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AI作画による寝取られ同人作品「寝取られ妻のビフォーアフター(仮題)」の制作が始まりました。初日の制作スピードは、実働4時間でフルカラー9ページ。実際に作業を始めてみて、分かったことやメリット・デメリットをお伝えします。


 この作品は、立ち上げたばかりの同人サークル「スタジオ真榊」の第一作です。賢木と沖坂塁さん @okisakarui の2人ユニットでキャラクターデザインと脚本を練り、ネームを完成させ、昨日ようやく本編の制作作業が始まったところです。賢木はサラリーマンなので、初日の作業時間は夕食後から寝るまでの4時間程度。作業の内訳は、ネームを基に必要な画像を生成するのに1時間、残り3時間かけてそれらをコマ割りに配置し、セリフや擬音などを配置したり、細部を修正したりという感じです。


作業を始めて分かったこと



・ネームまでの準備作業が大切


 まず大前提なのですが、「AIを使ってもネーム作業までは楽にならない」ということがよく分かりました。「山なしオチなし意味なし」のただのエロシーンのみを並べる作品ならともかく、いやそうだとしても、最終ページまでのコマ割りやせりふ配置、展開、構図などは、ちゃんと自分で考えないといけません。CLIPSTUDIOを使えばコマ割り・せりふ入れなどは非常に簡便にできるのですが、まずはネームが手元にないと制作が一歩も進みませんし、ネームを切るには、お話のストーリーラインやせりふが書かれた脚本が必要。つまり画像制作を開始するまでにかなりの労力が掛かるということで、正確に言えば昨日が制作初日ではなく、脚本に取りかかったときが本当の「初日」ということです。


 賢木はここ2週間くらい、暇な時間はずっと作品のことを考えていましたし、沖坂さんとの打ち合わせややり直し、修正なども含めると、ネーム完成までに結構な期間が掛かっています。いきなり今日取りかかって4時間で9ページ作れたわけではないのですね。(作れることは作れますが、たぶん紙芝居みたいな低クオリティになります)


・「ネームはスマホで」が便利


 ネームはスマホアプリを使って書いています。画面を指でなぞって書くので細かな描写はできませんが、移動時間などいつでもどこでもコマ割りなどを考えられるし、あとから眺めて修正案も浮かぶのでとても重宝しています。作品の構想や良いせりふ、盛り込みたいアイデアや修正案が思いついたら、これもスマホのメモ機能でそのつど書き留めています(icloudでPCに自動共有される)。日中はスマホを使ってアイデアを練って、夜にそれを作品化していく・・・というサイクルができそうです。


 ネームにAIは全く影響しないか?というとそうでもありません。通常ネームを切るときは「この遠景は手間が掛かるから避けよう」とか、「この小物は手で書くには面倒すぎる」といった、作画労力を心配して特定表現を削ってしまう現象が起きます。AI制作の場合、こうしたためらいなくネームを切ることができるので、そこはAIならではのメリットと言えます。(※ただし、AIが苦手な作画はよほど重要でないかぎり避けることになります)


・制作に入りさえすれば・・・


 ネームさえできたら、あとはどんどん必要な画像をAI生成していきます。ChatGPTの助けを借りながらプロンプトを作り、各コマを埋める画像を生成していくのですが、それまで自分の頭の中だけにあった物語がすごい早さで作品として可視化されていくので、とても楽しい作業でした。


 少し話がそれますが、よく漫画家が言う「キャラが勝手に動いた」とか「お前そういうキャラだったのか!と初めて分かった」という意味が理解できたのが興味深かったです。自然なストーリーや会話を考えると、キャラの内面もおのずと収束していくので、事前に作者が想定していなかったセリフを話し出す・・・ということなんですね。


 制作は非常にハイスピードに進むのですが、もちろんこれも下準備が重要。主要キャラクターのデザインはしっかりと事前に定め、どんな構図の画像を生成してもある程度容姿が収束するような強力なプロンプトを持っていないといけません。特に髪型が違うと別人に見えてしまうので、ここの検証にはかなりの時間を要しました。もちろん100%同じキャラが出るプロンプトというのはありえませんが、3~5割くらいで収束するのであれば十分ガチャしがいがあります。逆に言えば、一度主要キャラのプロンプトさえできてしまえば、らくに量産できるということでもありますね。


 要素を収束させるためには、ある程度「マスピ顔」も甘受しないとならず、そのあたりは絵師というよりAI術師としての実力が問われる要素かなと思います。


・「完成」してからが本番?


 単純にAI生成物をコマに並べてセリフを配置するだけならかなりの早さでできるのですが、きちんとした「作品」に仕上げるにはそうもいきません。キャラ大写しの大ゴマ連発だと「紙芝居感」「手抜き感」の強い作品になってしまうし、漫画の形にして初めて分かる「このコマのヒロインは別の子に見える」とか「よく見たら細部がおかしい」といった粗もあるからです。そこで、自力で描き直したり、不自然な部分をフレームアウトさせたり、i2iで再生成したり、前に紹介した「キュレフル合成法」を使ったりして、できたものをブラッシュアップしていくことになります。


 言ってみれば、最終ページまで予定通りAI画像で作れたとして、そこでようやく折り返し地点というイメージ。普通の同人制作だと全工程の最後に完成品が手に入るわけですが、AI生成の場合はかなり早い段階で完成品(モック=見本)が手元に来るわけで、そこから時間を掛けて細部をこだわっていけるのが利点だと言えそうです。


 いろいろ工夫した結果、「同キャラが別人に見える問題」はAIによる修正だけでなく、加筆によって同じキャラに見えるよう修正する手法も確立できそうなので、後日記事にしたいと思っています。

 

・リテイク・無生物描写が容易




 もう一つAI生成のよいところは、作画ミスや不自然さにあとから気付いた場合、いつでも容易に修正できるということ。生成したAI画像(コマを構成するタネ)をフォルダにまとめて保存しておけば、「惜しい画像」をもとにガチャをやり直すこともできますし、i2iを使って気に入らない部分を集中的に直すこともできます。完成品をまず見てから自由に直せるわけで、同人制作でよく耳にする「作業の大変さに辟易して、途中で心が折れてしまう」といったことも起こりにくいと思います。


 AIは小物や遠景といったキャラクターがからまない描写も得意です。たとえば玄関ドアだけのコマ、街の遠景、リビングルームの風景などは、ほとんど生成した画像ままでなんとかなってしまうレベル。AI任せにすると今ひとつニュアンスが違う場合は、自分で現実の風景や小物の写真を撮影してそれをもとにAIでイラスト調に作画してもらうことすらできます(この方法なら被写体の著作権も心配ありません)


・難しいのは「統一感」


 さて、ここまでAIの利点が並びましたが、AIを使った同人制作で難しいのは、やはり作品全体の統一感を出すことです。キャラクターの容姿、塗り、色合い、タッチというものは、画像をただ並べただけではバラバラで統一感がなく、いくら強力なプロンプトを用意してガチャをやり直しても限界があります。目鼻口を自分で描ける程度の絵心があれば、完成後の「ブラッシュアップ」作業でなんとかできるのですが、一切作画ができないとなると「紙芝居」程度の作品が限界ということになります。結局作画AIを使ったとしても、ここの作業に習熟しているかどうかで作品の仕上がりに大きな差が出るわけで、「なんでもAIで解決とはならない」ということですね。


 作品選びの段階で「統一感問題」を回避する方法もあります。が、それはいわゆる紙芝居でも問題のない「せりふつき連作CG集」にするという方法。前も少し書きましたが、例えば1クラスの女子16人の催眠フェラ図鑑みたいな作品なら、同じキャラが二度登場しないので統一感を出す必要がありませんし、細かいコマ割りも脚本も必要なくなります。それもそれで一つの創作の在り方だと思いますし、短期間でできそうなのでいずれ挑戦してみたいなとも思うのですが、まずは目の前の作品に集中して、完成させてから考えようと思います。


・AIは「自分で描ける人」にこそ有用?


 実際制作に移ってみて強く感じたのですが、作画工程がAIによって簡略化されていくと、おのずと「人間が学ぶべき絵」と「AI任せにすればいい絵」がくっきりとしていきます。もちろんイラストレーターなどは画面全体を自力で描けないとダメだとは思うのですが、必ずしも「全て自力」を求められない時代が既に来ているのですよね。既に「自分の絵」を持っている人こそ、作画AIは上手に活用できると思います。


 スラムダンクやジョジョですら写真や絵画からのトレスが使用されていますし、「ウシジマくん」も写真そのものを取り込んで加工したものを作品の一部にしています。既に多くの商業漫画でも、遠景や航空写真といった非人物の絵を全部手で描いているというケースはかなり少なくなっているのではないでしょうか。スラムダンクやジョジョでは、そうした技術が作品の質の格上げに利用されており、「ウシジマくん」では作画労力の削減(もしくは写実的リアルさの追求)に一役買っているわけですが、もちろんそれは作品全体の背骨となる「描ける力とオリジナリティー」があってのことです。作画AIは眼鏡や車いすのように「描けない人」を介助してくれますが、むしろ元々描けるアスリートが使用するとさらなる効果を発揮するパワードスーツになるのではないでしょうか。


 「AIを使用している」と公言するかはともかくとして、これからは商業作家もAIを取り入れていく流れはもはや不可避であると思います。いずれにせよ「作画AIだけで人の心を動かす作品は作れない」のは論を待たないと思うので、優れた作品になるかそうでないかは結局使う人の創作性に帰結する、という本質は今も昔も変わらないでしょう。


・率直な感想は「メッチャ楽しい」(小並感)




 話がそれましたが、実際やってみた感覚としては、自分が夢想していた漫画がスムーズに現実化していくイメージで、「え、待って、これメッチャ楽しい~!(ギャル)」という感じ。エロ妄想を形にしてみたくてしょうがなかった自分としては、翼を得たような気持ちです。


 バカみたいな感想ですが、この「楽しい」というのはとても重要なことだと思います。「創作はまず完結させることが何より大切だ」と古今東西いろんなところで言われていますが、つまりは完結させないと他者から批評もしてもらえず、創作者としてそこから何も得られないということだと理解してます。そういう意味では、AI制作でとにかくまずは完結までたどり着いてみる、そこから何が悪いか考えてページを足したりコマを引いたり、作画を修正したりしていく・・・という作業は、けっこう理にかなっているのではないでしょうか。




 当面の目標は、1月中に作品を完成させ、FANZA登録までこぎ着けること。進捗や手続きの実態、収益の具合などはFANBOXなどでできるだけリアルタイムにお知らせしたいと思います。大コケしたらそっとしておいてください・・・。


 作画AIを活用して作品作りをしたい!という方はとても多いですが、実際に販売を目指して制作を始める人はそのうち一部でしょうし、実際にきちんとした作品に仕上げて販売にこぎ着けられる人はさらにわずかでしょう。もともと同人活動をされていて、作品の一部に画像生成AIを活用したい人向けにもいま私が体験していることというのはすごく有用だと思うので、しっかり文章化して残しておきたいと思います。


 それでは、「AIでエロを変えたい!」スタジオ真榊でした。再見!

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Comments

Anonymous

面白い記事でした、楽しく読ませて頂きました。販売されたら買ってみたいです。

スタジオ真榊

ヒャーッ!既にFANZA投稿されている先生に読んで頂けるなんて…恐縮&感動です! 初めての体験続きですが、とっても楽しいのでおしまいまで一生懸命がんばります^^