〆切と、伝わりにくいこだわりの話 (Pixiv Fanbox)

皆さんこんばんは！にいちです。

今日は、先日少し触れた「C97の表紙に"苦労させられた"話」をお話しします。

僕の未熟さ故の失敗談なのでお話するのは恥ずかしいんですが、

FANBOXを見てくださっている皆さんには、こうやってできた絵なんだなーと知ってもらいたくてエントリを書きました。

さて、そもそも何が問題だったかというと、

ラフの段階から既に僕自身がこの絵に対して何ともいえない違和感を持っていたんですね。

それ自体はよくある話で、

そもそも最初から完璧な線を引ける人なんていないので、

完成に向けて進めていく上で違和感の原因を突き止めて、一つずつ修正していけばいいだけのお話です。

ただこの絵の場合、完成しても結局違和感の原因が分からなかったのが辛いところでした。

↑完成した絵。

どことなく納得がいかなかったんですが、どこがどう悪いのか上手く認識できず。

〆切も近く他に原稿も残っていたので、ペース配分上この絵にこれ以上時間を割けないということで、結局このまま入稿用に出力することにしました。

そして〆切当日。

最後まで入念に仕様チェックしたうえで23:30に入稿を終わらせ（〆は23:59）、ともあれこれで大変だった冬コミ準備も無事終了。

お風呂に漬かってゆっくり休んだ後、最後に一回と思ってぱらぱらと原稿を見直していた時に、

違和感の原因が何か分かってしまったんです。

…ほんとに「なんでこのタイミングで」と思うんですが、

自分で描いているときって絵の違和感に気付くのが下手くそになるんですよね。

入稿して、完成原稿として客観的に見たことで気付けたのかなと思います。

さておき、問題はここから。

お風呂に入ったりしている間に時刻は午前1時。〆切は過ぎているわけです。⌚

僕は基本的に〆切は絶対守りたい性格で、自分の都合で印刷所に迷惑をかけたくないという思いが強くありました。

しかも、違和感といっても〇×のはっきりした問題ではなく、絵としての些細なバランスの話です。

直したところで、ほとんどの人は言われなければ違いに気づかないでしょうし、何なら修正前の方がいいと思う人だっているかもしれません。

結局突き詰めると、直したい理由は「僕が気に入らないから」に他なりません。

それだけの理由で、

印刷所に迷惑をかけ、放っておけば本として問題なく成立する原稿を取り下げ、

修羅場を抜けてようやく手に入った冬コミまでの小休止期間を自ら潰すのか。

正直、すごく悩みました。

が、結局深夜2時まで悩んだ挙句、印刷所に謝罪と共に

「スケジュール上無理であればそのままで構わないが、可能であれば表紙を修正して再入稿させてほしい（勿論その分の料金はお支払いする）」と連絡を送りました。

フルカラー28ページ500円って、実は同人としてはかなり安い方なんですが、それでも一般的に見ると高いです。

わざわざそれだけの対価を支払って自分の本を手に取ってくださる方に対して、

（実はこの表紙、僕は気に入ってないんですよね…）と思いながら渡すのはあり得ないだろう、というのが僕の結論でした。

翌朝。印刷所から、

「作家が作品の仕上がりにこだわるのは当然だと思うし、我々もそれをお手伝いしたい。1日待つから、割増など無しで再入稿してくれて構わない」とのお返事を戴きました。

（※今回は大型案件ということで事前に入念に打ち合わせたうえで余裕あるスケジュールで進めていたのが前提なので、こういう対応が必ず保証されるわけではありません）

こうして印刷所のご厚意もあり、何とか無事に修正を済ませ、晴れて脱稿できたのが12/13のことでした。

さて、引っ張りましたが、修正後の最終稿がこちら。

…違い、分かりますでしょうか…？

修正したのは、

①ほほから顎にかけてのライン

②七海から見て右側の横髪

③目の色、形

④上記に伴う、目鼻口の位置

⑤肩のライン

の５つです。

といっても③④⑤は副次的なもので、僕の違和感の原因になっていたのは、①のラインでした。

煽り気味の構図で、かつ少しうつむいているときの顎のラインが、自分のイメージと紙上でずれていたのだと思います。

顔のバランスは本当に難しくて、未だに勉強が足りないなと思わされた一枚でした。

ともあれ、最終的には今回の新刊も自分の満足できる表紙に仕上げることができました。

自信を持って読者の皆さんにお渡しすることができますし、

今後もその時その時のベストの絵が描けるよう、これからも頑張っていきたいと思います。

まぁ、実はこの絵で一番気に入ってるのは手前の卵🥚と塩🧂、それから鍋🍲なんですが。

ここまで読んでいただきありがとうございました！🎊

にいち