最近の読書#44 (Pixiv Fanbox)
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みなさんどうもです!さかいです!
今回も僕が最近読んだ本の紹介をしていきたいと思います!
例によって個人の感想なのでご了承ください…!
では、どうぞ~!
・野心のすすめ(林真理子)
作家の林真理子さんが、野心の重要性について書いた本。
現代の日本では仕事さえ選ばなければ食うに困るようなことはほとんどなく、とりあえず、なんとなく生きていく事はできる社会になっている。
そのため、人生で大きな挑戦をしなくても特に困らない。
なので世の中には特に目標も持たず、あんまり頑張らずにフワフワと生きている人が大勢いる。
しかし、そんな風に最初から低いハードルだけを設定しているような人生で本当にいいのだろうか、と疑問を投げかけるとともに、野心的な人生の魅力などを説いた一冊になっている。
結婚も子供も仕事もすべて手に入れたい、とまるで『推しの子』の星野アイのようなゴリゴリの野心を持っていた著者は、結果的にそのすべてを手に入れた。
それは低い位置の欲望で満足することなく、常に高い位置にある目標に対して努力し、手を伸ばし続けていたからだとのこと。
その過程では野心的に行動する人のことを悪し様に表現する人も現れるが、そういう人に大成できた人間はいない。
自分の野望を明確にし、人生を逆算し、いまするべきことに集中して努力を重ねることこそが凡人である我々が幸福を手に入れるための方法である、さぁ、野心をもって生きようじゃないか――といった内容で本書は締められていた。
以前読んだフィル・ナイトの自伝『シュードッグ』でもそうだったけれど、野心をもって取り組み続けた人には道は開けるし、逆に他人を腐したりする人が何かを始めたためしはなく、結局は強いビジョンを持ち前に進み続けた人だけが最後に残るという力強いメッセージが感じられた。
人生とは最長100年くらいの世界一自由度が高いオープンワールドゲームだとも言えると思うので、そこで自分が何を成したいのか、目的をもって生きることを改めて意識することができた。
結局、人生は幸せになったもん勝ち。
・なめらかな世界と、その敵(伴名練)
SF短編集。
赤坂アカさんの表紙が可愛いので読んでみた。
内容としては『人の意識の在り方』や『時間旅行』のようなSF的テーマを扱いつつもユニークな切り口で表現されていて、なるほど個性的な作家さんなんだな、と感じた。
以前読んだ伊藤計劃さんの『ハーモニー』をモチーフにしたストーリ-などもあり、知っている人がいればニヤリとできるかもしれない。
全体的に読者を飽きさせない工夫を上手く施されていてエンタメ然としている。
そして最後に収録されていた短編『ひかりより速く、ゆるやかに』のように映画『アマデウス』を彷彿とさせる愛と憎悪を同時に灯らせる心のままならなさや多面性を切り出すのも上手く、むき出しの人間を描くパワーも見受けられた。
SF愛を感じる作品群なので、SF好きな人にはいいかも。
・Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である (クリスティーン・ポラス)
ビジネスにおいて、礼儀正しくすることがどれだけの利益を生むか、また、逆に無礼さがどれくらいのデメリットを生むかが書かれた本。
以前読んだマキャベリの『君主論』を引き合いに出しつつ、現代では恐怖で君臨するよりも尊敬される人柄であった方が仕事も得やすく人脈は広がり、出世の可能性も高まる。
逆に礼節を欠けばその逆も然り、ということで、その態度が仕事の足かせになる可能性もある。
それは個人を超えて企業や組織という単位になっても同様で、基本的に礼節をわきまえた態度はプラスになることはあっても、マイナスになることはほとんどない。
つまり誠実であり続けることこそが、ビジネスを最大化できる最も合理的で、かつ幸福度の高い行為であるとのことだった。
日本人にとって『礼儀正しくあること』は割とデフォというか、浸透した意識ではあると思うので、これをどんな場面でも、自分の生き方の指針として持つことができればより高い人間性を発揮できそうだな、と思った。
そして礼儀正しさの根源にあるのは他者を気遣い余裕のある態度を出来るだけの「自分は成功している」という自己肯定感や自己効力感があるからこそ、という一文を見たとき、思わず膝を打ってしまった。
SNSとかでわざとクソリプ送って他人を困らせたりしている人とか、なんでそういうことするんだろ…?と思っていたけれど、そうか、自己肯定感や自己効力感がないからそういった行為で自分を確かめているのか、ととても腑に落ちた。
健康的に生活して、心を整えて生きていきたい。
・実力も運のうち 能力主義は正義か?(マイケル・サンデル)
以前読んだ『これからの「正義」の話をしよう』の著者であるサンデル教授による、実力主義と分断についての本。
現代の社会において、「エリート」と「それ以外」の存在は明確に線引きされてしまっている。
それは高卒と大卒の学歴によって平均収入が変わってくることであったり、どこの大学を出たかで箔が付いたりすることに表れている。
こういった格差による分断が社会に大きなひずみを生む結果になってしまっているのではないか、と問いを投げかける内容になっている。
例えば受験などにしても、合格した人は「努力の結果です」と堂々と答えたりする。
だいたいの場面において難関大学に合格する人は学習に集中できる家庭環境にあったり、家族などから何かしらの支援を受けている場合が多く、受験にはそういった要因も多分に作用している。
こういった環境や実力以外の部分があるにもかかわらず、エリートたちは「機会は平等に与えられている、その中で選ばれたのは、自分に選ばれるだけの能力があったからだ」と信じて疑わない。
これは裏を返せば「成功できなかったのは自分よりも努力していない、努力が足りなかったからだ」という傲慢な思想にも繋がっていく。
つまり「上級国民」は自分たちの能力に自信を超え慢心を持ち「一般市民」との溝をより深めていく。
そうなると今度はその溝を利用し「一般市民」を扇動する、いわゆるポピュリズムが台頭し人々をより分断させることで自分たちの勢力拡大を図る。
それはイギリスのブレグジットであったり、アメリカのトランプ当選であったり。
民衆を煽る分断は世界的に、より深刻になっていっている。
では、どうしていくべきかと言うと「上級国民も一般市民も連帯しよう」という結論に落ち着いていく。
受験生の家庭環境の例のように、言ってしまえば人の成功には「実力」以外の因子が多分に絡んでくる。
ぶっちゃけちゃえば「運」の要素がかなり大きい場合が多い。
なのでエリートたちは自分たちが努力のみで勝ち上がってきたと慢心せず、あくまで市民の一部である自覚と絆を忘れずにいるべきであり、反対に一般市民もエリートたちは自分たちの中から選ばれた仲間である、という意識を持ち続ける大事さをもって本書の締めとしていた。
ポイントとして、この本ではエリートの傲慢さは批判しているけれど、エリートになるための努力や自己研鑽を否定しているわけではない。
つまり、日々自分を磨いて、チャンスを逃さずチャレンジしてエリートを目指し、しかし周りの市民への敬意をもっていこう、ということであった。
SNSだとあらゆる分断が可視化されて地獄の様相を呈しているけれど、分断の向こう側にいる人は決して敵ではなく「状況や考え方が違うけれど自分と同じ仲間である」という連帯意識を持つことが、大事なのかもしれない。
・異常(エルヴェ・ル・テリエ)
フランスでベストセラーとなったサスペンス小説。
ある日、気象図にない積乱雲が突如発生し、フランスからニューヨークへ向かっていた飛行機が乱気流にのまれる。
そして三か月後、ジョン・F・ケネディ空港の管制室に連絡が入り、飛行機が到着することになるが――というお話。
最初の150ページくらいは延々と登場人物紹介が続いて何の話か分からず、正直言って脱落しそうになった。
しかし中盤からはSF色が強くなり物語も一気に加速して読み応えある内容になっていく。
テーマとしてはわりとSF然としているが、そこに神学や哲学を絡め、さらには人間の愚かさや愛しさなどを丁寧に描いていたのは読んでいて面白かった。
思考実験的なネタが好きな人や、知識や教養が深い人はより楽しめると思う。
ネタバレを避けるとかなり限られた情報しか書けないので、ぜひ一度読んでみてほしい。
以上になります!
今回もお付き合いいただき、ありがとうございました!
なにかの参考になれるなら幸いです!
それでは!