第46回 手紙 (Pixiv Fanbox)
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こんにちは、らぐほのえりかです。
気づけば3月も終わり。近所の桜の花がもうすぐ満開になる雰囲気です。風が吹くともう咲いている花が揺れて綺麗で。ニュースで東京の名所はもう満開だと報じていました。都内なのに他の都内よりちょっと満開するのには遅い、東京の西のはずれです。
〈重要〉
さて記事より先にちょっとしたお知らせです。
pixivFANBOX全体のリニューアルが予定されているそうでして、こちらの記事を参照して頂けましたら幸いです。
pixivFANBOXリニューアル及び課金方式の変更について
※基本的にはほとんど変わりません。ただひとつ気にかかるのは、バックナンバーが支援直後から閲覧可能になってしまうので、過去にバックナンバーを購入された方に何か補填したい気持ちがあります。特定して直接連絡してそれをする難易度と時間を考えましたが、それならその分ひたむきにがんばってイラストや漫画を描かせて頂くことの方が大切なのかと。長く考えた末に自分の方から文章にするに至りました。改めてがんばりたいと思っております。
ではでは、今日の記事、いってみましょう!
※今日は長いのでお時間のあるときにでもどうぞ!
もし私が4コマ以外の漫画をメインに描いていたら
今は4コマ漫画をメインに描いていますので、もし私が4コマ以外の漫画をメインに描いていたら多分こんな感じの雰囲気になるのかなぁって考えたりして描いてみました。写真と手書きをミックスした手法で背景を作りました。こういうスタイルの漫画家さんやアニメーションスタジオさんが最近多く、とても写実的で素敵だと思っています。
ところで私の漫画のスタイルですが……。まだデビューして3年も経たない駆け出しの漫画家なので、スタイルを確立するのには全然早いと思うのですが、ふと今の時点で振り返って違う道もあったのかもしれない?と思ったりして。こういう移り変わりの季節ですし。
そう、たとえばですけど……事務所をかまえて、アシスタントさんを雇って……人々の群像劇を描くような漫画家の道。そういう道も決してないこともなかったのに、4コマ漫画やかわいいイラストを描きたいと思ったのには、とても強い理由があります。
「かわいい」は正義
私は「かわいい」ものが好きです。21世紀に入って、最も多く日本から海外に輸出された言葉が「かわいい」という言葉だそうです。ともすると「かわいい」という言葉は、ちょっと際どい表現の言葉もオブラートに包むためのツールとして使われてしまう側面もあって輸出されやすかったのかもしれません。ですが、それとは別に純粋に「萌え」的な意味で使われる「かわいい」という感情や表現がたまらなく好きなのです。そういう「かわいい」文化の中心で活動していけていることに感謝してしまうのです。
この間、コンビニエンスストアからエッチな本を撤去すべきかどうか、という話がネットで話題になっていました。論争の是非はともかく、原稿の合間の深夜に頭がクタクタになった状態でコンビニエンスストアを利用したとき、色々な雑誌が並んでいる棚の一番端っこのエッチな表紙は「エロい!」という感情よりも、エッチながらも綺麗な表紙に「かわいい」と感じて私は癒やされているんだと感じました。もちろん「エロいー!」と喜ぶ感情もありますが、それよりも「癒やし」を感じていたのです。(それは制作側の意図と違うのかもしれませんが……!)
(本当はエッチなはずの)その「癒やし」に似た「かわいい」対象になった写真やイラストは、一日中くたくたになるまで働いて疲労した目でもスッと見ることができる絶景のようなものだと思いますし、一日中ストレスに晒されてすり減った心を優しく包むようなモノなんだと思っています。それと同じような立ち位置のモノを探すなら「寒い日の毛布」「暑い日のアイスクリーム」「お腹が減ったときのカツ丼」「眠いときのホテルの綺麗なシーツ」のようなもので。心がすり減ったときの「かわいい」は心が見つけたオアシスみたいなものだと思っています。だから私はそういう立ち位置のモノを生み出すお仕事をしているんだと自負しています。
人々の群像劇を描いて、主人公が戦ったり、泣いたり、悔しがったり……そういうスペクタクルな作品も、鑑賞する身としてはとても大好きですけど、生み出す側としては今のところ、「癒やし」のある「かわいい」を作りたいのです。そういう「癒やし」と「かわいい」愛に溢れた作品を作りたいのです。
がんばっている人へ
さて、そういうことを考えて作っているので、私の作品を好いてくれている人は、日々戦っている人たちが多いんだろうと勝手に思っています。
それぞれの場所で、たとえば会社、学校、家庭、ワンルーム、色々な場所で、実際に体に脳に汗をかくことで戦っていることを想像していたりしています。その戦いの結果、少なからず疲れている可能性のある人が、私という作家の読者には多いのかもしれない、と想像しています。だから4コマ漫画みたいに疲れていてもスッと入れる「かわいい」漫画と「かわいい」イラストをお届けできたらいいなと思って作っています。目指すところは、あたたかい春の風のような回復魔法でしょうか。ゲーム脳なので、そういうイメージです。
新しい季節が始まります。
FANBOXでは、月末最終日はシステムのメンテナンスで更新ができないみたいなので、3月はこれが最後の更新になります。それで節目節目にこういう私自身の動機とか目的意識の一番奥の方をお見せしたいなぁ、と思って綴りました。ちょっと自分語りの長い文章を書くのは、時間をとって読んで頂く上で抵抗がありましたが、現在いちばん支援をして下さっている方がここにいて下さいますし、そういう気持ちを伝えられるのがFANBOXの存在意義のひとつだと思っています。
だから、手紙のような感じです。
かわいいものをお届けしたい気持ちが、それから私の魂の部分が、少しでも伝わったら本当に嬉しいです。
らぐほのえりか