メイキング エロ同人誌ができるまで後編 ~作画編~ (Pixiv Fanbox)
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※「メイキング エロ同人誌ができるまで前編 ~ネーム作り~」の続き記事です。
数々の苦難を乗り越えて、ついにエロ同人誌のネームが完成しました!
進捗を見守って下さった支援者の皆様のお陰様で納得のいく内容になり、なんかもうやりきった気分ですね!
否…ッ!
実はネーム作りは序章に過ぎません。
エロ同人誌を完成させるための本当の闘いはこれからなのです。
それは、作画作業ッッッ!
と言いますのも、かかった時間で比較すると拙作「あそぼ、兄ぃに♡」の場合、ネームにおよそ一か月半、作画にはおよそ2か月半かかりました。つまり、作画の方がかかる時間がずっと長いのです!
しかも待ち受けるのは、同人誌を描く者ならば誰もが恐れるもの。それは印刷所の〆切!
印刷所の〆切に間に合わず、新刊をイベントに並べることができない状態を「落とす」と呼びます。新刊を落とすという事は、同人誌を描く者ならば誰もが恐れる事態なのです。
実際に僕も制作中は「落としたくなァァい…新刊落としたくなァァァい…」とうわごとをつぶやきながら作業していました。既に時間の猶予は1秒たりともありません!うわあああああ〆切が!〆切が襲ってくるううううう!(フラッシュバック)
というわけで、作画の手順を軽くお話致します。
◆作画とは
「下書き」をし、「ペン入れ」をして、PCで「仕上げ」をする、というなんともシンプルな手順です。この作業を、「あそぼ、兄ぃに♡」の場合だと40ページ分繰り返せばいいだけなので、とっても簡単ですね!(ぐるぐる目)
ちなみに↑でお見せした25ページ目の場合、確か下書きに半日、ペン入れに半日、仕上げに半日、合計20時間くらいはかけたんじゃないかと思います。これを全ページ分となると、単純計算で800時間。
例えると、アニメ「けものフレンズ」は1話当たり25分、全12話で300分らしいので、けもフレを160周できる時間をかけた計算になるのです!
…自分で言っててよくわからなくなってきましたが、とにかく作画にはたくさん時間がかかる、という事です。
作画中はどんなに頑張っても一日に1ページちょいしか進みません。されど刻一刻と印刷所の〆切は近づいてきます。「これ本当に終わるのか…?」という焦りと不安にとらわれながら作業をする事になるのです。
しかし、前進さえしていればいつかはゴールにつくというのも真実!千里の道もなんとやら。まずは下書きから入っていきましょう!
◆下書き
誰もが恐れる真っ白な状態の原稿用紙です!
原稿用紙はアイシーという会社のB4サイズ、重さは110㎏(40枚入りで定価¥660)のものを、ペンギン娘の頃からずっと使わせてもらってます。毛羽立ちが少なくてペンを引きやすいので大変オススメです!
下書きに使っているシャーペンは、ぺんてるのピアニッシモという、珍しいサイドノック式のペンを長く愛用してます。日本では廃盤になってしまったので、壊れたりしたときは、海外から購入する(一本200円くらい)ほど使いやすいシャーペンです!芯は2Bで、ブランドにこだわりはありません。
この原稿用紙とシャーペンで、下書きを始めていきます!
まずは、ネームを拡大コピーして原稿用紙の下に貼り付けます。
僕はネームの印象のまま完成原稿にしたくなるタイプなので、ネームの絵をトレース台で下から原稿用紙に透かして、清書するような感覚で下書きをします。
なおトレース台はトライテック社の「トレビュアー 」A2サイズ(Amazonで¥22,800 )で、薄くてとても使いやすくて愛用しております!
下書きが完成しました!(=ΦωΦ=)ノ
この1ページ目は瑠璃子も兄ぃにも初めて描くのでデザインであれこれ悩んだり、舞台となる校舎や保母さんのデザインも考えたりして、下書きだけで2~3日かかりました。
では次は、一気に緊張感漂う「ペン入れ」に進みます!
◆ペン入れ
「ペン入れ」とは、下書きの上からつけペンなどでインクの線を引いていく工程で、ミスの許されない重要な工程のため、集中力をMAXにして臨む必要があります!
ちなみに僕が主に使っているのはゼブラのGペンと、同じくゼブラの丸ペンです。ゼブラのつけペンはしなやかで、かつ適度な硬さもあって長らくお世話になっています。
ただどちらも使っているうちにへたってきて線が太くなってしまうため、頻繁に交換する必要があるので、大人買いして常にストックしておかなくてはなりません。Gペン100本で大体5000円くらい、丸ペン100本で大体10000円くらいです。
僕の場合、2ページくらい描いたら交換するので、今作「あそぼ、兄ぃに♡」の場合Gペン20本、丸ペン20本くらいは使ってるかもしれません。こういった消耗品においても、皆様から頂いた支援金を使って購入させて頂いております。いつもご支援頂きありがとうございます!
まずはGペンで、キャラの主だった線を引いていきます(=ΦωΦ=)φ_
Gペンは太い線も細い線も引ける万能なペンなので、キャラクターのほとんどの線をGペンを使って描いていきます。
こんな感じで、Gペンの先っちょをインクにつけて使用します。
インクはゼブラの製図用インクで、一瓶大体900円くらいです。僕は大容量のもの(大体2000円)を買っておいて、串カツソースの如く、小瓶に継ぎ足しながら使ってます。
全体的にGペンで線を引いた次は、丸ペンを使って細部のペン入れをしていきます!
丸ペンは、Gペンよりも細くて繊細な線が引けるペンです。
この写真は別のページのものですが、瞳のタッチやほっぺの斜線などは丸ペンを使っています。キャラのバックのお花なども丸ペンで作画します。
また枠線は、均一な線が引けるピグマ社の0.8mmマーカーを使用します。一本大体200円くらいです。
このように「ちゅぷっ」みたいなえっちな擬音を入れる場合は、筆ペンを使用します。
僕が愛用しているのはゼブラの筆サインシリーズ(一本100円~200円)で、頭の中で音をイメージしながら、情感をこめてえっちな擬音を一筆一筆入れていきます!
そして瑠璃子の前髪のツヤベタは、イタチ面相筆(小)(一本1400円)を使って、丁寧にタッチを入れていきます!
また、このコマの様に背景や集中線を入れる場合は、丸ペンと定規を使って作画していきます。
定規はステッドラー社のステンレスエッジ付きのシリーズを愛用してます。
エッジがついていることによってつけペンを引きやすく、耐久性もあるので長年お世話になっております!一番上の長いの(50cm)は2,750円、中くらいの(30cm)は825円、小さいの(20cm)は715円です。
ハミ出しや失敗した箇所などはミスノンという修正液(一本350円くらい)を使って修正します。
以上の工程を経て…
ペン入れ完成!
さあ次はいよいよ本番。えっちシーンの作画に移っていきます!
◆えっちシーンの作画
特に難しいのが、えっちシーンの作画です!_φ:(´ཀ`」 ∠):
僕の中では、えっち中のえっちポーズというのは地球上で最も難易度の高い作画だと思っているので、自分の持てる限りの画力を振り絞って、理想のえっちポーズを描いていかなくてはなりません!
ここで大活躍してくれたのが…!
シリコン製デッサン人形(作画用)です。
メイキング前編でもお話したように、僕はネームの絵を描く時にデッサン人形を使うですが、ネーム用のデッサン人形は小さく、関節もシームレスではないため、シリコン製の大きいデッサン人形を作画用に使用します。
女性の人形は本来ドールの素体用なのですが、ファイセン・リミテッド社の商品で、Amazonでおよそ7000円くらいです。シリコン製のため、自由なポーズを取っても筋肉が伸び縮みするので作画の参考に大活躍してくれます!「はつ恋 ときめき」や「葵ちゃん」など、以前の作品を描いているときからずっとお世話になっています。
この男性の作画用デッサン人形は今作を描くにあたって、新たに購入させて頂きました!
シリコン製ではないんですが、ノーブランドでAmazonでおよそ2400円、着ている服は、全身スーツセットでおよそ4300円でした。
こちらも、皆様から頂いた支援金から買わせて頂きました。いつもご支援頂きありがとうございました!デッサン人形兄ぃに、お陰様で大活躍してくれました!
具体的に、デッサン人形の使い方としましては…
このように、えっちポーズをとってもらい…
デッサン人形を参考にしながら下書きを進めていき…
ペン入れをします!_φ(:3」∠)_
ご覧頂いている24ページ目のえっちポーズは、今作の中で最も苦戦したポーズでした。この難しいポーズをなんとか描けたのも、デッサン人形ちゃん達に体を張ってもらったお陰です。
さていよいよ、中出s…いえいえ、クライマックスの見開きページの作画に挑みます!
見開きページは、2枚の原稿用紙を裏でテープで留めて、2ページ分の大きさの原稿用紙にして作画をします。
ここでもデッサン人形ちゃんにえっちポーズを取ってもらい…!
中だ…クライマックスページにペン入れ!
なおデッサン人形ちゃんは身長とかお胸が瑠璃子よりも大きすぎるため、そこはもう自分の想像力で修正しながら描いてます。ちっちゃくてつるぺたっとしたデッサン人形が欲しい…!
こうして最も重要なクライマックスシーンを描き上げました。
残すは、エピローグの作画です。
兄妹で体を重ねるという禁忌を犯した二人。だが、秘めていたお互いへの気持ちも一つに重なり、大好きな兄ぃにの大きい腕に抱かれながら、瑠璃子は喜びに満ち溢れます。
さぁラストページ。
余韻のカットを描き上げれば終わりです!
できた!全40ページのペン入れ完了!
やった…大きな山は越えた…!
しかしすぐに気持ちを切り替えます。残り時間で40ページ分の仕上げと表紙のカラー絵も描かなくてはならないので、時間と心の余裕は全く無いのです。
というわけでいよいよラストスパート!
「仕上げ」に入っていきます!
◆仕上げ
僕は仕上げをPCで行っているため、全てのページをスキャナーで読み込んでいきます。
ただ、原稿用紙はB4なので、一般的なA4スキャナーでは読み込めないため、大きいA3スキャナーを使います。機種はEPSONのDS-50000、価格は156200円と、なかなかのお値段です。
一冊2750円だったコミックマーケット100のカタログが216冊も買えてしまう値段ですが、背に腹は代えられません。すべてはエロ同人誌を作り上げるための尊い出費!
これがスキャナーで読み込んだままの状態です(=ΦωΦ=)ノ
全体がぼやっとしたグレースケールの状態なので、二値(黒と白だけのデータ)に変換します。
二値のデータになりました。
これで仕上げの準備は完了です。
ここから本格的にClip Studioという漫画制作ソフト(DL版23000円)を使って仕上げ作業が始まります!
まずは「ホワイト」と呼ばれる作業をします!
スキャンした時に出るゴミや、上記のようなハミ出しなどを修正します。ホワイトは原稿用紙の時点でも行いますが、このコマなどは細かい作業になりそうだったので、PCで行いました。
次に「ベタ」を入れていきます!
バッテンの印を付けておいた箇所を黒く塗りつぶしていくという単純作業で一見簡単そうなので、「アナログ作業の時点で済ましておいてもいいんじゃ?」と見えるかもですが、髪の毛みたいな細い箇所は神経を使うし、主線からハミ出さないように丁寧に塗らなくてはいけないため、意外に時間がかかってしまいます。これがPCだとクリックしていくだけであっと言う間に終わるため、脳汁が出ます(*´﹃`*)
続いて、「基本トーン」を入れていきます!
髪と目、ぱんつに基本トーンを入れました。
例えば瑠璃子の髪や衣装のトーン、ぱんつの柄などは全ページ共通なので、それらを基本トーンと呼んでいます。
こちらは基本トーンのメモです。
今回、基本トーンはアシスタントさんにも手伝って頂いたので、このメモを参考に作業して頂きました。「はつ恋」や「葵ちゃん」の連載時にも同じようにアシスタントさん向けの基本トーンのメモを作ってます。
基本トーンが入ったら、「ブラッシュアップ」作業をしていきます!
髪のツヤを入れてブラッシュアップしました。今作の瑠璃子は髪に入れるブラッシュアップの量が多くてなかなか大変でした、、!_φ:(´ཀ`」 ∠):
そしてデッサン人形を参考にしながら、体の影を入れていきます(=ΦωΦ=)φ_
えっち漫画にとって体の影はセクシーさを表現する非常に重要な要素だと思っているので、ここでもデッサン人形ちゃんに体を張ってもらい、ぷにぷにえっちな雰囲気が出せるように気合を入れて体を仕上げていきます!
あとはフキダシにセリフを入れれば…!
仕上げ完成!
この要領で他のページも丁寧に仕上げを入れていきます。残り時間はあとわずか!急げええええええ!
やった!全ページ仕上げ完了!
でも喜んでいる暇はない!まだ表紙が残ってるううううう!
◆表紙
とはいえ手順は一緒です。まずは↑のようにラフを描き、ラフを拡大コピーして原稿用紙の裏に張り付けて下書きをします。
本文の原稿と少し違うのは、ペン入れをつけペンではなくシャーペンで入れる事です。
下書きを原稿用紙の下に敷いてトレース台で透かし、シャーペンでペン入れ作業をします。
カラー絵の場合だと、Gペンや丸ペンなどのつけペンで線を引くとどうしても線が重たくなってしまうため、シャーペンの柔らかい線で仕上げていきます。ちなみにシャーペンの種類はステッドラー社の0.3mmのもの(価格はおよそ200円)を愛用してます。芯は2Bです。
ペン入れが終わったらスキャンをして、大急ぎで色塗り作業に移ります!
Saiというペイントソフトで色を塗っていきます!
こちらも長年お世話になっているソフトで、ブラシのタッチが柔らかくてとても描きやすいソフトです。お値段も5500円という嬉しい価格!
本文と同じく、ゴミとりやホワイトが終わったらパーツの塗り分けです。
各パーツを塗り分けたら、自分の場合は瞳から塗っていきます!
瞳が決まったら、その周りの顔や髪、乳首、体、足、背景、という順番に塗っていき、、!
タイトルはPhotoshopで作ったものを合成し、、!
表紙完成!
…なんか表紙のメイキングだけ駆け足すぎないかと思われたかもしれませんが、ぶっちゃけ表紙を描いているときは〆切直前で究極に余裕が無く、作業中のスクショなどをほとんど残せなかったので、ざっくりとしたご紹介になりました_φ:(´ཀ`」 ∠):
なにはともあれ、これですべての作業は終わりました。残ったわずかな時間のなかで、入稿の準備をします。
ミスが無いか、全ページプリントアウトをしてチェックをします。
時間が無い!急げ!急げええええええ!
◆入稿
間に…合ったぁぁぁぁぁぁ…!
写真は、全ページのプリントアウトの束です。すべてのページをチェックし終わったのが、確か〆切の1時間前とかだったと思うのでガチでギリギリでした。いまこうして振り返り記事を書いていても胃腸の調子が悪くなります。
しかし、なんとか新刊を落とす事なく夏コミ当日を迎えました。
印刷所から届いた新刊を並べ終わりました。
〆切直前に無理をした反動で、ぶっちゃけ夏コミ当日は体調がギリギリで、あと一歩で救護室コースでした。
しかし、皆さんが自分のブースに来て下さったお陰様でリアルに体調が回復し、とても楽しい一日になりました!
自分は筆が早い方ではないので、一冊のエロ同人誌を描き上げるには、ご覧頂いたように多くの時間をかけなくてはなりません。
しかし、読んで頂き少しでも楽しんで下さった皆様からのお声が励みとなり、また新しいエロ同人誌を作ろうと、エロモチベーションの炎が燃え上がってくるのでした!
<完>
◆ ◇ ◆
以上、想像以上に長文の記事になってしまいましたが読んで下さってありがとうございました!
FANBOXを始めたならば一度はメイキング記事を作ってみたい、と思っていたので「あそぼ、兄ぃに♡」の一冊が形になるまでを振り返ってみましたがいかがだったでしょうか。
もし他の漫画やイラスト、同人誌など僕の活動の中で「こういうところのメイキングが見てみたい」などご要望などありましたらお聞かせくださいませ。
重ね重ね、「あそぼ、兄ぃに♡」の進捗を見守って下さった支援者の皆様ありがとうございました!
シリーズの構想もいまパート3までありまして、商業の仕事とのバランスもありどこまで描き切れるかはまだわかりませんが、まだまだ瑠璃子と兄ぃにの歩みを描けたらと思っております。
まずはパート2の制作にそろそろ入りたい所ですね…!進捗が進めばご報告させて頂きますので、ご覧になってくださいませ。
ではまた次の記事でお会いしましょう!(=ΦωΦ=)ノ
◆一応宣伝
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【紙版】
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