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お前はいつもー

笑っていたよなー


俺といるときもー

亜優美といるときもー

三人でいるときもー

他の友達と一緒にいるときもー


いつも、明るく、楽しそうに笑っていたー


でも、きっとー

それでもお前はずっと俺と亜優美のことを

憎んでいたんだなー。


俺はー

省吾ー

お前をのけ者にしようなんて思ったことは一度もないー。

心から、親友だと思っていた…。


お前のしたことは許せないー。


でもー

本当に、すまない…。

お前の心の闇にもっと早く気づいていればー


こんなことには、ならなかったのかも知れないー。


・・・・・・・・・・・


★主要登場人物★


藤枝 和哉(ふじえだ かずや)/アリシア姫

異世界に転生後、女体化。アリシア姫の意思を受け継ぎ、戦う決意を固めた。


高梨 亜優美(たかなし あゆみ)/ヒルダ

和哉の恋人。激闘の末に、正気を取り戻したものの…?


神埼 省吾(かんざき しょうご)/ダーク将軍

和哉・亜優美の共通の友人。歪んだ嫉妬心から、敵対する。


ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア

王宮騎士団長。それぞれが、それぞれの騎士団を率いている。


ラナ

アリシア姫の侍女。和哉に対しては辛辣な接し方をする。


グール伯爵

皇帝ゼロの腹心。闇の帝国の事実上の指揮者。ミリアの実の父。


皇帝ゼロ

闇の帝国の皇帝。強大なエナジーを持つ。エックスの兄。


アリス

アクア商会会長。アリシア姫の妹。


※登場人物詳細

(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に

 プランご加入(ありがとうございます★☆!)済みですので、

 お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)

fanbox post: creator/29593080/post/1260447

・・・・・・・・・・・・・・


ダークパレスの屋上ー

星空が輝くその場所で、

亜優美と省吾が戦っているー。


最上階にたどり着いた亜優美と共に、この場所に移動してきた省吾は、

亜優美に容赦ない攻撃を加えていたー。


「ーーうっ」

正気を取り戻した亜優美は、

闇の鎧を身に着けた省吾を止めようと、戦いを続けるー


「せーっかく、亜優美ちゃんを洗脳して、俺のものに

 しようとしていたのに、まさか洗脳が解けちまうなんてなぁ」

省吾が、斧を振りながら笑うー。

亜優美は防戦一方ー。


この異世界にやってきて、洗脳されて”ヒルダ”として

戦わされた記憶を元に、ある程度、戦いは出来ているー。


しかし、それでもー


省吾から強大な闇のエナジーが放たれー

亜優美が吹き飛ばされるー。


仰向けに倒れた亜優美ー


亜優美は、異世界の綺麗な星空を見つめながら呟くー


「ねぇ…どうして…?」

亜優美の言葉に、亜優美に近づいてきていた省吾が足を止めるー


「-わたしたち…どうして、こんな風に

 争うことになっちゃったのかな…」

悲しそうに呟く亜優美ー


「-わたし…和哉とも…神崎くんとも…戦いたくなんてないのに…

 和哉と神崎くんにも、戦ってほしくなんてないのに…

 どうして、こんな風になっちゃったのかな…?」

亜優美が、星空を見つめながら呟くー


「----」

省吾は少しだけ表情を歪めたー


「----……俺はさー…

 ずっと嫉妬してたんだ…

 和哉と、亜優美ちゃんにさー…


 でも、俺だって、二人のこと応援してたし、

 二人とも親友だと思ってたー


 けどー…」


省吾は目をカッと見開くー


「--もう、戻れないんだよ、俺たちはー」

省吾が、亜優美にとどめを刺そうとするー。


「--俺のモノになってくれないならー

 ----ごめんな」


「-----やめろ!!!!!!!!!!!」


背後から大声が響き渡ったー


綺麗な星空に、流れ星が流れるー。


省吾が笑みを浮かべて振り返るー。


そこにはー

ダークパレスを登ってきていた和哉と、侍女のラナがいたー


「--…ーーかず…や」

亜優美が、目を逸らすー。


和哉の姿は女体化していて、アリシア姫とうり二つの姿ー。

けれど、亜優美はヒルダだった時の記憶から、

和哉が女体化していることは既に理解しているー


「---おやおや、和哉ー

 いいや、”お・ひ・め・さ・ま”

 随分と遅いご到着じゃないか」


省吾が笑いながら和哉の方を見つめるー。


和哉は、亜優美の方に駆け寄るー。


「亜優美!…」

和哉は、亜優美を見て、正気を取り戻してくれたことを悟るー。


「---わ、、わたしは、、、ヒルダよ…」

亜優美が、悲しそうに呟くー


”こんな、血に染まったわたしー…

 和哉と一緒には、もう、歩めないー”


「---こんなわたしじゃ…もう、、和哉といっしょになんて…」

亜優美が目から涙をこぼすー。


「----!」

だがー

和哉は亜優美を無言で抱きしめたー


そして、亜優美から離れた和哉が微笑むー。


「---そんなこと言ったら俺なんか、

 女になっちゃったんだぞ?」


とー。


「---」

亜優美が少し驚いた様子で和哉の方を見つめているー。


「--色々変わっちゃったのはお互い様さー。

 でも、これから、また元に戻していけばいいー」


和哉が笑うー。

亜優美は「和哉…」と呟きながら

アリシア姫の姿になっている和哉の腕に、

亜優美が元の世界で和哉にプレゼントした

腕時計が身につけられているのに気づくー。


「------」

亜優美は少しだけ間を置いてから、

涙目のまま、「うん…」と頷くー。


「---」

和哉が星空を見つめるー。


「--ーーー助けに来るのが、遅れて、ごめん」

亜優美に向かってそう言うと、

和哉はもう一言付け加えたー


「--もう少しだけ、待っててー」

とー。


亜優美は頷くー。


「-------」

侍女のラナは、少しだけ複雑そうな表情で

和哉と亜優美のやり取りを見つめていたー。


少しだけ、拳を握りしめるラナー。


けれど、すぐにラナは、

”---亜優美さんと会えて、良かったね”と、

和哉の方を見つめるー


愛おしそうにー。


和哉が、亜優美に背を向けると、

省吾の方を見つめたー


「--感動の再会、満足したか?」

省吾が少しだけ笑いながら言うー。 


ダークパレスの屋上で

距離を取ったまま見つめ合う二人ー。


「---省吾…すまなかった」

和哉が、髪をなびかせながら言うー。


ラナが、心配そうに和哉と省吾を見つめるー。


「---あ?」

省吾が首を傾げるー


「--お前が、俺と亜優美のことで、不快な思いをしてるなんて…

 俺、ずっと気づかなかったんだー

 俺と省吾と、亜優美ー

 ずっと、うまくやっていけると思ってた」


和哉の言葉に、

省吾は「---そんな…簡単にはいかねぇんだよ」と、呟くー。


「--前も言ったよな?

 お前に分かるか和哉?

 ”仲良し三人組”の取り残された一人の気持ちがよ」


省吾の言葉に、和哉は首を振るー


「--取り残してなんかいないー

 俺はー


「--お前と亜優美ちゃんはカップルだ!

 でも、俺は違う!!

 分かるか??

 お前にその気がなくても、俺はもう取り残されてるんだよ!

 

 俺だって何度も何度も気持ちの整理をつけようとしたさ!

 でも、、できねぇんだよ!


 お前は親友でーー

 亜優美ちゃんは、俺の…俺にとって初恋の相手で…!


 …分かってるよー

 亜優美ちゃんはお前を選んだー…

 お前は何にも悪くねぇ。


 でもよー…

 もう、何もかも手遅れなんだよー」


省吾が斧を和哉の方に向けるー。


「--省吾----」

和哉が悲しそうに省吾を見つめるー。


「もしもーーー」

省吾が、星空を見上げるー


「もしもー

 俺たちがこの世界に来てなかったらー


 もしもーー

 俺が、亜優美ちゃんに酷いことをしてしまう前にー

 亜優美ちゃんを追い詰める前にー

 自分にブレーキを踏めていたらー」


きらめく星空ー


省吾は、”もしも”を空想しながら歯を食いしばるー


もしもー

この世界に来ていなければー


亜優美を洗脳することもできなかっただろうしー

省吾が人を殺したりすることもなかったと思うー。


省吾たちがいた”元の世界”にはー

”法律”という名のブレーキが存在していたー


けれど、この世界には、それがないー


省吾はもう、

その手を数々の血で汚してしまったー


和哉とも、もう歩むことはできないー


「---神崎くん!やめて!和哉も!」

亜優美が悲しそうに叫ぶー。


省吾は首を振るー


「俺は決めたんだー

 闇の帝国の王として、この世界を支配するってー。

 この世界はいいぜ?

 ”力”で全てが手に入るー」


省吾の言葉に、和哉が口を挟むー。


「--今からでも…今からでも間に合う!

 皇帝ゼロを共に倒してーー

 この世界の平和をーー」


和哉の必死の言葉も、省吾には届かないー


「--無駄さ。

 仮にお前が納得してもー

 王宮の騎士サマたちは納得しないさー


 それにーー

 俺はーーー

 もう、戻らないと決めたんだー」


省吾が闇のエナジーを発するー

前に戦った時とは、まるで違う強大な力ー


「----!!」

和哉が表情を歪めるー。


「--俺のエナジーによる能力はー

 ”魔吸収(エナジー・ドレイン)”-。

 殺せば殺すほど、相手からエナジーを吸収して、

 俺の力にできるー


 そういう能力さー。


 ま…

 元の世界で手に入らないものが多すぎた俺には

 ぴったりだぜー」


和哉が悲しそうに、省吾を見つめながら呟くー


「---省吾ーー

 どうしても戦わないといけないというならー」


和哉が武器を構えるー。


「---お前の親友の藤枝 和哉としてー

 そしてーアクア王国の王女ーアリシアとしてー、

 俺はお前を、倒す!」


和哉はそう叫んだあとに、亜優美の方を見つめるー。

亜優美は悲しそうにしながらも、頷くー。


省吾が武器を構えるー。

「--もう、俺は前の俺とは違うぜ!」


流星群が星空を綺麗に彩る中ー

ダークパレスの屋上で、和哉と省吾の戦いが始まるー。


「ーーーっしゃあ!」

省吾が、斧を振るー。

和哉がそれを防ぐー。


「--女になったその身体でー

 最強の力を手に入れた俺に、どこまでついてこれるかな?」

笑みを浮かべる省吾ー。


和哉はすかさず、アリシア姫から授かった

光のエナジーを開放しー

光を帯びた剣で、省吾を攻撃するー。


省吾が、身軽に宙を舞うと、

落下しながら、和哉に向かって、闇の衝撃波を放つー


和哉が吹き飛ばされるー

しかし、和哉はすぐに剣を取り、

省吾の追撃を許すまいと、剣を振るー。


斧と剣がぶつかり合うー。


「はははっ!その身体でやるねぇ」

省吾は笑うー。


「-確かに俺はいつもお前に負けて来たーー

 でも、今は違うー」


省吾がさらに強大な闇のエナジーを開放させるー


「---!」


先程よりも強大な闇の衝撃波を放ちー

和哉がそれを防ぎきれずー、吹き飛ばされるー


宙を舞う和哉の身体に向かって

省吾は、追撃を仕掛けるー。


「--闇魔球(ダーク・ボール)!」

省吾の手から、闇の球体が放たれるー。


「--させない!」

ラナが、エナジーで作り出した蛇を飛ばして、それを防ぐー。


「---へへへ 小娘の癖して邪魔しやがって」

省吾は笑うー。


なんとか着地した和哉が省吾の方を見つめるー。


省吾がラナの方を見ているー。


「--お前の相手は、俺だぁ!」

和哉が、ラナを攻撃させまいと省吾に向かうー。


剣道部だった自分の技とー

この世界に来てからユーリスらに鍛えられた自分の剣技ー

そして、アリシア姫から授かったエナジーを組み合わせて

猛攻を仕掛けていく和哉ー


省吾は、笑いながらそれを防いでいくー


激しい攻撃と攻撃のぶつかり合いー。


ラナはその間に、座り込んだままの亜優美の方に駆け寄るー。


「-----……だいじょうぶ?」

ラナが複雑そうな表情で亜優美に声を掛けるー。


「---……あなたは…」

亜優美はそう言いかけて、自分が洗脳されていた時の

記憶から、ラナのことを理解するー


「----…和哉を支えてくれて、ありがとう」

亜優美が言うと、

ラナは、嬉しそうにー

けれども悔しそうに頷いたー


亜優美の身体からは少し血が流れているー。

洗脳されていた間の戦いの傷やー

省吾との戦いの傷によるものだろうー。


「----…死ぬなんて許さないから」

ラナが呟くー


「---…」

亜優美がラナの方を見るー


「--だって、、あいつの頭の中にはーー

 あんたしかいないんだもん…」

ラナが悔しそうに、言葉を吐き捨てるように、そう呟いたー。


「--省吾!俺は今でもお前のこと、親友だと思ってるー!」

激しい攻撃をぶつけ合いながら、和哉が叫ぶー


「へぇ~」

省吾が斧を振りながら笑うー。


「ーーーだから…親友だからこそ、俺はお前を止めるんだ!」

和哉の言葉に、省吾は笑うー。


「------いいよな…お前は」

省吾が、攻撃を防ぎながら悲しそうな目をするー


「--俺とお前は、”光”と”闇”-

 お前は、亜優美ちゃんを手に入れー

 仕事も順調でー

 何もかもーうまく行ってたー


 でも、俺はそうじゃなかったー。

 仲良し三人組の余り物になってー

 仕事もーーーー」


省吾の言葉に、和哉は激しい攻撃を繰り出しながら、表情を歪めるー。


「--仕事!?」

省吾からそのような話を聞いたことはなかったー。


省吾は、かねてから、裏で亜優美に告白を繰り返していたー

その都度、亜優美に断られていたー


悔しい気持ちはあったー。

でも、それでも良かったー。


省吾は、それでも和哉や亜優美に友情を感じていたしー

悔しい気持ちはあれど、それが爆発することはなかったー


けれどー

それを変える出来事が起きたー


この異世界に来る直前、

省吾は、会社の業績悪化を理由に、解雇されたのだー


省吾は、絶望したー

伯父が会社を経営しているものの、それを頼ることも

プライドが許さなかったー。


省吾は、和哉と亜優美に心配を掛けまいとー

そのことを言わず、二人の前では明るく振舞ったー


しかしー

その”無理”が、省吾の闇を増幅させたー


彼女を手にしー

仕事も順調ー

そんな和哉が憎くなっていったー。


亜優美に対してもー


そしてー

憎しみを抑えられなくなった省吾はー

ついにーーー


「--亜優美ちゃんが入社した職場さぁ…

 俺の叔父さんの会社だったんだよなぁ~

 だからさ、俺が叔父さんに頼み込んで

 亜優美ちゃんを”飛ばして”貰ったんだー

 地元にいられないようにー

 ”お前の側”にいられないようにー」


かつて、和哉に語ったようにー

亜優美と和哉の中を”引き裂く”凶行に出たのだったー


”亜優美ちゃんが、俺と付き合ってくれないから、

 和哉のやつ、どんどん不幸になってるー

 和哉の両親、前に事故で二人まとめて死んだよな?

 あれはなんでだと思う?

 和哉のアパートの隣人が、中毒死したよな?

 あれはなんでだと思う??”


省吾は、自分でも驚いたー

次から次へと、嘘が口から飛び出しー

亜優美を徹底的に追い詰めたー


その結果ー

亜優美は衝動的に自殺しようとしてしまいー

結果、和哉と亜優美はーこの異世界に飛ばされたー。


「----」

省吾は目を見開くー


「--この世界なら”力”で全てを手に入れられるー

 ”闇”である俺は、”闇”のようなこの世界ならー

 お前より上なんだよ!」


省吾が和哉を蹴り飛ばすー。

和哉が吹き飛ばされるー


省吾からさらに強大な闇が吹き出すー。


「---省吾…!」

和哉が驚くー


省吾から、どうしてこんなに強大な闇がー


不吉な流れ星が流れるー


「--おわりだ」

省吾がニヤリと笑ったー


「ーーーダーク・カタストロフ!」

省吾の闇の攻撃が、和哉に直撃しー

和哉は、屋上の壁に叩きつけられたーー


「和哉!」

亜優美が声を上げるー

ラナも戸惑うー。


「---眠れ…!」

省吾が、和哉に近寄り、倒れたままの和哉にとどめを刺そうとするー。


その時だったー


「---!」

ダークパレス屋上に炎が上がったー。


「--」

省吾が振り返ると、

そこには、和哉たちとは別方向からダークパレスを

駆け上がっていた王宮騎士団長・ユーリスの姿があったー


「--おや…騎士団長サマのご到着か」

省吾が笑うと、

ユーリスはラナと亜優美を目で確認して頷くと、

炎の剣を構えたー。


「---ユ…ユーリス…!」

和哉が声を上げると、

ユーリスは、和哉に”無理をするな”とだけ

省吾の方を見たー


「----お前のような者を配下にしたのは、皇帝にとっても

 失敗だった、ということだな」

ユーリスの言葉に、省吾は笑うー。


「--ーーどういう…」

和哉が苦しそうにユーリスの方を見るー。


ユーリスは、省吾に向けて剣を構えながら呟いたー


「---今やこいつが、闇の帝国の支配者。

 だからこそー

 グール伯爵は、ダークパレスを去ったのだろうー」


「---え?」

和哉が首を傾げていると、

ユーリスは和哉の方を見たー


「---皇帝ゼロは、、もう、、死んでいるー」

ユーリスの言葉に、

和哉とラナは驚きー

省吾は不気味な笑みを浮かべたー


㊴へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


今月で完結予定デス!

異世界での戦いの果てに待ち受けている結末は…!?


今日もお読み下さりありがとうございました~!

(Fanbox)


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