聖女の禊 (Pixiv Fanbox)
Published:
2022-02-22 15:12:05
Edited:
2022-03-02 12:53:08
Imported:
2022-11
Content
聖女様が背中を流してくれることになった。
彼女はさして恥ずかしがることもなく、服を脱ぎ、慣れた手付きで邪魔にならないように髪を後ろに結び、一緒にお風呂場に入った。
「それじゃあ、最初に身体を洗いますね」
温水のシャワーをまず手にとって、自分にかける。温度を確かめて、温かいことを確認している。なんと気がきく聖女様なのだろう。
だから少しだけ意地悪したくなった。
「わ、私はいいのですよ…!」
聖女様に洗ってもらうなど畏れ多い。まずは自分が洗って差し上げなければ。
半ば強引に椅子に座らせると、スポンジを泡立てて彼女の背後に立つ。
しかしそれ以上抵抗することはなく、されるがままに聖女様は座っていた。
その肩はなんと小さく、背中は狭いのだろう。
この小さな背中で、世の中の罪の多くを背負おうとしている。
鼻先に髪が触れると、ふわっとシャンプーの香りがする。
腕に触れると、柔らかい肌がまるで生まれたてのようにすべすべだった。
聖女様に汚いところなどどこにもないが、それでも洗って差し上げるのが礼儀というものだ。
まずは背中から、少しずつ清めていった。