副将戦 平松かなみVS北畠吉乃 (Pixiv Fanbox)
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※2019/12/20 テキストの読みにくい部分を修正しました。
『さあ。続いての試合は副将戦。
岬浜女子高校、奥山川高校ともに
技巧派の選手同士の対戦となります!』
『まずは平松かなみ選手。
奥山川高校3年。158cm。
この、やさしげな雰囲気の女生徒が、実は奥山川の副キャプテンを務めております。
プロレス部を創部したのは、そもそも平松選手が相沢選手を誘ったのが始まりとの事。
初年度は大会出場すらままならなかった奥山川高校。
創部から2年半。ついに全国への切符を視野に収めるまでになりました。
そんな奥山川高校を、支えてきたのはこの選手だ!
培って来た技術は、今日の強敵に通用するか!
平松かなみ選手!』
『対する北畠吉乃選手。
岬浜女子高校3年生。163cm
「気づいた時にはタップせざるを得なかった。」
1年生時にレギュラーに抜擢されての全国大会デビュー戦で、対戦相手にこの言葉を言わせたのは今も語り草です。
以来、絶対的レギュラーとして強豪岬浜女子の名を全国に轟かす一翼を担ってまいりました。
今日もその超絶技巧で、対戦相手を完封するのか?
北畠吉乃選手!』
『その立ち姿からは闘いを連想しがたい淑やかな女生徒ふたり!
今、開戦の合図を待ちながら、リングの対角線に向かい合います!』
カーン!
『そして試合開始を告げるゴングの響き!』
『まずはお互い慎重に。
間合いを探って行く動き・・』
ガシィ
『そして手四つの組み合いから入る両者!』
ドッ
『両手をガッチリと組み合い、体をぶつけて押し合う!
しかしパワーでは優劣付かないか?
リング中央で拮抗した腕力のせめぎ合い〜!』
シュ
ズン
平松「がはっ!?」
『ああーっ!?
DDT!DDTだあ!』
『力比べから瞬く間に体勢を変えてのDDT!
平松は何が起こったかわかっていない様子か!?
頭を強く打って視線が定まりません!』
『そこに静かに近づく北畠!
平松はまるで見えていない様子!
そして北畠はゆっくりとした所作で技に入っていく!』
『北畠が選んだのは片エビ固めか!
平松の背中にまたがり、右脚を抱えこむ!』
ギッシィ‼︎
平松「んあああ!?」
『情け容赦の無い絞り上げが、平松の背骨を破壊する〜!』
メギ! メギィ
平松「うあああっ!」
『技を掛ける北畠!
平松を逃さぬようにコントロールしながらも、確実に、そして繰り返し、技に力を加えてまいります!
格闘技には不釣り合いかもしれませんが、丁寧に仕事をこなすが如く!
熟練の職人のような!
そんな印象すら持たせられております!』
~試合開始から8分~
『さあ!ここまで岬浜女子の北畠が、試合をコントロールして、対戦相手の平松に付け入る隙を与えません!
序盤の片エビ固めから、続く執拗な寝技攻め!
捕らえた獲物をじわじわと絞め殺す蛇のように、平松に絡みつく北畠!』
『さらに今度はSTFだぁ!』
『平松は身をよじり、体を逸らし、致命的になるような極まり方にならぬようになんとか極めをかわし続けます!』
『しかし序盤の片エビで痛めた腰と背中には、この状況を凌ぎ続けるだけで、体をひねって逃げようとするだけで、ダメージと痛みが広がり続けている様子!』
『平松にとって苦しい時間が続いております!』
ドス
平松「がふっ!」
『北畠の鋭いソバットが平松の脇腹をえぐったあっ!
平松、お腹を抱えてつんのめる!』
『それを待っていた北畠!
平松を抱え込んだ!
飛んで火にいる夏の虫!』
『そして〜・・・』
ブワ
ズッダアン!
北畠「んあ!」
『投げ返したあっ!
ここで平松が意地を見せる!
組みつかれた所を、逆にフロントスープレックスで投げ返したあ!』
ガシ!
北畠「あああぁっ!」
ギッチィ!
平松「こっのお!」
『スープレックスで投げ付け、間髪入れずに北畠の脚関節を取りに行った平松かなみ!
不覚にも完全に極まっているか?
脚を抜く事も出来ず、体を返す隙も有りません!』
『そこにさらに力を加えて北畠の右脚を潰しにかかる平松かなみ!
ここが勝負所と見定めたか!?
渾身の気迫を持って北畠の脚を攻め立てる!』
北畠「うあああ!」
平松「まだまだあ!」
ギシ!
『体勢を変えて技を緩めようとする北畠に対し、平松が技を切り替えてアキレス腱固めに移行だあ!』
北畠「はあっ!・・っあ!っああ!」
『平松の食らいつくようなサブミッション地獄から、北畠が逃がれられない!
体を捻り、体勢を変えても、追いすがるように次の足関節技を仕掛ける平松かなみ!
実にしつこ・・・失礼しました。粘り強い関節技を使います平松!』
ハシ
※わあああ!パチパチ※
『そしてリングを這って、なんとかロープにたどり着いた北畠!
しかし右脚のダメージは深刻か!?
すぐに立ち上がる事は出来ない!』
~試合開始から16分~
ドム!
北畠「ぐふっ!」
『立ち上がりぎわを狙いすました、平松の低空ドロップキック!
北畠のガラ空きの腹部に突き刺さったあ!』
『北畠の髪を掴み、引き起こしていく平松!』
平松「えっ?」
ギチィ!
『ああーっ!
北畠のコブラツイストが極っている!』
『平松に引き起こされながら、するりと絡みついて技に入っている!』
ミシッ ビキィ!
平松「ぅああっ・・・!」
『序盤からダメージを受け続けた、平松の腰に対して、最も効果的な技を仕掛けていく北畠!』
『コブラツイストで腰に無理やりに力を掛けていくぅ!』
ドカッ!
平松「!・・・っはぁ!?」
ギッシィ ギシィ
平松「っああ!うああぁ!」
北畠「・・・ギブアップ?」
平松「・・・ぅう・」
『倒れたところにニードロップ!』
『さらに追い打ちのボーアンドアロー!』
『平松の腰に狙いを定めて、徹底的に痛めつけに掛かる!』
『しかし平松耐え続けます!耐え続ける平松!』
『ああーっと!ここで北畠がとどめを刺しに行くか!?』
『平松を立たせてかがませて抱え込む!これは~!』
北畠「・・・しぶといのも・・・これでおしまい」
ドオン!
平松「っ!!」
『強烈~!
相手を逆さに抱えてからの垂直落下式パワーボムゥ!』
『後頭部から真っ逆さまにリングに叩きつける審判の鉄槌だぁ!』
『万事休す!意識を刈り取られた平松は!リングの上で大の字だ!』
『そしてフォールに入る北畠!』
『ワン!』
『ツー』
平松「・・・ぁあああああああっ!」
『返した!平松が力を振り絞ってブリッジで返す!』
『私が負けるわけにはいかないと!』
『チームを背負う副キャプテンの意地を見せるか平松かなみ!』
ガシ
『しかし北畠がさらなる追い打ちを再び仕掛けるか!?』
『平松の髪を掴んで引き起こす!』
ガバッ
ズダァン!
『ああー!
平松がタックルを仕掛けるも北畠が突進を利用して投げ飛ばす!』
『さらに!』
『グラウンドコブラだああ!』
『力を振り絞って活路を開こうとする平松!』
『しかし突撃した先は、底なしの蟻地獄だ!』
『腰と背中を雑巾を絞るようにひねり込む、北畠の容赦のないグラウンドコブラだぁ!』
『別名ツイスターと呼ばれるこの技は、体を無理やりにねじられます!』
『深刻な腰のダメージを受けた平松がこの技を耐えられるのか!』
平松「ぁあ・・・・ま・・・だ・・」
北畠「はあ・・・はあ・・・」
「・・・いい加減に・・・しろっ!」
平松「ぁ・・・・・」
ぱた
北畠「あ・・・あれ?」
カンカンカンカーン!
『ここでレフェリーストップ!試合終了のゴングだあ!』
『最後の最後まで勝負をあきらめない平松の大健闘でしたが!
番狂わせは起きなかった!
しかし、たしかに全国区の強豪選手を相手に!
たしかに爪痕を残したと!そう言って良いでしょう!』
『平松のこの健闘を、称えこそすれ笑うものはこの会場にはいないと、わたくしは信じたい!』
『高校女子プロレス大会県大会決勝戦副将戦!たしかな名勝負を見せてくれた両選手!』
『しかし、選ばれる勝者はいつも一人!この試合の勝者は!
岬浜女子高校副将! 北畠吉乃だあああ!』
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県大会決勝戦 副将戦 (30分一本勝負)
○北畠吉乃 (3年)163㎝ 岬浜女子高校
✖平松かなみ(3年)158㎝ 奥山川高校
28分51秒 グラウンドコブラ 失神KO
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