Home Artists Posts Import Register

Downloads

Content

もうすぐクリスマスだ。だというのに金も女も予定も無い俺はアルバイトをしていた。

俺のような大学生が受けられるこの時期のアルバイトといえば、やっぱりサンタの格好をしてケーキを売ったり、

チキンを売りまくったりするものだと思っていたのだが……どうやら違うらしい。

裸に剥かれた上、全身をくまなく検査され、合格通知と書かれた紙を持たされてサンタの服を着せられた。

黒服の男が帽子は最後に出します、と言っていたような気がする。

今いる場所は簡素な部屋だが、ちょっと生臭いというか、濡れたイヌのような、牧場のような臭いがする。


この仕事を選んだのは時給が良かったってのもある。何せ時給3000円だ。ただのサンタのアルバイトだというのに。

まぁ、深夜バイトという扱いらしいから、ちょっとしんどいなという気持ちもあるが、一度サンタのバイトはやってみたかったのだ。

それにしてもこのバイトはいつ始まるんだろうか?

「あー、あー」

喉の調整をする。

そういえばさっきまで隣で変なマスクをしたおっさんが何か喋っていたけど、なんだったんだろう?

『本日はお越しいただきありがとうございます。合格頂きましたあなたには、特別な格好をして、アルバイトを行って頂きます。』

そんな言葉を聞いた自分の頭にチカッチカっと目眩と共に閃光のような感覚が走る。

ああ、これは記憶だ。

ソリを引く姿、白と茶色の毛皮、反り上がった立派な角を持つ動物。 あれ、これは何の記憶だ?

大きな丸みのある鼻、固い蹄、そしてモサモサと生えた口ひげのような体毛。

これは、トナカイだ。サンタの相棒とも言える動物。

有名な話といえばやはりルドルフだろうか。赤い鼻のトナカイ。

しかし、自分は何故か四足ではなく、二足歩行のトナカイとしてソリを引いていた。

しかも、サンタクロースの衣装を着て。

一体どういう事なんだ。

そう思いながら目の前に現れた人物を見上げる。そこには白髪混じりの中年男性がいた。彼は白い髭を蓄えていた。

「やぁ、ルドルフ。元気だったかね?」

「はい、ご主人様」

えっ!? 思わず声が出そうになった。だってそうだろ。目の前にいる中年男性は、どう見てもあの童話に出てくるサンタクロースだ。

しかも俺はご主人様と呼んでしまった。俺は人間のはずなのに。俺は、俺は…。トナカイなのか?

そう考えた瞬間、ビクン、ビクンと体を震わせながら自分の体が変化していく。

薄っすらと脂肪が乗っていたシックスパックは大きく膨張し、まん丸とした立派な太鼓腹を形成する。

薄かった体毛は濃い獣毛へと変わり、服を破りながら体を、そして顔を覆っていく。


鼻孔が広がり、広がった穴は横に、口は前に突き出すようにマズルが形成され、手はゴツくピンク色だった爪は浅黒く固くなっていく。


丸かった耳は尖り、獣毛に包まれながら長く顔の横にたれ、顔つきはもう人間らしさも無くなり、獣毛に覆われた顔がそこにあった。

「ふむ、何かがたりんの。ああ、そうじゃ。」

そう言うと老人は手に持った鈴を鳴らす。

シャンシャン、シャンシャンと鳴らしていく。


すると若かったはずの自分の体は変化と共に老いを感じられるものになり、目尻にはしわができ、口にある立派なヒゲは白く変わる。

短かった角も長く伸び、太さと傷に歴史を感じられるものへと変貌していった。

変わっていく。俺の中の何かが変わっていく。


変化に戸惑いながらも勃起していたワシの股間の一物は、ピュルピュルと股間を汚しながらなにか大事なものを放出していく。

サンタ服の下に着ているパンツがぐっしょり濡れ、太く短いが経験豊富であることがわかる黒ずんだものへと変わってしまったのを感覚で感じていた。

いや、思い出していたのだ。ワシが彼の相棒であるこったことを。


「これでよし。ほれ、ルドルフよ。お前さんの仕事場へ連れて行ってやるぞ」

そう言って老人は部屋を出て行く。

慌ててワシは彼の、いやご主人さまの後を追うと、ヒラリと白いものが床に落ちる。


合格通知。

そう書かれた一枚の紙。

しかし、そこに書かれたのは誰だか分からない名前。


しかしその次の瞬間にはワシの名前が。見間違いだったようじゃった。

「ご主人様!ワシはいったい……」

「うむ、お前さんは今からこの施設でクリスマスのために働くんじゃ」

「クリ……スマ……ス?」

「そうじゃ、毎年この時期に行われる行事でな。子供らにプレゼントを配るのがわしらの仕事じゃ」


「そ、そうじゃった、そうじゃった。なんでワシはそんな当たり前のことを忘れていたんじゃろうか」

「まぁ、詳しいことはその時にでも説明するわい」

「さすがはご主人さまじゃのう!老いても頭脳は若いままじゃ!」


「ふぉっふぉっふぉ。わしはサンタクロースじゃからのぉ。」

そう言いながらご主人様は笑っていた。

そしてワシらは廊下に出ると、白い袋を担ぎ。冬の夜空へと出ていくのだった。


何か大切なものをそこに残して。


================================================================

Story_ENG

================================================================


いつも有難うございます!!

❤ボタンのクリックお願いしますっ!

皆さんの応援が力になります!!

Thank you for everything! Please click the ❤ button!

Thanks support! and Your support will help me!


ココで言いにくいご意見、ご感想はコチラへどうぞ!

https://marshmallow-qa.com/kurobosi_48


Copyright © 2022 trystarbadger. All Rights Reserved

Files

Comments

No comments found for this post.