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挿絵は春瀬めいおさん(@haruse_meio)に依頼し、描いていただいたものです。


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夏休みのある日。連日の暑さのせいで、家の中で遊ぶ子供が多かった。中学生の芳樹(よしき)と、妹の香美(かみ)も、そのうちの一人だった。


「お兄ちゃん、ゲームしよ」


朝食と、その日の分の宿題を終えた香美が、二人で遊べる携帯ゲーム機を兄の部屋に持ち込んできた。ベッドの上で漫画を読んでいた芳樹は、その声を聞いて起き上がった。


「うん。これだけ読んだら行くから、テレビにつないで遊ぼう」

「ママもパパもいないもんね!私テレビにつないでおく!」


部屋からトテトテと走って出ていく香美。その後姿を見守りつつ、漫画のページをめくる。


「ここでヒーロー登場、そしてお姫様を救う……いつも通りのパターンだけど、熱いよな、あこがれるよなー」


敵を打ち破り、ヒロインの背中と膝を両手で支え、自分の前に抱える、いわゆる「お姫様抱っこ」を、自分がやっているシーンを想像する。今の体では頼りないので、少し大人バージョンの芳樹を想像して、抱えるヒロインは……


「香美かな……いや、それじゃ小さすぎるかな、もっと大人じゃないと」

「おにいちゃーん!まだー?」


テレビの準備ができたらしい香美が、芳樹を呼ぶ声がした。芳樹は漫画をしまい、ゲーム機のもとに向かった。


遊ぶゲームは協力型RPG。操作できるキャラはプレイヤーごとに一人ずつだけだが、二人で遊ぶと二人のキャラを同時操作できる。もちろん操作できるのは自分の担当のキャラだけだ。


「香美、ナイス回復!」

「んー、お兄ちゃん攻撃遅いよー!」


全体的に、兄より妹の方が手慣れしていて、回復役のはずの香美のキャラが攻撃や防御までしている。芳樹は、漫画を読んだときに思い浮かべた「お姫様抱っこ」のシーンと、このゲームでの能力の差に、内心苦笑いしていた。


「やっぱり香美(かみ)は強いなー」

「えー?お兄ちゃんが弱いんだよー」


幼い子供は遠慮を知らない。芳樹は少し傷つきつつも、なけなしの資金で秘伝の薬を買うことにした。道具屋で特定の操作をすることで現れる、レベルアップ薬だ。


「ほら、これあげるよ」

「なにこれ?」


トレード機能で、アイテムの受け渡しをする。香美は兄から送られた、見たことがないアイテムに、怪訝そうな顔をした。


「さっきのお礼だよ、ボスモンスターを倒したときに手に入れたんだ。レベルが上がる薬らしいよ」

「そんなアイテムもあるんだ!これで私が強くなったら、もっと難しいダンジョンに行ってお兄ちゃんのレベルも上げられるっていうことだね!」


無駄に頭の回転の速い妹である。芳樹が考えつかなかったアイテムの利用方法まですぐに考えつく。


「じゃあー、もちもの、バッグ、レベルアップ薬、っと」


ゲーム画面の文字を読み上げていく妹。カーソルが「レベルアップ薬」に合うと、説明が表示された。『経験値が5000上がる。見た目も変わるという噂がある』


「わぁ、5000経験値だって。2つくらいレベルが上がっちゃうんだ。じゃあ、つかう、っと……んっ」


香美の動きがピタッと止まった。キョトンとした表情で、部屋の壁にとまっている虫にでも気づいたように一点を見つめているように見えた。


「香美、どうしたの?」

「な、何か変な感じが……気のせい、だと思う、それよりもレベル上がったかな!」


画面に目を向け直す香美だったが、芳樹も異変に気づいた。なんとなくだったが、香美の背が伸びたような気がしたのだ。


「あ、やっぱりレベルが2上がってるよ!」

「そ、そう……?」


変わったのは身長だけではなかった。髪も伸び、服のサイズが合っていない。それに、なだらだかだった胸が明らかに膨らんでいる。思春期に入りかけの芳樹には刺激が強かった。


「どうしたの、お兄ちゃん?」


いつの間にか、目の高さが一緒になって、芳樹には、同い年、いやそれ以上に妹が大きくなっているのが否応なしに分かった。


プチンッ!と胸のボタンが飛んで、胸の膨らみが大きくなっていることを主張したと思うと、香美の体はさらにグイッと大きくなった。


「あ、あれ?私、大きくなってる?」


天然ボケなのか、今まで自分の成長に気づかなかったらしい。その頃には、元々セミロングだった髪が腰までサラサラと伸び、しなやかな曲線を描いて、香美の女性らしさを強調していた。


「か、香美……っ」

「す、すごい……お兄ちゃんが下に見えるよ」

事の重大さに気づいていないのか、それとも気づきながらスルーしているのか、香美はニコニコしながら芳樹を見下ろしている。その笑顔の下で、ずっと成長し続けていた胸が、部屋着をギチギチと引きちぎろうとしていた。


「あ、ふ、服破れちゃうよ!」

「え?」


芳樹が指摘してきたときにはもう遅く、大きく育った乳房に耐えきれなくなった服が、ぱぁんっ!っと弾けるように破れ、破片があたりに散らばった。



「うわああっ!!」

「あっ、服が!」


目の前でたゆんたゆんと揺れるおっぱいに、芳樹はたじろいでしまう。表情こそ子供のあどけなさを残しているものの、目の前にいる妹はどうみても大人の女性に成長を遂げていた。5000日分、つまり13年半の成長を一気に終えた、20代前半の女性に。


「は、早くなにか着ないと!」


服を取りに行こうとゲームのコントローラを置き、立ち上がろうとした芳樹だったが、その右腕がギュッと握られていた。


「え?」


香美が、またもキョトンとした表情で、だが強い力で、芳樹を引き止めていたのだ。


「あ、あれ?私、何して……」

「早く離して!」


兄の懇願にも関わらず、右腕を掴む手は固く握られたままだ。


「で、でも、お兄ちゃん、ちっちゃくって、可愛くって……」

「え?」


だんだんと、香美の表情が緩んでいく。


「私、お兄ちゃんで遊びたくなっちゃった」


次の瞬間、芳樹はグイッと引き倒され、顔に柔らかいものがギュッと押しあてられているような感触が伝わった。息をしようとすると、甘い香りがして、全身がとろけそうになる。


「あははっ、かわいい、かわいいっ!」

「むぅーっ!!」


香美が、芳樹の体を掴み、その頭を胸の谷間に押しあてていた。気が気でない芳樹は妹から体を引き剥がそうとして、あろうことか豊かに実った妹の胸を掴んでしまった。


「あぁんっ!お兄ちゃんたら、そんなに私に甘えたいの?」

「ち、ちが……むぁっ!」


芳樹の頭を押さえつける力が少し抜け、喋れる余裕ができたと思ったのもつかの間、芳樹はさらにむぎゅーっと妹の胸に押しあてられた。


「赤ちゃんみたいでかわいいよ、お兄ちゃん!」

「むぅー!むぅー!」


芳樹は妹の拘束から逃れようと暴れまわった。


「ちょ、ちょっと……そんなに暴れたら……うわぁっ!」


やっとのことで逃げ出した芳樹は、床に倒れ込んで……


「きゃぁっ!」


香美に尻からのしかかられた。芳樹の目の前には、香美の背中と、スカートからはみ出した大きなヒップが見え、腰には香美の体重と、尻の弾力感が伝わってきていた。


「いったたた……あっ、お兄ちゃん大丈夫!?」


兄を下敷きにしているのに気づいた香美は身をひるがえして、芳樹の上に覆いかぶさるように顔を近づけてきた。


「だ、大丈夫、だよ……」


意識的なのか、そうでないのか、香美の胸が芳樹の体に押しあてられていた。それだけではなく、すべすべの肌に包まれた、むっちりとした太ももも芳樹の体に擦り付けられていた。体の怪我が大丈夫でも、芳樹の理性が飛びかけていた。


「そう……」


香美の髪の毛がふわっと落ちてくる。そこからいい香りがして、芳樹は限界に達した。香美とは違って、子供はコウノトリが運んでくるものではないことや、自分の股間に付いているものの機能を、芳樹はすでに知っていた。


「ご、ごめんやっぱもう無理っ……!」

「え?ひゃぁっ!?」


芳樹は自分の体に押し付けられる2つの膨らみを思いっきり掴んだ。みずみずしい肌の奥にある、手にあまるほどの弾力感を堪能する芳樹。だが、いきなりの行動に香美は過剰に驚いた。


「や、やだぁっ!」


やっとのことで恥ずかしがった香美は、腕に渾身の力を込め、芳樹の顔をパァンッとはたいた。


「うっ……!!……」


あまりの衝撃に、芳樹は気を失ってしまった。


「……お兄ちゃん……お兄ちゃん!」

「う……」


芳樹が、次に気がついて目を開けた時、元に戻った香美の姿が目に映った。


「あ、だ、大丈夫だよ、香美」

「え?寝てたんじゃないの?それよりも、ゲームしようよ!」


キョトンとしている香美。よく見ると、大人になった時に破いたはずの服すら、元に戻っている。どうやら、夢を見ていたらしい。


「……ごめん、なんでもない……ゲーム、ゲームね」

「先にテレビ準備してくるから、来てね!」

「うん」


芳樹は顔が熱くなるのを感じた。妹が大人になって、しかもその体に欲情する夢を見たなど、誰にも言えない。相当な変態が見る夢だ、芳樹はそう思った。


そして、漫画の内容を思い出した。ヒロインを「お姫様だっこ」で救い出す主人公。自分がその主人公になれたらと思ったのもつかの間、妹にいいようにされて、夢の中とはいえ兄のプライドはボロボロになってしまった。


「恥ずかしいなぁ、ホント」

「お兄ちゃーん?はやくー!」


リビングから香美の声がしてくる。芳樹はため息をついて、香美のもとに向かった。


ゲームをしている間も、夢のことが思い出される。夢中になって遊んでいる香美を、いやその平らな胸を何回も見てしまう。


「どうしたの、お兄ちゃん?」

「い、いや……あっ」


芳樹は、ゲーム内の自分のキャラが、道具屋にいるのに気づいた。何の逡巡もなく、隠しコマンドを打ち込む。ドキドキしながら道具屋のメニューを開くと、そこに目当てのものがあった。


『レベルアップ薬(闇属性):経験値が5000上がる。見た目も変わるという噂がある。闇属性がつく』


夢の中とは少し違うが、全く同じクスリが出てきた。そこからのやり取りは、おぼろげにしか覚えていない芳樹。気づけば、香美が自キャラにそのクスリを使っていた。


そして、当たり前であるかのように目の前でムクムクと大きくなっていく香美。


「よし……!」

「なにがよし、なのかしら……?お兄ちゃん?」


芳樹の方に振り返った香美は妖艶な笑みを浮かべていた。『闇属性』がついた妹に、ゴクリと息を呑む芳樹だった。

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