憑依の巫女 (Pixiv Fanbox)
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クジョウの巫女の大事な習慣として禊〈みそぎ〉がある。
滝などの清流で身を清める儀式だ。寒いときは温泉で代用することもあるが、必ずしなければならないタイミングがあった。
年頃の女の子は月に一度、気枯〈けが〉れの期間が来る。その期間が過ぎた時に、巫女は必ず禊をしなくてはならない。
ただの昔の風習で、「めんどくさいな」くらいに思っていたセツナだったが、これには大切な意味があることを、今回初めて知ったのであった。
その意味のひとつは、禊とは神降ろしの準備であるということ。
巫女とは単に祭事をサポートする女性のことを言うこともあるが、クジョウの巫女は依代としての役目も期待される。
神をその身に宿して依代となり、その祝福を受けることだ。
禊はそうした儀式の最初の段階と言える。
今回初めてセツナは神降ろしをすることになった。
クジョウの神〈カミ〉には様々な種類のものがいる。共通しているのは全てソウル精神体であり、実体を持たないことだ。そのため実体のあるものに憑依することでその力を行使する。
御札がそのひとつだが、これはかなり低級であり力が弱い。御札のような媒体には、ほとんど意思を持たないエネルギーのようなものしか宿すことができない。
ダイフクやオハギのように、小動物に宿すこともある。これは御札よりも強力で、ある程度の独立した意思を持つが、会話ができるほどではない。
それに対して、人間の巫女に下ろす神は高度な知能を持っており、それだけ力も大きい。そのようなカミを宿す依代として、巫女達は訓練されていた。
カミはソウルをエネルギーとしているが、それは信者となる人間から集めるのが基本となる。信仰心の多さがカミの力の大きさと言われるのはそのためである。
ソウルの集め方のもっとも効率の高い方法が、依代となる巫女に直接ソウルを注ぎ込むこと。すなわち性行為による受け渡しである。
巫女が禊によって身を清めるのは、その性行為による儀式に備えるためでもある。
そしてそれが穢れの直後のタイミングなのは、その間は比較的受精しにくい期間であることも関係している。
*
セツナは禊を済ませて神降ろしの儀式をすると、身体がふわっと浮く感覚になった。重力から解き放たれたといってもいい。幽体離脱したわけではないが、精神と肉体が離れたような感覚だ。同時に、手足の自由が聞かなくなった。自分の意思で動かすことができない。
(ふーん、貧相な身体だけど、まあ若くて元気なのはいいことね)
(誰っ!?)
頭の中で誰かが喋る。
彼女はウズメと名乗った。セツナの身体に降りてきたカミである。
口を動かすこともできないが、それと同じ要領で、彼女と脳内で会話することはできた。
(ちょっ、その格好で何処行くのさ。勝手に動かないでよ。)
禊を済ませたばかりの半裸のままで、ウズメは勝手に歩き始めてしまう。と言っても身体はセツナのものだ。自分の意志とは関係なしに動いている。
(ふふん。この身体、あたしに貸してくれるんでしょ。その間、しばらくそこで寝てなさい)
カミというにしてはどうにもフランクな少女だ。
しかし彼女が精神の扉を閉ざしてしまうと。もう何も見えなくなり、いつの間にか意識を失っていた。
*
(ええええーっ!?)
次にセツナが意識を取り戻した時、驚くべき光景が広がっていた。
布団の上でおじさんと裸で抱き合っており、大切なところがおじさんのそれで埋められている。
(なにこれ…どういう状況!?)
(あら、起きたのね。)
セツナに憑依したウズメが飄々とした感じで答える。
(見ればわかるでしょ。精魂〈ソウル〉をもらってるのよ)
(や、やめてよ!あたしの身体でかってにこんな事…!)
(ああもう、うるさいなぁ。せっかく楽しんでたのに。気が削がれちゃったから、ちょっと代わってよ。)
(ええ…っ!?)
ウズメがそう言うと、半分夢の中に居たようなぼんやりとした感覚から、急速に全身の感覚が回復する。
と同時に、下腹部に強い衝撃が迸った。
「んああっ……!!!」
それが膣の奥を強く打ち付けるたびに、強烈な快感が湧き出してくる。それは抑えられないほどの甘美な感触で、声を出さずにはいられないほどだった。
おじさんは急に声を出したことにびっくりしたようだが、逆ににやりと笑ってさらにピストンを強めた。
「こうしてみるとセツナちゃんとえっちしてるみたいだなぁ。あんなに小さかったのに、こんなに大きくなって。まあ胸はまだ発達途上みたいだけどね。」
よく見ると、隣の家に住むおじさんだった。もう40後半くらいだろうか。
「うるさい!気にしてることを!」
「おや、本当にセツナちゃんみたいな顔をするんだね。さっきまで淫らなカミ様の顔をしていたのに。」
「くっ……!」
(ちょっと、はやく出てきてよ!)
セツナは頭の中の存在を呼び出す。
(どう?えっちも案外いいものでしょ。やっぱり若い肉体はいいわぁ)
(いいわけあるかっ!あたしの身体なのに…!)
(ほら、もうすぐ来るよ。ちょっと貸して)
身体の感覚はそのままに、主導権だけ持っていかれる。
今、まさにおじさんが絶頂に向かってピストンを高めているところだった。それを真正面から迎えるようにして全身で受け、同じタイミングで絶頂へと高めていく。
「あっ!ん、ああ、あーっ!!」
射精のタイミングで同時に絶頂を迎える。女性のオーガズムの瞬間は膣壁がうねるようにして収縮する。一滴でも多くの精を搾り取るためだ。
その絶頂の快感、セツナも同じ様にもろに浴びてしまった。
大量のソウルが流れ込んできて、そして憑依しているカミに流れていく。
それは未知の不思議な感覚だった。
(ん~、やっぱり搾りたてのソウルはいいわぁ。でもまだ足りないわね。)
(ちょっと、まだやるつもり!?)
(当たり前でしょ。こんなんじゃ全然足りないわ。)
(これ、あたしの身体なんだからー!こんな事続けてたら、大変なことに…)
(赤ちゃんのこと?まあ大丈夫なんじゃない。できるといっても、確率は大したことないから)
(他人事だと思ってー!)
ウズメは力を完全に貯めるまで数日間は出ていくつもりはないようで、セツナはその後も何人もの氏子と相手させられる羽目になるのであった。