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居酒屋を経営する若き夫婦ー。

いつも仲良しな二人は、毎年1回…年越しの瞬間に

”飲むと互いが入れ替わるお酒”を飲み、

1年ごとに身体を交換しながら生活を続けていたー。


しかし、2022年から2023年の年越しの際に、

妻・清美(きよみ)は乱入してきた男、

谷村 孝義(やむら たかよし)によって身体を強引に

入れ替えられてしまい、その清美の身体を”持ち逃げ”されてしまうー。


子供を授かっていた清美の身体を持ち逃げされてしまった

夫・美智雄は呆然としながら、孝義の身体になってしまった

清美のことを慰めることしかできなかったー…


そして、あれから1年の時が流れたー…。


★これまでの大晦日の交換はこちら↓★

<おまけ>大晦日の交換~これまでの一覧~

毎年の年末恒例の「大晦日の交換」の時が また近付いてきました~!☆! (毎年12月30日と12月31日に連載しています~!) その、”大晦日の交換”直前ということで、 これまで見たことのない皆様や、 今年が初めて!という皆様のために”これまでの大晦日の交換”を まとめて見ました~!☆ 振り返りや、これから読む際に活用...

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2023年大晦日ー


美智雄はいつものように、大晦日のこの日も

お店の営業を続けていたー。


しかし、今年はこれまでとは違うー。


「ーーー」

いつもは隣にいた妻の清美の姿は、隣にはないー。


「ーーーーー」

常連客の男が、美智雄の様子を見つめながら表情を歪めるー。


昨年の大晦日ー。

妻・清美の身体を孝義という男に奪われてしまったー。


孝義の身体になってしまった清美は、

お店に立つことができなくなってしまい、

美智雄は”清美は、出産を控えているので、そろそろ休ませようかと”と、

そういう理由で、2023年のはじめは、常連客たちに

説明していたー。


だがーー

美智雄が必死に清美になった孝義の行方を追ったものの、

清美(孝義)は見つからずー、

時間だけが過ぎていったー。


孝義(清美)は、”わたしも、いつまでも落ち込んでいられないー!”と、

店の”裏方”として、夫である美智雄を、そしてお店を支えるようになり、

店の営業は変わらず一人でやっている状態は続いているものの、

再び、夫婦二人三脚で二人は歩み始めたー。


けれどー…

次第に、常連客たちも”何かあった”と気付き始めていたー。


本来であれば、もう清美は出産し、美智雄にも赤ん坊が出来ているであろう

はずの時期になっても、赤ん坊の姿は一向に見えず、

清美もお店に姿を現さなかったー

もちろん、”子育て”に専念しているのかもしれないー。


がー、美智雄はそのことを語らなくなり、

常連客たちの間でも”清美のことは聞けない”

そんな状況になってしまっていたー。


一部では”もう離婚しているのではないか”などと、

そんな噂まで流れ始める始末だったー。


「ーーーーーごめんなー。1年も辛い思いをさせて」

お客さんが途切れたタイミングで、美智雄が店舗のすぐ奥にある

作業部屋に向かってそう言葉を口にすると、

孝義(清美)は苦笑いしながら「ううんー。全然ー」と、言葉を口にするー


「ーわたしのほうこそ、ありがとうー。

 わたしがこんな”おじさん”になっちゃったのに、

 変わらず接してくれてー」


孝義(清美)がそう言葉を口にすると、

美智雄は苦笑いしながら、

「ーーーー最初は戸惑ったけどー、それでも、清美は清美だからー」

と、そんな言葉を口にしたー。


”孝義”の身体になってしまった清美ー。

当然、”身体”は男同士となり、しかも、孝義の身体は

美智雄よりも年上だったため、まるで”おっさん”と同居しているような

そんな状況がこの1年間続いたー。


もちろん、最初は戸惑ったー。

中身が清美だとは分かっていても、色々複雑だったし、

何より、妊娠していた妻の身体を奪った男が”目の前にいる”という

状況は、入れ替わって中身が違うと分かっていても、苦しい日々だったー。


けれどー、それでも美智雄は変わらず、孝義(清美)に夫として

接し続けー、こうして、穏やかな生活を続けて居るー。


本当は、”もっと早く”、入れ替わって

清美に、普段使い慣れているであろうこの身体を差し出し、

自分が、”孝義”として過ごすつもりだったー。


けれど、孝義(清美)は

「ーー皇漢を飲むのはー、1年に1回って決めてるでしょ?」と、

寂しそうにそう言葉を口にしてー、それを拒んだー。


清美は、”美智雄にこんな思いをさせたくない”と、

入れ替わりを拒んだのだったー。


がー…

今日は大晦日。

いつものように”皇漢”を飲んで、互いに身体を入れ替える日が

やってきたのだー。


「ーーー来年もわたし、この身体のままでもいいんだよー?」

孝義(清美)が、美智雄のことを思い、そんな言葉を口にするー。


がー、美智雄は首を横に振ると、

「皇漢を飲むのは1年に1回って、清美が言ったんだろ?

 今度はー…俺がそいつになるよー」と、

”孝義の身体”を指差すー。


「ーーー……ーーー…ありがとうー」

孝義(清美)がそう呟くと、

「来年こそー、絶対に清美の身体を取り戻すからー」と、

美智雄はそう言葉を口にしたー。


そろそろ、今年も最後の営業が終わる時間だー。


そんな風に思いながら、美智雄が店の方に戻ると、

いつも大晦日にやってくる常連客の男が、店の中に入って来たー


「あ、いらっしゃいませー」

美智雄が笑顔で、常連客の男を見つけると、

「ーーー美智雄くんー」と、その男は真剣な表情で

美智雄のほうを見つめたー


「ーーーやっぱり、清美ちゃんと何かあったのかいー?」

その言葉に、美智雄は困惑した表情を浮かべながら、

「い、いえー…清美は体調が優れなくてー」と、

いつものように誤魔化すような言葉を口にするー。


”入れ替わり”のことを知る人間はいるがー、

”皇漢”のことは誰にも言っていないし、

他の人間に妻の身体が奪われた、ということは

清美の希望もあり、誰にも言っていなかったー。


しかしー


「ーーーー美智雄くんー

 嘘をつくなんて、水臭いじゃないかー」


常連の男はそう言うと、スマホを手に、

写真を美智雄に見せて来たー


「ーーこれ、清美ちゃんだろ?」

常連客の男が手にしたスマホには

”清美”が男と嬉しそうにホテルに入っていく姿が

映し出されていたー。


「ーーー……こ、これ…ど、どこでー?」

美智雄がそう言うと、常連客の男は「ー昨日ー、駅前で清美ちゃんを

見かけたんだー」と、そう言葉を口にしたー


「ーなぁ、美智雄くんー

 教えてくれー。清美ちゃんと何があったんだい?」

心配そうにする常連客ー。


美智雄は「そ…それはー」と、言葉を口にしながらも

”男とホテルに入っていく清美(孝義)”の写真に

激しい怒りを覚えるー。


”清美の身体でなんてことをーー…!”

ギリギリと歯ぎしりをする美智雄ー。


もちろん、中身が清美じゃないことは理解しているー。

清美に対する怒りは全くないー。

が、”清美”の身体で勝手に知らない男とホテルに行くような行為をする

谷村 孝義に対しては言葉に言い表せないほどの激しい怒りを

抱いていたー。


「ーーー…!」

そしてーー…写真を今一度見つめると、

美智雄は”清美のお腹”の膨らみがなくなっていることに気付くー。


時期的には、既に”出産”は終えている時期ー。

美智雄と清美のはじめての”子”になるはずだった子供は

今ー、どうしているのだろうかー。


ちゃんと、産まれたのだろうかー。

いいや、産まれていたとしてもー……


「ーーー」

歯ぎしりをする美智雄ー。


美智雄の見たこともないような”怒り”に満ちた表情を見てー、

「美智雄くんー…清美ちゃんに、浮気されたのかいー?」と、

常連客の男が気まずそうに言うー。


しかしーーー


「ー違います!清美はそんなこと絶対にしません!」

美智雄は思わず、強い口調でそう叫んでしまうー。


すぐに「あー…いえ…すみません」と、

感情的になったことを詫びると、

奥でその話を聞いていた”孝義”の身体の清美が

姿を現したー


「ーーーー…え?…新しい従業員さんー?」

常連客の男が首を傾げるー。


孝義(清美)は、美智雄のほうを見つめながら

静かに頷くと、

「ー驚かないで聞いて下さいー…」と、

自分は清美であること、

”二人の間の入れ替わり”が悪用されて、

昨年に身体を奪われてしまったことを口にしたー。


全てを聞いた常連客の男が、驚いた様子で目を見開くー


「そ、そ、それは、ほ、本当なのかいー?

 じ、じゃあー清美ちゃんの身体はー?」

常連客の男の言葉に、美智雄は「ーーまだ見つかってませんー」と

暗い表情で言葉を口にするー。


「ーそ、そんなー…じ、じゃあー…美智雄くんと

 清美ちゃんの子はー…!?」

常連客の男が叫ぶと、

孝義(清美)は目に涙を浮かべるー。


「ーーー…わかりませんー」

やっとの思いで言葉を振り絞る孝義(清美)ー


清美にとって、”入れ替わり”で奪われたのは

自分の身体だけではないー。

お腹の中にいた、美智雄との子供まで

一緒に奪われてしまったのだー


「ーーー……」

常連客の男は、驚いた様子のまま

自分が昨日目撃して、撮影した”ホテルに入っていく清美”の

写真を見つめるー。


「ーーーーー子供はー」

既に”昨日”の”清美”の写真を見る限りー、

お腹に子供はいないー。


出産したのか、あるいはーーー


「ーーーーーー…」

美智雄が悔しそうに歯ぎしりをしながら目を逸らすー。


「ーゆ、許しちゃおけねぇー

 美智雄くんと清美ちゃんをこんな目に遭わせるなんてー!」

常連客の男がそう叫ぶと、

「ー美智雄くんも、清美ちゃんも、もっと早く言ってくれればよかったのにー」

と、悲しそうに言葉を口にするー。


「ーーすみませんー。こんなことに、皆さんを巻き込みたくなくてー」

美智雄がそう言うと、孝義(清美)も「ごめんなさいー」と、

言葉を続けるー。


「いや、いやー、別に責めてるんじゃないさー」

常連客の男が、そう言葉を口にすると、

美智雄は時計を見つめるー


「ーーあ…もうこんな時間ですねー。

 店を閉めないとー」

美智雄がそう言うと、常連客の男は「お…もう2024年間近かー」と、

頷くー。


そしてーー

店を閉めるために、外に出たその時だったー


「ーー!」

店の前に立っていた”女”を見て、美智雄は思わず驚くー。


「ーーー…き、きよーーーみ?」

美智雄のそんな声に、店の中から驚いた様子で、

孝義(清美)も、顔を出すー


そこにはーー

キラキラしたアクセサリーを身に着けー、

赤いパーティドレスに身を包んだ”清美”の姿があったのだー


「ーーーお前っ…!」

美智雄が怒りの形相で叫ぶー。


「ーーへへへ…まぁそう怖い顔するなよー」

清美(孝義)が、そう言葉を口にすると、

口紅で深紅に染まった唇を邪悪に歪めながら

「”中で”話をしようぜー?」と、指をさすー。


「ーーーー」

美智雄は、孝義(清美)のほうを振り返りながら頷くと、

”店の中に入った方が、変に騒ぎを起こされる可能性や、逃げられる可能性は

 低い”と、考えて、清美(孝義)を店の中に招き入れるー。


「ーーー…」

美智雄は、すぐに店の後片付けをして、お店を完全に閉めると、

中へと戻って来たー。


「ーー…あ、あんたー…清美ちゃんの身体を奪ってー…

 ただじゃおかねぇ!」

常連客の男が、清美(孝義)に対して、声を張り上げるー。


だがーーー


「ーふふ…おじさんーーー」

清美(孝義)は甘い声を出しながら、常連客の男に手を触れると、

常連客の男は、ドキッとして顔を赤らめるー。


「ーーーふふふふ♡ キス、してあげよっかー?」

清美(孝義)の言葉に、

常連客の男は、さらに顔を赤らめながら

「ーふ、ふ、ふざけんじゃねぇ!清美ちゃんの身体でなんてことを!」と、

怒りの形相で声を上げるー。


「ーーふふふふ」

清美(孝義)は”この身体なら、こんなおっさんなんてすぐに落とせるぜ”と、

笑みを浮かべながら、

孝義(清美)と、美智雄のほうを見つめるー。


「ーーーー何をしに来た?清美の身体を返しに来たのかー?」

美智雄がそう言うと、清美(孝義)は、妖艶に足を組みながら

笑みを浮かべるー。


「ーーーまぁ、”条件次第”ではなー」

と、そう呟きながらー。


「ーーー条件?」

美智雄が表情を歪めるー。


隣では、不安そうに孝義(清美)が、

”別人のような風貌”の自分の身体を見つめているー。


「ーーー…そうー。

 ”皇漢”が、欲しいー」


ニヤリと笑う清美(孝義)ー


清美の身体を返す条件ー

それは、”入れ替わりのお酒”を、この男に渡すことだったー。


「ーー…一年間、女として過ごしてさぁ、

 やっぱり思ったんだよー

 もっともっと若い女の身体も欲しいってさ… へへー」


清美(孝義)が、ニヤニヤしながら自分の胸を触るー。


清美のそんな姿を、夫の美智雄も、

身体を奪われた孝義(清美)自身も、見たくはなかったー。


がー、容赦なく目の前で”清美じゃない清美”を見せ付けられるー。


ギリッと歯ぎしりをする美智雄ー。

”皇漢”は先祖代々、受け継いできたお酒だー。

だが、清美を助けるためにそれを差し出すことに躊躇はないー。

ご先祖様も、”妻を救うため”なら、許してくれると思うー。


だがー、これを渡せば第2、第3の被害者が生まれるー。

”自分たち”は良くても、これを渡すことはできないー。


それにー…


「ーーその前に、一つ聞きたい」

美智雄は、真っすぐと清美(孝義)を見つめながら言葉を口にするー。


閉店後の店内で流れているテレビでは

既に”新年”へのカウントダウンが始まっているー。


「ーーーー」

孝義(清美)は、美智雄が何を聞こうとしているのかを理解して、

唾をゴクリと飲み込むー


同席している常連客の男も、固唾を飲んで

その様子を見守るー。


「ーーー”お腹の赤ちゃん”はどうしたー?」

美智雄がそう言葉を口にすると、

清美(孝義)は少しだけ笑みを浮かべたー。


「あぁー、あぁ、へへー。そういや、”妊娠”してたなー」

清美(孝義)がヘラヘラしながらそう言葉を口にしたー。


「ーー赤ちゃんは今、どこにいるー?」

美智雄がそう言葉を口にするとー、

清美(孝義)は笑みを浮かべながら、

”天井”を指差したー。


「ーーー」

美智雄の頭の中が真っ白になるー。


「ーーー遊びまくってたらさ、

 ”流産”しちまったー

 へへー ま、仕方ないよなー

 おかげで身体も軽くなったぜー」


清美(孝義)のそんな言葉に、

常連客の男も、孝義(清美)も呆然としているー。


”2024年ー、あけましておめでとうございます!”

テレビからそんな声が響き渡るーーー


がー、そんな言葉も、全く耳に入らず、

美智雄は、無意識のうちに清美(孝義)を壁に叩きつけて、

怒りの形相を浮かべて、睨みつけていたー


最悪の1年が終わりー、

また新しい1年が始まるー。


けれど今は、そんなことすら実感できないほどにー

激しい怒りと、失意に包み込まれていたー


②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


毎年年末恒例の”大晦日の交換”デス~!


昨年までと違い、4年目の今回はハードな展開に…★!

また平穏な生活を取り戻すことができるのかどうか、

この先もぜひ見届けて下さいネ~!


今日もありがとうございました~!☆!

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