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ごきげんよう。

普段は作品の前にこう言った言葉は挟まないようにしているのだけど本日の更新分は物語を読み進めていくとちょっと過激な描写がございますの。

なので今回の更新分は自己責任で見てくんなんし❤️

1話 >https://x-model888.fanbox.cc/posts/2146416

2話 >https://x-model888.fanbox.cc/posts/2189896

3話 >https://x-model888.fanbox.cc/posts/2224848

タクウ・ゲルク大陸連合軍のカラッツェ襲撃から早1週間が過ぎた。

その間にカラッツェやカラッツェ領の村々は・凄惨たる略奪を受け女は見つかればその場で犯され・弄ばれ・首輪をつけられ奴隷として扱われゲルク大陸やタクウ大陸へ奴隷船で送られる者達もいた。


男性であればもっと悲惨だ。

例え奴隷として使えそうであり・出荷できそうであっても略奪者達が気に入らなければ眼底骨折するほど殴られた者・腕を切断された者・矢の的にされ26本の矢を穿たれようやく絶命できた者・面白半分で歯を全部折られた者・自身の腕を切断された後に自分で食べるように言われ食べた者・生きたまま心臓を抉り出される者すらいた。

そしてミレルタは悲惨極まれりであった。

カラッツェ領ミレルタ。

カラッツェの東側に位置する木々に囲まれた小さな村。

ミレルタの玄関目印となる大きな樹・『アーナ・コゥ(母なる樹)』はとても立派だった。

ある者はこの樹の下で待ち合わせをし・恋を育み・子供を残した。

ある者はこの樹の下で荷馬車と出会い・荷馬車を護衛する傭兵となった。

ある者はこの樹の下で小便をし得意げな顔をした。

『アーナ・コゥ』はミレルタの様々な変化を見届けてきた。

人が住み・家が出来・農地が開拓され・収穫し・人が増え。

ある年では豊作を祝い『アーナ・コゥ』の根へ酒を馳走する村人達。

ある年では不作を嘆き豊作の祈願を『アーナ・コゥ』へする村人達。

ミレルタの者達は常に『アーナ・コゥ』と共にあった。

あの日も。

カラッツェから流れるように進軍してきた死を運ぶ者達は・自前の小型艇を器用に乗りこなし枝分かれした小川を楽々と進んだ。

そして彼等はミレルタへ辿り着き略奪や強姦を開始した。

ミレルタ略奪を指揮したのは・『金斧のラグナル』とは別働隊の指揮官『早駆けのアセティ』であった。

アセティは・先鋒隊としての腕に定評があり・ゲルク大陸軍の中でもその腕に信用をおく者は多い……が。

元々彼の出自はその二つ名の通り・略奪者であった。

そして彼のこだわりは・略奪においての一番槍であることである。

友軍の誰よりもラデルフルよりも船よりも……速く! 疾く!

彼は略奪をしたがった。

それを可能にしたのは・彼自身の強さと・彼自身を信じてついてくる精兵と化した部下達であった。

彼等は他の部隊からは『メレナ・ポフ・ディグ(傷物部隊)』と呼ばれるほど生傷が絶えない部隊であった。

それ故に・犠牲者も出やすい部隊であったが・必然生き残った者達は強くなっていった。

『メレナ・ポフ・ディグ』には暗黙の了解がある。

略奪戦において5回以上生き残っていない奴は・番号で呼ぶことである。

理由は単純明快で・下手に名前を覚えて境遇に同情をし・あっという間に死なれると辛いからである。

略奪者達にも悲しみの感情はあるのだ。

しかし・部隊指揮官である『早駆けのアセティ』は生粋の加虐性変態性欲者であった。

彼が略奪の中で一番楽しみにしていることは・略奪先で一番美しい女を犯し・壊すことだ。

更に言うならその女に婚約者や夫がいると尚良い。

『早駆けのアセティ』は夫や婚約者を椅子に縛り付けて一通り目の前でその者の女を犯した後に椅子に座っている男の皮を敢えてあまり切れ味の良くないナイフで少しずつ少しずつ削ぎ落としていく。

腕の皮膚を。足の皮膚を。胸の皮膚を。脇腹の皮膚を。顔の皮膚を。

剥ぎ・目の前で食し・女にも食べさせる。

ある程度その行為に満足すると次は少しずつ主要部位を切り取る。

耳・指・鼻・目。

アセティはこの行為を少しでも長く行いがためにクアイア・ヴァーズを習得し皮膚を再生させ対象をいたぶる。

男は苦しみ叫び・女は嗚咽を漏らしながら・最愛の者の一部を食し・アセティは血に塗れながら大笑いをする。

彼は部下からも畏怖されていた。

『メレナ・ポフ・ディグ』のミレルタ襲撃は迅速なものだった。

川から上陸後・疾風迅雷の如くミレルタへ襲いかかった。

異変を察知し立ち向かった村男達や衛兵隊員は皆殺され・ミレルタで飼育されていた『クロッヒグ(大型の豚のような生物)』の餌となった。

生き残った者達は『メレナ・ポフ・ディグ』を畏怖し竦んだ。

アセティは早速女達を犯した。

『メレナ・ポフ・ディグ』の面々も皆同じく女達を犯し弄んだ。

『メレナ・ポフ・ディグ』の者達は安易に村に火を放たない。

それが異変を知らせる狼煙になりかねないことを理解しており・後続部隊が休めなくなるからだ。

ミレルタの女達は散々弄ばれた。

四肢を切断され孕み袋として首輪をつけられ性奴隷とされた者。

臨月を迎え安定期に入っていたが・犯され飽きられた後にその大きい腹を賭事の対象として矢の的にされた者。

豊満な乳房を略奪した剣で横から刺し貫かれた者。

その行為の果てに正気を失い望まぬ子を孕んだ者。

『アーナ・コゥ』は行われる残虐な行為も目撃した。

自分が見守ってきた・人々がただ残酷に残虐に殺されていくのを。

凄惨な行為が一通り行われたのちに略奪者の者が『アーナ・コゥ』に気付き近づいてきた。

「いい樹だ・こりゃあ丁度良い」

略奪者は踵を返して言った。

…………

……

それから3日後。

カラッツェ領ミレルタ

「なんだあれは!?皆止まれ!止まれぃっ!」

重装鎧を着込んだ髭面の男は自身が従える後続の兵達に聞こえるように声を張り叫んだ。

それに呼応するように後続のラデルフル隊は進軍を止め・更に後続の歩兵も動きを止めた。

前が見えない後続兵はざわつき始めた

「なんだ?どうした?」

「小休止か?」

「クソォ……マリスを長くしすぎた……行軍が辛いな」

ある歩兵は列の横から顔をはみ出させたり・背伸びをして状況が判然としない隊列の前方を覗き込む。

あるマリス兵は脇に抱えた自分の身長の倍以上もあるマリスの柄をさすりながら愚痴を零す。

しかし・前方のラデルフルに跨った兵士たちは違った。


「なんだこれは……」

「ゔぉおおぇぇぇぇえええっっ」

「どうしてこんなことができるんだ……」

「なんだよ……まだ血がこんなに垂れてさっき殺されたばかりか?」

「だったらまずいだろう」

「イカれてる……」

目前に広がるのはこの世の終末を描いた絵画がそのまま現実へと姿を変えたかのような残虐と醜怪の景象。

母樹『アーナ・コゥ』がその枝々に実らせていたのは鮮血という果汁を滴らせる

散々に喰い散らかされた醜悪な果実だった。

その惨憺たる光景に兵士達は口々に騒ぎ立てる。

常軌を逸した残虐さにその場に吐瀉物を撒き散らす者までいた。

そんな中・最前方にいる髭面の男だけは感想が違った。

彼は顔を顰めながら呟いた。

「いかんな。『デラメイ』がいる。これは多少犠牲者が出るぞ」

その呟きにさらに顔色を変えたのは如何にも富裕層だと言わんばかりの装備に身を包んだ青年。

青年は怯えた声色で髭面の男に問いかける。

「パリセロッタ卿……これはまずいのでは?」

「ふむぅ……まずはこの者達を弔ってやろう」

青年は「私の問いに答えてくれ!」と思いながらも奇襲についての警告をする。

「し・しかし……そのようなことをしていれば奇襲されかねませんぞ!」

「いや・その線は薄いだろう」

目の前にぶら下がる肉塊と化した女達は今しがた殺されたばかりというような血色を帯びており・その肉体からは今なお鮮血が滴り落ちている。

故に青年は敵性の存在がまだ至近にいることを上官へ警告するがパリセロッタ卿と呼ばれた髭面の男の見解は違った。

「今・気配がするか?」

「い・いやぁ」

「足音は?」

「いえぇ……」

「あれは敵なりの遊び……陽動の一環だろう。彼女達は先程殺された訳ではない」

「で・でもなぜそんなことが言い切れるのですか?だってあれは……」

声を震わせながら『アーナ・コゥ』の実らせた醜悪な果実を見やる青年。

しかしパリセロッタは首を振ることで彼の言葉の先を制止する。

「いやヴァーズで死体の腐敗時間を遅らせている。敢えて生々しくするため・

あれを見た我々を足止めするためにな。『デラメイ』がいると言ったろう」

「そ・そう言うものなのですか?」

「まぁそういうこともあると言うだけだ・ただほぼ見立てに間違いはないだろう」

「で・でももし間違っていたら……?」

「戦って生き延びるしかない・ダメな時は死ぬまでだ」

「そ・そんな無責任なあぁ……」

今にも泣きそうに顔を歪めた青二才を尻目にパリセロッタはざわめき・浮足立った兵士達を戒める意味も込め・声を張り上げて命令を飛ばす。

「誰か!この者達を降ろしてやれ! あと・周辺警戒を怠るな!」

「フェルク!」

パリセロッタの檄になけなしの正気を取り戻した兵士達は『アーナ・コゥ』の枝々から十以上にも上ろうかという死体を降ろす作業を始める。

兵士達にはせめてもの威厳を保ちたいのか・先程まで泣きそうだった青年は聞こえないよう最小限に声を潜めてパリセロッタに耳打ちする。

「パリセロッタ卿これはまずいのでは?そもそもにしてなんで我々が派兵されねばならないのですか?なんて言いますか……これは……ヤバいですよ」

「貴殿は尻尾を巻いて踵を返せと?」

「い・いやそうではありませんが……」

「腹を決めろ」

パリセロッタは次々と『アーナ・コゥ』から降ろされる哀れな死体から目を逸らさず

鋭い眼光で見据えたまま言い放つ。

「それにこれは領主ムルバヌト様並びに中央国王サーフルエル・ガルン様の勅令だ。

今は大陸を奇襲されているのだ。逃げ帰ってみろ・処刑されるぞ」

「で・ですが! わ・私達は貴族ですぞ! 戦争なぞ下民が」

瞬間・パリセロッタは青年に向き直り爆叫する。

「ドゥガ!! 我々貴族がふんぞり帰って酒を飲んだり飯を食うことが仕事だと貴殿は言うか?」

「い・いぇぇ」

罵倒語と共に獣を射殺すかのような眼光と咆哮を浴びた青年は失禁せんばかりの

恐怖を携えた情けない音を喉から鳴らした。

パリセロッタは鈍重さが音から伝わるような溜息を一つついた。

「ヴァラット卿は良い貴族だが息子の教育はイマイチだったようだな。我々が貴族だのなんだのと言われているが・それは私自身で勝ち取った称号ではない。

 私の先祖がたまたま功を立てたからだ。元来貴族になぜ特権が与えられているか貴殿は考えたことはあるか?」

「んあぁ……そうですね……」

「分からんなら分からんと言え」

「わ・わかりません」

「はぁ……いいか? 我々は有事の際に民草よりも率先して陣頭に立たねばならんのだ。それは領地を民を自身を守るためだ」

青年は何かを考えるように視線を宙空へと数秒泳がせた。

「あぁぁ・はい」

「こりゃあダメそうだな」

何となく所在なくなった青年は『アーナ・コゥ』の根本に寝かせるように並べられた老若男女の死体へと目を向ける。

「それにしても……あれは……なんて言うかその……」

「酷いものだな」

「はぃ……」

「初めてか?」

「えっ? いやもう五人は抱きましたよ!」

「はぁ……違う。あぁ言うモノを見るのはだ」

「それはもちろんです……あんなおぞましいもの見たことがない」

「なら・覚悟しておけ」

パリセロッタは貴族然としないあまり手入れの行き届いていないアゴ髭を

さすりながら言った。

「これからしばらくはこう言うものを見ることになる」

「ゔぉえぇぇっっっっ!!!!」

青年はついに耐えきれずその場に吐瀉物を撒き散らした。

「吐ききっとけ・鎧を汚さないようにな」

それにしても・とパリセロッタは改めて『アーナ・コゥ』に向き直る。

「この樹も可哀想に」

今はもう葉もなっていない母樹と並べられた死体を交互に見やりながら

パリセロッタは嘆息する。

「こんな使われ方をして」

その時だった。

凄惨な光景には似つかわしくない・純粋にして無垢な泣き声がパリセロッタの耳に響いた。

「んっ?」

泣き声のする方を見ると・死体を降ろしていた兵士の内の一人がその腕に小さな

何かを抱え・こちらに走り寄って来ていた。

「パリセロッタ卿」

「なんだ・この赤子は」

見ると兵士が抱えていたのはまだ産まれたばかりの赤子だった。

その身体に纏う血は出産時についたものか母親の死体から滴っていた血かも判らない。

「吊るされていた妊婦の股から……」

目の前の凄惨な光景の意味も・自分が生きている幸運さえも未だ理解できない

力無き赤子の精一杯の産声を耳にしながら・パリセロッタは細かい皺がいくつも刻まれた眼を細めた。

「そうか……奇跡だな。誰か湯を沸かしてやれ。それが終わったら毛布に包んで私の家までその子を運んでやってくれ」

「フェルク」

「赤子が生きたまま無事に届けてやってくれ。優秀な者を三人護衛として」

「フェルク」

唾を辺りに撒き散らして口内の吐瀉物を落とすのに夢中になっていた青年が

突然脇から口を挟む。

「パリセロッタ卿! その役・私めが!」

パリセロッタは未来と言う名の可能性に満ちた赤子の姿と汚物に塗れた青二才とを交互に見比べて首を振った。

「はぁ……吐瀉物に塗れた貴殿は優秀には見えんよ」

「あぁ……」

青年は自らの吐瀉物が纏わりついた自分の鎧を見て肩を落とした。

この赤ん坊は無事にパリセロッタ家に届けられ名を『マーシェル(奇跡)』と名付けられた。

マーシェルは生まれの境遇を跳ね返すかの如く・強く育ち・母のように美しく・優しい女性へと成長し『デラメイ』となる。

マーシェル=ペリアド=パリセロッタ。彼女は才覚を見出され・成人を迎える前に『ヴァレッシュグルフ(戦殺し)グルサウィン』の配下となり戦場で活躍することとなる。

『早駆けのアセティ』はこの後・マーハルウェア領から派遣されていた・リンドル隊に討ち取られている。

次回の更新はまた約10日後に🥰

それでは次回までごきげんよう。

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