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こんにちは、むちぃです。

単行本の表紙のデザインを考えています。

な~んの単行本でしょ~か!?


表紙を考えるのってワクワクするんですが、漫画の内容以上にバランス感覚を問われる気がします。

表紙といえば、昨年発売された↓の単行本の話を一つ。

https://www.pixiv.net/artworks/76831155

この表紙、裏表紙、ラフの段階では確か5つ程度の案がありました。そのうち採用されなかったものも単行本内で採用されています。

確認していただくと、どうでしょうか?

先に言っちゃうと元々この表紙裏表紙のセットは『採用されないことを前提とした案』でした。これを仮にAとしましょう

仕事の企画全般そうなのですが、採用してほしい案を採用してもらえるように誘導するための案を仕込んでボリュームを嵩上げすることが多いです。漫画に限らず、推したい案のメリットを強調したり、相手に「自分が選択した」という責任を背負ってもらえるわけですね。多すぎも良くないとは思いますが。大変ですし!

ただこれ、いわゆる捨て案が採用されちゃって阿鼻叫喚!なんてこともあるあるですよね。

このAもその『捨て案』だったわけです。エロ漫画の表紙はどちらかといえばズリネタという道具の「スペック」や「規格」、「成分」あたりを表記するべきだと思うのですが、そこを無視した案を使って他のヒロインのフェチズムやプレイを表した案を映えさせたんですね。

実際このいくつかの案を会議にかけたところ、僕たちの予想と似通った案(少なくともAではない)が採用されました。が、それを電話で伝えてくれた担当編集さんが一言。

「でもこの漫画はAではないんですか?」

そう、Aは捨て案にもかかわらず『この漫画の本質』を盛り込んでしまったんですね。捨て案ですが、一番気に入っていると言える案でもありました。

いつもなら二つ返事で「無視してください」とでも言うところなのですが…魔が差しちゃったんですね。編集さんに甘えてしまったわけです。会議を無視してAで通してもらったのです。

今にして思うと、一番自分の作品を読み込んでいると言っていい編集さんにこの案を提示して、捨てさせる選択肢を迫ったのは流石に酷だったと思います。本当に、仕事相手には恵まれた人生を送っています。

もちろん、戌亥先生の作画パワーでできるだけエッチに仕上げてもらいました!さすが俺の相方やで!

が、…正直売上は下がったと思います。たらればなんて意味はないのですが、ちゃんとエロ漫画として考えた表紙にしたらもうちょっと、少なくとも会社に入ったお金は多少増えていたんじゃないかな?と。

おぎやはぎが魔が差してM-1決勝で一度もやったことがない新ネタをぶっこんで最低得点を叩き出した時も似たような気持ちだったのかも…いや、そんな大舞台と比べられるわけないのですが。

ただ、ぶっ刺さる人にはすごくぶっ刺さってくれたと言うか、数人の読者を手放して1人の濃い読者を連れてきてくれたというか、そういう感覚もあります。長文の感想、考察とか、他の編集さんからのお褒めの言葉とか、初めての経験だった気がします。自分たちが目指していた方向の真逆なんですけどね。

そもそもこの作品自体が僕たち二人の漫画の作り方を完全に変えて挑んだ作品だったからってのもあるんですが、その中身を見る見ないは表紙一つで決まります。

この作品に+αのバリューを感じる人にリーチする表紙であったのなら、ちょっとだけ、ホッとします。

前回仕事の話もしますって言った気がするので、しました!

今回の単行本の表紙は一体どうなるのでしょうか?僕も楽しみです。

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