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エレノアが帰った未来の世界。

そこでは全ての人類が滅んでいた。

アイリスと闇の王子、そしてその二人の間に生まれた赤子を除けば……

「……こんな、アイリス様を裏切るようなこと……」

エレノアはぎゅっと唇を噛み締めた。

握る手に力が入る。そしてするりと、スカートのホックを外した。

「……本当は、したくはなかったんです。」

眼の前には、記憶の中のその人より、ずっと黒く長い髪をした男。

過去で会った優しい赤髪の少年とは、似てはいるが別の存在。

深く、冥い悲しみを湛えた男。

「あなたのこと、好きじゃないですし。」

精一杯の言い訳だった。最愛のアイリス様への。心まで奪うつもりじゃない。

あくまでも……

「でも、あんなに幸せそうなアイリス様を見て……、羨ましかったんです。」

スカートは床に落ち、最後の布に手をかける。

「そして、寂しかった。」

「おかしいですよね!アイリス様に会いたい一心で、ここにやってきたのに。

アイリス様のそばに、ただそのそばに要られたら。それだけで良かったのに!」

黒髪の男は何も言わない。その表情を見る勇気もなかった。

「でも、アイリス様のそばには、あなたがいた。そして、あの子も……」

幸せそうに母の眼差しを向けるアイリスの顔が思い浮かぶ。

その愛情は一身に赤子に注がれていた。

耐え難く辛い現実という疎外感……

そしてエレノアは、その布を脱ぎ捨てた。

「私に……どうか私に、慈悲をください……

アイリス様と同じ、幸せを……」


二人の光の王からは、それぞれの血筋が生まれ、血筋は民族となり、民族は国家となった。

そしてその2つの王国が、世界を二分して戦うことになるのは、それから千年も先の話である。

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Comments

Anonymous

リクエスト受けていただきありがとうございます! すごく良いです!!

Anonymous

こういったストーリーの裏があるとまた想像が膨らみますね!!(*´꒳`*)

nekotoraya

ありがとうございます!シチュエーション色々考えて楽しかったです〜

qmfsh

翻訳は難しいが、図一つの状況が理解起こったような感