滅菌 (Pixiv Fanbox)
Published:
2023-07-01 09:16:12
Imported:
2024-05
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「よっ、とぉ……」
俺は右足を持ち上げて、高さが40メートル位しかない、股下の壁を跨ぐと、そのまま壁の向こうに足を踏み降ろした。
ズシーーーンンン……
靴も何も装着していない俺の右足は、壁の向こうに乱立していた小さな家々を、グシャっと踏み潰した。
左足でももう一度同じ動作を行う。
ドッスウウーーン……
左足の裏に、クシャクシャっと何軒かの住宅が粉々に砕け散った感触が伝わる。そして足元から、ピーピーと小さな悲鳴も聞こえる。
ただ単に障害物を跨ぎ越した足をそのまま踏み下ろしただけで、家々が一瞬にして自分の足の下で潰れてしまうというのは、幾度と体験してもなんとも言えない不思議な気分だ。
俺は周囲を見渡す。40メートルの低い壁によってぐるっと囲まれた、小っぽけなサイズの小人の街。その規模は、俺から見れば学校の教室ぐらいの広さであろうか。
今立っている壁際辺りは住宅街のようで、先ほど踏んづけた家々と同じようなものが、そこら中に敷き詰められている。その住宅地より奥の方には、いくらか背の高いビルの群れも見える。一応、繁華街やオフィス街ということなのだろう。まあ、それでも俺の視界を遮るような高さのものはほとんどないが。
そんなちっぽけなビル郡の更に向こうには、今丁度俺と同じように、壁を跨ぎ越してきた同僚の姿が見える。ほとんど裸同然だが、股間だけは真っ白なビキニ型防護服で覆われている。そういう俺も、同じ格好だが。
アイツの身長は確か俺と同じ位、110メートルくらいだったはずだ。アイツの周辺の建っている建物はくるぶしにも達しないものばかりだから、それらを圧倒するかのような存在感で聳え立っている。まあ、アイツから見た俺も同じように見えていることだろう。
俺達は目で合図を送りあうと、互いに右回りに歩き始めた。ここからが仕事の開始だ。
ズカズカと、眼下に広がる小人の街に足を降ろしていく。
ズシン! ズシン!!
一歩進むごとに、数軒の家が一気に素足の下に押し潰されていく。見る見るうちに、百件近い建物があっという間に瓦礫へと変わっていった。当然、屋内にいた小人も潰れてしまったことだろう。
グシャアッ!
「ぎゃああああ!」「うわああああああ!!」
丁度踏み潰した1軒から、小人が数匹玄関から飛び出てくるところだった。そいつらの上にも足を降ろしてやる。
ズズウウウウウウウン
その小人の一団も、別の集団も、周りの家もまとめて、俺の足の下敷きになっていく。
「おい、逃げろおお!!!」「ギャアアアーーーーーーーーーーーーッ!!!」
建物が破壊されたことにより、道路上には建物から飛び出てきた小人が溢れていた。皆一様にパニックになって、どこへ行けばよいのか分からないまま逃げ惑い始める。
残念だけど、もうお前らにはどこにも逃げ道なんてのは無いんだよ……。
そんな悲しいことを心の中で呟きつつ、俺は歩みを進める。
小人のスピードで俺の足に適うはずもない。俺が自然に歩く速さですら、小人の全速力にすぐに追いついてしまう。
俺は路上に溢れ出す小人共にも次々と足を下ろしていった。
ズズン!ズズウウウウン!
グチャ……ブチュ……ペキペキイ……
まだまだ仕事を開始して間もないから、いくら踏めども踏めども小人はワラワラと沸いてくる。
いくら1匹1匹は脆く弱い小人でも、こうも数が多いと流石に骨が折れる。
俺はそんなことを思いながらも、入念に、丹念に足を降ろしていく。
壁際に建ってる家も、踏み残しがないように注意しないとな。
俺がそうやって壁のほうを向いて、注意深く壁際の家々を踏み壊していると、
「オラアアアアァ!」
ドゴオオオオーーーン!!! ドゴオオオオーーーン!!!
背後から、同僚の叫び声と共に、強烈な破壊音が何度も聞こえてきた。
振り向くと、同僚が足を思いっきり振り上げたかと思うと、5,6軒の家を一度にまとめて蹴飛ばしていたのだ。
地盤ごとえぐる様な強烈な蹴りによって、数軒分の住宅は一瞬にして木っ端微塵の破片となって周囲に飛散した。奴の周りは土煙が巻き起こり、視界が悪くなっている。
どうやら、せっかちなあいつはいちいち踏み潰すのが面倒くさくなったらしい。全く、適当な野郎だ。そんな雑なやり方で、きちんと仕事がこなせるのだろうか?
俺が呆れているうちに、同僚は今度はしゃがみこんだまま足を伸ばし、大きく横に薙ぐように蹴りを放った。すると、先ほど以上に広範囲の家々を根こそぎ壊滅させてしまった。
「ぐはは、見たか俺の破壊力!」
同僚は俺に言ってるのか小人に言ってるのか、そう高らかに叫びながら、どんどん周囲の家を破壊していっている。
しかし、同僚は何度か連続で足払いを放ったところで、バランスを崩したようで、その場でズズゥーンと尻餅をついた。
「いてっ……」
俺は流石に心配になって、大声で呼びかけた。
「おーい!防護服つけてるとはいえ気をつけろよー!」
「ああ!分かってるって!」
同僚は起き上がるなり、平然とした様子で再び足を振り上げ、また家を壊し始めた。……まあ、着地したのがケツ部分だったから大丈夫そうだな……。
そうこうしているうちに、円状の壁付近の、住宅街と思われる部分はあらかた踏み潰し終えた。
上空から見れば、きっと瓦礫の範囲がドーナツ型になっているのが見えることだろう。
残りは街の中心部、比較的背の高い建物やビルが立ち並ぶ街だ。
俺と同僚は、恐らく住宅街から命からがら生き残った小人が避難してきたであろう、中心区域に足を踏み入れた。
ドズウウウウンン!!!
一軒家やアパートよりは多少踏み応えのある建物の感触を足の裏に感じる。まあそれでも、俺の足の下であっけなく潰れて残骸なるのは変わらないのだが。
それに、太ももぐらいの高さのビルもちらほら現れるようになった。こういうのは、踏みつけるのではなく、蹴りやパンチで倒壊させていく。
「うわあ!巨人が来たああああ!!」「にげろおお!!」「こっちだ!早くしろおお!!」
俺達がビルを蹴り倒したのと同時に、小人の集団が一斉に逃げ始めた。
「こっちだ!早くしろおお!!」「うわああああ!!」
見ていて可哀想なほどに、皆一様に必死に逃げ惑っている。まあ、その可哀想な小人を、俺達は全部踏み潰さないといけないんだけどな。
「ぎゃああああ!!!」「うわあああーー!!」
ズズン!!ズズウウウウウン!!
グシャッ……ベキィイイ……
俺達の足に追いつかれた小人が、次々とプレスされていく。
都会の幅の広い道路であっても、逃げ込んできた小人の量があまりにも多かったのか、黒山の人だかりと化していた。
俺は構わず、その渋滞の上に足をかざす。そして、一気に体重をかけ、押し潰していった。
グシャッ……グチャ……ベキィ……
俺の足は、みるみる大量の小人を圧し潰していく。
「ぎゃああ」「助けてくれえええ!」「死にたくないいいい!」
そんな悲鳴が聞こえてくると、俺達はなんとむごい事をしているんだろうという気持ちになる。
しかし、だからといって、ここで手を、いや足を緩める訳にはいかない。
俺達の仕事は、この小人達を全滅させることだからだ。俺達は何としてもその責務を果たさなければならない。
そう考える間にも俺は、無慈悲に、淡々と、足を動かし続けた。
やがて、俺の足に追い立てられた小人の群れが、街一番の大通りを俺とは反対の方向に走り続ける。
しかし、そんな奴らの真正面から、別の小人の群集が現れ、かち合ってしまった。その群衆は、同僚が追い立ててきたものだった。
そう、俺達は逃げ惑う小人の群れを二手から挟み撃ちにしたのだ。
「うわあああ!」「なんだどうなってんだ!?」「ぐええぇえ!潰れるっ!!」
2方向から来た小人共はお互いの進路に立ち塞がる形となり、その結果1つの巨大なパニックの塊を形成していた。当然、まともに身動きできるような状態ではない。
「いよーしぃ!これで一網打尽だな!」
同僚は、足元で蠢く小人の塊を見て嬉しそうに叫んだ。
俺にとっては、見ていてあまり気分の良いものじゃないが、確かに、これなら効率よく仕事が終わらせられそうだ。
「ああ、そうだな」
俺がそう言った直後、二人して大きく足を振り上げる。そして……
ズッズウウウウウウウウウンンン!!!!
ブチッ!グチュチュチィ!
生々しい血肉のはじける音をさせながら、2人の足は小人の塊の大部分を、一瞬にして爆ぜ飛ばした。
その一撃で潰れなかった小人達にも、次々と足を落としていく。小人もビルも車も一緒くたになって、足の裏の泥汚れへと変わっていった。
それでもなお俺達は、辺り一帯を掃討すべく、足を止めることなく足を踏み降ろし続けた。
しばらくすると、ようやく街の中心部もほぼ完全に踏み荒らし終えた。
「ふぅ……」
俺は大きく息を吐いた。
同僚はと言うと、興奮した様子で自慢げに鼻を鳴らしていた。
「どうだ?俺のほうが多く殺ったぞ?」
同僚は得意げに言う。それに対して俺はたしなめるように答えた。
「おいおい、別に数を競うようなものじゃないだろ? ……それにお前、小人が可哀想じゃねえのかよ?」
「なんだよ、お堅い奴だな~。俺なんか、街ぶっ壊してるうちに、こーんな風になっちまったんだからなあ」
同僚はそう言って、自分の股間を指差しながら豪快に笑っていた。
唯一防護服で守られている部分は、窮屈そうにテントを張っている。
全く、こいつは……。
俺は呆れてため息を吐きつつ、話を切り上げるように言った。
「まあ、ともかく、そろそろ仕上げにかかってさっさと帰ろう。あんまり長居してもしょうがないだろ」
すると同僚は自身のテントを張った股間を指差したまま喚く。
「待てよ!こんな状態で帰れるとでも思ってんのかよ!」
「はぁ……? じゃあ、どうするっつーんだよ?」
俺がそう聞くと、奴はズン!と一歩踏み出し、俺へと急速に距離を詰める。そして、息がかかりそうな距離まで顔を近づけたかと思うと、ボソリと呟いた。
「なあ……ヤろうぜ……?」
「……ハァ!?」
俺は思わず大声を上げた。
同僚の目は、まるで獲物を狙う獣のようにギラついており、俺の身体に腕を回している。
俺はその目に気圧されながらも、なんとか言い返す。
「な、なに馬鹿なこと言ってやがる! こんな所でそんなこと出来るわけないだろ……!」
「なぁんでだよ?いいじゃんねぇか減るもんじゃなし……」
「そういう問題じゃない!!つか、防護服外しちゃダメなことは分かってるんだろうな!?」
「んなことは分かってるっつーの。だからこうすりゃいいだろ?」
そういって同僚は、そのいきり立つ股間を、俺の股間へと押し付けてきたのだ。
「ちょっ……何やってんだテメェ……!!」
「ほら、こうしてビキニ越しでも擦ればさ……気持ち良いだろ……?」
同僚はそう言って、俺に腰を振ってくる。
「馬鹿!こ、こんな所でイったら上に何て説明するつもりだ!」
俺は慌てて奴を引き剥がそうとするが、奴は離れようとしない。それどころか、ますます強く押し当ててくる。
体を密着させたまま、奴が俺の耳元で囁いた。
「大丈夫だって。どうせ仕上げの時に混ぜっ返すんだからさぁ、誰が見ても分からなくなるからまずバレねーよ」
俺が必死に抵抗していると、同僚は突然、俺の頭を掴んできた。そしてそのまま強引に引き寄せ、唇を重ねてきたのだ。
「んむうう!?」
俺は咄嵯の出来事に対応できず、されるがままになってしまう。
口内に奴の舌が侵入してきて、歯茎の裏や上顎を舐めまわされる。
「ぷはあっ!」
やっと解放されたかと思ったところで、奴は再び首に顔をうずめるような近さで囁く。
「つか、お前は何とも思わねーのかよ? こんだけ圧倒的なパワーで、膨大な数の小人を駆除しておいて、気持ち良すぎてイッちまいそうだとか思わねえのか?」
そう言って、俺の股間に手を伸ばしてくる。
「……ッ!……や、止めろ……!触るなって……!!」
俺はその手を払いのけようとするが、逆に手首を捕まれてしまう。
「なぁ、よくよく考えてみろって。こんな風に小人の群れを踏み潰して、小人の街をブッ壊してくのって、最高だとは思わねーか?」
「…………」
俺は何も答えられなかった。
確かに、今までにも、この仕事には何度も従事してきたが、時折俺は密かに心の奥底で沸きあがってくる、形容し難い感情を感じていた。しかし、それは決して善いものだとは思えなくて、必死に目を背けて考えないようにしていた。
だが、同僚にそれを指摘された今、体の芯から妙にカッカと燃え上がるような熱が溢れ、股間もムクムクと膨れ上がるのを感じた。
「俺は……」
俺がそう言いかけた時だった。
「なあ、自分に正直になれよ。本当は気持ち良いと思ってるんだろ?」
奴はそう言うと、再び自分の股間を、俺の勃ち上がりかけた股間に擦り付けてきた。瞬間、俺の中で何かが弾けたかのように頭の中が真っ白になった。
「ああっ!」
俺はそう喘ぐと、もう箍が外れたように、自分からも股間を擦り付けようになっていた。
「あぁ、ああ!アアアッ!!」
俺はそう叫びながら、一心不乱に腰を振り続けた。
「ハハッ!それでいいんだよ!オラ、一緒にイクぞおぉぉお!!」
奴の声が呼び水となったかのように、俺も内側から猛烈な勢いでこみ上げて来るものを感じ……
「あぁ!イクゥウウッ!!」
ビュルびゅるる!ブビュルルルル!ドビュッ!ドビュッ!
そうして、俺たちは同時に果てた。
「はあ……はあ……はあ……」
俺は両膝に両手をつくようにして息を整えていた。くそっ、防護服の中から精液がベトベトと染み出して気持ち悪い……。
「ハハハ!どうだ?気持ち良かっただろ?」
一方同僚はというと、俺とは違って股間のべとべとを気持ち悪がることもなく、満足げな笑みを浮かべている。
「うるさいな……そ、そんなことより早く仕上げに取り掛かるぞ!」
俺は若干意固地になってるのを自覚しながらも、そう叫ぶより他なかった。
「へ~いへい」
同僚はやる気のない返事をしながら、ズンズンと壁のほうへと歩いていく。そして壁の向こうから大型のシャベルを2本取り出すと、1本を俺に手渡してきた。
「ほらよ」
「おう……」
俺達はそのシャベルで、瓦礫の広がる廃墟となった街を、片っ端から掘り返し始めた。
ザック、ザック……ザク、ザグ……
深くシャベルを付き立て、奥底の土が地表に出てくるように掻き出していく。ビルの破片も潰れた車も小人の死骸も、みんな地中の奥深くへと埋もれていく。
時々地下鉄の車両や線路が出てくることもあったが、構わずに作業を続けた。
先程2人で精液をぶっ放したところは特に念入りに混ぜ返し、射精した形跡など残らないように、丁寧に処理する。
こうして作業すること約30分後。壁に囲まれた一面、どこを見てもごちゃごちゃに混ぜ返されて、茶色い土が露出した殺風景な景色が広がっている。
俺達は、その茶色い地面の上に、白い粉を大量にかけてまわる。消石灰だ。これを撒けば、俺達の仕事は完了となる。
「よし、これぐらいでいいだろう」
「ああ」
そうして俺達は2人して、真っ白に染まった土地を見渡す。数時間前まで、ここに小人の街が広がっていたなどとは誰も想像できない程の光景だ。俺達2人で、小人どもの痕跡を完全に消し去ってしまったのだ。
「うっし、仕事完了!じゃあやることやったし、帰るか!」
「ああ……そうだな」
俺と同僚はそう言って、壁を跨いで小人の街があった土地から、壁を一跨ぎにして出て行った。
そして、俺達は泥だらけの体の殺菌処理を受けるため、シャワー室へと向かった。
それぞれの家路について、俺は改めてシャワーを浴びると、ソファーに横になった。そして、テレビに映ったニュースを見ながら、今日のことを振り返っていた。
『昨日、××県××市の養小場で、巨人・小人共通感染症であるコビトインフルエンザの感染が確認されたと発表がありました。養小場の職員から家畜保健衛生所に「小人が10匹死んでいる」と連絡が入り、検査を実施したところ、陽性が判明。この養小場では、約100万匹の小人が飼育されていましたが、本日正午から殺処分を開始し、午後3時には全小人が――』
俺はそこでテレビのスイッチを切った。
そして再び天井に目を向ける。すると、また昼間のことが頭に蘇ってくる。
そう、俺達の仕事は、コビトインフルエンザに感染した恐れのある小人達の駆除だった。感染した恐れがある、とは言っても、確定していたのは最初の10匹のみで、その他の大半は元気な小人達だった。俺達の足元を、活発に逃げ惑っていた。しかし、だからといってそのまま放っておけば、当然だがウイルスが広まってしまう。たった1匹でも感染が確認されれば、同じ養小場内の全ての小人を処分されなければならないと法律で定められている。
それに、今はまだ小人にだけ感染が確認されていただけだが、下手をすれば、俺達巨人への感染だって起こり得るかもしれないのだ。そのため、いち早く感染拡大を防ぐために、俺達のような巨人が駆り出されたというわけだ。
俺や同僚の体は検査によって、コビトインフルエンザへの耐性が、他の巨人よりも著しく強いということが分かり、こうした仕事を任されるようになったのだ。小人や小人の建物や車などに直接触れても、小人の街の空気を吸っても、俺達のように抗体のある巨人には全く体に影響はない。唯一、性器への接触は、幾分か感染の確立が上がってしまう、ということもあって、あのような防護服を身に着けていた訳だ。
それにしても……と俺は今日のことを振り返りながら思う。
あの時は同僚に言いくるめられ、妙な気分にさせられていたが、いくら仕事とはいえ、あれだけの数の生き物を一気に処分するというのは、やはり俺にとってはあまり気分が良いものではなかった。たとえそれが、どの道そのまま育ったとしても食肉にされてしまう運命の小人であったとしてでも、だ。
もちろん、俺達が処理していなければ、更に大勢の小人が死に、ひいては俺達にまで感染が広がってしまうのだ。
そういうことだというのは分かっていた。そう、割り切るしかないのだ。
そんな考えに耽っているうちに、俺は眠気に誘われ目を閉じた。
今日はこのまま早めに寝てしまったほうが良いだろう。明日は、今日よりももっと規模の大きい、500万匹収容の養小場での滅菌作業が待っているのだから。
そう明日のことを考えて、俺は静かに眠りに落ちていった。