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アドルフ・ヒトラー

ナチスドイツ総統であり第二次世界大戦の引き金となった独裁者として歴史に馴染みない人にも有名な人物です。

彼は青春時代を絵画に捧げた人物であったことも有名ですが、今回はその話しをしましょう。

【ヒトラーの絵の欠点】

ヒトラーの絵を見て恐らく大多数の人は「上手いな」と感じると思います。ただ絵の世界とは難しいもので、上手ければ売れる世界では無い、といこと。

ヒトラーの絵には人を惹きつけるまでの魅力が感じられません。それはヒトラー自身が何に感動して、何を思ってその絵を描いたのかが絵から一切分からないからです。絵から楽しさや暖かさ悲しさ寂しさなどのメッセージ性を感じない、ただ描けば良いやで描いたような絵に見えるのです。ヒトラー自身の独創性が全く感じられない。

偉そうに語ってますが、これは絵を描く者なら一度は通るであろう苦しみです。私自身も何をその絵で一番表現したいのかがなかなか出なくて苦しみぬいています。今はようやく出かかっていますが、それでもまだまだ甘いと自身痛感しております。

【何故芸術家になれなかったのか?】

実際ヒトラーは絵に対してめちゃくちゃ情熱的でした。

自身の本質は「政治家ではなく芸術家だ」と言ってますし、後の軍需大臣であり建築家のアルベルト・シュペーアとは建築について丸一日中語り合っていたなど、芸術家を諦めた後も本当に芸術が好きだったんだなというエピソードが山のようにあります。

では何故そんな彼が芸術家になれなかったのか?

まず頭に入れておいて頂きたいのは、20世紀初頭は美術史における大変革期であったこと。キュビスムやシュールリアリズムのような前衛的な絵画が発明されブームになりました。見たら分かると思いますが、非常に独創的な世界観です。

ヒトラーはこういう近代美術を嫌っていました。古代ギリシアや中世こそがアーリア人芸術の源泉であると信じていたからです。

彼はウィーン美術アカデミーの受験を失敗していますが、落とされた理由が

「写実性はあるものの、独創性に乏しい」

という評価でした。早い話しが

「画力はあるが、芸術性が乏しい」

ということです。

実際ヒトラーはハガキ絵を売って生活してましたが、芸術家か?と言われたらハテナマークです。

こういう経験から、後にナチスドイツで総統にまでなった時に、近代美術や近代建築を退廃芸術と称して徹底的に弾圧します。

ウィーン美術アカデミーの評価ですが、

「建築家には向いてる」

とも言われてます。

建築アカデミーに入るには高卒は必須でしたが、ヒトラーは家族との衝突もあり、中卒だったのです。

彼にもっとも必要だったのは柔軟性だったのかもしれません。

柔軟性に欠いていたため、後にドイツ総統になるまで走れたのだとも思いますが、柔軟性に欠いていたためにホロコーストや第二次世界大戦の引き金を引く羽目になったのでは無いかと、筆者は感じてしまいます。

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