禁断の闘い その11 (Pixiv Fanbox)
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さあ、もっとやろう。私達の闘いを。もっと
口には出さず、目で語りかけた玲香は両手を出し、二度目の力比べを誘った。
紗織は、玲香のアイコンタクトに小さく頷き、差し出された両手に手を伸ばす。
しかし、両者の手が組み合うことはなかった。差し出された両腕をくぐるようにして紗織は玲香にタックルを仕掛けたのだ。
-えっ
紗織は思わぬフェイントに面食らっている玲香の背中に手を回し、締め上げながら担ぎ上げた。
ベアハッグだ。
あれほど抱きしめたかった紗織とそれに近い形で密着する格好となって少しだけ嬉しかったが、さすがに苦しさのほうが大きく、思わず声を漏らしてしまう。
「あ。。。ん。。。ぐ。。」
玲香は必死の思いで身をよじり、なんとか脱出する。
苦しさから開放されて大きく息をついている玲香の後ろに回り込んだ紗織は玲香のお腹に手を回しそのまま後ろに向かって投げた。ジャーマンスープレックス。大技だ。
頭部への強い衝撃で一瞬気を失いかけた玲香は、カウント2を告げるレフリーの声に気づいて必死で全身を絞り上げ、なんとかフォールの体制から脱出した。
紗織は攻撃の手をゆるめることなく、うつ伏せに倒れている玲香の脚を絡めながら後ろ向きに体を乗せ、玲香の首に腕を回して持ち上げた。STFが綺麗に極まった。
「!!んー!んーーー」
玲香は声を上げることすらままならず呻いていた。
「れいちゃん!!ギブアップ!??」
耳元にかかる紗織の熱い吐息まじりのコールには答えず、玲香はただひたすら手を伸ばして必至にロープを探す。
幸運にもロープは近くにあった。
限界まで伸ばしきった玲香の指先がロープに触れ、ブレイク。
あまりの体力の消耗にマットに大の字となった玲香を横目に見ながら紗織はコーナーポストに登り、そして跳んだ。
続く