に乱暴するというのであれば、あなたたちにもそれ相応の対応をさせていただきます!』

『っ……申し訳ありませんでした!』



その威圧により、黒服はその場からいったん姿を消した。



『大丈夫、ですか?』

『君……、強いんだね。』

『え?あ……。』



さっきのことを思い出し、赤面する亜美。



『でも、次は負けない!』

『え?』

『次に君とあって、こんなことになったら。今度は俺、絶対負けない!だから、またこの町に来いよ!俺、待ってるから!!』


『……うん!絶対、絶対行く!だから、待ってて!!』

『ああ!強くなって待ってる!!』



・。



亜美「正義くん……!!」



あの時から、弱気だった自分ではなく、強くなろうと決心した亜美。

あれから10数年。

正義も強くなって帰ってきた。


そして……。



亜美「今の私に、できること……!!」



亜美は、胸にあるブローチを手に取る。

亜美は、母が、以前言っていたことを思い出した。

『このブローチとあの秘宝は、もともとはみんなの希望の結晶なの。きっと来たるべき日に、力を与えてくれるわ』と。



今が、その時だ。




アクドーザ「……死にぞこないの戯言がああああああああああああああああああああああああ!!!」



二発目の矢を簡単に弾いたドルーガが、ドラグナーに迫る!!



正義「くそ、体中にガタがきてやがる……!」



ドラグナーは、そして仲間たちは、動けなかった!!



アクドーザ「死ねエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

亜美「そうはさせません!!!」



すると!!

ドルーガの体から、赤、桃、青、黄色、緑5つの光が放たれる!!



アクドーザ「な、なにぃぃぃ!!?」



その光は、亜美の手にした秘宝からだった!!



亜美「あなたにこの力を使われるくらいだったら!この力……すべてをあの人に捧げます!たとえ、あたしが殺されようとも!!」

アクドーザ「キ、サ、マァァァァァァァ!!!」



そして、亜美は叫んだ!!



亜美「秘宝よ……。王家の願いを伝えます!この邪悪なものよりも強い、正義の力を!あの、5人の戦士の元へ!!」



いつもは普通の女の子になりたいなんて思っていたけれど、今は姫でよかったと思う。

正義さんの手助けが、できたから。

亜美は、そう思った。

そして、正義に呼び掛けた。



亜美「正義くん!!!あなたは……まだ……死ねません!!!」



紅い光に照らされたゼクスライザーが、ドラグナーから分離する。



正義「…………亜美?」

亜美「感じるでしょう?秘宝に込められていた、希望の光を!!」



正義にも見えた。

秘宝が作られた最初の理由。

それは、



正義「みんなの、笑顔のため……!」

亜美「そう。この日法に込められた笑顔のための力……受け取って!!!」



不思議な光だった。

絶望が消えていく。

痛みが消えていく。

闇が消えていく。

傷が消えていく。

ゼクスと四聖獣に与えられた傷も、ダメージも、すべてが消えていった!



朱雀「あ……あれ?!」

青龍「この光は……!」

白虎「傷が消えていく!」

玄武「この光……まさか!」

正義「そうだ!そのまさかだ!!」



アクドーザ「うお、やめろ、なんだ、なんなんだこの光はああああああ!!?」



ドルーガを包んでいた闇の強大なオーラが、どんどん消えていく。



・・・。



ケンダー「わ、ワルダム様、この光は……!」

ワルダム「フフフ……。さすがは、ゼクスライザーだな……!」



・・・。


正義「ありがとう……亜美!!」

朱雀「正義!」

正義「おう!まずは亜美を助るぞ!!合体だ!!」

朱雀「了解!」

正義「トランスアップ!!」



そして!

スザクとゼクスが合体!!



正義・朱雀「「火炎合体!ゼクスフレイバー!!!」」



炎と翼の巨人が誕生!!



正義「亜美!聞こえたら、どっかから外へ出ろ!!」



直後。

もがき苦しむドルーガの中から、亜美が飛び出した!!



朱雀「ゼクスグラビティ!」


その亜美の体を、重力波が包み込み、


正義「いっけぇ、吸引ビーム!!」



フレイバー胸部のスザクの目から吸引ビームが発射され、亜美は無事救出された!!



正義「亜美!」

朱雀「亜美ちゃん!」

亜美「ありがとう、みんな……!」

アクドーザ「お、の、れぇぇぇぇぇ!!」



暴れるドルーガだが、体格差がなくなったおかげで何なく攻撃をよけられ、気絶していた残りの仲間がフレイバーの元へ集結!



青龍「正義さん、お待たせしました!」

白虎「さぁ、あとは悪者退治だ!」

玄武「行くわよ、正義!」

正義「うし!準備はいいな!!!」

朱雀「うん、いつでもどうぞ!!」

正義「いっくぜぇぇぇ!!」



ゼクスフレイバーが、エネルギーを込める!


正義「来い!四聖獣!!」



その合体エネルギーを発射された四聖獣が、分離変形!!

ゼクスフレイバーに装着されてゆく!!


……光を受け、希望を受け、輝く五筋の光。

その光が、一筋になる。

すさまじい程の光の量。それは、まさに王の貫禄!

何事にも屈しない、純粋な『光』が、そこにはある!

そして、その巨人の名は!



正義・朱雀・青龍・白虎・玄武「「「「「超輝星合体!!!キングゼクスライザァァァァァァァ!!!!!」」」」」



そう。

おなじみ、キングゼクスライザーだ!!



正義「やっぱ、ゼクスライザーはこうでなくっちゃなぁ!!!」

アクドーザ「俺は……まだ、負けえええええええええん!!!」



ドルーガが剣を取り出し、キングに襲い掛かってくる!



正義「くそっ、往生際の悪い……!一気に決めるぞ!!」

「「「「OK!!」」」」



正義「来い、キングゼクスカリバー!!!」



宇宙空間に掲げられたエネルギーが、巨大な剣の柄を呼び覚ます!!

そしてそれをキングが握ると、剣先が実体化!!



アクドーザ「くっそぉおおおおお!!」



ドルーガの手から剣がミサイルのように飛ぶが、キング胸部の獅子からの火炎がそのミサイルごとキングゼクスカリバーを白熱化!!



正義「くらえ、キングゼクスグラビティ!!!」



そして、剣から高密度の重力波を放つ!

四聖獣のエネルギーがドルーガを拘束!



アクドーザ「ぐおおおおお!?何だ、この力は……なんなのだあああああ!!」



そして、高速で接近したキングが斬りかかる!!



アクドーザ「おのれ……おのれぇぇぇ!!」

正義「決めてやる!!キングゼクスカリバー!超・大切断!!!!!」



・・・。



そして。

一瞬の間。



ドルーガの体は、一刀両断のもとに崩れ去った!!!



正義「超輝星!!キングゼクスライザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」




そして、高らかに勝ち名乗りを上げたのちに、獅子も咆哮をあげた!!



・。



アクドーザ「ぐおっ……!?」



ジゲン要塞。



アクドーザが、傷だらけで戻ってきた。



ワルダム「戻ってきたか。どうやらぼろくそにやられたようだな。」

アクドーザ「う、うるせぇ……。次こそはアイツを葬ってやるさ……!」

ワルダム「あいにくだが、次はない。」

アクドーザ「な、なにぃ!?」

ワルダム「聞いていたぞ。お前、全次元を手中に置きたいらしいな。」

アクドーザ「あ、アレはその……!」

ワルダム「我々は、お前をジゲン帝国に対する謀反とみなし、お前を処刑する。」

アクドーザ「ま、待て!話を聞け……!」



……ワルダムは、手から剣を取り出した。



ワルダム「問答、無用!!」

アクドーザ「や、やめろおおおおお!!?」



ワルダムは、アクドーザの体を切り捨てた。

その体は、次元のはざまに贈られ、再び新たな生命として再生するだろう。

一応、死んではいないのだ。



ファルダム「お前も非常な男よな……。」

ワルダム「フっ。所詮奴は役立たず。奴を葬るのは、この私だ……!」



・。


それから。

月面も月の地下もいろいろと破壊されてはしまったが、トランスポーターは生きていた。

それで、正義達は地上に帰る事ができるらしい。

だが、損傷はひどく、あと1回動かしたら、トランスポーターは壊れてしまうらしい。



亜美「いろいろと、ご迷惑をかけました。そして、ありがとうございました。」

玄武「いえいえ。こちらこそ、あの時は助かりました。」

白虎「でも、秘宝は無くなっちゃったね。」

朱雀「あの……、これからどうするんですか?」


亜美「いいんです。もう月の地下で暮らすこともできなくなってしまいましたし、新しい星を探す旅にでも出ます。幸い父上も、母のペンダントに守られていたみたいでしたし。しばらくすれば目をさますでしょう。」



青龍「そうですね。……いつかまた、月が復興すればいいですね。」

亜美「私たちも、それを切に願っています。」

白虎「すしたら、またいつでも遊びに来てね!」

亜美「えぇ。いつかまた来ます。……今度は完璧に、お忍びで。」


玄武「私たちも、地球を守るために頑張るわ。」

亜美「宇宙から、ささやかながら応援しています。」


正義「今度はもっと長く滞在してくれよな。まだまだ地球は、いいトコが沢山あるんだからよ!」

亜美「わかっています。それでは。」



最後の挨拶を済ませ、亜美はシャトルの中へ。

そして正義達は、トランスポーターの中へ

…………一つ、爆弾をおいて。



亜美「あなたみたいな勇気ある人が、伴侶になってくれたらいいのになぁ……。」

正義「はっ!?伴侶!!!??」


朱雀「……何?伴侶ってことは、正義王さまになっちゃうの?」

青龍「政治的にそれは無理です!」

白虎「うんうん、こんなお兄ちゃんにはつとまらないよ!?」

玄武「いや、絶対やめさせる。……意地でも。」


亜美「クスッ、冗談ですよ。みんな真に受けちゃって。」


正義「わ、わかってらぁ、そんなこと!!?」



シャトルの窓越しから声が聞こえる。

たぶん、正義の顔は、真っ赤だろう。

そして、トランスポーターは起動した。



・。

地球。



朱雀「さ、家へ帰ろう!」

白虎「賛成!なんだか疲れちゃった。」

青龍「そうですね。夕飯は私達で頑張りましょう。」

玄武「そうね。」



家にむかっての帰路についた5人だったが。



正義「ん?」



正義のジャケットのポケットに。

手紙が入っていた。


いつの間に。



『正義くんへ。

ありがとう。あなたのおかげで、月の人々も秘宝も。きっといろんな意味で救われたと思います。本当にありがとう。これからはわたしたちの手で、新しいふるさとを作って行こうと思います。そして、また会おうね。』



正義「……なるほど。」



正義は思った。

だったら俺も、いつかそっちへお邪魔しなきゃいけないな、と。

もちろん、この言葉を言うために。



『どういたしまして』

って。



正義「いつか、絶対行くからな。待ってろよ、亜美!」



空には、星空の中に。

月が、一つ。

とてもきれいに、浮かんでいた。



おわり。









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