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『お前!何の真似だ!』

「団長さん、飴と鞭、どっちが好きかしら?」

『鞭だと……。そ、それは、人間に使うものではない……』

「そうね、ドラゴン調教用のムチですもの。でもやってみなければわからないわ。」

『馬鹿なことを言うな!』

「あら、団長さん。自分の立場がわかっておいでかしら?」

『くっ!この拘束を解け!』

「質問に応えなさい。アメとムチ、どっちがいいかしら?」


『何が望みだ』

「私を副団長にしてほしいの。」

『そんなこと……。言われずとも最初から君を竜騎士団の末席に加えるつもりだった。』

「それじゃ駄目なのよ。副団長として、一個大隊を動かせる権利をちょうだい。」

『それは自分の一存で決められることでは……!』

「あなたは国王の信頼を得た騎士団長、そのくらい簡単でしょ。」

『しかし…!』

「ねえ、団長さん。あなた、女を知らないって本当かしら」

『な、何を言う!』

「あら、図星かしら。だってさっきから、見ないふりしてずっと見てるんですもの、わたしの身体を。」

『す、すまん、そんなつもりでは!』

「お姫様も罪な人よね。こんなに欲求不満を抱えた部下がいるのに、それを放置しているだなんて。」

『姫様は関係ない!』 

「ふふ、じゃあムチの代わりに、甘い飴はいかがかしら。

そのそそり立つ小さなドラゴンを、飛び立たせてあげるわ。ここを、使って、ね?」

『……!』

   *

『みんな聞いてくれ。本日からシエラ殿は竜騎士団の副団長として任じられることとなった。彼女には百騎の竜騎士を与え、独立部隊として行動する権限を有することとなる』

「そうなんですか!?いくらなんでも急過ぎます!」

『なんだ、セルジュ。不満か?』

「い、いえ、団長がお決めになったのでしたら従いますが、しかしこういうことはきちんとした手順を踏んで行うものでは……。そうでなければ他の騎士たちに示しがつきません。」

『今は緊急時だ!そのような古臭い手順に乗っ取る必要はない。これは決定事項だ!』

「わ、わかりました。」

「あら、私にそのような権限を頂けるだなんて、大変光栄ですわ。団長さん。でも、いいのかしら?」

『こ、こほん。君の実力は確かなものだ。この国のために力を尽くしてくれることを願う。』

「ふふ、ありがと。団長さん。」

  *

『くっ……夢か。

ここのところ見合い続きだったからな……。

まさかシエラ殿が夢に出てくるとは……。

っ……!この感覚はもしや……』

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