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その少年は満ち足りていた。 自分に「能力」が発現しなくても全く気にならなかった。 幼い頃から自然と動物が大好きで それらに触れている時間こそが何より幸せだったからだ。 よって「能力」の有無は彼にとって些細な事だった。 彼の名前は、帯野 極光(おびの きわみつ)。 父親は念動力系能力者であり検査技師。 母親は無能力者の看護師だった。 そんな少年時代の彼の密かな夢は獣医。 この「能力」所持が当たり前の現代社会において、 マイノリティにさせてしまった事に若干の後ろめたさを隠しきれなかった。 特に母親は。 大自然が織り成す絶景や、珍しい生き物を見ると大はしゃぎ。 その喜び様に両親も救われている面が少なからずあった。 そこで一家は、オーロラ観賞ツアーに申し込み、 日本から遥か遠く離れたカナダの地へ足を踏み入れたのである。 極光15歳の時であった。 ◇ ◇ ◇ オーロラとは、太陽風のプラズマが地球の磁力線に沿って高速で降下し、 地球の大気に含まれる酸素や窒素の原子を励起することによって発光すると考えられている。 オーロラの高度は80kmから500kmと非常に高く、雲や飛行機のはるか上空だ。 世界に幾つか存在するオーロラ観賞スポット。 その中でもカナダを選ぶのには理由があった。 オーロラが出現しやすいのは、磁気緯度65度か〜70度のドーナツ状に広がっている 「オーロラベルト」と呼ばれる一帯のエリア。 ここ、カナダのグリズリーファングと呼ばれる地域は、 そのオーロラベルトの直下にあり、年間250日も観賞するチャンスが訪れる。 3日間滞在の遭遇確率が約97%を誇っていた。 更に親子がこの土地を選んだのにはもう一つ理由があった。 グリズリーファングの夏季にだけ運が良いと観測できる「逆さオーロラ」だ。 湖の水面が氷解し、無風の時にだけ湖面に映るオーロラ。 ダブルオーロラとも呼ばれ、夏の2ヶ月間だけ出現する可能性があるのだ。 カナダの乾燥した土地柄、天気の移り変わりが激しい為、 天気予報があてにならないのが常である。 しかし、観測所が増設された昨今、予報の精度が上昇しつつあったので 彼等はここに数日間キャンプする事に決めた。 ◇ ◇ ◇ 運良く初日に鮮明で質の良いオーロラに遭遇することが出来た。 極光は目を真ん丸と輝かせてその自然現象を凝視する。 その日の夜は興奮して眠れなかった程、感動を覚えた。 しかし若干の風が吹き、湖面のさざ波がオーロラを映す鏡とはならなかった。 翌日は生憎天候に恵まれず。 それでも、この二日間はカナダの大自然と野生動物との触れ合いが 少年を最高の時間へ導いていた。 この地域に生息する生物は、全身を分厚い体毛で覆われたジャコウウシ、 北米最大の陸上生物であり哺乳動物ウッドバイソン、 他にグリズリーやトナカイも生息し、 円環の営みを肌で感じ、その命の息吹が少年の心を豊かにした。 最後のチャンスとなった三日目の夜。 それは訪れた。 条件が全て整ったその時。 遥か上空と湖面に浮かび上がる二重のオーロラの世界は、 畏怖と敬意の念で身が竦んだ。 異世界を想像させる幻想的な雰囲気を醸し出している。 更に。 オーロラベルトを形成するドーナツ状の発光現象を 別名「オーロラオーバル」と呼ぶのだが、 正にこの時、衛星からの観測史上最大の輝きを放っていた。 実況報告を受けたカナダ政府はざわついていただろう。 発光色も、翠から碧、紫へと変化する速度も最高潮に達し、 最終的に動画の早送りを想像させるソレは、 天と地の境である地平線へと集約し、 眩い輝きの中心から1人の女性が現れたのだ。 女神アウロラである。 ◇ ◇ ◇ ごくりッ 息を呑む少年。 全てのオーロラオーバルを集約した女神は 直視する事すらできなかった。 女神アウロラの輝きは知性の光、創造性の光。 到来する時のシンボルである。 片手で光を遮り、ゆっくりと目を開ける。 アウロラは既に少年の傍に居た。 その巨大な存在を大柄な人間の背丈にまで縮小させて。 その場に居た観光客全員が両膝をつき 両手を握り合わせ、女神に祈りを捧げた。 ある者は感動のあまり、落涙する。 失神する者さえあらわれた。 若者はスマートフォンで実況を試みたが電波が遮断されていた。 せめて録画を始める。 女神は右手を少年の頭上にかざし 五指の指先を優しく乗せた。 女神の思念が流れ込む。 その言葉はその場の全員に共有されていた。 『汝、我が騎士となりて、この地を守護するのです』 呆けたように目前の女神を見上げていた少年は 数分、何かを思考するように微動だにしなかったのだが、 次の瞬間、その使命を悟り、顔を輝かせて両親を振り返った。 余程嬉しかっただろう。 大きな目にいっぱい涙を溜めて、泣き笑いだ。 その満面の笑顔がまぶしかった。 母親は何時だって子供の安全を願う。 息子の命が脅かされるのではないか。 危険な任務は無いのか。 いつまで騎士で居なければならないのか。 突然の出来事への不安、恐怖で心が押し潰されそうだった。 でも。 でも。 この子ならきっと… 母親は泣きながら息子を抱き締めた。 父親に視線を送り確認する。 父親も大きく頷いた。 「やり遂げなさい。極光。お父さん、お母さんも一緒にあなたを支えるわ」 抱擁。 温かい母親の腕の中。 少年は小さく 「ありがとう」と呟くと 女神アウロラに承諾の意思を伝えた。 ◇ ◇ ◇ 日本の様に強力な能力を所持するヒーローが存在しない カナダ政府にとってアウロラの使者である 「オーロラナイト」の誕生は12年ぶりの再来であり、 次の誕生を切望していた。 帯野一家を国賓待遇とし、住居と何不自由無い生活を保障する。 能力の発露が遅かった極光だが、 卓越した才能は直ぐに開花し、 以後、20年間、カナダの力あるヒーローとして活躍する事になる。 (後半の3年間は新たに誕生した後輩の育成に専念したが) 更に、アウロラ(及びカナダ政府)は極光に秘密裏に使命を与えたが 極光は未知の生物への興味と好奇心ゆえに快諾を申し出る。 この件はまた別の機会に語ろう。 ◇ ◇ ◇ そして、「事件」は騎士就任から10年後、極光25歳の時に起こる。 オーロラ観賞ツアーで遭難した親子を救出したのだ。 その時の子供の名は、細田 滴(ほそだ しずく)。 極光と同じく能力の発現がみられず、 直近に母親を亡くし酷く落ち込んでいる少年を励ます為の カナダ観光だった。 ツアー団体は移動中に非常に強力な猛吹雪に遭遇。 はぐれた親子が運良くロッジを発見し、避難する。 急に暑い暑いと服を脱ぎだし、 そうかと思うと全身が冷たくなり動かなくなった父親。 (僕、死ぬのかな…、ママに会いたいな…) 混濁する意識の中、ロッジの扉を勢い良く開ける音がした。 (救助隊が来てくれたのかな…?) 男の叫ぶ声がしたかと思うと、 温かい光が父と自分を包み込む。 (助かったのかな…) 微かな意識の回復と共に、少年は、まだ重たい瞼に力を込め薄めで目視を試みる。 (……ッ!?) そこには全裸で父に覆いかぶさるもう1人の逞しい男が居た。 (ドクンッ!!) 激しく鼓動する少年の心臓! 頭を巨大な鈍器で殴られたような衝撃が走る。 同時にブワっと「汗」が噴き出した。 その「汗」は、ヒーローの放つ熱によって徐々に「気化」していた。 時間と共に気化した汗は室内に充満する… 回復を見せていた少年はオーロラナイトの発熱にあてられ苦しくなる。 咳こんだ自分を見てヒーローは優しく抱きかかえると傍に移した。 そこから盗み見る2人。 父親が見るからに死の淵から蘇りつつあるのが見て取れる。 だから、「その行為」を止めることが出来なかった。 徐々に様子がおかしくなっていく筋骨隆々の成人男性2人。 聞こえてくる野太い喘ぎ声… 気を失ったままなのか、母親の名前を連呼しながら何度も腰を突き上げていた。 喘ぐ両者。 そのいかがわしい光景を見て早まる胸の動悸。 流れ出る汗。 ヒーローはこの時、微かな違和感を感じていたのだが 若き青年は、快楽の情動に流されてしまったのだ。 ゆえに、その「汗」に催淫作用が有る事実に この場に居た全員が認識する事が出来なかった。 そう。 細田 滴はこの時覚醒したのだ。 己の体液に特殊な力を宿す珍しい能力に。 「その行為」を止められなかった理由は実はソレだけではなかった。 ヒーローがあまりにも美しかったのだ。 蠢く生々しい筋肉。 整った顔立ち。 滲む汗。 男らしい声。 全てに魅了され、少年はまだうら若い無垢なペニスをガチガチに勃起させていた。 (あぁ、なんてカッコイイんだ…) ある意味2重の覚醒をさせてしまったこの事件が、 日本に戻ったオーロラナイトに凌辱と言う災難をもたらす事になる……… --------------------次章へ続く

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