Home Artists Posts Import Register

Content


「幸福は創造の敵」

一巻の最初の方にあったセリフ。

「成功体験は創造の足枷」

三巻の最後の方にあったセリフ。





「映画大好きポンポさん」を読みました。

〝生粋の〟クリエイターとはどういうものか

というのを描いた漫画だと思いました。



ポンポさんというタイトルの通り、

登場人物にポンポさんという女の子が出てきます。


ただ、この物語の主人公は

映画監督志望のジーンです。


学校では友達がおらず、映画だけを観て暮らし(むしろそれでいいと言ってたけど)

唯一の夢である映画監督を目指し

ポンポさんの映画会社に飛び込んだジーンです。



ただ、常人の頭で考えるならジーンは

「真似しちゃいけない」タイプの人間で、

彼をひとことで言い表すなら「奇人変人」です。



映画に人生を捧げ、映画以外を〝捨てた〟人間です。

家族、友人、恋、健康、これに興味を持たず、

「映画と家族、どっちを取る?」と聞かれて、

躊躇なく家族を捨てられる人間です。



人間として社会で生きるための常識、責任もほとんど持っていません。

税金の払い方も知らないし、映画を撮る事と比べたら

些細な事だと思っているでしょう思います。



そういう人間は探せばいるかもしれませんが、

自分の好きなモノのために自らそれを〝捨てられる〟人間はそういません。



そして自分の過去の作品をすべて「駄作」と言いきり、

成功体験や栄光、金銭、名誉に一切興味を示さない、

それすらも〝捨てられる〟人間です。



さらにもう一つ重要な事があります。

「他人の目」を一切気にしていません。

より良い映画を作るためなら

自分から辞めた会社に頭を下げて撮影の協力を依頼できます。

責任感からの重圧に圧し潰されそうになるシーンはありましたが、

ポンポさん曰く

「それを無視できるのがジーンの強み」だそうなので

普段は感じることはないのだと思います。


もちろん自分と他人の作品を比べて一喜一憂することもないですし、

SNSなんかやっていないでしょう。



過去より未来より「今」、そして「自分の事だけ」、

すべてより良い映画を作るため、

そのためにそれ以外を〝捨てる〟ことができる人間。


それは

生粋のクリエイターです。




この漫画は

そういう生粋のクリエイターって

こういう思考で生きてるよと伝える漫画だと思いました。



このジーンという人物に感情移入でき、

シンパシーを感じられるなら、生粋のクリエイターだと思います。


そしてそういう人間は、傑作を作ることができると思います。






ただ、この漫画はあくまでフィクションです。

絶対に真似をしてはいけないとも思います。


それを裏付ける事実が2つあります。



ジーンが人間関係にめちゃくちゃ恵まれていること、

そして大きな病気をしていない事です。




超敏腕映画プロデューサーのポンポさんと

おなじく敏腕映画プロデューサーで、今や伝説となっているその祖父に出会い、

ジーンの映画に対する姿勢や腕を見込まれている。


実績を残したジーンに嫉妬し、

蹴落とそうとする同業者などが存在しない。


この漫画ではジーンが映画を撮るという行為に一切の邪魔が入っていません。


普通はまず無理です。




そしてもう一つ、彼は映画のためなら命を削る覚悟があります。

行動にもそれが現れていて、

徹夜当たり前、食事も疎か、運動なんてもってのほか、

超過密スケジュールで映画を作っています。


普通なら早い段階でぶっ倒れて病院送りです。



ノンフィクションで、リアルで、残酷な我々の人生では、

そんなことはあり得ません。




私の経験からの持論ですが、

健康第一はより良い作品作りに必須だと思っています。


そして〝運〟。これも必須です。

ジーンは強運の持ち主です。


我々はそうとは限りません。

ただ運は手繰り寄せられると思います。これも私の持論ですが。

不運にも腐らず、めげず、勝ち取っていく姿勢は重要だと思います。


あと人間関係もすげー大事だよ!



ジーンくんのような存在はあくまでもフィクションと考えて

それでもこのような姿勢を大事にするのは

良い作品を作るうえで大事かなと思いました。





ぜひ読んでみてください。

一読の価値ありです。

https://pompo-the-cinephile.com/book.html



ではまた来週。



Files

Comments

No comments found for this post.