漫画プロットの作り方について (Pixiv Fanbox)
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皆さんこんにちは!にいちです。
今月来月は新刊作業と単行本作業が忙しく、週更新やFANBOXの更新もゆっくりになりそうです(>人<)すみません!
中旬くらいに「ゆるゆるアラカルト」を1枚アップできるかなと思いますので、楽しみにしていただければ嬉しいです!
それまで何も更新が無いのも寂しいので、以下に戴いた質問にお答えする形で記事を書きました。
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漫画を描く手順は大まかに
①プロット→②ネーム→③下書き→④清書→⑤トーン貼or着色
と分かれますが、特に「プロット」は人の目に触れることがほとんどありません。
「漫画などストーリー性のある創作をしたいけど、そもそもお話ってどうやって作るの?」という質問をいただくことがあるので、今日は僕のプロット作成手順をご紹介しようと思います!
(需要がどこまであるか分かりませんが、ゼロから話を作り始めるときってこんな感じなんだなーと思って見ていただければ嬉しいです!)
※【注意】思いついたことをすぐに文字起こししないと忘れちゃうので、走り書きでめちゃくちゃ字が汚いです
「現実もたまには嘘をつく」62~65話のプロットです。
まず、一番最初に描かれているのがオレンジの文字です。
ここは「話の背骨」、つまりもっとも表現したい部分に当たります。
「勇者が必殺技を習得して魔王を倒す」といったように地の文で骨組みを書く方もいますが、僕は話の中心となる会話を書きます。
今回は「龍二に告白される(中央)」「七海に先に家に帰されて、みるくちゃんと入れ替わって事なきを得る(下)」が話のメインです。
単発のお話であれば、4ページ目の決めゴマ(最も印象的なやり取りがある箇所)のセリフや描写から考えるとやりやすいと思います。
次に書いているのが青色で、ここではオレンジの展開を実現するための「肉付け」を入れます。
「七海がお手洗いに行って二人きりになること(中央上)」など、オレンジの展開を読者さんに納得してもらえるようなサブの設定を加えていきます。
「薫の返事(左下あたり)」なんかもこのタイミングで思いついたようです。
三番目は水色です。
いわば「均し」の部分で、オレンジで作った大きな山と、青で作った小さな山を繋げて円滑に話が流れるように調整します。
例えば、上部に青で「一旦落ちつこ…」という七海の心情描写があります。
この描写は、すぐ上の「さっきのは何なのよ…もやもやする」というオレンジから来ていて、この「さっき」というのは61話の薫→七海父へのセリフを指しています。
つまり当初は「薫が七海父に『七海のことは任せてほしい(龍二と二人きりになりたくないので)』と言った意図を七海が深読みし、その勘違いを引きずってもやもやしている」という話を描くつもりだったようです。
が、今お読みいただいて伝わったかもしれませんが、七海が席を外す理由としては複雑すぎます。
前話とまたがっていますし、勘違いしている人の立場で状況説明をして、回想も挟んで、かつそれが勘違いであることをナレーションで入れなければなりません。
さらにそのもやもやの解消手段が「薫に直接確認すること」しかなく、ストーリーの流れの中にその展開を挟む余地が無いと感じたので、水色で書かれた通り「カラオケや映画を経験した七海が、『薫もこういう遊びが好きなのかも…』と不安を覚える」という単純な内容に差し変えました。
オレンジは「僕の書きたいこと」ですが、水色を書くときは、「読者さんが読んだときに話が飛び過ぎていないか、だれていないか、読みやすいか」を意識しています。
最後に加えるのがピンクの文字。
ページ割りと、進行順序の整理です。
1話4ページのSNS漫画では、続き物であっても単話の連続であることが多く、複数話にまたがる話をだれずに読んでもらうのは難しいです。
僕もまだ探り探りですが、少なくとも各回で盛り上がる箇所とオチを用意できるように区切るポイントを考えています。
ボリュームが多すぎたり少なすぎたりする箇所は、水色に戻って調整します。
こうして作ったプロットを元に、コマ割りや構図を加えてネームができていきます。
プロット作成は一日考えても何も出てこないこともあるしんどい作業ですが、苦労して作った回を皆さんが楽しんでくださっているのを見ると、いつも以上に嬉しくなります。
新刊のプロットも一冊は既に固まりつつありますので、良い本に仕上げられるようがんばります!💪
長文お読みいただきありがとうございました!
にいち