Ⅴ.ヌルヌル5コマ 最小限で表すアニメの考え方 (Pixiv Fanbox)
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Ⅴ.ヌルヌル5コマ
滑らかに見える動きに対しぬるぬる動くという表現があります。
1秒間に60フレームなどコマの切り替り(FPS)が多い映像を指し示します。
表示コマ数が多い動きは滑らかに見えるシームレスな状態を生み出せるのです。
ただ、動き自体は60コマ分用意せずとも滑らかな認識は5コマ使えば示せます。
少ない枚数での制作はリミテッドアニメと呼ばれ。日本のアニメに多いです。
※1秒間8コマ分切替がリミテッドアニメ、60コマ分切替がフルアニメーション。
注意:主観を含む私見です。実際に滑らかに見えるかは個人差があります。
5コマならば全て滑らかになるわけではありません。例外もあります。
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ぬるぬる、サクサクと表現は様々ですが要は途切れなく繋がり続ける認識です。
コマ数が増えるほど滑らかにはなり、普段見える限界は120FPS程と言われます。
カクつきや切り替わりの印象がなく、変化し続けて動きが見える状態です。
つまり最低限の変化がつながって見えれば滑らかな印象が出るということです。
アニメで動きを認識する最低限の要素はⅡ、Ⅲ、Ⅳで書いた以下の通りです。
・動きの認識は2コマ分の変化と切り替わり。
・比較基準・変化差・繋ぎの情報。
・事前動作や反動など変化の際に起きる緩急。
2コマで動き3コマで流れを、4コマで緩急を生み5コマで緩急ある流れに。
一つの動きに対する最低限の情報が5コマで表現できるようになるのです。
5コマでは2+1+2、2+3や1+4が滑らかにでき、1モーションを表すのに適します。
ただし例外として1+3+1や1+2+2は全体的に滑らかになりづらいです。
2+1+2
2+1+2コマは動きの流れを示せる形式となり、緩急なしでも滑らかにできます。
Ⅳでは2+2コマの形式で各々の動きを補完でき、滑らかに見えると書きました。
Ⅴでは基準と変化差の緩急に中割で更に補完するⅢ、Ⅳの応用になるのです。
2+3
2+3コマは緩急を強調でき、動きに自然さを持つ滑らさを示せます。
3コマ部分は各コマの配置・入れ替えで予備動作・反動の緩急を変更できます。
ただし流れが乱れると違和感を生むため変化差が少ない範囲内で有効です。
1+4
1+4コマは変化差を強調し、兆候や余韻、エフェクトなど効果に適しています。
差が大きいと早く、小さいと遅くなる緩急を明確に表せるのです。
動きが完結型の場合、切りの良い流れやモーションを作るのに適しています。
Ⅴは応用と書いた通り基本的にⅢ、Ⅳで紹介した形式と同じ考え方で作れます。
2+3、1+4はⅣの1+3コマと同じく1枚分少ない4コマ分で揺れを表現できます。
5コマのループも4→1へ続く5を作る循環型、12↔3↔45の往復型になります。
✖ 5コマでは滑らかにならない形式
変則的な形式では1+3+1コマが往復や切り代わる強調、タメを持たせられます。
また1+2+2コマでは区切りを持つ動きを生み、演出的な緩急を生みます。
ただし、5コマでは自然な動きになりづらく違和感やカクつきが出やすいです。
原因として緩急の差が大きく、繋ぎに不協和が発生しやすいと考えられます。
コマ数を増やすと滑らかさを示せる一方、緩急のズレで違和感も出やすいです。
動き自体はⅣで示した緩急の表現が滑らかさを出せ、差は認識補完されます。
ただし認識は個人差があり、差が大きいとつながりが分かりづらくなります。
上記で上げた形式を例に応用できればより滑らかな動きを目指せます。
スキップなどの歩行、呼吸による上下運動、力の反動やジャンプなど様々です。
後はどれだけ求める動きを表現したいかと、完成までの積み重ねになります。
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以上で最小限で表すアニメの考え方は終わりです。
表現をコマ数で変え、応用すると示せる情報や見える印象を変化させられます。
コマ撮り形式のgifアニメでしたが3Dなどのキーフレーム形式にも共通します。
動きの考え方自体は何がどこにどう変化したかをどう示したいかに繋がります。
アニメはイメージの具現化であり伝わる形にして自他ともに認識できるのです。
少し調べるだけでもコマ撮り形式、キーフレーム方式の制作ツールが出ます。
画像制作ツールではgifや動画形式で作れるほか素材作成や編集機能もあります。
一枚絵や3Dモデルでエフェクトやモーション作成と何かとお手軽になってます。
ただ問題は表現が伝わる形までに仕上げ続け、完成させられるかという点です。
クオリティを求めると作業量が倍どころか累乗になるので滅茶苦茶大変です。
単純故に調整に根気がいる作業なので求める範囲を決めないと終わりません。
それでも動かしたいものを思い通りに動かせると見てて楽しいのがアニメです。
抱き続けるイメージを形にしたい方は実際に試してみてはいかがでしょうか。
もちろん他者に迷惑をかけない範囲かつ自己責任で。
長くなりましたがお役に立てましたでしょうか。
お付き合いいただきありがとうございました。
ちなみに解説画像の原寸はこちらにて配布してます。