ライティングのコツ(光のぼかし方など) (Pixiv Fanbox)
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普段行っているライティングのやり方を解説します。
※背景は白でキャラクターのみのライティングを想定して解説を進行します。
▼ライティング工程用レイヤー構成データ
下の影のみとなっているイラストにライティングを行います。
影色は「乗算レイヤー」を使っています。
①大まかに光を当てる
光は「リニアライトレイヤー」を使用しています。
▼リニアライトで使用している色
目立たせたい箇所に光を置いていきます。
今回は頭、肩、臀部&太ももに光をおいて注目が集まるようにしています。
光と影の境界はこの段階ではパキっとはっきりさせています。
よく使用するブラシはエスキースに使用しているブラシをそのまま使うことが多いです。
▼使用ブラシ:エスキース用ブラシ
▼やらないようにしている光の当て方
上図のような光の当て方はあまりやらないようにしています。
やらない理由は下の3つです。
・目立たせたい箇所が曖昧になる
・立体感が薄れる
・影エリアで活きる反射光などの表現が使えない
背景が暗かったりする条件では上図のようなライティングもありですが、今回のような背景が白い場合はおススメしないライティングです。
②光の形状を整える
大まかな光を置いたら、次は光の形状を整えていきます。
基本的な考え方は「光の当たっている物体の形状によって光の形を変える」です。
具体的な解説は下に図を交えながら行います。
▼光の形について「曲面」
光の当たる箇所が「曲面」の場合は光の輪郭をぼかします。
(理屈では曲面の角度が急になるにつれて光が当たりづらくなって、光のベクトルと面の角度が平行になったところで光が当たらなくなります。)
人体は大体曲面で出来ているので、この表現を使う箇所は多いです。
ただ、光と影の境界をぼかしすぎるとコントラストがなくなって「せっかく光を当てているのに目立たなくなる」状態に陥るので注意しましょう。
ぼかしには下のブラシをよく使っています。
下記の設定を行うことで上のブラシの質感を保ちながら「ぼかす」ことができるのでぼかし用ブラシとして複製してからカスタマイズしてみてください。
▼光の形について「落ち影」
遮蔽物によって光の形をスパッと途切れさせます。(上図の緑ライン)
(光の形は投影される物体の形状によって決まりますが、例外的に遮蔽物によって光が遮られることで遮蔽物の形が光に影響します。)
遮蔽物が投影物と近ければ輪郭のはっきりした光の形になりますが、両者の距離が遠い場合は輪郭がぼやけます。この現象を使うことで「遮蔽物と投影物との距離感」を表現することができます。
▼光の形について「髪の毛」
髪の毛を表現するために上図のような切れ込みを光形状に入れます。(上図赤ライン)
髪の毛の束に光が当たるとき髪束の隙間に光が入らないことで、影が発生することを切れ込みのような形状で表現しています。
光と影の形について詳しくは下の記事にまとめているので良ければご覧ください。
光と影の形についてまとめてみた。
今回はライティングに使う光と影の考え方について解説します。 ライティングでは「光と影の形」と「影の色」の二つの考え方を使用します。 今回は「光と影の形」編です。 光と影の形を決めるパターンとして簡単に2つに分けて考えます。 ①物体自体がつくる影 ②光を遮ることでできる影 まずはそれぞれの考え方につい...
③色によって影色を調整
▼肌色などの箇所の影色を調整
肌色などはそのままの影色ではくすんでしまうので、暖色系の影色に調整します。
▼配色&ライティングイメージ
実際に配色を行った上から影色を載せると上図のようなイメージとなります。
影色の調色を行う際は、配色によって一辺倒に色を調整しているわけではありません。今回の肌色を例に挙げて下に解説を行っています。
▼色の変化について
上図のように光から近い箇所は彩度を高くし、そこから遠のくにつれて彩度が低くなるようにグラデーションをかけています。
あえてくすんだ色を混ぜることで、より鮮やかさを際立たせることが出来たり、目立たせたい箇所を強調することができるのでオススメの手法です。
彩度の低めな色にこの技法は使いやすい印象があります。そのような色を取り扱う際に試してみてください。
④光の色を調整
影の色を調整したら、最後に光の色を調整します。
今回は彩度の高い赤色に当たっている光の色について調整を行っています。
▼色が飛んでしまった彩度の高い色を復元(今回は赤色)
上図のように光(リニアライトレイヤー)に使った色の彩度を上げることで鮮やかな赤色を表示できるようになりました。
影側で彩度を高くしようとするとイラストがギラつきやすくなるので、光のエリアで色調整を行うことをおススメします。
▼完成
■まとめ
今回は「光の当て方」「光の形状調整」「色の調整」の工程を記事にまとめてみました。
この工程たちは普段投稿しているイラストメイキングの「仮塗工程」にあたります。
線画作業が終わって「さて、ここからどうやって作業を進めようか」と悩んでいるときにこの記事を見てもらえると嬉しいです。
今後はここから情報量を増やして完成度上げている「描きこみ工程」のやり方やコツを記事に出来たらいいな、考えています。お楽しみに。
この記事は以上です。ここまで読んでくれてありがとうございました!
■おまけ
▼筆圧のグラフ
以前コメントでどのような筆圧で描いているかを聞かれたので私の筆圧グラフを表示しておきます。他の方の筆圧を見たことがないので何ともいえないのですが、たぶん筆圧は低い方なんじゃないかと思っています。
今まで配布したブラシたちは私の筆圧が基になって調整が行われています。
このグラフとご自身の筆圧を見比べながら、配布したブラシたちのインク量だったりブラシサイズだったりの筆圧調整を行なうと、効率よく描きやすいブラシが出来上がるはずです。