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TEXT.by 時遊人 優


【宴のはじまり】


 荒野で繰り広げられる闘いを、遠くから唖然と見つめる報道陣たち。誰もが悲鳴すら上げられず、いや呼吸すら忘れたかのように、乾いた風に乗って届く悲鳴を聞いていた。


 黄色い太陽が煌々と照り付けてくれるお陰で、クリプトン人である彼女の回復は速い。最初は震えながらだった肢体は元へ戻っていき、カメラが到着するまでに上体を起こしきった。そして立ち上がろうと…


 …… ゾゾゾゾゾオオオォォォ ……




「ッ!?」

(な、なにッ!?こ、この感覚は…)


 背筋が痺れるような寒さに襲われ、赤いマントと青色のスーツで守った素肌に鳥肌すら立ち始めた。異様な感覚に襲われたカーラは、無意識のうちに美貌を歪めてしまう。

 背後から迫る、心臓をキュッと握るような禍々しい威圧感。悪寒すら覚えるそれが『恐怖』という感情であることを、圧倒的な強さを誇る正義のヒロインとして君臨してきたスーパーガールことカーラ・ゾー・エルは、知りようもない。

 背後で何が起こっているのか?本人は素早くのつもり、だが見るからに恐る恐るという感じで、カーラは黄金色に輝く髪の毛を揺らしながら振り返ろうと…


 シュルッ…ギリリィ…


「んくッ!」


 何かが彼女の細首に絡み付いた。それも一瞬、彼女の気道が圧迫されるほどの力で。

 呻きながら、カーラは両手でその『何か』を掴む。首を絞めにきたそれを、力任せに振り切ろうとする。

 だが…


「そん…な、何よ、これッ…」


 上ずったカーラの声が、荒野の乾いた空気を震わせる。掴んだ、首を絞める『何か』はビニールホースのように滑らかな触感と弾力がある。だがスーパーガールの握力でも潰れず、引っ張っても千切れない。

 ギチギチと気道を圧迫する管のような物体に、カーラは苦しげに呻きながら力いっぱい握り引っ張る。だがそれは彼女を嘲笑うように手の内を滑り進み、細くも強靭な首を完全に巻き取ってしまった。そして…


 シュルッ・チュルルッ♪!


「ひッ!なッ…こ、これ、はッ…やめッ…目をッ!」


 抗うカーラを物ともせず巻き付いたの先端が、赤く細長い粘膜で、金糸で縫い合わせたようにスタイリッシュで美しい金色の眉を、次いで眦のやや切れ上がったブルーアイを、舐め濡らしてきた。

 ギョッとして見た彼女の面前に現れたのは、青みがかった薄紫色の小さな頭。そう、彼女の首に巻き付いてきたのは、ビニールホースのように滑らかだが弾力と強靭性を兼ね備えた、スーパーガールの力を以てしても千切れない蛇だったのだ。

 蛇は、胴体が強靭なばかりではない。首を絞めながら引く力も強く、カーラは地面に座り込んだまま立つことを許されない状態に陥ってしまった。

 いよいよドローンたちが間近まで来た。各社の機体が上手い具合にフォーメーションを組み、地面から立ち上がれずにいるスーパーガールの肢体を、様々な角度から余すことなく撮れるように浮遊している。


(くぅッ!こんなの撮らないで、早く逃げなさいよッ!)


 スーパーガールでさえ苦戦し、立ち上がれずにいるような敵なのだ。その危険度を考えれば、撮影などせず逃げるべき。なぜ私のこんな姿を撮るために、ドローンまで飛ばしてくるのか?

 恨めし気に目の前のドローンや、遠くでカメラを構える報道陣たちを睨むカーラ。だが彼女は分かっていない。このドローンたちが、実は真後ろに立つ敵によってジャックされているという事実を。


「くくくッ♪良い姿だねぇ、スーパーガール。準備も整ったところで、ショータイムの幕開けといこうか」


「なッ!?」


 首を絞める蛇を掴んでいた左手に、別の蛇が滑り込んできた。腕をピッタリ包んでいる青色スーツの袖口に頭を寄せ、スルリと中に潜り込んでしまう。

 更に1匹が首から肩を擦ったと思うや、こっちは鎖骨を抜けて、ネックからスーツの中に滑り込む。ボディにピッタリフィットした生地を盛り上がらせ、モコモコと蠢きながらデコルテから右肩へと進んでいく。


「これ…いったいッ!?」


 振り返ろうとするカーラだが、蛇の力で押さえ込まれたまま動けない。背後からどうやって蛇たちを送り込み、自分を絞めつけているのかを見ることさえ許されない。

 離れたところでカメラを構える報道陣たちからは全容が見えている。そして恐怖に慄き、凍り付いている。

 スーパーガールの背後に立っている敵が、瞳を真っ赤に輝かせながらドス黒いオーラを全身から噴き出している。ボリューミーな髪を伸ばしながら紙縒り集めつつ色と形を変え、何匹もの蛇に変化させて襲っている。その全てが丸見えである。

 同時に彼らは覚っていた。ここまでが小手調べ。その時点でスーパーガールは、その名が虚しくなるほど一方的に弄ばれていた。そして、ここからが本番。あの悪魔を前にすればスーパーガールなど取るに足りぬ小娘に過ぎぬという事実を、地球人に見せつけるつもりなのだと。


「くうぅ゛…な、何で、蛇に、こんな、力がッ…」


 あのスーパーガールが、一方的に遊ばれている。戦闘そのものは速すぎて目では追えないが、それでもスピード・パワー・必殺技のどれを取っても歯が立たず、悲鳴を上げさせられてばかりいることは、常人の彼らでも理解できる。

 黄金色に輝くロングヘアを煌めかせ、赤いマントを翻して凛々しく佇む、女神のような存在。そのスーパーガールが手も足も出ない光景など想像したこともなく、皆が揃って凍り付いていた。

 黒靄のドームは消え、助けに行こうと思えば足を踏み出すことも可能。だが普通の人間に何が出来る訳もなく、立ち尽くすしかない。まるでそこに、透明な結界の壁があるかというように、黙って見ているしかないのだ。

 とは言え、彼らは逃げようともしない。用意したカメラをズームにして、弄ばれているスーパーガールの姿を余すことなく撮り続けている。それが彼らマスメディアとしての、せめてもの意地というところだろうか?

 だが、いつまでたっても彼女に逆転の芽は現れない。であるが故に彼らのマスコミ精神は、スーパーガールの不様な敗北姿を世界へ生配信してしまうという、皮肉な結果を生んでしまっている。


 ウイィーーーッ…


「あッ!ドローンッ…」

「乗っ取られたッ!?」


 各報道陣が用意したものの使うタイミングを逸し、地面に置かれたまま忘れられていたドローンカメラが、何者かの意を得て飛び立った。

 騒然となる、報道各社の取材班。だが追う者は一人としてなく、皆が呆然と見つめている。黒靄が消えて太陽が照り付ける、良好な天然照明が用意された砂漠の空を進んでいく、何台もの報道用ドローンたちを。


「うッ…あ、あの人たち…」


 灰色がかった青く澄んだ瞳にも、空を舞う機体が映っている。最初は蜂のように小さく、次いで小鳥くらいになり、そしてスーパーガールでなくとも全容が伺える大きさになるまで、迫ってくるドローンカメラたちが。

 ダメージが抜け切らず、下半身は未だ痙攣が収まりきらない。それでもどうにか両手を地面に圧し付け、カーラは身体を起こし始めた。


(私のこんな姿を、報道させる訳には…)


 世界を守る正義の最強ヒロイン。それがスーパーガールである。地面に倒れ込み、ヒクついている姿を間近に迫ったカメラに晒す訳にはいかない。

 黄色い太陽が煌々と照り付けてくれるお陰で、クリプトン人である彼女の回復は速い。最初は震えながらだった肢体は元へ戻っていき、カメラが到着するまでに上体を起こしきった。そして立ち上がろうと…


 シュルッ…ギリリィ…


「んくッ!」


 何かが彼女の細首に絡み付いた。それも一瞬、彼女の気道が圧迫されるほどの力で。

 呻きながら、カーラは両手でその『何か』を掴む。首を絞めにきたそれを、力任せに振り切ろうとする。

 だが…


「そん…な、何よ、これッ…」


 上ずったカーラの声が、荒野の乾いた空気を震わせる。掴んだ、首を絞める『何か』はビニールホースのように滑らかな触感と弾力がある。だがスーパーガールの握力でも潰れず、引っ張っても千切れない。

 ギチギチと気道を圧迫する管のような物体に、カーラは苦しげに呻きながら力いっぱい握り引っ張る。だがそれは彼女を嘲笑うように手の内を滑り進み、細くも強靭な首を完全に巻き取ってしまった。そして…


 シュルッ・チュルルッ♪!


「ひッ!なッ…こ、これ、はッ…やめッ…目をッ!」


 抗うカーラを物ともせず巻き付いたの先端が、赤く細長い粘膜で、金糸で縫い合わせたようにスタイリッシュで美しい金色の眉を、次いで眦のやや切れ上がったブルーアイを、舐め濡らしてきた。

 ギョッとして見た彼女の面前に現れたのは、青みがかった薄紫色の小さな頭。そう、彼女の首に巻き付いてきたのは、ビニールホースのように滑らかだが弾力と強靭性を兼ね備えた、スーパーガールの力を以てしても千切れない蛇だったのだ。

 蛇は、胴体が強靭なばかりではない。首を絞めながら引く力も強く、カーラは地面に座り込んだまま立つことを許されない状態に陥ってしまった。

 いよいよドローンたちが間近まで来た。各社の機体が上手い具合にフォーメーションを組み、地面から立ち上がれずにいるスーパーガールの肢体を、様々な角度から余すことなく撮れるように浮遊している。


(くぅッ!こんなの撮らないで、早く逃げなさいよッ!)


 スーパーガールでさえ苦戦し、立ち上がれずにいるような敵なのだ。その危険度を考えれば、撮影などせず逃げるべき。なぜ私のこんな姿を撮るために、ドローンまで飛ばしてくるのか?

 恨めし気に目の前のドローンや、遠くでカメラを構える報道陣たちを睨むカーラ。だが彼女は分かっていない。このドローンたちが、実は真後ろに立つ敵によってジャックされているという事実を。


「くくくッ♪良い姿だねぇ、スーパーガール。準備も整ったところで、ショータイムの幕開けといこうか」


「なッ!?」


 首を絞める蛇を掴んでいた左手に、別の蛇が滑り込んできた。腕をピッタリ包んでいる青色スーツの袖口に頭を寄せ、スルリと中に潜り込んでしまう。

 更に1匹が首から肩を擦ったと思うや、こっちは鎖骨を抜けて、ネックからスーツの中に滑り込む。ボディにピッタリフィットした生地を盛り上がらせ、モコモコと蠢きながらデコルテから右肩へと進んでいく。


「これ…いったいッ!?」


 振り返ろうとするカーラだが、蛇の力で押さえ込まれたまま動けない。蛇たちがどこから送り込まれているのか、それを見ることさえ許されない。

 離れたところでカメラを構える報道陣たちは、その全容が分かっている。スーパーガールの背後に立っている敵が黒みがかったダークブロンドの髪を伸ばし、それを寄せ集めながら色と形を変え、何匹もの蛇に変化させて襲っているのだと。


「くうぅ゛…な、何で、蛇に、こんな、力がッ…」


 驚愕に声が震える。カーラの美貌に現れている焦燥感が、ますます深まっていく。

 左の前腕を巻きながら進む蛇。青色スーツの盛り上がりが肘に達した時、首を絞める蛇を振り解こうとしていた彼女の腕が徐々に開いていく。薄ピンクに煌めく爪が震えたかと思うや指が首の蛇を掴めなくなり、離されていってしまう。何と首を絞める蛇を振り解こうとしていたスーパーガールの左手が、腕に入り込んだ蛇によって逆に振り解かれてしまったのだ。

 右肩に侵入した蛇も、腕に巻き付いていく。引き締まった二の腕に貼り付く青色スーツを浮かせながら蠢き進み、肘に達したところでカーラの前腕が震え始める。スーパーガールが抗おうとも蛇の蠢きは止まず、スーツの盛り上がりが前腕に進んだところで麗しい右手の方が首から離されてしまう。


「そん…ばか、なッ…私が、蛇に…あぁア゛ッ!」


 ドサッと、カーラの背が地面に落ちた。起き上がりかかっていたスーパーガールの上体が、首と腕に絡み付いた蛇の力によって無理やり引っ張り倒されてしまったのだ。

 今や右手は、頭の横に掲げる形にさせられてしまっている。そして袖に潜り込んだ蛇は手首から掌へと進み、親指と人差し指の間で袖を留めている青色の紐をグイッと引き伸ばしながら頭をせり出している。


「くうぅ゛ッ…こんな蛇に、良いようにッ…」


 される訳にはいかない。強い意思を保ち、カーラは青い宝石のように澄んだ瞳を、煌々を輝かせていった。


(頭を潰せば…)


 ジュワァァアアア゛ッ!


 スーパーガールが誇る高熱の光線、名付けてヒートヴィジョン。至近距離で放たれたアイレーザーは、右手の指を狙うように頭をもたげている蛇に直撃。バチバチと火花を散らす。だが…


 チュル・チュルチュルッ♪

 

「そんなッ!」


 愕然と、カーラは声を上げた。ヒートヴィジョンが至近距離で頭部に直撃したというのに、蛇は何事もなかったかのように舌を出し、薄ピンクに煌めくスーパーガールの美しい爪を舐め始めたのだ。

 パワーで負けている。必殺のレーザー光線が効かない。これでは、スーパーガールなど単なるコスプレ人形でしかなくなってしまう。


「ははッ♪そんな光線のエネルギーで私の蛇を殺せる訳ないじゃないか、スーパーガール。折角だから、この綺麗な髪も…」


 新手の蛇が、ニュルニュルと迫ってきた。引っ張り倒されたことで赤茶けた砂地の上で乱れ広がっている、キラキラと輝く黄金色の髪に、次々と潜り込んでくる。

 煌々と輝く陽射しを反射する、女神を彷彿とさせる金糸を束ねたようなスーパーガールのロングヘア。それを池であるかのように薄紫の蛇は中で蠢き、時に胴体を現し、弄んでいる。


「くッ!ふざけない、でッ…私の髪を玩具に…やめッ!?」


 カーラーの美貌が、ゾッと引き攣った。蛇に髪の中を蠢かれて叫んでいた彼女は、突如として左耳に生温く湿った吐息を感じたのだ。気色悪さに鳥肌が立ち、そして恐怖を感じるような吐息を。

 間もなく頬を撫でる髪が揺らめき、左耳に熱く乾いた空気が流れてくる。麗しいブロンドヘアを掻き分けられ、耳を外気に晒されたのだと、知らされる。 


 チュルチュルルッ♪

 ゾワゾワアァァッ…


「ひッ☆!やッ…だッ…耳をッ…あぁアッ!な、中に、入ってッ…やめ、てッ!」


 蛇たちの舌が、耳の産毛を濡らしながら穴の中へ進んでくる。ジットリ湿った粘膜で敏感な内壁を濡らし、奥へ奥へと進んで鼓膜すらも突き始める。

 もはやヒートヴィジョンを撃つ余裕すらない。首を絞められ、爪を食まれ、耳の穴まで玩具にされたとあって、流石のスーパーガールも悶え鳴くことしか出来なくなってきた。

 そして蛇たちは、まだまだカーラへの責めを止めるつもりはない。その証拠に…


 モコモコ…ククク…プチッ♪


「なッ!?」


 またしてもカーラがギョッと声を上げた。左上腕の内側。ピッタリと貼り付いた青色スーツが、内側から圧し伸ばされた。と思うや否や、繊維の切れる音が鈍く響いてきたのだ。


「そんッ…まさ、かッ…私のスーツをッ…」


 戦慄するのも当然。何せ潜られているばかりか、スーツの生地が裂け始めたのだから。

 本人のみならず、世界の誰もが知っている。スーパーガールが纏うスーツは特殊な繊維で編み込まれ、銃弾はおろかミサイルが直撃しても綻びひとつ見せない強靭なものであると。であるから、どのようなことがあっても破れる筈がないと、皆が信じている。

 だが今、左腋の近くで繊維が断裂した。どころか青い生地が僅かに綻び、白い牙がゆっくりと内側から顔を出してきている。そして徐々に裂け目が広がり…


「あははッ♪そんなに驚くこともないだろうに、スーパーガール。私がその気になれば、オマエが頼みにしているスーツなんて…」


 ブチブチッ…バリイィィッ!


 完全に破かれた。左手首から侵入した蛇はカーラの肘の関節を絞め殺し、最後は上腕の内側から、自慢のスーツを貫く形で飛び出してきてしまった。

 パワー負けしている。ヒートヴィジョンは通用しない。そしてスーツも、蛇の前では普通の布と変わらない扱い。スーパーガールの公開処刑は、着々と歩みを進めて行ってしまう。


「…ほぅら、簡単に破けた。あっちの連中を見てご覧。オマエの視力なら分かるだろ?スーパーガールが地面に引き倒されて、いよいよスーツを破かれたというシーンを、凝視しているのが。

 マスコミというのは、実に現金なものじゃないか。いつもなら自分たちを守ってくれるスーパーガールがいよいよヤバいって時なのに、この報道は世間の注目を確実に集めると思ったら、日頃の恩も何も関係なく、オマエの醜態を特等席で撮り続けるんだからねぇ」


 セレナの笑い声に誘われたかのように、ドローンたちが高度を下げる。舐められている耳や食まれている指、貫かれた青色スーツの穴を撮影しようかというように、アングルを変えながら迫ってくる。


「あ、アナタたち…早く、逃げなさいッ!こ、こんッ…私のことなんか、撮ってないでッ!」


 灰色がかった青い瞳でカメラの1つを睨み、必死に声を張り上げるスーパーガール。全ての機体が魔女にジャックされているなど知らないカーラは、マスコミに向かってカメラ越しに訴える。


「ははッ♪無駄、無駄。スーパーガールのこ~んな哀れな姿をスクープ出来るんだよ。プロの報道が逃げる訳ないじゃなか

 ほら、アンタも世界に知られた本物のスーパーヒロインなら、もっとサービスしてやらないとねぇ。次は、この辺りを…」


 腕を開かされることで露わになっている左腋。そこに向かって新手の蛇たちがニュルニュルと迫る。

 ボディにピッタリとフィットした青色スーツが守っているとはいえ、魔女の前では無力な布に過ぎないことは証明済み。蛇たちがスーツの生地に噛みつき、引っ張るなり案の定…

 

 バリバリバリイィィ…


「あはははッ♪脆い、脆い。ほ~んと脆いねぇ。スーパーガール自慢のスーツがここまでヤワだなんて、み~んな知らなかったんじゃない?」


 3匹がかりで、派手に引き裂いてしまった。腋の穴が陽射しを浴び、テカテカと煌めくまで。

 舌が伸びてくる。スーツ越しではなく、直に腋の素肌を舐めてくる。鋭敏な神経を、生温く湿った粘膜で弄られ、カーラは奇妙な擽ったさに腕を微かに痙攣させてしまう。

 そんな左腋を掠めて、更に蛇が伸びてきた。優美な稜線を描くバストを、青色スーツの生地を皺にしながら搾り上げていく。


「んくッ…こ、今度は、む、むね、をッ…」


 左胸の形が歪む。鋼鉄の女と呼ばれるカーラなのに、蛇の絞めつけでバストの形状が簡単に潰されていってしまう。

 スーツ越しに浮き上がる頂部の蕾。胸を搾り上げた蛇は、プクッと盛り上がった小さな突起を、舌でレロレロと舐め始めた。鮮やかなブルーの繊維を、濃色に濡れ汚していってしまう。


「ふふッ♪これまた簡単に乳首を浮かせたものね。こんな柔らかいオッパイしてて、どの辺りがアイアンレディなんだか」


 嘲笑混じりに語る魔女。丹念にスーツを舐め濡らす蛇のせいで、中の乳首までがジットリ湿ってきてしまった。

 濃紺というくらいまで生地がグッショリ重くなったところで、蛇は蕾の根元に牙を突き立てた。白く鋭利な先端をプスリと貫通させ、そして一気に引っ張っていく。


「やめ…やめ、て…そこを、破かない、でッ…」


 かぶりを振って訴えるカーラ。だが蛇は容赦なく繊維を噛み引っ張り、スーパーガールの纏う青色生地を開いていってしまう。


「やめる訳ないでしょう、スーパーガール。負け犬のオマエは、世界の皆さんにサービスしないと許されないんだから」


 ブチイィィ…


「いやぁあア゛ッ!や、やめッ…私の胸をッ…撮らないでえ゛~~~ッッ!!」


 暴かれる瞬間を狙って、1機のドローンがカメラを向けていた。距離を詰め、ズームをかけて乳首の現れる瞬間を撮っているのが、カーラにも分かった。

 あっさりと裂けてしまった、青色のスーツ。麓から稜線を搾り上げられていた左胸は、乳首の周囲だけが無惨に裂けた。麗しいカップの上にプックリと立つ、ピンク色の魅惑的な蕾だけを、外気に晒されてしまった。


「あははッ♪甘いわよ、スーパーガール。ちょっと乳首を暴かれただけでキャンキャン鳴いて。

 ほぅら、こっちも壊しちゃおうかねぇ。オマエを象徴する、この紋章からさ」


 セレナの声に誘われたのは、背中から左胸を回って伸びる蛇。バストの下を掠め、胸の谷間に赤色で描かれている『S』の紋章を睨んでいる。

 頭をもたげ、長い舌でチロチロと紋章を舐める蛇。赤いマークに白い牙を突き立て、ジワリと噛み引っ張り始める。


 ブチッ…ブチブチッ…バリイィィッ!


 紋章を貫いてしまった。蛇は敢えて紋章を狙って破り抜け、そして直ぐさまターンして昇ってくる。

 今度は内側から噛み裂く。もはや赤い『S』の紋章など何の意味もないと示すかのように、バリバリと引き裂いて外に顔を出してくる。


「くくくッ♪他愛もないわねぇ。偉そうに赤い紋章なんか見せびらかしても、簡単に破けるじゃない。

 ほら、こっちの胸は派手に破いてやるよ。世界の皆さまに、自慢のオッパイを披露してやろうじゃないか」


「うぅぅ…い、いや、よッ…お願いだから…もう、やめてッ!」


 真っ当な勝負ならば、殺したければ殺せくらいのことは言うカーラ。だが執拗に辱められ、そして余すことなく撮影され、世間に動画をバラまかれているとあって、その強さを保つことすら難しくなってきている。

 方々から、何匹もの蛇が寄り集まってきた。優美に盛り上がる右胸の稜線を這い進み、それぞれが青色スーツに牙を突き立てる。

 屈辱と恐怖で美貌を歪めるカーラ。青く澄んだ瞳が揺れながら見つめる前で、右胸を守るスーツがプチッ・プチッと断裂していく。そして…


 バリバリバリイイィィィッ!


「いやぁあア゛ッ!と、撮らない、でッ…早くッ…どこかに行ってぇえ゛~~~ッッ!!」


 抑えるスーツ生地が破り開かれたことで、魅惑的なバストが窮屈とばかりにせり上がった。雪のように白い乳房は砂漠の陽射しで輝き、ピンク色の乳首もキラキラと宝石のような煌めきを魅せる。

 ゆっくり浮遊しながら、露わになったバストを撮影するドローンたち。1機ならず2機・3機と、スーパーガールが青色スーツで隠していた美しい稜線を、記録していく。誰も、スーパーガールの訴えなど、聞きはしない。


「さ~て、次はコッチだね」


「ひッ☆!ちょッ…何をッ!?」


 突如、お腹や腰に蛇たちが寄ってきたと思うや、金色のベルトで留められた深紅のミニスカートに噛みつかれた。そして何をする暇もなく、ガバリと捲られてしまう。

 申し訳程度の長さしかない、ピチピチした太腿を惜しげもなく魅せる超ミニとは言え、露骨に捲り開かれたとあっては羞恥に苛まれる。それを知るが故に敢えて、セレナはスカートを捲ることで中を露わにしてしまった。

 鮮やかな青色のアンダースコート。そして素肌を薄っすら透かし魅せる黒タイツ。スーパーガールは何一つとして中を見られていない。それでも、蛇の力を考えれば…


 キュィィィイイイ…


「ッ!?」


 微かに聞こえていた駆動音が、突如として大きくなってきた。ハッとして視線を送ったカーラのブルーアイが、ギョッと見開かれる。

 オレンジ色の機体をした、プロペラのないドローン。政府機関とも繋がりのあるカーラは、それがイオン式の最新ドローンであると即座に覚った。

 プロペラが無い分だけ狭いところへ入るのも容易で、操作性も高い。そして報道用に開発されたこれは、小型ながらもカメラの性能は旧来の8Kに相当すると聞いている。


「う、嘘でしょ…そ、そん…こんなの近づけないッ…撮らないでッ!」


 スカートが捲れ上がり、昼日中の強烈な太陽光を浴びて煌めくアンダースコートや黒タイツで守る聖域を狙っている。それも、これまでとは比べ物にならないほど至近距離で、最新の高性能カメラを使って。


「くくくッ♪訴えたところで、無駄なこったねぇ。だって、天下のスーパーガールさまのアソコを高性能カメラで撮れちゃう、二度とないチャンスなんだよ」


「ふ、ふざけないでッ!わ、私は絶対に、撮らせないからッ!」


 スカートは捲られようとも、中は見せない。そんな思いで、黒タイツに包まれた太腿をグッと擦り合わせ、カーラは股を守ろうとする。


「おやおや~♪涙ぐましい努力をするじゃないか、スーパーガール。そんなんじゃ、世界の皆さんは満足してくれないよぉ」


「くッ!こ、こんな、ことでッ…満足なんか、させなッ…」


 当然、魔女が許す筈ない。シュルシュルと、腰の後ろから捲れ上がったスカート生地を超えて、左の太腿に蛇が迫ってきた。

 太腿がピッタリ合わさるほど窄めていようが、関係ない。防弾仕様の特殊繊維とは言え、素肌が透け見えるほどの薄い黒タイツでは、赤い紋章を食い破る蛇の牙には敵わない。

 太腿の付け根近くで、魅惑的な黒い皮膜が噛み引っ張られる。牙がプスリを穴を開け、そしてバリッと裂いた上で侵入を始める。


「んぐうぅ゛ッ…こ、こん、なッ…私の力が…」


 相手にならないなんて。そんな悔しげな呻きを漏らすカーラは、太腿がプルプルと痙攣している。薄紫の胴体を透かしながら、ピッタリ貼り付いた黒タイツ生地が少しずつ膨らみの線を螺旋状に伸ばし、膝の方へと進んでいく。

 シャープな形状をした赤い爪先に、皺が刻まれる。アクロバティックな戦闘も可能なように太く低めに設えた深紅のヒールが、ジワジワと浮き上がっていく。


「あははッ♪スーパーガール、黒タイツと赤ブーツで恰好つけた脚も、私の蛇には全く抗えないようだねぇ。

 ほぅら開く開く♪スーパーガールさまの脚が、かんた~んに持ち上がって広がっちゃう」


 深紅のニーハイブーツが、完全に持ち上げられた。抵抗も虚しく、カーラの左脚はみるみる外に開かれていってしまう。


「そうだ、ブーツと言えば…」


 股を閉じようと、未だ涙ぐましい努力をする右脚に、別の蛇が何匹か迫った。こっちも絡まれ広げられると戦慄したカーラを嘲笑うように、赤ブーツの履き口やヒール、そして爪先に噛みついていく。


「ちょッ…私のブーツに、何をするつもりッ!?」


 引っ張られ、揺すられる深紅のニーハイブーツ。少しずつ皺になりながら動き、黒タイツの上を滑り移っていく。

 隠れていた膝頭が、陽射しに照らされる。黒タイツが包んでいながら煌めきを失わない脛も、ジワジワと晒されていく。


「何をするつもり?スーパーガールの真っ赤なニーハイブーツと言えば、並み居る敵どもが屈辱の下に這いつくばって拝まされた、憎き物体じゃないか。

 ほぅら、自慢のブーツも脱がされるとなれば無力だな。世間さまが一度も拝んだことのない、黒タイツが包むだけになったスーパーガールの爪先が、いよいよ公開されるぞ」


「くうぅ…こん、な…くだらないッ!」


 嫌悪感も露わに声を震わせるカーラ。その時には深紅のブーツは抜き取られ、掲げられながら彼女の面前まで運ばれていた。


「くだらない?あぁ、くだらないなぁ。だが、こ~んな屈辱を、色んな連中が味わってきてるんだ。

 ほら、今日はオマエが味わうが良い。地面に這いつくばって、赤ブーツを見せつけられる屈辱…って、こんなブーツ、今やガラクタでしかないがな」


 ケラケラと笑いながら、セレナは蛇たちを動かしていく。スーパーガールの前で宙に掲げた、本来ならば彼女の右脚を守る深紅の筒を、グニャグニャと曲げながら玩具にしていく。

 麗しかったニーハイブーツが、歪み捩じれる。本来ならば脚を通す筈の内側に蛇が潜り込み、中を弄って遊んでいる。這いつくばった敵に魅せてきた深紅の筒を、そんな自慢のニーハイブーツがゴミのように崩されていく様子を、今や履くことを許されぬ持ち主のスーパーヒロインに見せつけていく。

 だが、その程度は序の口。カーラが面前に晒された赤ブーツの無惨な姿に囚われている間に、今度は別の蛇が左のブーツに迫ってきた。

 ニュルリと膝裏を回り、深紅のニーカバーが噛まれた時に、彼女は初めて存在に気付く。ハッとして青色の瞳を向けた時、その蛇はニーカバーを…


 バリバリッ!


「なッ…ブーツをッ!?」


 蛇の牙が、赤い煌めきを魅せるニーカバーを簡単に噛み裂いた。それを見たカーラが、ギョッと声を上げる。

 それもその筈。薄い黒タイツや青色のボディスーツならいざ知らず、スーパーガールが纏うコスチュームの中でもブーツは丈夫な特殊皮革で作られている、とりわけ頑丈な一品なのだ。それを容易く噛み破られるなど、想像だにしたこともない。


「くくくッ♪滑稽だねぇ、スーパーガール。自慢のブーツが破かれることが、そこまで衝撃かい?

 別に驚くこともあるまい。さっきは見せつけるために脱がしてやったけど、この程度のブーツ…」


 言葉を切るや、黒タイツの中で太腿に絡んでいた蛇が、ブチッと被膜を噛み破って飛び出してきた。そして薄紫の胴を陽射しで煌めかせつつ、ニーカバーの脇から深紅の筒に潜り込んでいく。

 脚にピタリと貼り付いて守るブーツの革が、モコッ・モコッと膨らむ。膝から脹脛に回り、改めて脛に戻り…


「よ~く見ててご覧、スーパーガール。これまで数々の強敵を這いつくばらせ、その目に焼き付けさせてきた自慢の赤ブーツ…こんな物は…」


 脛の横で、深紅の革がググッ盛り上がる。次いでプチッと断裂する音が響き、白い牙がチラチラと陽射しに反射し始める。

 歪に捩じれ、皺が浮いてくる艶やかな紅色のブーツ革。そして遂に…


 バリバリッ!


 貫いた。薄布を噛み裂くように易々と、蛇の頭は突き抜けてきた。

 更に素早く蠢き回る、薄紫の蛇。脛から脹脛を巡りながら足首へと至り、頭をもたげ…


「ほぅらスーパーガール、自慢の赤ブーツがどれほどのものか、身をもって知りな」


 ガブウゥ…


「んあア゛ッ!」


 ひと噛みで貫かれた。深紅の革は無抵抗同然で貫かれ、蛇の牙は中の黒タイツすらも一瞬で貫いてカーラのアキレス腱に到達した。電気ショックのような激痛が、脚の神経を怒涛の勢いで突き抜ける。流石の彼女も美貌を汗濡らし、絶叫せずにはいられない。


「あははッ♪どうだい、自慢のブーツが何の役にも立たないってのは?

 これを見てるオマエの敵どもは、スカッとするだろうねぇ。触れることすら許されなかったスーパーガールの赤ブーツが、見るも無残に裂けていくんだから

 そうそう、オマエの象徴と言えば…こっちもヤっちゃうか」


 バリッ!


「なッ!ま、マント…そん…あり得ないッ…」


 地面を這っていた蛇が、今やシーツのように背中で広がっているマントを、あっさり貫いて飛び出してきた。それを目の当たりにしたカーラは、かつてないほどの狼狽を見せてしまう。

 彼女にとって、スーツやブーツとは次元が違う。マントを破かれるという事態は。何故ならスーツやブーツは地球で開発したもの。対するマントは、クリプトンから持ち込んだ、スーパーガールのアイデンティティを象徴するものなのだから。


「くくッ♪マント如きで随分な狼狽えようじゃないか。オマエの装備なんて、どれもゴミなんだよ、ゴミ。

 こっちの脚だって、いつまでも閉じさせちゃおかないよ。ブーツが脱げて黒タイツ脚が爪先までぜ~んぶ見えてるんだ。世間さまに美脚をもっとアピールしてやろうじゃないか」


「んくくッ…こ、こん、なッ…」


 無駄と分かっていても、抵抗せずにいられない。だが抵抗したところで、やはり何の意味も為さない。

 深紅のマントを貫いた蛇は、右の太腿に飛び込んで黒タイツを貫く。丈夫な繊維をいとも容易く裂きつつ、ピッタリ貼り付いた漆黒の被膜を無理やり盛り上げて進んでいく。

 ピクピクと震える、漆黒のタイツに包まれた太腿や膝。だが閉じている脚は、薄紫の帯が黒タイツという名のトンネルをジワジワ進むたびに、少しずつ広がっていく。

 中を透かし見せる漆黒の布に包まれた爪先が、砂の上をズズッ・ズズッと横に滑る。赤ブーツという装備を失ったスーパーガールの脚を脛まで進んだ蛇は、改めて黒タイツ生地を突き破って外に出てくる。

 赤茶けた砂漠の岩に乗せさせられた、スーパーガールの黒タイツ足。中を透かし見せる極薄生地が砂塵で汚れてしまっているところが、より哀れさを誘う。

 再び噛まれると警戒して身を硬くするカーラだが、蛇は甘噛み程度しかしない。鋼の女と言われながらも好き放題に弄ばれている彼女を嘲笑うように、蛇は爪先を食み、舌で舐め、タイツ生地を濡らし汚して弄ぶ。


「さぁ、いよいよ本命の番だね。世界の皆さまに披露してやろうじゃないか。悪を討つ正義のスーパーヒロイン…その圧倒的強さで君臨してきたスーパーガールの、だいじ~な処をねぇ」


「や、やめッ!こ、こんッ…な、何で、こんなッ…」


 スーツと同じ色をした、鮮やかなブルーのアンダースコートを噛まれ、クロッチを横にずらされただけで、カーラは慄き震えた。黒タイツを通して中が、大切な聖域が透け見えるというだけで怯える彼女を、魔女はクツクツと笑う。


「言っただろ。私はスーパーガールという女に、とてつもない恨みがあるんだって。

 ほぅら、カメラが迫ってるよぉ。ここは太陽が眩しい砂漠だし、黒タイツ程度じゃ中を隠せない。編み目の隙間から大切な処が…くくくッ♪」


「や、やめッ…こんな、のッ…ひ、卑怯よッ…」


「やめるもんかい。悔しかったら、力尽くで脱出してみな。だってオマエは最強無比を謳われた正義のスーパーヒロイン、鋼の女スーパーガールだろ」


 バリバリバリイィィィッ!


「いやぁあア゛~~~~~ッッ!!撮らない、撮らないでッ…お願いだからッ…」


 流石に我慢しきれず、報道カメラとは知りつつヒートヴィジョンを放った。聖域を狙う、最新型ドローンに向けて。

 だが当たらない。魔女が持つ空間操作能力で、スーパーガールの光線は明後日の方向へ曲がってしまう。

 その間に、黒タイツは今までで一番大きく、派手に引き裂かれてしまった。恥部から始まって臀部に向けて、陽射しを丸々と浴びて輝くほどに。

 脚を大きく開かされている。その状態で暴かれてしまったのだから、赤濡れた聖唇は自ずと広がってしまう。カメラのアングルは見事なまでに、開いた扉の内側まで撮れるポジションで静止している。

 もはや守れない。もはや隠せない。スーパーガールは裸にされることもなく、コスチュームを纏ったまま、肝心な場所だけを開かれ、世界に強制公開されてしまったのだった。





【公開処刑】


 ゴクリと、生唾を呑む音が方々で響く。誰もがモニターに釘付けとなり、目を離せずにいる。


「おいおい、スーパーガールのあんな恰好、初めて見たぜ」

「そりゃそうだろ。だってスーツが破かれたとか、ブーツを脱がされたとか…俺の知る限りじゃ記録にないぜ」

「となると、やっぱり」

「あぁ、スーパーガールは負けるな。だって何も通用してねぇじゃん。力も必殺技も…それであのザマなんだから…」

「ホント、凄い恰好だよな。何か変身ヒロインもののAV見てる気分だよ」




 ザワつく連中の中で、映像の変化を目ざとく見つけた一人が、モニターの一点を指した。


「おい見ろよ、いよいよ蛇がスーパーガールのアソコを…」

「あのイオン式ドローン、どこのヤツだよ?」

「おぉ、こっちこっち。ほら見ろよ。いよいよスーパーガールのアソコが…」


 危険な砂漠の地ということもあり、撮影に来ている報道メンバーは殆どが男。そのせいもあり、自分たちを守ってくれるスーパーガールの大ピンチだというのに、彼らは鼻息を荒げてモニターを凝視している。

 青色のアンダースコートを噛みずらされ、黒タイツを破かれることで白日の下に晒されたスーパーガールの聖域。そこに迫る蛇たち。

 撮影しているのは、超高精細な映像の送信を可能とする、最新型ドローン。彼らは移動用のモニターしか持ってきていなかったことを悔やみつつ、目を肉欲でギラつかせながら送られてくるスーパーガールの醜態を特等席で見物し続けている。


「うぅぅ…も、もう良いでしょ。どれも全部、見えたんだから…」


 この恥辱から、早く解放されたい。振り返ることすら許されないカーラは、震える声でセレナに訴える。

 だが、魔女からはクツクツと喉で笑う声のみが返される。聖域を暴いた蛇たちを引き上げるどころか更に迫らせ、陽に照らされてサーモンピンクに濡れ光る鋭敏な花弁をツイッと噛む。


「くぅんッ!ちょッ…それいじょう、開かなッ…あぁあ゛ッ☆!」


 仰け反るようにして、カーラは叫ぶ。敏感な襞々をブーツを噛み破るような牙で掴み広げられているのだ。鋼の女と言われるスーパーガールとて、耐えられる刺激ではない。


「何を言ってるんだい。全部なんか見えてないだろ?この中を披露しないとさぁ」


「そ、そんッ…や、やめッ!」


 アワビのような形で聖なる路を塞いでいた花弁を1枚また1枚と剥かれ、赤濡れた膣道を露わにされる。肉壁をジワジワと噛み引っ張られ、地面から反射した太陽光で中を明るく照らされていく。


「あははッ♪これは良い画が撮れそうだねぇ、スーパーガール。鋼の女と恐れられるオマエも、どこにでもいる小娘と変わらなくなってきたよ」


「んくうぅ゛…あ、アナタ…どこまで私を辱めれば…」


 悔し気に呻くカーラの声が魔女の何かを刺激したか、蛇の動きが俄かに止まった。そして背後から「ふ~ん」というセレナの声が微かに届き、次いでククッと喉を鳴らす笑い声に変わる。


「そうかい。辱められるだけかと思ってったかい」


「なッ!?そ、それは、どういうッ!?」


 チクりと刺す痛みに、カーラの言葉が途切れた。今までとは種類の異なる、まるで肌を貫くような…いや、ような、ではなく…


 ブシャッ!


「んあア゛ッ☆!」


 思わず片目を瞑り、カーラは甲高い悲鳴を迸らせた。かつて経験したことのないような激痛が、彼女の左胸を襲ったのだ。

 驚き慄きながら視線を向けるカーラ。今や瞳孔を狭めて揺れているブルーアイが映したのは、真っ赤な液体が飛び散っている様子。


「うそッ…私の乳首ッ…や、やめッ…」


 ズブウゥ…ブシャアッ!


「いあぁア゛ッ!そんなッ…噛まなッ…千切れ、ちゃうッ…」


 カーラは普通の人間ではない。鋼の女と呼ばれるスーパーガールである。この星で皮膚を噛み裂かれ、鮮血を飛ばすなどあり得ない。

 それは地球に住む誰もが等しく信じていたことで、砂漠の向こうで観戦している報道陣からも、どよめきが聞こえてくる。あのスーパーガールが、乳首を噛み裂かれて血を噴き出していると、皆が驚愕している。


「あははッ♪何を驚いているんだい、スーパーガール。鋼の女と呼ばれてるからって、それはオマエを超える存在が地球に現れなかったからというだけの話だろ?

 異次元から来た私にすれば、この程度の皮膚は鋼鉄でも何でもない。柔らかくて美味しい、小娘の柔肌さ」


 薄ピンクに煌めく左胸の蕾に、真っ白い牙がズブズブと沈む。皮膚を噛み裂かれる痛みは当然だが、それが乳首という急所なだけに、カーラが襲われている激痛は生半可なものではない。


「ほらほら、どうしたスーパーガール。まだ乳首しか噛んでないよ。

 そうだ。今日は自慢の赤ブーツを壊してやったんだ。折角だから、この辺りも…」


 既に深紅の革を噛み裂かれている、左のアキレス腱。蛇の頭が微かに揺れたと思うや、牙がズブリと沈み込んでくる。

 赤ブーツも黒タイツも、既に防御を突破された。生肌に、そして中に張っている脚の腱に、スーパーガールを超える力を持つ蛇の牙がズイズイと食い込んでいってしまう。


「んあぁあア゛ッ!や、やめッ…やめ、てッ…あ、あ、足がッ…壊れちゃッ…ぎあぁあア゛~~~ッッ☆☆!!」


 ブーツよりも鮮やかな赤い液体が、ドボドボと地面に滴り落ちる。乾いた荒野の砂を湿らせ、赤黒いシミを作っていく。

 シャープな赤い爪先が、激闘を演じられるよう太く低めに作られた深紅のヒールが、宙に浮いたままプルプルと痙攣する。その震えすらも徐々に弱まり、力なく揺れるのみになっていく。

 虜囚を逃がさないために、アキレス腱を斬ることがある。そうすれば、その者は歩くことが出来なくなるから。

 今、カーラはそれをされている。ブチッ・ブチッと腱の断裂する痛みと衝撃が、彼女の脚を襲っている。

 並み居る強敵が這いつくばり、屈辱にまみれながら見せつけられてきた、深紅のニーハイブーツ。それが仕返しとばかりに噛み裂かれるばかりか、今や履いているスーパーガールの脚が、真っ赤なブーツを凛々しく装備したまま、使えなくされてしまっている。


「あははッ♪脆い、脆い。な~にが鋼の女だよ。な~にが、スーパーガールだよ。

 よ~しよし子猫ちゃん。次はオマエからよ~く見えるところで、痛みを植え付けてやるかねぇ」


 冷笑を浮かべながらセレナが動かしたのは、カーラの右腕を絞めている蛇。人差し指の爪をしゃぶっていたかと思うや、牙をツイッと押し込んできた。


「んくッ!ま、まさか、爪ごとッ…」


 爪の1点を鋭利な物で強く圧される痛み。その耐え難い衝撃は、人ならば知っているだろう。そしてカーラとて、黄色い太陽の下にいるから超鋼鉄の肉体を持つクリプトン人になっているのであって、身体の構造は地球人と大きく変わらない。


「ほぅら、ほぅら、ミシミシ鳴ってきた。綺麗に磨いたスーパーガールの爪も、こうなっちゃねぇ」


 冷たく笑いながら、爪を噛む蛇の力を強めるセレナ。薄ピンクに煌めくスーパーガールの美しい爪は、人差し指だけがピキピキと軋み…


 バキッ☆!


「いあぁア゛~~~ッ!つ、つめッ…指がぁあア゛~~~ッッ!!」


 皮膚ではなく、爪を噛み砕かれた。そして爪の中にある指の先端を貫かれ、鋭敏な神経にとてつもない激痛を撃ち込んできた。

 目の前で見せつけるように行われた暴虐。青い瞳は潤み揺れ、美貌は恐怖と痛みで歪み崩れる。奥歯を噛み締めて耐えるなどもはや不可能。麗しい唇は開きっぱなしで悲鳴と喘ぎを迸らせ続ける。


「あはははッ♪爪でさえ、このレベルかい?スーパーガール、こうもヤワなお嬢ちゃんの、どの辺が最強なんだよ」


 指から飛び散る鮮血。顔の間近に掲げさせられているが故に、シャワーのように広がった赤い飛沫が、スーパーガールの美貌にもポツポツと降りかかる。

 セレナの遊びは止まらない。黒タイツに包まれた爪先をしゃぶる蛇が、牙を突き立てたことで、その事実をカーラに思い知らさせる。


「ひぃ、ひぃ、ひぃ…も、もう…やめ、てッ…ひぃ、ひぃ、ひぃ…」


 息も絶え絶えになってきたカーラが、苦しげに喘ぎながら哀願する。だがスーパーガールに対して絶大な恨みを持つセレナである。泣き縋るカーラに対して喜悦に満ちた笑みを向け、次なる暴虐を進めるのは火を見るよりも明らか。


「ふんッ♪心配することは無いだろ。鋼の女スーパーガールさまが、防弾仕様の特別な黒タイツと硬い爪で守ってる場所なんだからさ」


 耐えきれる訳ない。それを知っていて、魔女は敢えてスーパーガールを挑発する。 

 もっとも、挑発に乗る余裕などカーラに残っていない。慄き震え、爪先を噛む蛇の牙を見つめるばかり。


「どれどれ、先ずはスーパーガールさま自慢の、超頑丈な黒タイツを…」


 プチッ♪


「あら、もう切れた。こんな脆い薄布を履いて、よくもミサイルの前に立てるもんだねぇ」


 爪を透かし見せる漆黒の被膜は、いとも容易く貫かれてしまった。牙は休むことなくギチギチと圧力を強め、外気に晒された足指の爪に食い込んでいく。


「んくッ…くぅんん゛ッ…」


 激痛に悶えながら、カーラは脚を震わせる。ブーツを奪われて黒タイツだけになった足を、赤茶けた砂漠の地面でズリズリと震わせる。

 だが逃げられない。自慢の美脚を引き締めた魅惑的な黒タイツ脚は、薄紫の胴体でギチギチと絞められたまま痙攣することしか許されない。


「ん~、よい姿。赤ブーツを奪われて黒タイツはボロボロ…スーパーガールなんてものはもう、単なるハリボテだね」


 バキッ!ブシャッ!


「ぎあぁあア゛~~~ッ!あ、あ、あしッ…いあぁあ゛~~~ッッ!!」


 足指の爪も、あっさり貫かれた。硬質な部分を容易に砕き、真っ白い牙はカーラの指に突き刺さった。

 激痛に叫び震えるスーパーガール。鮮血が溢れ出し、足を乗せている岩を赤黒く濡らしていく。


「ひぃ、ひぃ、ひぃ…は、早く、殺してッ!も、もう、こんな、のッ…ひぃ、ひぃ、ひぃ…」


 どうせ殺されるなら、ひと思いに命を奪って欲しい。こんな拷問を繰り返されるくらいなら。

 そう訴えるカーラだが、またしても魔女はクツクツと笑うだけ。トドメを刺そうという素振りは、微塵も見せない。


「誰が殺すと言った?スーパーガールに絶大な恨みがあるとは言ったけど、殺す気なんかないよ」


「そ、それじゃッ・ひぎッ☆!」


 ブロンドの髪をブワリと乱し、カーラは倒れたまま仰け反るように激しく痙攣した。宝石のような青色の瞳をギョッとさせ、視界の隅に初めて背後のセレナを捉える。

 ニタニタと笑う魔女。メデューサのように髪を蛇に変えて、スーパーガールを襲う恐ろしい敵。その視線は、捲り上げた赤いミニスカートの内側、ガードの全てを失って陽射しに照らされている、カーラの膣口に向けられている。

 カーラが絶叫して悶え弾けたのも、敏感な恥唇に激しい痛みが襲ってきたから。そこでは何と、蛇が花弁や内壁を、牙で噛み締めている。


「う、う、うそ…な、何なのよ、これ…ま、まさか…」


 爪にくらべれば圧倒的に柔らかい、膣口の粘膜。そこを牙で噛まれれば裂けることは、今さら驚くこともない。

 だが、それだけではないことを、カーラは覚った。青っぽい薄紫だった蛇が、ほんのり赤くなってきているのだから。



「くくくッ♪気付いたかい、スーパーガール?そうさ。その、まさかさ」


 血が吸われている。牙で皮膚を貫き、血管から溢れ出してきた赤い液体を、蛇がチュルチュルと呑み始めている。

 膣口に噛みついている蛇だけではない。乳首や指、脚に噛みついている蛇たちも、みるみる赤紫色に染まっていく。


「ん~、流石はスーパーガール。若くてエネルギーに満ちた、至高の味をしているじゃないか。

 私は人間の血液や水分、あらゆる体液を奪うことで、更なるエネルギーを得ることが出来る。ここに入ってきた連中が、皆ミイラになっていただろ?」


「なッ!?こ、今度は、私を…」


「い~や、心配いらない。オマエはミイラになんかならない筈だよ。

 ここは黄色い太陽が惜しげもなく降り注ぐ、砂漠の大地。真っ昼間に活動を始め、オマエを取り込んだのは、スーパーガールという無限のエネルギーを存分に味わい、そして直ぐに回復させられるからさ」


「そ、そん、なッ…」


 カーラは絶句した。全てが、魔女の目論見通りに運んでいたことを、思い知らされたのだ。

 砂漠に突如として現れた黒靄のドームを調査に来た地球人を次々とミイラにし、セレナは力を蓄えた。そして待ち構える魔女の前にノコノコと現れたのが、鋼の女と呼ばれるスーパーガール。

 セレナは恨みを晴らしついでに、最強ヒロインの肢体を、血液とエネルギーを狙っていた。死なぬ程度に吸い上げ、黄色い太陽で回復させれば、カーラというクリプトンの小娘は、スーパーガールという名で知られる無限のエネルギー電池になる。それを、魔女は最初から狙っていた。そしてスーパーガールは、その罠にまんまと嵌ってしまった。


「くくッ♪分ったかい、金髪美女の小娘ちゃん。もうオマエはスーパーガールの恰好をした、私の食料なんだよ。

 どれどれ、記念すべき第1回の食事として、死ぬ直前まで吸い上げてやるかねぇ。せっかく若い女を食べるんだから…」


「ひッ☆!やめッ…入って、こないでッッ!!」


 叫んだところで、蛇は止まらない。スーパーガールに変身していても、若くて美味しい女の肢体でしかなくなってしまった。

 セレナが『せっかくだから』と動かしたのは、膣口に噛みついている蛇。ゴニョゴニョと蠢かせ、膣道の奥へ侵入させていく。

 蛇は魔女の髪。太さを変化させたり、先端で頭をいくつも作り出したり、自由自在。


「あははッ♪どうしたんだい、スーパーガール。腰がヒクついて、黒タイツと赤ブーツの脚が痙攣してるよ。

 おぉ、柔らかそうな肢肉だねぇ。どうせクリプトン人は絶滅したも同然なんだ。オマエは子供を産む必要なんて、もう無いよねぇ?」


「そんッ!ひゃめッ☆!ぎあッ☆!」


 膣壁が噛まれている。子宮に侵入し、子宮壁も噛んでいる。

 いや、卵管にも入り込み、卵巣までも喰い物にしている。スーパーガールの聖窟を、ありとあらゆる部位で内側から噛み裂き、啜り上げている。


「おぉ~、流石はスーパーガール。この内壁は柔らかくて美味しい、そして濃厚なエネルギーの塊じゃないか。

 いやいや、卵を作る処…こっちの方が濃厚だねぇ。これほどまでに至高の味わいとは…

 それにしても黄色い太陽を浴びれば回復力も凄まじいと聞くが、内臓が欠損しても復活するのかい?クリプトンから来た小娘がどれほどのものか、試してやらないとねぇ」


「治るわけッ!ひぎッ☆!おねひゃいッ☆!もうッ…ひゃめッッ☆☆!!」


 体内で、グチュッ・グチュッと粘膜の食いつぶされる音と衝撃が響いてくる。激痛などという言葉では表せぬほどの爆発的な刺激が、カーラの感覚神経を麻痺させていく。

 アンスコもタイツも取り払われた陰唇は、赤い滴がタラリとも滲んでこない。クレヴァス全体をヒクヒクと激しく痙攣させているのに、奥でとてつもない暴虐が働かれているのに、汗濡れた秘処の肌をテカテカと陽射しに輝かせているのみ。

 赤紫に染まっていく、聖域に群がる蛇たち。喉を鳴らすようにゴキュッ・ゴキュッと音を立てて胴体を蠢かせているのは、それほどの勢いで聖窟の肉壁を噛み裂き、体液もろとも余すことなく呑み込んでいるから。


「おねひゃいッ…もう、ゆるひッ…ゆるひへッ…わひゃひッ…こわれ、ひゃふッ…」


 数々の強敵を這いつくばらせることで魅せてきた深紅のニーハイブーツが、プルプルと微かに震えたまま力を失っていく。アキレス腱を切られた脚は、艶やかな赤色の爪先とヒールをクタリと垂らし、スーパーガール自慢の赤ブーツ脚が魔女の髪から伸びた蛇で単なる飾りに堕とされたことを示している。

 ブーツを奪われて陽射しを浴びている、黒タイツに包まれた爪先も、砂の上でピクピクと震えている。膝も何も弛み切り、蛇に絡まれていなければ情けない恰好で横倒しになること明らかな様相。スーパーガールが誇る引き締まった黒タイツ美脚も、既に伝達神経や筋肉が麻痺してしまったことを露わにしている。

 瞳をギュッと瞑り、掠れた声で叫び続けるカーラ。その悲鳴すらも弱まり、蒼さめていた美貌は土気色にくすみ、瑞々しかった皮膚も乾き始める。スーパーガールの全てが、終焉を迎えようとしている。


「おやおや、もうオシマイかい?スーパーガールとか偉そうに名乗ってる癖に、意外と持たなかったねぇ」


 全身から禍々しいオーラを噴き出しながら、セレナは恍惚とした表情で笑った。そしてカーラに絡めていた蛇たちを引き上げさせ、元の髪型へと戻していく。

 ドサリと、大の字になって倒れ込むスーパーガール。痛々しい手足はグッタリと弛み伸ばし、全身をピクピクと痙攣させている。


「鋼の女スーパーガール…確かに向こうの世界と同じくらいの強さだったけど、所詮は向こうと同じ止まり。それ以上になることは、なかったねぇ。次元を超えるという荒業に、こ~んな副作用があったとは…笑いが止まらないよ」


 魔女の手には、蛇を絡めることで奪い取った、カーラが右脚に履いていた深紅のニーハイブーツがある。


「こんなブーツ…もう敵に魅せつけることもなくなるから、不要だね」


 セレナが雑巾を絞るように捩じり、引っ張る。たちまち真ん中からブチッと裂けた。次いでヒールを握り潰しつつ、爪先を捩じって毟り取った。

 ドサッ・ドサッと、赤い革やヒールが投げ捨てられる。スーパーガールが誇る深紅のニーハイブーツを執拗に引き裂き、ゴミ屑のように地面に捨てていく。

 そして10cmほど宙に浮き、スウッと並行移動する魔女。カーラの間近に迫るなり手を伸ばし、グッタリ倒れ込んでヒクヒクと痙攣している彼女の、地面に乱れ広がっているブロンドヘアを握り締める。


「ほら、いつまでも寝んねしてるんじゃないよ。オマエはこの世界を守る正義のヒロイン、鋼の女スーパーガールなんだろ?」


 砂漠の地面で薄汚れてしまった黄金色の髪を掴み引っ張ることで、魔女はカーラを立ち上がらせる。いや、左の赤ブーツ脚はアキレス腱を噛み切られ、右の黒タイツ脚も弛緩したまま戻っていないのだから、グッタリしたまま宙吊りにされたと表現すべきだろう。


「うぅぅ…も、もう…ゆるひ、へ…」


 蚊の鳴くような声で、弱々しい哀願の言葉を紡ぐカーラ。目は瞑ったままで、口も半開きで涎をトロトロと流している。もはや意識があるかどうかも怪しい彼女からは、許しを乞う言葉だけがリピートされている。


「許す?正義のスーパーヒロインが魔女の私に許しを乞うてはダメじゃないか?

 な~に、心配いらない。黄色い太陽が、オマエを直ぐに回復させてくれる。そうしたら、また私がオマエを食べてやるからねぇ。オマエは永遠に私の食料なんだよ、スーパーガール!あ~はっはっはッ♪!」


 荒野に響き渡るセレナの哄笑。魔女に手も足も出ず、気を失って吊り上げられているスーパーガール。その全てが、ドローンを通じて世界に生放映されていた。




Skebにてご依頼頂いたスーパーガール二次小説用イラストなのですが、ご依頼者にして作者の時遊人 優さまからのご厚意でテキスト公開の許可頂きましたので、こちらでも公開させて頂きましたm(__)m

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