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「めでたさが!足りないわ!」

キャトラが大声でそう言った。


ウサインの力で時間の流れがおかしくなる現象に取り込まれた一行は、それを解決するためにめでたいものを探していた。そうすることで餅うさぎが寄ってきて、ウサインことモチノシンを倒す力が手に入る。

だがいろいろな事を試してみたものの、その総量が圧倒的に足りていない。


「だめよ。もっと根本的にガツーンとくるめでたさじゃないと!」

「そんなこと言ったって~」

シルファが困った顔をする

「シルファ!世界で一番めでたいことってなんだと思う?」

「ええ~?宝くじの一等が当たるとか?」

「あんたはほんっと俗っぽいわね……。もっとめでたいことよ!」

「ええと…結婚とか、子供ができましたとか。」

「それよ!年賀状といえば赤ちゃんができた報告!それしかないわ!」

キャトラの目がキラリと光った。



「ちょっと、まっ…まだ、心の準備がぁ~~」

皆が見守る中、赤髪とシルファが社務所の中でおめでたの準備をする。

シルファの中にずぶりとそれが沈み込んだ。

「はううっ……!」


「うわあ、ほんとにやっちゃうんだ。」

横目でちらりと見ながらリルテットが呟く。

「ちょっと、ドキドキしてきちゃった。」

サヤは興味津々という感じだ。


ともかく時間が急速に進んでいるので、ゆっくりしている余裕はない。目的の遂行のために手早く済ませる。

「ああっ……ああーっ!!」


「ほんとに出しちゃった……」

「シルファさん、恍惚とした顔してる……」


「見て、餅うさぎ、いっぱい出てきたよ!」

「豊作だね。」

「今のうちに集めましょう。」


シルファは脱いだ着物を直しつつもお腹をさすりはじめた。

「ちょ…待って。なんかお腹が大きくなってきたんだけど…」

「時間が凄いスピードで進んでるのね。これは今日中におめでた報告できそうね!」

「そ、そんなぁ…!」

「子育て、頑張ってね。」

「何言ってるのよリルテット。次はあんたの番よ。急いで終わらせなきゃ」

「は!?」

「ねーねー、私は兄ぃとじゃダメ?」

「ダメに決まってるでしょ。兄妹なのよ。あんたはその次だからもう少し待ってなさい。」

「はーい」

「待った。私はやらないから。」

「いーからいーから。さ、どんどんおめでたを増やしていくわよ!」

キャトラはウキウキで餅うさぎを集め始めた。

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