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どうもピクルスです

以前書いた小説の追加の王子のお話。その初稿です。

《小説》 オーク・王女肛虐



☆王女の城はオークに攻め込まれて落城したわけですが

その間王子はどんな状態だったか、またどのように落城の時、城内の兵はどのように戦かったのか、毎日チマチマ書いてるんですけど、


今4つほど作ってまして 既に追加で13万文字くらい書いてます


◆雌奴隷となった王女と女僧侶(4万文字くらい)

 王女を護り、女僧侶と女騎士がオークと立ち向かう


◆守備隊の惨劇(4万文字くらい)

 守備隊の城壁の守護を担当していた魔法使いと守備兵がオークと対決する!


◆オークの妻となった街娘たち(4万文字くらい)

 城下町にオークがなだれ込んだ! その時町娘達の選択とは!



◆王子軍の敗退(8千文字)←今回の

 王子軍1万はオーク軍3千と敵対した!


こちらは大雑把にひとまず書いただけなので、これを下地に

読みやすくしたり、面白くデコレーションしていこうと思います






王子軍の敗退




アルヴァイン王子の軍1万はオーク討伐の為、遠征に出ていた。

 道案内の冒険者の戦士イザベラは丘を指差した。


 「この丘の向こうにオークの大規模な宿営地が最近出来ました。拡大を続けており、街道の驚異となっております。このままでは、我々の街との他の街との交易路が絶たれかねません」


 アルヴァインは頷くと、髭の騎士ファーガスに告げた。

「報告にあった通りというわけだな」

 

「はっ、しかし、オークごときに怯む我々ではありません」

「そうだな、烏合の豚の蛮族にすぎん。魔法と弓で豚どもは我々にたどり着く前に殲滅できるだろう」

「では、早速参りましょう!」


 騎士の一人が馬に飛び乗った。


「うむ、行こう! 我が戦士達よ! 我らの力を見せつけてやろうぞ!」


 アルヴァインは剣を抜いて天に突き上げた。


 ☆


 ☆


 ☆

 

 静かに霧が立ち込めはじめたが、 斥候の報告のとおり、オークの宿営地は確認できた。


「あれか……」


 丘から見下ろす野営地には数千のオークがひしめいていた。

 まるでこれから大虐殺が始まるかのような光景だった。

 その数を見て、兵士たちの間に動揺が走った。

 王子もさすがに少し不安になったのか、側にいた女魔導師に声をかけた。


「魔導師アイリス……あの数はなんだ?」

 

 真っ白な魔法衣を着たアイリスは指を輪にして覗いて見る。

 

「確かに多いです……千匹以上? それに奴らの中にゴブリンや犬頭の小人どもの姿も見えます」

「なるほど、多かろうが小物、雑兵の群れというわけだ。」


 騎士ファーガスは兵達に激を飛ばす。

 

「皆のもの、我々は高地をとっており、騎馬で奴等を撹乱できる上に、開けているから魔法や弓の的が並んでいるようなものだ。やつらがここにたどり着くことはない。皆殺しにしてやるのだ」


 騎士達の間から歓声が上がった。


 その時だ、丘の上に巨大な火球が出現し、ものすごい勢いで落下してきた。


「直上! 火炎弾だ」

 

 魔法使いアイリスは直ちに丘を覆うシールドを展開する


 「”凍てつく風よ、渦巻いて盾となり護りたまえ”」


 火球はブリザードの氷の結晶が渦巻くシールドに当たると轟音と共に爆発した。

 直撃を免れたとはいえ天幕にいた騎士達は爆風と熱波によって立っていられなかった。


「な、何事だ!?」


 騎士の一人が叫ぶ。

 

「あ、あそこを見ろ!」


 一人の兵士が指差す天空に全員が注目する。そこには、大きな翼を持つ黒色に燃える黒骨のような何かが飛んでいた。

上空高く飛び上がったそれは、ゆっくりと旋回しながら、再びこちらに向かってくる。

 そして、今度は三つ、それが連続して降り注いだ。シールドで弾かれ兵の居ない場所に爆発音と共に地面に着弾した。それを中心に直径十メートルほどの範囲が黒色の炎が上がった。


「なっ!? 何だこれは!?」


 燃え盛る炎の中から、真っ黒な燃え盛る骸骨兵士が地面から湧き出るように立ち上がった。

 黒い骨の兵士は燃えながら、近くの弓兵に躍りかかった。

 陣形など関係ない、いきなり軍の中央に骸骨兵が産まれたのだ。

 

 弓兵は切られると黒い炎で燃え上がり、焼け死んだ。

 騎士や兵士たちは慌てて助けに向かおうとするが、逃げる弓兵に阻まれて骸骨兵に近寄れない。


 僧侶の部隊は神に祈るが骸骨兵には効果はなかった。

 

 僧侶シンシアが叫んだ。

「竜牙兵です、闇の者ではありません。神の加護では浄化できません」

「つまりなんだあれは」

 

 戦士イザベラが補足した

「魔の法力で生まれた魔法生物 ゴーレムのようなもんです。なりは小さいがアイツラ全身が金属のように硬い」


 漆黒の鎧に身を包んだ髑髏の兵士たちは、人には考えられぬ奇怪な動きで、混乱し隊列も何もなくなった弓兵たちを切り伏せていく。

 

「魔導師は魔法でなんとかできんか?」

 魔法でシールドを張り巡らせ、ドラゴンが吐く黒い炎の直撃を反らせながら叫んだ。

「ダメ、空の燃えるドラゴンもどきで精一杯」


 しかも反らした爆炎から新たな骸骨兵が産まれ王子軍は寸断されていく。

 弓兵の一部は短剣で戦うが、短剣と龍牙兵の長い剣ではリーチでも不利で全く刃が立たずに次々黒い炎に焼かれて死んでいった。

 

「こ、こいつら強いぞっ!」「ぎゃあああっ!」


 混乱の中、ようやく戦士イザベラが逃げる弓兵と竜牙兵の間に割って入り竜牙兵と剣を交えた。

ギャァン グワァアアン 剣と剣が当たる度に耳を塞ぎたくなる怪音が響く。

「面白い、竜牙兵ってやつとアタシがどっちが強いか試してみたかったんだ」

 戦士イザベラは数体の竜牙兵と同時に相手にし、その間に他の戦士もイザベラの横で

 闘うことができ、ようやく弓兵の虐殺を防ぐことに成功する

 距離を取ることが出来た弓兵は空の燃える魔物に向かって射掛けるものが出始めて、ようやく魔導師に余裕が産まれたかと思えたその時、丘の下から数千のオークが突撃してきた。

 

「そんな……」

 魔導師アイリスは表情に絶望の色を浮かべた。シールドを今緩めたら、魔物の炎が防げない。

 

「くそっ! 挟み撃ちか!」


「お逃げください! ここは我々が防ぎます!」

 ファーガスは叫ぶ。

 

 王子は覚悟を決め、剣を南南西の城の方角に向け叫ぶ!

「退却だ! 南南西に活路を作れ」


 魔導師アイリスも叫ぶ。

「仕方ありません。空の火炎攻撃来ます、備えて下さい!」


 ファーガスは反応した。

「騎士、戦士隊、盾で火炎弾に備えよ」

 兵士達が王子や魔法使い、僧侶を盾で護る。

 魔導師アイリスは即座に攻撃魔法の呪文を詠唱した 「”大気よ凍てつき刃となせ、渦と巻いて氷塊よ、我が敵を滅ぼせ!”」

 天空から雹が落ちながら集まり数本の巨大な水晶のような美しい氷の塊となって高速で落下し南南西の退却ロを塞ごうとする敵の軍団を粉砕した。

 だがその攻撃でシールドの防御の一角が崩れ、隙間から火炎弾が王子軍の中央で爆発し、数十人の兵が吹き飛んだ。

 それを合図に、騎士たちは剣を抜いて決死の覚悟で突撃し、オークの突撃を阻む。


「退却だ! 一人でもいい逃げ延びろ!」




 


 南南西の脱出路に向かって森に入ると、後は散り散りになって敗走した王子は霧の中、敵の追手をようやく振り切った。

 

「やられましたな……」

 

 馬上で騎士ファーガスが言った。


 「ああ、我々の負けだ」


 王子は自嘲気味に笑った。


「しかし、何故オークにあの様な悪魔が味方についていたのだろう?」

「分かりません。ですが、原因ははっきりしております。」

「原因とは?」

「我々はあの高地に誘い込まれたのです」

 

「……罠にはめられたというわけだ」

「まさかオーク達に一杯食わされるとは。そう言えば道案内の冒険者のアーリアの姿が見えません」

「混乱で散り散りだったからな、魔導師アイリスと僧侶部隊も見えぬ。皆生きておればよいが」



 


 

(ありえないッ……なんでオークが、魔物やドラゴンといるのよ)


 弓兵のターニャは、魔法使いのアイリスを中心とした敗残兵とともに霧が立ち込める森の中を駆けていた。


 王子の騎馬隊は、アイリスの攻撃魔法で破れた包囲網から走り抜けることに成功するが、ドラゴンもどきの火炎がその周辺に着弾して、炎の壁が避難経路を塞いだ。新たに竜牙兵が次々と湧き出てくる。

 歩兵は包囲網を破ることが出来なかった時――。「森に逃げ込むのよ!木々の下ならドラゴンモドキに狙い撃ちされない」戦士イザベラの声が聞こえた。アイリスも頷いた。


 「南西の森へ!」


(私はこんなところで死ぬわけにはいかないの! 毎日死にものぐるいで訓練して、王子様の隊の弓兵に抜擢された。ラッキーガールなのよ! 絶対生き残って、素敵な旦那様と結婚して、沢山の子供を産んで、幸せに暮らすんだからぁ!!)

 

 彼女の自慢の弓は一度も放たれることはなかった。

 突然爆発したと思ったら、気がつくと骸骨兵が長剣で、隣のニックの首を切り落としていた。

 ニックだった肉体は黒い炎をあげて倒れることもなくそのまま燃え続けていた。

(逃げるしか無いじゃない、あんなの逃げるしか無いじゃない!)

 

 後ろからは、甲冑を着た兵士と槍を構えた歩兵たちがアイリス達魔導師と僧侶を護衛しながら同じく走っていた。

 だが森の中で散り散りになったものたちから順にオークに各個撃破されていく。魚群からそれた小魚から食われていくように。

 人間の兵士は集団で統率されてこそ力を発揮する。

 バラバラで敗走しながら森で襲われればゴブリンにすら危うい。

 

 弓兵のターニャは足にあまり自信はないが革鎧なので幾分身軽だ、他の兵士と同じ速度で必死に走る。



 そんな中、赤子が泣くような声が聞こえた。


 いや歓びの声であったり、悲しみであったり断末魔であったり様々な意味が込められている怨嗟の声だ。



―――オォオ”オオオオギヒャァオア”オオオオオアハァア”アアア”アウホォオオアヒキ”ャァアアア―――



「なんでしょう? この声は、薄気味悪い」

「この森自体が罠だったんでしょうか?」


 魔導師アイリスは悔しそうに首を振った。


「この森には千を超えるのオークや魔物が侵入しすぎて、そして皆勝手に動き回ってる。そこらじゅう敵の瘴気に包まれた渦のようで、敵の感知は……できない……」


 その声は地の底から響くような、だが小さく消え入るような。遠くて近い。



 皆が警戒して進む中、弓兵のターニャの目の前で大きく森が開けた。


(! この広さがあれば敵の位置がわかる、矢も木で邪魔されない。今なら霧があるからドラゴンにも見つからない)

 

 敗残兵は皆その広場に向かった。


 だが一歩足を踏み入れるとズブリ……。

 ターニャの体がどんどん沈んでいく。


 「泥沼!? こんな場所に?」

 

 魔導師アイリスは慌てて魔法を唱えて宙に浮く。

 霧の中見える周囲の仲間にも宙に浮く呪文を唱え、他の魔法使いもそれに習った。


 ターニャの体もその魔法の恩恵でまるで羽のように浮かんだ。


 沼の上を氷の上を滑るように魔法使いと周辺にいる護衛の100人余りの兵士は沼の奥の安全圏に移動できた。




 だが、沼の周辺であちこちで兵士達の断末魔が聞こえる。

 

 沼に入り込んで沈んでいくもの、沼に足をとられオークに突き殺されるもの、戻ろうとした女兵はオークと鉢合わせして鎧を剥ぎ取られようとしているのも見えるた


「アイリスさん、助けましょう」

 

 女僧侶シンシアはの懇願に魔導師アイリスは首を振った。

 

「だめ、乱戦で強力な魔法は使えないし、敵を呼び寄せてしまう。沼の周りを囲まれたら私達も全滅」

「そんな…」

 

「――でもできるだけやってみる」



 兵士を取り囲み今にも突き殺そうとしているゴブリンの集団に眠りの魔法で眠らせる。

 そして兵士を犯そうとしたオークに氷の矢を頭に射撃して声もなく倒した。

 女兵士は上半身裸のまま逃げ出した。


 魔法部隊は沼の上に体を低くしながら、音が出ない魔法で沼で動けなくなる味方に援護し続けた。



 弓兵のターニャも沼に沈もうとする味方を殺そうと槍を構えるオークに矢を放った。

 ヒュンッ

 首に命中してオークはこちらを指差すが声が出ない。ターニャは震える指でもう1本つがえると更に引き放った。心臓を射抜き、そのオークは沼に倒れ込んだ。その倒れたオークの槍を引き寄せ、沈みかけていた兵士が沼から上がろうとする。


(やった、そこよ! 右手をそこにかけて)


 だが沼からなにか紐状のようなものが伸びると、その兵士の首筋に絡んだかと思うと、その兵士はがくんとうなだれ、沼に沈んでいく。バチャバチャともがいているがさらに、紐状のものが何本も兵士に覆いかぶさっていくように見えた。



 弓兵のターニャは魔法使いアイリスに指さした。

「アイリスさん、あの人助けれませんか? なにか蛇のようなものに」


 アイリスは指さされた方角を指で輪を作り覗き見ると、慌てて眼下を見て大声を上げた。

 

「沼の下に敵! 魔法隊、真下に攻撃。”我は命じる、凍てつき動きを時を止すべての時を止めて彫像に、護りたまえ”」



 その時、ターニャにも沼の中を自分たちに向かって無数の筋が走って蠢いているのが見えた。


 アイリスは魔法を発動し、真下の水面を凍らせるのと蛇状の何かが襲いかかるのが同時だった。

 すんでのところで沼の水面ごと巨大回虫を凍らせる。


 だが間に合わなかった数人の兵士達が水中から伸びた触手にのような回虫に四肢をからめとられ、沼に引きずり込まれた。

「氷の刃よ、つぶてとなり、我が敵を射て穿け!」


 空中に氷柱の欠片が無数に現れて、それが飛んで行き回虫を切り刻んで凍らせる。


 それで束縛を切り離して沼から浮き上がった兵士達は意識を失って動かなかった。

 皆で必死に沼から氷上に引きずり上げる。氷上なら氷が盾となって回虫の攻撃はすぐには来ない。


 助け上げた兵士達は息はしているが皆恍惚とした表情を浮かべていた。

 全身を弛緩させ全く力が入らないかと思えば、全身を弓形に硬直させて痙攣をしていたりする。

 

「毒? 厄介ね。僧侶さん、神聖魔法で毒消しを……」


 既に治療を開始していた僧侶が弱々しく首を振った。


「麻痺と弛緩、催淫、十種類以上の異なる毒が打ち込まれています。解毒には時間が……」

「――無理ね、まだ来るわ」


 数十本の巨大な触手が伸びてきて、助けようとした僧侶に襲いかかった。

 手首に巻き付かれそのまま沼に引きずり込まれようとしたところを、すんでのところで護衛の剣士が回虫の触手を切り落として防ぐが、回虫は時間とともに増えていく。

 

「このままでは全滅してしまいます、撤退しましょう」


 僧侶は腕を回虫に掴まれただけで、何かの毒を打ち込まれたのか、だるさと恍惚の症状でふらつきいていた。

「だ、だけどぉそれじゃ、ひま今倒れているるる人達は」

「駄目。貴方も失う訳にはいかない」


 魔導師アイリスは腕を南西に突き出した。

「”風よ、凍てつけ、全ての時を止めて我らに道を示せ”」


 アイリスは魔法を唱えると氷の風が吹き抜けて氷の道ができた。


「この上なら安全、走り抜けます」


(これらの魔法は全て敵を殲滅するために蓄えてきた魔力、それをむざむざ逃走するために使いきることになるなんて)


「なんて無様な……この辛酸……屈辱、犠牲は忘れません」


 アイリスは氷上を滑るように走りながら唇を噛んで血を滴らせた。



 


 間もなく氷上で気を失っていた多くの兵士達は失神から目覚めた。

 

 数分の体の自由を奪う麻痺毒だったようだ。

 

 弓兵のターニャ達は引き込まれないように、必死に氷の中央に這い寄った。

 腰が抜けたように立つことが出来ない。


 だが無数の回虫が、周囲から蛇のようににじり寄る。

 南西に続く氷の道の先に進めば撤退できる。弓を杖のようにしながらゆっくり歩く。 


 氷の道の左右から伸びて足を絡めようとする回虫を必死に蹴飛ばして防いだ。


「ひいいぃぃぃっ!!」


 ターニャのとなりの兵士のカーシャに無数の回虫が巻き付いて下半身を沼の中に引きずり込まれた。絶叫をあげるが両手は氷にしがみついてるので、下半身に殺到する回虫にどうすることもできない。

「カーシャ、しっかりして、氷に這い上がるの。引きずり込まれちゃダメ」


 鎧の隙間から体に入り込んで躰の穴という穴に滑り込んでいった。

 群れが肛門から腸に満ちて一気に小腸、口から吹き出して行く。

 口から回虫の触手がウネウネと吹き出すのを見ながらカーシャは無数の回虫に絡め取られ、腕が氷から離れると水中に引きずり込まれて消えた。

 

 ターニャは悲鳴をあげて、必死に氷の道を進むが、無数の回虫で既に氷の道は覆われ始めていた。蠢く回虫を避け、蹴飛ばし、踏み潰しながら歩くが、次々に足首を絡め取られて引き込まれていく仲間の悲鳴が上がる、その中、何人かの兵士は耐えかねて、自ら命を絶った。

 

「こ、こんな死に方、いやよッ!いやぁあ!」


 ターニャも腰からナイフを取り出す。そして自分の首に近づける。

 だが腕に回虫がまとわりつき、腕が弛緩して自害できない。



「うそ、お願い、やらっ、死なへてぇえええぐぇぇぇ」

 

 ターニャの口に鼻、目の隙間から、無数の回虫が滑り込んで、ターニャは、もがきながら沼に引きずり込まれていく。


 体が弛緩して高揚して、全身が熱くなる。スローモーションのように世界が動く。目の前の飛んでいた羽虫がゆっくりと羽を動かすのが見えた。


(これ、なに、毒? 毒のせいでまるで時が止まっているみたいに)


 触手がゆっくりと股間にまとわりつき、鎧の隙間から下着に入り込んで行く。スリットに数本の回虫がのたうちながら挿入され、緊張がジワリジワリと弛緩されてゆく。

 肛門に何本もの回虫が入り込んで腸の中を掻き回すので身動きが取れなくなった。

 両足はダランと下がって、抵抗をやめ、開いた尿道とアヌスから失禁と排便が始まり、その排泄の快感と共に尿道にも回虫が快感と共に入り込んで行くのを矯声と共に全身を弓にそらせて戦慄いてしまう。既に膀胱の中にまで線条の回虫が無数に滑り込んで淫核を表裏からなで回し勃起させて吸い付く。


(何これ、私夢でも見てるの、何で化け物に喰われながら気持ちいいの)

 

 蚊は痒みという毒で痛みをなくして血を吸う。この回虫も弛緩と痛みや恐怖をなくした上で、体液をすいとる、そして快感の絶頂を送り込まされれば抵抗する気力を失う。

 この回虫は力はそれほどなく、蛭のように吸い付き体液を啜るだけである。他人が力を加えれば簡単に引き剥がせられるのだ。


 だが回虫の、毒によって弛緩されてその筋力を失い快感によって抵抗する気力がそぎおとされてゆく。


 開き切ったアヌスから大便が排泄されてその開き切った穴から何本も太い回虫が一気に滑り込んで行く。

 

「アハァアアアアァァゥアアアハッアッアッ」


 あまりの快感に白目を剝いて舌を突き出し痙攣しながら、無数の回虫が出入りし蠢くだらしなく開けた口から泡を吹き、尿を撒き散らす。しがみつく気力を失い、ターニャは泥のなかにゆっくりと引きずり込まれた。 


 だが息ができる。


 ターニャは泥のなかで呼吸をせずに息ができていた。


 泥の水中で他の戦士たちの沢山のあえぎ声が聞こえる。

 

 引きずり込まれた戦士は皆、生きているのだ。

 回虫は血管に触手を浸食させて、酸素を送り込んでいた。


 さらに乳房に噛みついた触手から、乳腺を刺激し、更なる刺激を与える。乳房に甘い快感が広がり乳首は痛いほど勃起し、母乳が湧き出た。乳腺に回虫がまとわりついて吸盤で吸い付き乳首を吸い上げられて、処女でありながら母乳が噴き出す。乳首には細い触手が巻きついて締め上げている。吸われていない方の乳房には別の触手が食いついている。


 両方の乳首からも同時に母乳が射精されるように白い液体が大量に噴出した。


 そして膣口にも回虫の先端が挿入されゆっくりと入り込んで行く。処女膜が破れはち切れんばかりに次々と何本もの回虫が処女膣にめり込んで行く。そして子宮口を押し広げて先端が子宮内に入り込むと、無数の回虫が大小束になって激しく蠢きのたうちながら子宮内になだれ込んでいった。

 

「ヒイイイィッ! ――耐えられない!! も、もう許して、お願い、これ以上されたら、狂っちゃう、融ける、もういやぁあああッ!――

 

 今まで味わったことのない強烈な性的快感が全身に広がり、意識が飛びそうになる。

 そして激しく動き出し、それに合わせて、クリトリスに絡みつく触手も、敏感な突起を擦り上げる。

 何度も絶頂を迎え、その度に潮を吹く。

 

 イくごとに筋肉が柔らかくなり、さらにその分新たな回虫が股間に入って行く。妊婦のように腹は大きく膨らみ、数千数万の回虫が蠢いて腹が別の生き物のように変形しても快感しかなかった。



――ンごォオオオッ! イ”イッ、イ”グウウッ、イク、また、イ死ぬぅううぅうう。殺してだれか、だれか……神ざま――



 さらに回虫は卵管に潜り込むと、産卵管を伸ばし卵巣に入り込み、直接卵子に受精させる、その瞬間、脳髄まで犯されたような快楽に襲われ、目の前が真っ白になり全身の毛穴が開いて汗が流れ出した。


 それを合図に体の中で暴れる数万もの回虫が一斉に卵を産み付け始めた。





――オうぐぅうう!おなかのなかぁあ”! いっぱい入ってくるぅ! もう許して!これ以上入らないぃ! 破裂しちゃううぅ!お腹……破…………ひッ!ぎッ!…ぃヒィイイい!―


 

 回虫の産卵は数十分に渡り続き、その間、彼女の体は何度も何度も絶頂を迎え、愛液と潮と糞尿を垂れ流した。



―死んじゃう、死ぬほど痛いのに気持ちイ"いい…ひ死ねない…ひイキすぎて死んじゃううう…ごろじで――



 腹腔や皮膚の隙間にさえ無数の卵を植え付けられ、皮膚は信じられないほど伸び透明な膜になってなお産卵される卵を受け止め続けた。巨大なボール状になったターニャの全身はカマキリの卵のように膨れ上がっていった。



 その中でターニャは快感の中で喘ぎ続ける。



――ああカーシャのイキ声が……聞こえる……私よりもはしたない……みんなの声、もっと聞かせて……怖いの……もっと……――



 死の瞬間アドレナリンで恍惚となり、数秒が一生と感じる。死の一歩手前で留め置かれたターニャにとって、それは永遠とも思える時間であった。




……切ないの、寂しいの、悲しいの、アアァン……もっと……もっと……





 戦士達は回虫の苗床として卵が孵るその日まで生き続けることになる。その日まで快感の中で精神は赤子のように泥のゆりかごのなかで喘ぎ続ける。



 回虫の泥の沼の水面下では、遠くの赤子が泣くような、嬌声のような沢山の断末魔がシンフォニーとなって永遠に響き続けるのだった。




―――オォオ”オオオオギヒャァオア”アウホォオオアヒキ”ャァアアア―――










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