<憑依>きみと過ごした日々⑪~怒り~ (Pixiv Fanbox)
Content
充実しているやつらには、分からないー。
お前たちが、どれだけ目障りな存在か。
光に満ちた人生を送るやつらは、
闇を見ようとしない。
闇を踏みつけ、その上で光を浴びて生きている。
お前たちは、無意識のうちに人を傷つけ、
蔑んでいるー
倉本康成ー
お前もそうだ。
いつもいつもいつもいつも、
彼女との幸せそうな話を
生徒会室でしやがって…
ヘラヘラと笑いやがってー。
俺は、お前を見るたびに、
不愉快で仕方がなかったー。
俺とは正反対のお前がー。
社交的でー
友人も多くてー
女子からも頼りにされていてー
何もかもが、俺とは違うー
生徒会室で、お前と顔を合わせるたびに、
俺は、お前にコンプレックスを感じていたー。
成績では、俺のほうが上のはずなのにー
会長も、他の生徒会のやつらも、
お前を頼りにするー。
なぜだ?
お前がリア充だからかー?
目障りだー
目障りだーー
目障りだーー
幸せそうにしているお前を
滅茶苦茶にしてやりたいー…
俺は、ずっとずっと、そう思ってたー
そしてー
俺に神が現れたー
女神ー
いいや、魔女とでも言うべきだろうかー。
俺は、”力”を手に入れたんだー。
リア充どもを、ぶち壊す力をー
お前を地獄に落として、苦しめる力をー!!!
・・・・・・・・・・・・
倉本 康成
2年B組生徒。彼女が憑依されてしまう。
藤森 明美
2年B組生徒。お茶目な性格。憑依されてしまい…?
柳沢 零次
2年B組生徒。康成の親友。
篠塚 沙耶香
2年C組生徒。生徒会長。同じ中学の出身。
哀川 裕子
2年B組生徒。陰険なお嬢様
間宮 結乃
2年B組生徒。明美と親しかった生徒の一人。大人しい性格。
国松 千穂
2年B組生徒。明美と親しかった生徒の一人。スポーツ大好き。
高藤 和彦
2年D組生徒。リア充を憎む生徒会書記。
☆登場人物詳細は↓でどうぞ☆
(いつも書いている注意ですが、
\300と出ていても、このお話を読めている人は
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fanbox post: creator/29593080/post/891606
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図書室ー
明美は、イライラした様子で机を叩いていた。
「なんなのよ!アイツ!」
話の途中に突然走り去っていった康成に対して
怒りを覚える明美ー。
「はぁ…はぁ…」
しばらく一人で暴れていた明美は
滅茶苦茶になった図書室を見つめるー
「--おやおや」
ーー!
明美が振り返ると、
そこには吹奏楽部部長の小野坂亮介がいた。
「---」
明美は、散らかった図書室を見て
気まずそうな表情を浮かべる。
「--図書室の開放時間は、もう終わったけど…」
明美が言うと、
散らかった図書室の椅子を元の場所に戻しながら
亮介は呟いた。
「--彼氏と、別れたんだってね?」
優しく呟く亮介。
ナルシストな亮介は、女子には優しい。
「---…何よ?わたしの勝手でしょ」
明美が愛想なく言う。
「--あぁ、もちろんさ。」
亮介は静かに笑うと、
明美のほうを見つめたー
そしてー
・・・・・・・・・・・・・・・・
理科室ー
「--お前だったのか…高藤!」
康成が叫ぶー
康成を助けにかけつけた
憑依される前の明美と親しかった友人の一人、
テニス部部長の千穂も、驚いた表情で
高藤のほうを見ているー。
明美に憑依していたのはー
生徒会書記の高藤ー。
リア充を憎んでいた男だー。
「--くっくくくく…」
高藤が笑うー。
「--なんで…なんで明美をあんな目に…」
悔しそうに康成が言う。
「--いつもいつもいつも…
うざいんだよ…!」
高藤が憎しみを込めて言う。
「--うざい…?」
康成が聞き返す。
「--俺はなぁ、、、お前みたいな
リア充野郎が一番嫌いなんだよ…!
それにお前は、生徒会室で
いつもいつも、彼女との話とか、
充実した話ばっかしてやがった!
俺の目の前でな…」
高藤が声を荒げるー
そして、さらに続けたー
「それだけじゃない…
俺の方がお前より、成績上なのに、
どいつもこいつも、お前ばっかり!
会長も、生徒会の他のやつらも!
お前ばっかり!!!!
お前より、俺が優秀なのに…!
お前は頼りにされて
俺は頼りにされないーー
なぜだ?不公平だろ?なぁ?」
高藤が康成の方を睨みながら言うー。
「--頼りにされないのは、あんたの性格が悪いからでしょ!」
千穂が口を挟むー
「---部長ぉ…お前には用はねぇ!
脳みそ空っぽ女は黙ってろ!」
高藤が声を荒げたー
テニス部部長の千穂が「あ、、頭からっぽぉ!?」と
声を荒げるー。
高藤は、千穂から康成に再び目を向けると叫ぶー。
「--お前が悪いんだよ…!
いつもいつも幸せそうにしやがって…!
だから、ぶっ壊してやりたくなったんだよ!あはははははは!」
高藤の言葉に、康成は怒りを感じて、声を荒げる。
「ふ…ふざけるな!!!
そんなのただの逆恨みだ!!
お前の下らない嫉妬に、、明美を巻き込むな!!!!」
康成が大声で叫ぶ。
「---あ、、あんた…明美に…何をしたの!?」
テニス部部長の千穂が叫ぶー。
「--くくく…あの日ー
図書当番を終えた明美ちゃんのところに行ってー
憑依薬を使って、明美ちゃんに憑依したんだよー」
高藤がニヤニヤしながら康成を見つめるー。
「図書当番を終えて、
お前との待ち合わせ場所に向かおうとしていた
明美ちゃんに、俺は抱き着いたんだ。
いやぁ、、いい香りだったよぉ?
胸の感触も気持ちよかったー…
そしてー
明美ちゃんにキスをして憑依したんだー。
別に、遠くからでも憑依できるんだけどさぁ、
その方が、面白いだろ?」
高藤は、康成を挑発するように言う。
康成は高藤を睨みながら拳を握りしめるー
「明美ちゃん、俺に憑依される直前に、
こう言ってたよ?
”助けて…康成…”
ってなぁ!
あはははははは!
それが今はどうだ?
憑依して、俺がいろいろな暗示をかけて
明美ちゃんの思考と記憶を塗りつぶした結果、
明美ちゃんは、すっげぇ悪い女になっちまった!
へへへへ…
あんなに大好きだったお前とも別れてなぁぁ!」
高藤が狂ったように笑いながら叫ぶ。
「--ふざけるな…」
康成が拳を握りしめて怒りの形相で高藤に近づくー
そして、高藤の胸倉をつかんだー
「明美を、元に戻せ」
康成が、悔しそうにー
怒りを爆発させながら高藤を睨むー
「--く、、くくくく…」
高藤はヘラヘラと笑っているー
まるで、反省している様子がない。
「--明美をも・ど・せ!」
康成が震えながら言うー
今にも高藤を殴りそうな勢いだ。
「嫌だと言ったら?」
高藤がうすら笑いを浮かべながら言う。
「---憑依のことを先生にも…
警察にも言う…
すべてを明らかにしてーー
どんな手段を使ってでも、
明美を助け出すー」
康成に胸倉を掴まれたまま、
高藤は笑うー
「それは無理だぁ…
”憑依”なんて、誰が信じる?
俺が否定すればそれまでだー。
しかも…俺の親父は警察官だ…
そこそこの地位にいるー…
覆面も双眼鏡も、お前に連絡したスマホも
親父の仕事関係から手に入れたものだー。
何をしても、無駄なんだよーー」
「くっ…」
康成は悔しそうな表情を浮かべるー
「--”憑依”しちゃいけないなんて
法律があるのか?
”憑依”は犯罪か??
あ?法律があるなら言ってみろよ?
日本国憲法第何条だ?あ???
倉本よぉ!」
高藤が康成を挑発する。
「テメェ!」
康成が高藤を掴む手にさらに力を入れる。
「倉本くん!落ち着いて!」
千穂が叫ぶー。
「--く、、ひひ…ひひひ
憑依は犯罪じゃない…!
悔しかったら、お前が政治家にでもなって
憑依禁止法でも作ればいいだろぉ?」
高藤はなおも笑うー
康成は高藤を突き飛ばすと、
「--頼むから、明美を戻してくれよ!」と叫んだ。
「--お前が恨んでるのは、俺なんだろ!?
だったら、俺に何かすればいいじゃないか!!!
なんで明美を巻き込むんだ!」
康成は目に涙を浮かべながら叫ぶー。
「--ーー倉本くん…」
普段、人前で泣くようなことは絶対にない
康成の涙ながらの叫びを見て、千穂が
悲しそうな表情を浮かべるー。
「---…その方がーーー」
高藤が、再び康成を挑発しようとするー
しかしー
康成の怒りと悲しみに満ちた目を見てー
高藤は恐怖を感じたーーー
明美に対する思いの強さを知りーー
少しだけ驚くーーー
「---俺は、明美を助けるためだったら
なんだってするぞ…
お前を地獄に追い詰めたっていい…
俺は八つ裂きにされてもいいーー
どんな手段を使ってでも、俺は
明美を助け出すーーー
たとえ…お前を…ぶっ壊してでも…」
康成が怒りに震えながら叫ぶー
「---…もう一度言うぞ…
明美を元に戻せ…!」
康成の低い声ー。
高藤は笑うー
「--残念だったな」
とー。
「--!?」
「--もう、元には戻せないんだよ!
俺が持ってた憑依薬は、全部使っちまった!
今、俺の手元にはないー。
これがどういう意味かわかるか?
もう、俺は明美ちゃんには憑依できないんだよ!」
高藤がゲラゲラと笑うー
「そんなー」
千穂が悲しそうに呟く。
理科室の重ぐるしい空気の中、高藤はさらに続けるー。
「--絵具で塗りつぶされた白い画用紙は
もう、元には戻らないー
絵具で塗りつぶした画用紙を
もう一度真っ白にできるのか?
できねぇだろ???あ????
それと同じだよー。
俺に塗りつぶされた明美ちゃんの脳も、
もう、元には戻らないー
ぎゃははははははは!」
高藤が笑うー。
「--ふざけるな!憑依薬ってなんだ!?
どこで手に入れたんだ!!!」
康成が怒鳴り声をあげるー
「--くくく、、貰ったんだよ…
”あの女”からーー
俺は入手ルートを知らないー」
高藤が康成を見ながらニヤニヤと笑うー。
「あの女ー?」
康成が叫ぶ。
「--そうだ!
俺が悪いんじゃない!
悪いのはあの女だ!
明美ちゃんに憑依するように言ってきたのも、
明美ちゃんをどんな風に変えればいいか指示してきたのも、
あの不良野郎を好きに思うように、
明美ちゃんを変えるように言ってきたのもー
あの女だ!
俺は悪くない!
くくく…俺は悪くない!!!」
高藤が笑いながら叫ぶー
”不良野郎”
長谷部のことかー
ガムをいつも噛んでいた不良生徒・長谷部のことを思い出す。
康成は考えるー。
最初、明美が憑依されたとき、
図書室に長谷部の写真が置かれていたのはー
明美に長谷部に対する好意を刷り込むために使っていたのだろうー。
どうして、明美と長谷部をくっつける必要があったのかは分からないがー…
「---ふざけるな!!!
憑依薬を渡されただけだとしても、
明美をあんな風にしたのは、高藤、お前だろ!!」
康成が取り乱しながら叫ぶ。
「--リア充…大☆爆☆発!」
高藤が中指を突き立てながら笑うー
「テメェ!!!!」
康成は再び高藤の胸倉を
さっきよりも乱暴に掴む。
「倉本くん!だめ!!」
千穂が叫ぶー
高藤は、康成に殴られようとしているー
千穂は、そう感じたー。
「--へへ、、へへへ、殴れ殴れ殴れ!
そしたらお前は停学だぁ…!
あの不良野郎と同じように!
どうした?ほら、殴れ殴れ!
殴ってみろよ!」
しつこく康成を挑発する高藤ー
康成は、怒りの形相で拳を握りしめたー
「--高藤!!!!!!!!」
大声で叫びー
高藤を殴りつけようとするーーーーー
”ーー優しいところかなーー?”
ふと、脳裏に、明美との会話が浮かんでくるー
去年のクリスマスー
ふたりで遊園地にいったときのことー。
康成と明美は、お互いのどこが好き?という
話になって、観覧車の中でその話をしていたー
明美は言っていたー
”優しいところ”
とー。
明美は暴力とか、悪口とか、
そういうのが嫌いだったー。
そんな明美は言っていたー
「康成は、暴力とか振るわないし、
人の悪口とかも言わないし、
なんて言うかな…?
一緒にいて、とにかく安心する感じ!
あと…普段は頼りなく見えるけど
いざというときに頼れるところとか、
面白いところとか、わたしのこと大事にしてくれるところとか!
…って、好きなところ多くなりすぎちゃった!」
康成は、そんな明美を見ながらほほ笑んだー
「---実は優しくないかもしれないぞ~?」
康成がふざけて言うと、明美はにっこり笑った。
「小さいころから一緒だからわかるもん。
康成は優しいよー。
これからもーーー
優しい康成でいてね」
冗談を真剣に返されて、顔を赤らめた康成が
苦笑いしながら言う。
「---わかった。約束するよー」
とー。
観覧車でほほ笑んでいた明美の顔を思い出すー
そうだー
約束したーーー
「---明美…」
康成は震える拳をーー
高藤の顔のすぐ横の壁に叩きつけたーーー
「---」
高藤が、自分の真横にたたきつけられた康成の拳を見ながら
沈黙するー
「---…高藤」
康成は冷静さを取り戻して、高藤から手を離すと
高藤のほうを見た。
「---…お前に憑依薬を渡したっていう女子に話を聞く。
そいつは、誰なんだ?」
康成が言う。
「---俺が…お前に教えるわけな…」
「---誰なんだ?」
康成は、高藤の言葉を遮ってもう一度聞いたー
さっきまでとは違うー
冷静さの中に激しい怒りを感じるー
高藤は、気圧されて首を振ったー
「くそっ…」
「---あたしも知りたい…
教えなさい!」
千穂が言うー。
高藤は康成と千穂のほうを見つめると、
観念した様子で呟いたー
「---会長」
「--!?」
「---え」
驚く康成と千穂ー
”会長”とはー?
「---会長…篠塚さんのことか?」
康成が言うー
生徒会長の篠塚 沙耶香ー。
明美が憑依されたあとも、康成のことを
影から支えてくれている心優しい女子だー。
その、沙耶香が、高藤に憑依薬を渡したのかー?
首を振るような仕草を見せながらー
「---い
高藤が続けて何かを言おうとしたーーー
しかしーーー
ビクン、と高藤が震えたー
「----…ふ、、、ふふふ…」
高藤が笑いだす。
「---高藤…?」
康成が、千穂をかばうようにして前に立ちながら
高藤のほうを見つめるー
「ふふふふふ、ふふふふふ…あははははははは!
あぶなかったぁぁぁ~~~!!」
高藤が突然叫び出す。
「---え…?」
康成が唖然としていると、
高藤がニヤニヤしながら康成の方を見るー
「----ほんとうに、、、
使えないやつ…」
高藤が呟くー
ー!?
康成は何が起きたのか理解できず困惑するー
しかしー
少しして、気づいたー
「まさか……」
「ピンポーン!」
高藤が笑う。
「---ギリギリセーフ!
憑依って便利だね~?」
高藤がケラケラと笑うー
高藤はーー
”高藤に憑依薬を渡した女子”に
憑依されてしまったー。
「本当は、わたしは憑依薬使いたくなかったんだけど、
まぁ、仕方ないよね?
余計なこと喋られちゃ困るし。
わたし、警告したんだよ?
調子に乗りすぎると、足元すくわれるよ?って。
でも、やっぱこいつ調子に乗りすぎちゃったね~」
高藤は自分を指さしながら笑うー
「---…お前は誰だ!!
なんで、明美をあんな目に…!
明美を元に戻せ!!!」
康成が必死に叫ぶー
しかしー
「---ふふふ…ノーコメント」
高藤はそう呟くと、突然走り出したー
「--!?」
康成が驚いている間にーー
憑依されたままの高藤は理科室から非常階段へと飛び出しーー
そして、笑いながら非常階段から真っ逆さまに
飛び降りてしまったーーー
「高藤!」
康成が叫ぶー
既にーーー
高藤は転落して血を流しているー
「くそっ!」
康成が叫ぶー
「--------…」
理科室の入り口が少しだけ開いていたーーーー
「----ふふふふ」
スマホのカメラで中の様子を撮影した
陰険女子の哀川裕子は不気味な笑みを浮かべて
その場から立ち去って行くー
康成と千穂が先生を呼ぶー
高藤が緊急搬送されるー
意識はない。
担任の西田先生や警察から事情を聞かれる康成たちー。
憑依のことは伏せておいたが、
千穂が助け舟を出してくれたことにより
”高藤が急に会話中に飛び降りた”ということで、
なんとかその場は解決したーーーー
帰宅した康成はため息をつくーー
「---会長」
「---会長…篠塚さんのことか?」
「---い
高藤との会話を思い出すー
「くそっ…あと少しだったのにー」
康成は、明美からもらった誕生日プレゼントの
ジオラマつきオルゴールを見つめながら悲しそうに呟くー
会長ーーー
高藤に憑依薬を渡したのはーー
生徒会長の沙耶香なのか。
最後ーー
憑依される直前に
高藤は確かに”い”と言ったー
”い”とは、なんだ???
”い”だけでは何も分からないー
だが、高藤はハッキリ”い”と言ったー
”いやーー”と、言おうとしたのか。
それともー
クラスに
井澤 萌愛(いざわ もえ)という女子がいるが、
どう考えても関係あるようには思えないし、
康成とも、明美ともあまり接点がないー
どちらかが恨まれるようなことはないはずだ。
それに”会長”と呼ばれるような子ではないー
会長とは何かー。
高藤は、何を言おうとしたのか。
「くそっ!!!
…明美…
早く…早く…助けないといけないのに…」
康成は悔しそうにそう呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
康成は登校するー。
今日の昼休み、沙耶香に確認するつもりだー。
沙耶香が明美への憑依に関わっているなんて、
思いたくないー
けれど、高藤は、沙耶香のことを”会長”と呼ぶこともあったー。
沙耶香の可能性は、高い。
高藤は、危ない状態が続いていてー
意識が戻っていないー。
高藤から聞き出すことは、できないかもしれないー。
康成が登校すると、
明美と、陰険女子の裕子が
笑みを浮かべながら、康成の机を占領していたー
「---あ、来た来た~!」
陰険女子・裕子が笑う。
「---…なんだよ」
康成が言うと、裕子がクラスメイトたちのほうを見ながら叫んだー
「みんな~!高藤を突き落とした殺人未遂犯が来たよ~!
ほ~ら、見てみてぇ~!」
スマホに録画した映像を、クラス中に見せびらかす裕子ー
昨日、康成が高藤を追い詰めた時の動画だー。
理科室の入り口から、裕子がこっそり撮影していた映像ー
康成が高藤の胸倉を掴んだりしている様子が写っているー
会話の内容は、距離があったためか、聞き取れず、
康成が一方的に高藤を殴ろうとしているように見えてしまうー
「--高藤をいじめて、飛び降りさせた悪魔!」
裕子がゲラゲラと笑うー
明美も康成の方を睨んでいるー
「----…違う!これは」
康成は”どう説明しようか”戸惑うー
憑依のことをーーー
ここで言うわけにはーー
誰も信じないだろうしー
明美への影響も心配だー
「---あんたさ」
明美がうんざりした様子で康成を見る。
「ほんっとうに、最低」
明美の、心を突き刺すような言葉に
康成は悲しそうな表情を浮かべるー
”明美を助けるためなんだー”
そんなことを言っても、今の明美には
信じてもらえない
「人殺し!人殺し!」
裕子と周囲の取り巻き女子たちが
コールする。
康成の親友・零次が「おいやめろ!」と
止めるに入ろうとするが、止まらないー
「やめろ!やめろ!やめろ!」
裕子が、やめろコールをし始めるー。
「やめろ!やめろ!やめろ!」
明美も嬉しそうに裕子と一緒にコールしているーーー
「----(--どうにか、ここは誤魔化さないとー)」
康成が口を開こうとしたその時だったー
ガン!!!!!
思いっきり教室の扉が開いたーーー
「--!?」
康成が振り返るー
やめろコールをしていた
裕子と明美も、教室の扉の方を見るー
教室に入ってきたのはーーーー
「よぉ、、久しぶりだなぁ」
ガムを噛みながら、クラスメイトたちを威圧するーーー。
屋上で康成を殴りー
停学処分になったのち、停学明けもしばらく登校していなかった不良ーー
長谷部 勝ーー
「---勝」
明美が呟くー
憑依されて変えられてしまってから、明美は
勝と付き合っているーーー
「お前ら、よ~く、聞け。
---明美はーー」
勝がガムを噛みながら明美を指をさした。
「----”憑依”されたんだー」
勝は、クラスメイト全員の前で、
そう宣言したー。
⑫へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
長編憑依第11話でした~!
憑依されて変えられてしまった彼女のシーンが
今回は少なかったですが、
次回はそこそこ出てくるので待っててくださいネ~!
ずっと、彼女と話しているシーンばかりにしちゃうと
お話がいつまでも進まなくなっちゃうので~汗
今日もありがとうございました~!!